サイト運営者なら誰でも聞いたことがあるであろう「直帰率」ですが、厳密な定義や改善方法まで知っている人は少ないのではないでしょうか。サイトに対するユーザーの満足度を測る指標の1つとも言われる直帰率について、直帰率とよく間違えられる離脱率との違いについても触れながら、具体的な改善方法や、改善を行う際に気を付けるポイントについてご紹介していきます。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、直帰率を改善するためのデータの分析から施策の実施までに必要な機能を、All in Oneで搭載しているツールとなっています。

 

1. 直帰率とは?

直帰率とは、ユーザーが最初に訪れたページから、他のページに移動する事なく「離脱」した割合を意味します。ここで言う「離脱」とは、具体的には以下のような行動のことを指します。

【「離脱」のアクション例】
・そのサイトから離れ、他サイトへアクセスすること
・ブラウザバックで前のページ(他サイトのページ)に戻ること
・ページを開いた状態でWebブラウザを閉じること
・ページを開いたまま30分以上経過すること
・サイト内に貼られた別サイトのリンクに飛ぶこと

1-1. 直帰率の計算方法

直帰率は以下の計算式で求められます。

直帰率 = 該当ページの直帰数 ÷ 該当ページから始まったセッション数

例えば、あるページから閲覧を開始したセッション数が2,000で、そのうち他のページに遷移することなく離脱したセッション数(=直帰数)が500なら、直帰率は500÷2000=25%ということになります。

1-2. 離脱率との違い

直帰率とよく混同してしまう指標として、「離脱率」があります。

冒頭で説明したように、離脱とはユーザーがサイト外へ離れてしまう行動のことを指します。先ほど説明した「直帰」はこの離脱の一部で、サイト内で1ページしか見ずに離脱した場合を「直帰」と呼びます。それに対して、離脱率は「すべてのセッションのうち、そのページで離脱した割合」を意味します。離脱率は以下の計算式で求められます。

離脱率 = ページの離脱数 ÷ ページのセッション数

5つのセッション履歴があるWebサイトの例を下記に挙げていますが、この例を用いてページ①の直帰率と離脱率を計算すると、以下のようになります。

セッション1:ページ ① → ページ ② → ページ ③ → 離脱
セッション2:ページ ① → 離脱
セッション3:ページ ③ → ページ ① → ページ ② → 離脱
セッション4:ページ ③ → 離脱
セッション5:ページ ② → ページ ① → ページ ③ → 離脱

直帰率=50%
(ページ①のみを閲覧が1件/ページ①から始まるサイト訪問が2件)
離脱率=25%
(ページ①で離脱したものが1件/ページ①を含むサイト訪問4件)

2. 直帰率の目安

直帰率の目安は、一般的に40%程とも言われていますが、正確には直帰率に目安というものは存在しません。理由として、直帰率はサイトのジャンルやページの構成、チャネルの流入状況によって数字が大きく異なるからです。

例えば、何らかの悩みを解決するためにキーワード検索をして、サイトに流入したユーザーよりも、特に目的はなく何となく広告をクリックして流入したユーザーの方が直帰率は当然高くなります。また、複数ページへ遷移が可能なトップページよりも、他の1つのページにしか遷移できないLPの方が、直帰率は当然高くなります。

つまり、サイトやページの種類や流入ユーザーの属性などによって、目標とする直帰率は大きく変わるため、「目安に対して数字が高いから悪いページである」と決めつけるのではなく、サイトの種類やページの構成から、どこに改善ポイントがあるのかをしっかり分析し、PDCAを回していく事が重要です。

3. 直帰率を改善すべきページの見つけ方

直帰率や離脱率はページの種類等によって必然的に高くなってしまう事があります。その前提を踏まえると、数値が高いから改善するという思考ではなく、「他の指標と組み合わせて数字を見る事で改善すべきページを見つける」ことが適切な考えであるといえます。改善すべきページを見つけるための具体例をご紹介します。

3-1. CVと結びつける

サイトのゴールであるCV(コンバージョン)への割合であるCVRと紐付けて考えることで、改善すべきページを洗い出す事ができます。例えば、以下の2つのページを比較します。

サイト①:直帰率が80%で、CVRが0.00%のページ
サイト②:直帰率が50%だが、CVRが5.00%のページ

直帰率だけでみた場合、①の方が数値が高いので①のページを改善すべき、となってしまいますが、①の場合、直帰率を改善して、他のページに遷移させたとしても、今のままではCVまで繋げることができず、この段階で直帰率を改善してもあまり意味がない、ということになります。一方で、直帰率が低い②に関しては、CVRの数値が高いため、直帰率を改善することで、より全体のCV数を上げられる可能性が高まります。

