顧客分析とは、顧客層のグループ分けや購買プロセスの分析を通じて、顧客を深く理解するための分析のことです。多くの企業がすでに顧客分析を実施されていると思いますが、どのような種類があるのか、自社の課題に応じてどのような分析をすべきか、等わからない方も多いのでは無いでしょうか。そこで本記事では、そもそも顧客分析とは何か、効果やメリット、代表的な分析手法、注意点などを解説します。顧客分析を活用するための基礎知識について一通り押さえておきましょう。

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1. 顧客分析とは?何に活用する?

顧客分析を効果的に実施するためには、顧客分析の対象やその目的を理解しておく必要があります。また、顧客分析の実施によって、企業はどのようなメリットが生じるかも知っておきましょう。

1-1. 顧客分析とは

顧客分析にもいくつかの種類がありますが、一言で言うと、顧客をより深く理解するための分析手法のことを指します。顧客ニーズを詳しく把握したり、ターゲットととする顧客像を明確にするために分析を行います。

1-1-1. ターゲットとする顧客の定義

顧客分析ではまず、自社の商品やサービスを利用するのは誰なのか、どのような特徴を持った個人や法人なのかということを明確にする必要があります。そのため、顧客分析ではまず顧客を定義することから始めます。

それにより、例えば顧客の性別や年齢、関心がある事柄など、具体的な内容についても深堀りができるようになり、コミュニケーション戦略や商品開発などの方針となる具体的な属性や特徴を持った「ペルソナ」を作成できるようになります。また、売上貢献度の高い顧客や、継続的に商品を購入し続けてくれる優良顧客を絞り込むことも可能になります。費用対効果の高いマーケティングを実現するためにも、顧客分析はとても重要です。

[参考記事]
ペルソナ分析とは?分析方法やメリット・デメリット、企業の実践事例をご紹介

1-1-2. ターゲット顧客のニーズの理解

顧客分析とは、顧客目線で自社商品やサービスを捉え直し、顧客ニーズをよりよく理解するための手法でもあります。そのため、実店舗でアンケート用紙を配ったり、カスタマーセンターで顧客の意見をヒアリングしたり、Webサイトで意見や要望を収集したりして、それらの顧客の声を元に顧客分析をすれば、顧客満足度の推測や潜在的なニーズの発見が可能になるでしょう。ただし、顧客分析のデータ収集では、なるべく定量的なデータで客観的に評価できるようにすることが重要です。

現在では、ECサイトやWeb広告に関するユーザーの行動履歴がマーケティングツールで詳細に収集できるようになりました。例えば、どの媒体に出稿したWeb広告経由で自社サイトに遷移したのか、遷移したユーザーのうち購入や資料請求などの成果に至った割合はどれくらいかなどを、詳しく調べることができます。これらのデータを有効活用することでターゲット顧客のニーズを深く理解することが可能です。また、一定数以上のデータが集められれば、季節的なサイクルやトレンド把握などの全体的な傾向も統計的に把握できるようになるでしょう。

1-1-3. 製品/サービスと顧客ニーズがマッチしているかの理解

顧客分析は、自社が行っているマーケティングと顧客ニーズが一致していない状況を改善する点においても重要です。例えば、自社が性能重視で商品開発をしていても、実際は顧客は安さを求めている、というようなケースはよくあります。

そのため、顧客分析では現状、顧客がどのような行動を取っているか、商品やサービスに対してどのような評価を持っているかなどを分析します。それにより、顧客層に合わせたアプローチや商品開発をすることが可能になります。

このように、顧客分析にはリスクを抑えながら、成果に繋がる施策に改善していくことも可能です。

1-2. 顧客分析の効果/メリット

正しく顧客を分析をすることで、結果として商品、サービスの品質改善やマーケティング活動の改善を達成できます。

1-2-1. 商品やサービスの品質改善

顧客分析によって、自社の商品やサービスの品質を高めることが可能です。顧客分析をすることで、顧客が求める品質の水準を把握できるようになるからです。また、ユーザーの不満や要望を詳しく把握することで、顧客ニーズにマッチした商品へと改善していくこともできます。さらに、顧客分析の精度を高めれば、顧客の潜在的なニーズの把握もできるようになるでしょう。

1-2-2. マーケティング活動の改善/効率化

顧客ニーズや行動パターンを把握し、特徴や属性に応じてグループ分けができれば、そのグループ毎に適切なコミュニケーションをすることが可能になります。現在では、DMやメール、Web広告などの内容を顧客情報に応じて自動的にパーソナライズして発信できるため、いかに細かくセグメントを切って、適切なコンテンツを適切なタイミングで送るかが非常に重要になっています。

また、マーケティングの費用対効果を高めるためにも顧客分析は欠かせません。例えば、購入/受注見込み度合いの高い顧客や、売り上げへの貢献度が高い顧客にのみアプローチすることが可能になります。どのような顧客がいるのかという分析から一歩進んで、アプローチの優先順位決定や広告予算の振り分けなどに応用することで、マーケティング活動を効率化させることが可能です。

2. 顧客分析の代表例と活用イメージ

ここからは、顧客分析の代表的な手法をご紹介します。どの方法が優れている、というわけではなく、目的や顧客層、自社を取り巻く外部環境などに合わせて適切な手法を選ぶことが重要です。

