マーケティングの第一歩とも言われ、マーケティングに携わる人なら必ず耳にしたことがある「セグメント」。マーケティングの基礎であるがゆえに、その意味や目的を明確に理解しておくことで、より効率的かつ効果的なマーケティング施策を実現できる可能性が高まります。本記事では、セグメントとは何なのかについて、具体的な活用方法や成功事例とともに解説していきます。

 

1. セグメントとは?

セグメントとは、顧客や見込み顧客を特定の条件で分けたグループのことです。多くの場合、年齢や性別などの属性情報や、商品の認識や購買傾向などの行動情報を用いて分類されます。また、セグメントに分ける行為を、セグメンテーションと呼びます。

1-1. ターゲットとの違い

セグメントとよく混同して使われる言葉の1つに「ターゲット」があります。前述したように、セグメントは顧客を特定の条件でグループ化したものですが、一方、ターゲットは商品やサービスを販売する対象という意味で利用されることが一般的です。

2. セグメントの目的・必要性とは?

マーケティングを行う上で、セグメントを活用する目的は多々ありますが、最も大きな目的は、顧客を適切なセグメントに分けることで、セグメントごとに適したアプローチを実施することができるようになる点です。
多種種多様なモノやサービスがあふれ、顧客のニーズも千差万別になっている現代においては、すべての顧客に対して全く同じマーケティング施策を展開したとしても、結局誰にも響かず失敗に終わってしまうケースが多くあります。このような失敗を起こさないためにも、顧客の属性や行動情報を用いて、顧客を細かく分割する(セグメンテーションする)ことで、各セグメントに対して効果的なアプローチを行うことができるようになります。

3. セグメントの代表的な評価指標「4R」とは?

セグメント分けを行った際、セグメントが効果的に行われているかどうかを評価する代表的な指標として「4R」というものが存在します。4Rとは、「Rank」「Realistic」「Reach」「Response」の頭文字から取られています。ここでは、4Rのそれぞれ項目がどのような意味を持つか解説していきます。

3-1. Rank(優先順位)

Rankとは、優先順位を確認する指標です。複数作成したセグメントを見た結果、「すべてのセグメントが重要だから、全セグメントに対して同時に施策を実施しよう」という考えになってしまった場合は、セグメントの作成方法を見直した方がよいかもしれません。どのセグメントから施策を実施するべきかの優先度を明確に言えるように、セグメント作成を行いましょう。

3-2. Realistic(規模の有効性)

Realisticとは、規模の有効性を確認する項目です。作成したセグメントに対して施策を実施した結果、相応の売り上げが見込めるかどうかを確認するための項目です。例えば、ある飲料品を販売しているケースにおいて、顧客をセグメントした結果『30代のヘルシー嗜好な既婚女性』をターゲットにすべきという方針に行き着いたとします。ただ、もしこの場合に『30代のヘルシー嗜好な既婚女性』の数が少ない場合は、このセグメントにアプローチをしたとしてもその結果得られるリターンも少なくなってしまいます。
セグメントを詳細に分類しすぎた結果該当者が少ない、というケースも同様ですが、一定の顧客数が存在するセグメントを作成することを意識しましょう。

3-3. Reach(到達可能性)

Reachとは、到達可能性を確認するための項目です。セグメントした顧客へ商品の情報等を届けるアプローチ手段があるかどうかを確認する項目です。ここでいうアプローチ手段には、商品やサービスの提供手段に加えて、商材を知ってもらうための広告手段も含まれます。
例えば、海外に住んでいる顧客というセグメントを作成した際に、英語など海外の方でもわかる言語を利用しているか、その方に商品を届ける物理的な手段は何か、といった点をクリアしておかないと、セグメントを作成しても意味がないものになってしまいます。

3-4. Response(測定可能性)

Responseとは、測定可能性を確認するための項目です。これはセグメントに対して施策を実施した結果、何らかの事業的指標が改善されたかどうかを測定できるかどうかを確認する項目です。
セグメントを作成しアプローチをし、商品やサービスを利用してもらったとしても、顧客にとって不満が感じられるものではすぐに成果が落ちてしまいます。そのためセグメントに対してアプローチをする段階において、その結果をどのように測定するか、例えば顧客に対してアンケートを行うのか、そのセグメントにおける売上推移を確認するのか、といった点を考慮しておく必要があります。

 

4. セグメントの代表的な観点「4つの変数」とは?

セグメントを作成するにあたって最も難しい点が『どのような観点で分けるのか』です。ここでは、セグメントを作成する際の観点として主流となっている「4つの変数」を解説していきます。

4-1. 変数①:地理的変数

地理的変数とは、国や都市、人口密度、気候、宗教などの地理によって変化する要素です。「東京都新宿区在住者」や「勤務先が東京都新宿区」などのように用いることが出来ます。地域によって特性が変化しやすい食料品や衣料品、家電などが商材である場合に、セグメント作成において地理的変数がよく用いられます。

4-2. 変数②:人口動態的変数

人口動態変数とは、年齢や性別、家族構成や職業などの個人属性を指します。「20代の女性」や「営業職の男性」などのように用いることが出来ます。人口動態変数は、不動産・住宅業界やアパレル業界などにおけるセグメント作成によく用いられます。

4-3. 変数③:心理的変数

心理的変数とは、価値観やライフスタイル、嗜好性、性格といった個人の心理的な要素です。「趣味が旅行」や「グルメ好き」などのように用いることが出来ます。心理的変数は、旅行やダイエット食品などの商材を扱う場合に適しています。

4-4. 変数④:行動変数

行動変数とは、自社webサイトでの行動履歴や商品の購入履歴などの要素です。例えば、「特定の商品を購入した顧客」や「特定の商品を買い物かごに入れたが、購入せずに離脱した顧客」などのように用います。ECなどwebサイトを軸に商材を展開している事業におけるセグメント作成でよく用いられます。

