「カスタマーサクセス」という言葉が広く聞かれるようになりましたが、そもそもカスタマーサクセスとはどのようなものであるかを理解しきれていない人も多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではカスタマーサクセスの概念や、体制をつくる際に押さえておくべきポイント、カスタマーサポートとの違いなどをわかりやすく解説します。

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1. カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、「顧客の成功」を意味する言葉で、顧客が商品やサービスを利用した際に「利用してよかった」「目的を達成した」と感じてもらえるように企業等が行う取り組みを指します。また、そのような取り組みを行う職種を指す場合もあります。売上を上げるためには、まず、商品やサービスを利用した顧客に「買ってよかった」「利用して正解だった」と感じてもらうことが必要です。商品やサービスに対する顧客の満足度が高ければ、購入や利用を継続してもらえる可能性が高まります。さらに、口コミなどを発信してもらうことで新規顧客を増やすことも可能です。カスタマーサクセスを実現するためには単に商品やサービスを提供するだけではなく、企業が顧客の成功を導く取り組みを行うことが求められます。

1-1. カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

顧客の満足度を上げるために行う取り組みに「カスタマーサポート」という概念もありますが、カスタマーサクセスとは何が異なるのでしょうか。2つの大きな違いは顧客に対する取り組みの姿勢です。顧客に対して、カスタマーサクセスは自らアクションを起こして能動的に取り組みますが、カスタマーサポートは顧客からのアクションを受けてから受動的に取り組みます

もう少し具体的に説明すると、カスタマーサクセスは顧客の成功体験を可能にするための道筋を事前に考えて対策を講じて取り組みますが、カスタマーサポートは顧客から問題や課題を投げかけられたときに初めてその問題や課題に取り組みます。

1-2. カスタマーサクセスの成果指標/KPI

カスタマーサクセスで掲げる成果指標やKPIを説明していきます。成果指標とは目標に向けた取り組みの成果を把握する指標です。目指すべき項目や水準を具体的に示すことで成果を把握しやすくする役割があります。一方、KPIは重要業績指標を意味するKey Performance Indicatorの略称で、最終目標までのプロセスの達成状況を把握するための指標です。カスタマーサクセスでは、成果指標やKPIで具体的な数値目標を設定することが重要となります。具体的な指標を設定することで、顧客の成功体験を導くために必要となる手段を見つけやすくなり、方向性を誤ることなく効率的に目標に向かって取り組めるようになるからです。

カスタマーサクセスでは、商品やサービスを継続して利用している顧客がどれくらいいるかを示す「継続率/解約率や、顧客のうちどれくらいの割合でアップルセルやクロスセルが達成できているかを表す「アップセル率/クロスセル率商品やサービスに対する顧客の愛着度を示す「NPS(Employee Net Promoter Score)などが目標指標になります。アップセルとは、従来購入している商品と同じ商品群で、より上位モデルの商品への買い替えや、新規機能の追加等を促す営業方法のことで、クロスセルとは既存消費とは違うカテゴリの商品の購入を促す営業方法です。どちらも客単価を上げるための有効な営業手法となります。また、NPSは、顧客の商品などへの愛着度から、今後の顧客の行動予測がしやすいため、収益性と連動させて活用しにくい「顧客満足度」に代わって利用されることが多い指標です。

クロスセル率の具体的な改善事例については、下記にて詳しく説明をしていますので是非合わせてご一読ください。

1-3. カスタマーサクセスが注目された背景

カスタマーサクセスのような取り組み自体は長く存在していました。しかし、インターネットの普及などによって商品やサービスの選択肢が増え、別の商品やサービスへも気軽に乗り換えやすくなっています。そのような中で、「カスタマーサクセス」という言葉が提唱され、数ある商品のなかから自社の商品を選んでもらう/選び続けてもらうためのカスタマーサクセスの取り組みを行うことの重要性に注目が集まりました。

たとえば、サブスクリプション形式のビジネスモデルやSaaSの普及などは顧客の選択肢や流動性を増やした要因の一つです。サブスクリプションとは一定の期間を定め、その期間内であれば定額で商品などを利用できるサービスのことを指します。顧客の継続的な利用を目指すうえで、カスタマーサクセスへの取り組みは重要です。一方、SaaSは顧客が自らインストールなどをする必要がなく、インターネットを通してソフトウェアを利用できるようにしたサービスを指します。初期費用がかかりにくいことから、顧客の乗り換えを防ぐ対策として、顧客の満足度を上げるカスタマーサクセスへの取り組みが行われるケースは少なくありません。ちなみに、SaaSは「Software as a Service」の略称で、「サース」または「サーズ」と読みます。