このようにCVRまで見ることで、改善すべきページを見つける事ができ、確実に成果に繋がる改善を行うことができます

3-2. 滞在時間と結びつける

CV以外にも滞在時間と結びつけて、改善すべきページを見つけることもできます。例えば以下のような2つのページを比較すると、改善すべきページがわかります。

サイト①:直帰率が高く平均滞在時間もサイト平均より短い
サイト②:直帰率が高いが、平均滞在時間はサイト平均より長い

まず、①のページはコンテンツの内容がユーザーのニーズとマッチしていない可能性が高く、改善すべきページとして挙げることが出来ます。逆に、②のページは直帰率が高いものの、滞在時間が長いため、1ページにおける内容が充実している、ユーザーのニーズに合った内容がしっかりと記載されている、といったプラスの働きによるものが多いため、必ずしも直帰率を改善しなければならない、と言う訳ではなくなります。

このように、他の指標と結びつけてみないと適切な改善に繋がらないということ、そして直帰率が高い=悪いということではない事を大前提として、適切な改善を行っていく事が重要になります。

直帰率を改善するために、各ページのCVRや滞在時間を分析するポイントについては、下記にて詳しく説明をしていますので是非合わせてご一読ください。

4. 直帰率が高い原因とその改善方法

直帰率が高い原因は、大きく2つのパターンに分けることができます。

①1ページ目で得たい情報を得る事ができ、満足して直帰する場合
②何らかの不満を感じて直帰する場合

①に関しては、「製品の料金体系を確認する事ができた」「企業の住所や電話番号を確認する事ができた」などユーザーが満足して直帰する場合には、特に改善は必要ありません。問題は②の場合です。②にあてはまる場合、すぐに改善させる必要があります。ユーザーが不満を感じるポイントとしては、主に以下の3つが挙げられます。

不満①:ユーザーのニーズとページ内容の不一致
不満②:調べたいことに対する回答はあるが、次にすべき行動が明確でない
不満③:ページの表示速度が遅い/ページが見づらい

不満を感じるポイントそれぞれについて、改善方法を解説していきます。

4-1. 「ユーザーのニーズとページ内容の不一致」の改善方法

ユーザーは知りたい情報がないと、すぐにページから離脱するため、直帰率が高くなってしまいます。この問題を解決するには、ページの内容を変更する必要があります。内容を変更する際には、以下の3つのポイントを見直します。

改善ポイント①:タイトルとページの内容に乖離がないか

タイトルに興味を持って流入したとしても、中身の内容が違っていては、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。特にSEO対策に力を入れている場合には、クリック率の改善等の目的で、タイトルやディスクリプションを修正する事も少なくないと思いますが、その結果、サイトの内容とタイトル/ディスクリプションの内容が乖離してしまっているといった事が起こってしまう場合があるので、注意が必要しましょう。

改善ポイント②:ファーストビューに伝えたい情報が盛り込まれているか

タイトルとページ内容とが一致していても、その内容がユーザーに伝わらなければ意味がありません。またユーザーは、ページの前半部分、特にファーストビューと呼ばれるユーザーがWebサイトに着地した際に閲覧する部分に、知りたい事の記載がないと判断すると、離脱してしまうので、スクロールが発生しない表示領域の中で、伝えたい情報を盛り込むようにしましょう。

改善ポイント③:ユーザーが知りたいことに対する回答を用意できているか

ページを作成する際には、つい自社製品の良さを伝える事に意識が偏りがちですが、ユーザーがそのページに対して本当に求めているのは、自分の悩みをいかに解決してくれるか、です。そのため、商品やサービスの良さをユーザーにわかりやすく伝えるためには、ユーザー視点での考え方が必要になります。ユーザー視点で考えるとるということは、ユーザーの検索意図をしっかりと認識するという事が重要です。そのために、なぜ/どんなときに/どんな人が/どんな状況で検索したのかについて、検索ワードで上位表示されているサイトや関連キーワード、SNSなどを調査してみましょう。ユーザーのニーズを適切に理解し、タイトルやコンテンツに反映させる事で、ユーザー視点でのサイトを作成することができます

4-2. 「調べたいことに対する回答はあるが、次にすべき行動が明確でない」の改善方法

せっかくユーザーが調べたいことをページに記載していても、調べた後のアクションを喚起させなければ意味がありません。この状況を防ぐために、ページの導線の改善が必要です。改善方法としては、大きく3つの方法があります。