4-5. セグメントを作成する際の注意点

上記で紹介したセグメントを分ける際に用いる変数は、自社の商品やサービスの性質や戦略によって大きく変わります。商品やサービスによっては、用いても意味のない変数があるため、何を用いるべきかは十分に検討しましょう

また、基本的には1つの変数のみを用いるのではなく、複数の変数を組み合わせて、セグメント分けすることが多いです。例えば、地理的変数の「東京都新宿区在住」と人口動態変数の「20代の女性」、心理的変数の「趣味が旅行」を組み合わせて、「東京都新宿区在住で趣味が旅行の20代の女性」などのように用いられます。しかし、変数が多すぎても、ボリュームの少ないセグメントがいくつも出来上がってしまうため、多くとも3~5個程度の変数に抑えておきましょう。

5. セグメント後に実施するべき3つのこと

セグメント作成自体は単にグループ分けすることであるため、ただグループ化しただけでは何も効果はありません。成果に繋げていくためには、セグメントに分けた後に3つの事項を実施していかないといけません。

5-1. ターゲティング

ターゲティングとは、セグメントに分けられたグループの中から、狙うべきセグメントや自社の商品やサービスに合うセグメントを決定することです。例えば、性別と年代でセグメントすると「男性20代」「男性30代」「女性20代」「女性30代」というセグメントができると思いますが、この中から商材を鑑みた結果、「女性20代」に注力してアプローチをしていこう、ということを決定することがターゲティングに当たります。ターゲティングするセグメントの規模は大きすぎても小さすぎてもいけません。ターゲティングしたセグメントが大きすぎると、戦略がぼやけてしまったり、戦略を実行する際に費用や工数がかさんでしまいます。逆に、ターゲティングしたセグメントが小さすぎると、たとえ戦略の実行が成功したとしても、得られた成果の全体的なインパクトは少なくなってしまいます。

5-2. ポジショニング

ポジショニングとは、市場の中での自社の商品やサービスの立ち位置を決定することです。立ち位置を判別するために、自社と同じ観点で競合他社の立ち位置も明確化させます。例えば、価格帯や商品やサービスのコンセプト、特徴などを軸にして評価していきます。文章だけでは、立ち位置が分かりづらいため、ポジショニングマップを使用するのがおすすめです。

5-3. STP分析

STP分析とは、事業やマーケティングの戦略立案の際に利用されるフレームワークの一つです。「S:セグメンテーション」「T:ターゲティング」「P:ポジショニング」の3語から取っており、市場における自社の立ち位置を明確にするために利用されます。セグメントに分けてからポジショニングまでを一貫して行い、自社の商品やサービスの特性を把握し、市場に対してアピールできる価値を明確化させて、今後の戦略立案に役立てることができます

セグメントへの分割は、STP分析の最初の工程であり、最も重要な工程です。適切にセグメントに分けられていない場合、そのあとのターゲティング、ポジショニングのどちらも正しく進めることが出来ません。セグメントを適切に行って、STP分析を行っていきましょう。

6. セグメントの成功事例

現状、セグメントを用いていない企業はほとんどないと思います。しかし多くの企業が用いているセグメントですが、明確な成果を生み出せている企業は多くはありません。ここでは、セグメントを適切に用いて成功した事例を紹介します。

6-1. 事例①:パナソニック

パナソニックのレッツノートは人口動態的変数を活用して、それまで主流だったPC事業のセグメントから大きく変えたことで成果を残しています。PC事業の多くの企業は、一般家庭向けにPC事業を展開していました。そんな中、パナソニックはターゲット層を法人営業のサラリーマンに絞って、商品開発を行いました。レッツノートは、持ち運びのしやすい軽さや薄さ、バッテリーの持続性、明るくても見やすいモニターなど、外回りの営業でも使いやすいような設計を行い、大ヒット商品となりました。

6-2. 事例②:ユニクロ

ユニクロは心理的変数の嗜好を活用して、「カジュアル or フォーマル」「ベーシック or トレンド」でセグメントを分けて成果を残しています。ユニクロは、自社の強みである即時大量生産を活かすために、様々なセグメントにてどれが一番売れるのかを検証していきました。結果的に、「カジュアル×ベーシック」が最も売れることをつきとめて、そこに注力していくことで、大きな成功を残しています。

6-3. 事例③:スターバックス

スターバックスは心理的変数を活用して、喫煙の有無によってセグメントを分けて、成功を収めています。スターバックスは、それまで喫煙可の喫茶店やカフェが多かった中、たばこが苦手/嫌いな人にターゲティングしました。店内を喫煙不可にすることで、今まで喫茶店やカフェを利用しづらかったたばこが苦手/嫌いな人を多く取り込んで、大きな成果を残しています。

7. まとめ

セグメントはマーケティング施策の根幹とも呼べる重要なプロセスです。マーケティング施策を成功させるためにも、基本事項を理解した上で、この記事でご紹介した「4つの変数」を用いて顧客を分割し、「4つのR」をすべて満たすように作成することが大切です。

全ての顧客に対して、画一的に施策を実施していたり、漠然とターゲット設定していたりする場合は、セグメントへの分割から設定しなおすと効果的な可能性であるため、今回ご紹介した内容を参考に成果を向上させていきましょう。

また、セグメントに分けた後に、適切なコンテンツとタイミングでターゲットへのアプローチの効果を最大化させるためにはMAツールの活用が効果的です。ぜひ、セグメントの効果を最大化させるためMAツールの利用をご検討なさってみてください。

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  • Marketics 編集部

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