2. カスタマーサクセス実現のために必要な仕事・役割

カスタマーサクセスの役割は顧客が自社の商品やサービスを利用することで目標を達成したり、成功体験を持てるようにサポートを行うことです。以下ではカスタマーサクセスの役割を3つご紹介します。

役割➀:顧客の利用サポート

カスタマーサクセスの1つ目の役割は、顧客の目標達成や成功体験のために、顧客が商品やサービスを適切に使えるようサポートすることです。
具体的には、顧客のヘルススコアに基づいたサポートの実施、ユーザー向けにサービスの使い方などの勉強会を実施するといった方法があります。商品やサービスを満足に使えていない状況を改善し、商品やサービスを利用してから価値を実感するまでの期間を最短にすることが、カスタマーサクセスの役割です。

役割②:解約の阻止や他社への乗り換えの防止

カスタマーサクセスの2つ目の役割は、解約の阻止や他社への乗り換えの防止をすることです。商品やサービスを満足に使えず、価値を実感できていない場合、自社の商品やサービスは不要と見なされ、解約や他社への乗り換えにつながります。
解約の阻止や他社への乗り換え防止するためには、顧客の不満や問題点の解消を行う必要があります。定期的な打ち合わせを行ったり、アンケートの実施など、顧客が商品やサービスを利用するなかで不満や問題点を感じていないか、リサーチしていきます。リサーチした内容に基づき、利用方法のサポートやアップセル/クロスセルを提案することで、顧客の不満や問題点を解消します。

役割③:顧客や市場のニーズに合わせた商品やサービスの改善

カスタマーサクセスの3つ目の役割は、顧客や市場のニーズに合わせた商品やサービスの改善をすることです。
商品やサービスに存在していない機能や、使えていない機能、今後必要とされる機能を顧客や市場からリサーチします。社内の開発部門やプラダクト部門などに伝達や提案を行うことで、商品やサービスの改善と改良に貢献します。
顧客や市場の意見が反映された商品やサービスが作られることで、疑問や不満の解消、満足度の向上にもつながります。

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3. カスタマーサクセスに失敗したケースとその理由

解約率などの目標とする指標をしっかり定めていないことで失敗するケースは少なくありません。現状で何が不足しているかをしっかり把握できず、取るべきアクションを正しく選択できなくなるからです。また、顧客を多く獲得したいからと自社のターゲット外である顧客にまで手を広げることで失敗するケースもあります。これは、一時的に売上を上げることはできても、顧客の成功につなげられるアクションをうまく取れず、顧客を確保し続けることが難しくなり、最終的にはカスタマーサクセスが実現できなくなる場合が多いことが理由です。

カスタマーサクセスでの成功事例については、下記記事にて詳しくご紹介しておりますので、合わせて是非ご一読ください。

[関連記事]
・カスタマーサクセスの成果創出事例にみる、取り組み方のポイント

4. カスタマーサクセス体制づくりのポイント

カスタマーサクセスを実現させるには社内の各部署と連携できる体制をしっかり構築させておくことがポイントです。カスタマーサクセスに対する他部署の理解が薄く、担当者との関係が希薄だと、求める効果が期待できません。会社全体の取り組みとして部署間の連携をスムーズに行えるようにしておくためには、まず、上に立つ責任者や経営者などの理解を深めておくことは必須です。

さらに、各部署が何をすべきかわからず混乱を起こさないためにも、「営業部はアップルセルやクロスセルの割合を上げる取り組みを検討し実施する」といったような、それぞれの部署の役割や目標を明確化しておくことも重要となります。

5. まとめ

各社がさまざまな商品やサービスを出し顧客の選択肢が広がるなか、カスタマーサクセスへの取り組みは、顧客をしっかり確保し顧客離れを防ぐことに有効です。サブスクリプションサービスの市場の成長も続くと予測されているため、カスタマーサクセスを上手に取り入れて、顧客のニーズや市場の変化に応じられる体制をしっかり構築しておきましょう。

 

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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