改善方法①:内部リンクの設置

内部リンクを設置することで、別ページへと遷移させ、直帰率を下げる方法です。特に記事においては、そのページを読んでる最中や読み終わった際に、新たに知りたいことや疑問が生まれるため、そのタイミングで解決策となる導線を置くことができれば、さらに別ページに遷移させることに繋がり、直帰率を下げるや事やCVRの向上に繋げる可能性が高まります。そのページだけで完結させないような導線を設計を意識しましょう

改善方法②:CTAの設置

CTAとは「Call To Action」の略で、自社ページを訪れたユーザーに購入や資料請求など、何かしらの行動を喚起させるためのWebサイトの要素です。例えば、「会員登録はこちら」、「今すぐ資料請求する」といったボタンやリンクなどがCTAにあたります。

ページの内容に合わせて、適切な場所にCTAを設置することで、次のアクションに繋ぐことが出来ます。しかし、ページに溶け込みすぎていたり、分かりづらい文章を使用してしまうと、逆にユーザーがサイト内で迷ってしまうことになるので、適切なCTAを設置するようにしましょう。

改善方法③:構成や言い回しを一般的なものに寄せる

ユーザーが普段使用したり、目にするものと大幅に異なるサイトのデザインや構成にしてしまうと、ユーザーがサイト上で迷子になってしまい、使いづらい、分かりづらいといった印象に繋がってしまう場合があります。

そのため、他社サイトを参考にしながら、なるべく同じ表現や言い回しを使用し、似たようなサイト構成にすることで、ユーザーが次に何をしたら良いかがすぐにわかるようなページづくりを意識しましょう

4-3. 「ページの表示速度が遅い/ページが見づらい」の改善方法

ページの読み込みが遅い/ページが崩れているといった問題があると、ユーザーに対して不満を与えてしまい、離脱に繋がります。この解決策としては、ページの表示速度の改善と、各デバイスへの表示の最適化が必要です。速度改善の方法としては、Googleが提供している以下のツールで無料で計測することができます。

【Webサイトの速度測定サイト】
Page speed insight

表示速度は、読み込み時間が3秒を超えると直帰率が一気に上がるとというデータもあります。特に画像を多用している場合にはサイト表示に時間がかかるため、画像の軽量化といった簡単な改善から取り組んでいきましょう。

また、PCだけでなくスマートフォンでの表示が最適化されているかも確認しましょう。スマートフォン表示では、特に縦長の構成になりやすく、ユーザーにストレスを与え、離脱に繋がる事も少なくないため、フォントや画像の表示サイズ、フォーム入力の最適化を行い、離脱を防ぎましょう。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、直帰率を改善するためのデータの分析から施策の実施までに必要な機能を、All in Oneで搭載しているツールとなっています。

5. 直帰率/離脱率を改善する際の注意点

ここまで直帰率や離脱率の概要や、具体的な改善方法について説明しましたが、あくまでも、直帰率や離脱率はサイトの満足度を確認する指標であり、最終的な目的が直帰率や離脱率の数字改善ではないということは頭に置いておく必要があります。実際に、最終的な成果を分析するには、LTVという指標を分析しなければなりません。しかし、LTVを分析するには、直帰率/離脱率を測定するツールWebでは行うことができない、Webアクセスログデータや顧客データを取得し、分析する必要があります。

そういった分析ができるのがMAツールであり、その選定こそが成果分析において重要なポイントとなります。そのため、直帰率を改善したというところで満足することなく、最終的な成果に繋がる指標を改善する事を最終目的のLTVの向上を念頭に、適切な改善を行うようにしましょう。

[参考サイト]
LTV(ライフタイムバリュー)とは?算出方法と高める方法を紹介!
マーケティングオートメーション(MA)とは?MAの「概要」「導入目的」から「ツール選定のポイント」までをまとめて解説!

 

6. まとめ

ここまで、直帰率や離脱率の概要や改善方法について解説してきました。直帰率の数字を可視化するだけでは意味がないことを踏まえて、「本当に改善すべきなのか?」「改善した事が実際に成果につながっているのか?」ということまで考えていくことが大切です。

また、直帰率や離脱率の数字を改善することだけに目を向けていても、最終的にCVRやLTVの指標まで見ることができなければ、真に成果分析ができているとは言い難いです。最終的な成果を最大化させるためにも、今回ご紹介したように直帰率や離脱率に関して正しく理解し改善を行いつつ、最終的な成果の指標であるLTVの向上まで繋げるために、LTVの分析ができるツールを選定、活用していくことも同時並行で行っていくことがおすすめです。

実際に日本情報マートがコストや工数をかけずにwebサイトを改善させた秘訣について、下記にて詳しくご紹介しておりますので是非合わせてご一読ください。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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