近年、デジタルトランスフォーメーションがますます浸透する中、「ノーコード」という言葉を見聞きする機会が増えているのではないでしょうか。これは、ソースコードを書くことなく、アプリケーションやwebサービスを構築できる画期的な手法で、直感的で使いやすいツールやドラッグアンドドロップの操作を通じて、誰でも簡単にアプリケーションやウェブサービスを実現できる特長があります。プログラミング未経験者でも自身のアイデアをリアルな形にすることを可能にし、IT人材不足が深刻化している現代において重要なキーワードとなっています。本記事では、注目されている背景やメリット、注意点を交えながらノーコードについて解説します。


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1. ノーコード・カオスマップについて

近年、企業においてノーコードのアプリケーション開発が拡大し、この成長に伴いノーコード市場が複雑化しています。この動向を背景に、2021年12月に一般社団法人Nocoders Japan協会が「ノーコード・カオスマップ」を公開しました。このカオスマップは、ノーコード領域における多様なサービスを整理し、市場に存在するツールの特長を明示しています。企業や個人が自身のニーズに合ったツールを選択する際に、参考となる情報を提供しており、ノーコードの利用者にとって有益なリソースとなっています。

2. ノーコードとは

ノーコード(No-Code)は、アプリケーションやwebサービスの開発において、プログラミング言語を使わずにGUIやドラッグ&ドロップなどの直感的な手法を活用して開発を行う手法です。通常、従来の開発ではソースコードの記述が必要でしたが、ノーコードを採用することで、プログラミングスキルがない人でも容易にアプリケーションを構築できます。この手法は開発のスピードを向上させ、非技術者でもアイデアを形にしやすくなり、デジタルソリューションの拡充に寄与しています。

2-1. ノーコードの歴史

ノーコードの歴史は、2010年代初頭に遡ります。初めて「NoCode」という言葉が使われたのは、2014年にProduct Huntの創業者であるRyan Hooverが執筆したブログ記事でした。この時点で、既に多くのノーコードツールが登場しており、それが「ノーコードの勃興」として注目を浴びました。

ノーコードは、プログラミングスキルが不要で、GUIを使用しwebアプリケーションを構築できる手法として定義され、従来のプログラミングに依存する必要性を打破し、広くアクセス可能なデジタルソリューションの時代を切り拓いています。この手法は、アイデアを形にするためにプログラマーである必要がなくなり、創造的なプロセスが一般の人々にも開かれるようになりました。

その後、2020年代に入り、ノーコードは急速に進化し、ビジネスやクリエイティビティの分野で幅広く活用されるようになりました。企業や個人が迅速にアプリケーションやウェブサービスを構築し、新しいアイデアを実現できるようになり、ノーコードの導入によってデジタルイノベーションが加速しました。これにより、従来の開発手法に比べて迅速で柔軟なソリューションが提供され、デジタルトランスフォーメーションの推進が進みました。

2-2. ローコードとの違い

ノーコードとローコードは、アプリケーション開発のアプローチの違いを表しています。ノーコードはプログラミングスキル不要で直感的に開発できる手法で、GUIやドラッグアンドドロップでアプリを構築することができ、プログラミング言語に頼ることなく、アイデアを現実の形に素早く形成することを可能にします。対照的に、ローコードは少量のプログラミングやカスタマイズが可能な手法で、エンジニアが基本的なコードを使用しつつ、開発効率を向上させます。ローコードはエンジニアが柔軟性を保ちつつ迅速にアプリを構築するためのソリューションですが、ソースコードを一部使用するため、専門的な知識が必要になります。

ノーコードとローコードのどちらが良いかは、ユーザーのスキルやプロジェクトのニーズによります。ノーコードはプログラミング未経験者でも手軽に利用でき、素早いプロトタイピングやシンプルなアプリケーションの開発に適している一方で、ローコードはプログラミング経験者がより高度な機能を実現する際に有用であり、アプリケーションの複雑な要件に応えることができます。

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3. ノーコードが注目されている背景

こちらでは、ノーコードが注目されている背景について詳しく解説していきます。

3-1. IT人材の不足

一つ目はIT人材の不足です。現代において、急速なデジタル化が進む中、企業や組織はITエンジニアのニーズが高まっています。しかし、その需要に対して十分なITエンジニアが確保できておらず、これがIT人材不足の懸念を生んでいます。ノーコードは、このような背景に対応するための手段として注目されており、通常のアプリケーション開発やウェブサイト制作において、プログラミングスキルを持つエンジニアが必要とされますが、ノーコードを利用すれば、プログラミングの知識がなくてもGUIやドラッグアンドドロップの操作で簡単に開発できます。これにより、一般のビジネスユーザーや非技術者でもアプリやウェブサイトを制作でき、ITエンジニアに依存せずにデジタルソリューションを構築できるようになります。

3-2. クラウドサービスの普及

2つ目の背景はクラウドサービスが広く普及したことです。クラウドサービスは、サーバやソフトウェアを高額で購入する必要がなく、従量課金や月額支払いなどで利用できるため、ノーコードツールによる手頃なシステム開発の基盤となりました。一方で、データをインターネット上に配置するこの仕組みには、セキュリティ上の懸念が伴います。クラウドが2010年ごろのノーコードブームの際には、「個人情報の保管が難しい」「匿名データの分析しかできない」といった声もあり、業務システムのクラウド化は遠慮される傾向がありましたが、10年の歳月が経ち、多くのIT企業や専門家がセキュリティ向上に尽力し、啓発活動を行った結果、クラウドは広く一般に受け入れられました。今では、銀行や官公庁の基幹システムですらクラウド上で運用されています。このクラウドの仕組みが技術的/ビジネス的に受け入れられるようになったことで、ノーコードもまた普及の土壌が整いました。従来通りにサーバやソフトウェアを購入し、インストールする手間がなくなり、手軽にブラウザーを開いてログインすれば開発が可能になったことでノーコードに対する注目が高まりました。

3-3. 働き方や消費者行動の多様化


社会やビジネスの課題が多様化/複雑化する中、ノーコードは小規模で柔軟な開発が可能であり、多様なニーズに効果的に対応できる特長を備えています。これにより、ビジネス環境の変化や新たなニーズに柔軟かつ迅速に対応し、新しい機会を創出する手段として、ノーコードが注目を浴びています。従来の開発手法では難しかった小規模プロジェクトや特定の要件に合わせた開発が、ノーコードによって容易になり、多様性のある社会状況に対応するビジネス戦略の一翼を担っています。

4. ノーコードのビジネスアプリとは

ビジネスアプリとは、社内業務で主に使用されるアプリケーションの総称です。2010年代には、クラウドが注目を集め、同時期にノーコードの概念も浸透してきました。この時期に登場した既存のノーコードは、主に既存のビジネスアプリケーション開発を補完する形で存在し、プロモーション戦略が変化しました。 近年になると、新興のノーコードが登場し、これはこれまでにない機能を提供するものとされています。
新興ノーコードは、より高度な要件や複雑な業務にも対応し、従来のノーコードよりも進化した機能を備えています。このような進化は、ノーコードの利用範囲が拡大し、企業がますます自らのニーズに合わせた柔軟なビジネスアプリを開発できるようになっていることを示しています。

4-1. 日本国内でもノーコードサービスが増加

日本国内でもノーコードサービスの提供が増加しています。企業や個人がプログラミングスキルなしにアプリケーションやウェブサービスを開発できるツールが増え、これによりビジネスプロセスの効率化や新しいアイデアの実現が容易になりました。ノーコードの普及により、ITエンジニアに依存せずにアプリケーションを構築できるため、企業内での業務改善やイノベーションが促進されています。この動きは、特に中小企業や個人起業家にとって、コストやリソースの制約がある中で効果的なソリューションとして注目されています。日本国内でのノーコードの普及は、様々な業界や領域において新しいビジネスチャンスを生み出す一因となっています。

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5. ノーコードのメリット

次に、ノーコードのメリットについて詳しく解説します。

5-1.プログラミングの知識が必要ない

ノーコードの主なメリットは、ソースコードの記述が不要であり、プログラミングの専門知識が不要な点にあります。これにより、プログラミング言語やITスキルのない人々でもアプリケーションやウェブサービスの開発が可能となります。この特長によって、エンジニアリングの専門家に依存せずに、個人や企業内の非技術者も簡単にアイデアを実現できます。従って、外部のエンジニアに発注する必要がなく、開発プロセスが迅速化され、コスト削減が実現されます。

5-2. webサービス開発の費用・時間削減

ノーコード開発では、テンプレートの活用やドラッグ&ドロップのシンプルな操作により、サービスの構築が容易になります。この直感的なインターフェースを利用することで、プログラミング経験がない人でも簡単に開発が可能です。外部のエンジニアに発注する必要がないため、開発にかかる時間とコストを大幅に削減できます。ノーコードツールを使用することで、アイデアを素早く実現し、サービスをスピーディにリリースすることが可能となります。これにより、企業や個人は素早く市場に参入し、ビジネスを展開する際のリスクや初期費用を低減できます。

5-3. アプリケーションやwebデザインのイメージを形にしやすい

従来の外部開発ではイメージを伝え、仕様に合わせて調整し、要件定義を行うプロセスが必要でしたが、このプロセスは伝言ゲームのようなコミュニケーションの齟齬が生じやすく、理想とする結果を得るまでの調整が手間と時間を要します。ノーコードツールは、アプリケーションやwebデザインのイメージを形にしやすいため、直感的な操作で誰でも簡単に開発が行うことができ、イメージをダイレクトに反映できるので、思い描いたデザインや機能を直感的に構築できます。ノーコードツールの採用により、開発プロセスがスムーズに進行し、クリエイターが自らのビジョンを迅速かつ正確に実現でき、アイデアをすぐに形にできる柔軟性と迅速な開発サイクルを回すことができるようになるので、ビジネスやプロジェクトの成功に向けて大きなアドバンテージを与えることができるようになります。

6. ノーコードを導入する際の注意点

6-1. 定型的なことしかできない


ノーコードは簡単で広く利用されやすい反面、定型的なタスクに特化しており、大規模で複雑なシステムには対応が難しいという制約があります。開発者はあらかじめ用意されたツールや機能を組み合わせて利用するため、その範囲外の独自の機能を実現することが難しく、実装機能が制限されることがあります。例えば、ノーコードは複雑な動きを要求されるゲームアプリのようなプロジェクトには向いていません。そのため、特定の要求や複雑なプログラムが必要な場合には、他の開発手法を検討する必要があります。

6-2. プラットフォームへの依存リスクの高さ


ノーコードの一つのリスクは、使用するツールに強く依存することから生じるプラットフォームへの高い依存度です。ノーコードツールを利用する際、そのツールが提供するデザインや機能、セキュリティにおいて特定の制限に縛られることがあります。さらに、ツールのサービスが終了すると、それに基づいて開発されたアプリケーションやウェブサイトが使用できなくなる可能性があり、これは大きな懸念材料です。開発者はこのプラットフォームへの依存度に注意を払い、将来的な変更や終了に備える必要があります。

6-3. 提供企業のほとんどが国外企業


ノーコードのプラットフォームを提供している企業の大部分は、現在は国外企業が主導しています。これに伴い、サポートを必要とする場合は英語で問い合わせる必要があります。また、学習ツールも多くが日本語で提供されていないため、利用者は翻訳を行いながら作業する可能性が高まります。これは利用者にとって一定の言語の壁を意味し、適切なサポートやトレーニングの受け取りに一定の労力が必要です。

7. まとめ

デジタルトランスフォーメーションの進展とともに、「ノーコード」が注目を浴び、アプリケーション開発を効率化する手法として台頭しています。ノーコード・カオスマップの登場や日本国内でのサービス増加など、その複雑化する市場状況が示唆されています。ノーコードはプログラミング未経験者でも利用可能であり、IT人材不足やクラウドサービスの普及に対応する手段として期待されています。また、ビジネスアプリの新興ノーコードと既存ノーコードの区分、そして国内での拡大が挙げられ、これにより企業内での業務改善や新しいアイデアの実現が促進されています

ノーコードのメリットとして、プログラミングスキル不要であることが挙げられ、開発において時間や費用の削減が期待されます。その直感的な操作性により、アプリケーションやwebデザインのイメージを効果的に形にできる点も利点となります。
ノーコードで扱うことができるツールとして、b→dashがあげられます。b→dashでは、SQLを使用せずにノーコードでデータの取込/加工/統合/抽出/活用ができるため、SQLに関するナレッジが不足している方にもおすすめのツールになっています。

しかし、注意が必要な点も存在し、特に定型的なタスクへの適用とプラットフォームへの依存リスクが挙げられます。これらは、ノーコードの導入時に検討すべき課題であり、プロジェクトの性格や要件に応じて適切な開発手法を選択する必要があります。提供企業の多くが国外企業であることも留意すべき点であり、英語でのサポートや学習が求められることも視野に入れておくべきです。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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