2-1. RFM分析

RFM分析とは、直近の購入日(R:Recency)、購入頻度(F:Frequency)、購入金額(M:Monetary)の3つのデータで顧客を分析するマーケティング手法です。RFM分析を用いることで、例えば、FとMが同じならRが近い顧客のほうがアプローチの見込み度が高いと考えるなど、顧客の実態を詳細に分析できます。このように、多角的に顧客を分析することで、優良顧客を発見しやすくなります。例えば、1回の購入金額が小さくても、頻繁に商品を購入してくれているなら、1回の購入金額が高い顧客と同じぐらい重要な優良顧客かもしれません。

一方、RFM分析は高度な分析ができる反面、分析の自由度が大きくなることから、分析者のスキルが問われる分析手法です。特に季節やトレンドなどの、顧客以外の要因が影響しやすいビジネスでは、正しく分析するのは難しくなります。また、見込み顧客が多く、R / F/ Mの各データが少なかったり、正しく収集/蓄積できていないケースも正しい分析結果を導き出すのは困難です。

そのため一般的に、RFM分析が向いているのは、会員登録が必須である、実店舗やECサイトなどのビジネスです。

[参考記事]RFM分析とは?顧客をグループ分けしてLTV最大化を!

2-2. デシル分析

デシル分析とは、売上に対する貢献度で顧客をグループ分けする方法です。デシル分析を用いることで、売上に貢献している優良顧客層を見つけ出すことができます。例えば、一定の期間における購入金額に応じて、顧客を10のグループに分けます。なお、デシル分析の「デシル」はラテン語の10という意味に由来しますが、自社の顧客規模に合わせて分割数を変えることも少なくありません。

デシル分析のメリットは、売上データを元にするため、どの企業でも容易に分析できる点です。また分類の計算式もシンプルですので、ツールを導入しなくても表計算ソフトなどで顧客分析できる点も分析が容易であるといえます。

一方、デシル分析はシンプルである分、詳しい顧客分析はできません。例えば、総購入金額は同じだが、1年前に1回限りの高額購入をした顧客と、購入額は少ないが定期的に購入してくれる顧客が同じグループになる場合があります。したがって、デシル分析は詳しい顧客データを収集できない業態の場合や、簡易的な方法で顧客分析をしたい場合に向く手法です。

2-3. CTB分析

CTB分析とは、顧客の購買行動をカテゴリー(Category)、好み(Taste)、ブランド(Brand)の3要素で分類する方法です。CTB分析を用いることで、顧客の購買から好みをパターン化し、適切な販売戦略を取ることができます。

分類方法は、例えば家具店なら、Cはベッドや机、服屋ならトレーナーやワンピースなどになるでしょう。Tは形、色、デザインなどで分類します。Bはブランド、メーカーのほか、アニメのキャラクターなどが用いられます。

一般的にCTB分析ではPOSで収集できるデータよりも細かいデータで顧客分析するのが特徴です。例えば、ファッション関連であれば、人の感覚でしか分類できないデザインのテイストなども含めて分類します。こうした詳細な顧客分析によって、例えばECサイトにおいてパーソナライズしたレコメンド情報の表示や、売れ筋商品の表示などができるようになります。また、季節的なサイクルがある商品では、顧客の購入数予測により、在庫管理や仕入れに反映することも可能です。

一方で、CTB分析が有効なのは、ある程度商品にバリエーションがあり、かつアプローチをパーソナライズしたほうが効果を上げやすいビジネスに限られます。実際、CTB分析が用いられるのは、アパレル関連や生活雑貨の店舗などのように、商品数が多く、顧客の好みが分かれやすいビジネスが中心です。

2-4. セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、既存顧客を類似性の高いグループ、つまりセグメントに分割する方法です。セグメンテーション分析を用いることで、自社に最も適した市場セグメントにフォーカスして、最も効果的な施策を打つことができます。

例えば、放送業界が20~34歳までの女性を「F1層」などと分類するのも、セグメンテーション分析のひとつと考えられます。このように、ほとんどの企業では、入手した顧客情報を元に、何らかの形でセグメンテーションを実施していることでしょう。セグメンテーション分析は、主に既存顧客を対象とするため、確度の高い分析をしやすいことがメリットです。

一方、潜在的なニーズを分析する場合や、新規顧客を獲得したい場合には、セグメンテーション分析は不向きです。

2-5. トレンド分析

行動トレンド分析とは、過去の購買行動の集計データから、何らかのサイクルやパターンを見つけ出すための方法です。行動トレンド分析を用いることで、購入タイミングなどの分析から、顧客ニーズやタイミングに合わせた販売戦略が可能となります。さらには、売れない商品の把握も可能なため、仕入れのコスト削減にも役立ちます。例えば、暖房機器を対象に行動トレンド分析すれば、秋から冬にかけて売り上げが伸びていく傾向にあるでしょう。

実際の顧客分析では、先に紹介したCTB分析やセグメンテーション分析でグループ分けした顧客グループ単位で、行動トレンド分析するなどで精度を高めます。また、コンビニエンスストアなどの顧客データを集めにくい場合は、時間帯別で行動トレンド分析するなど、期間を細かくする手法を採ることも少なくありません。行動トレンド分析を実施すれば、売れるものと売れないものを選別できるようになると同時に、時期によって変化する顧客層を理解することにも役立つでしょう。

一方、明確な行動サイクルがない場合には、行動トレンド分析は向きません。いわゆる季節物を扱う場合や、繁忙期と閑散期がはっきりしているサービスを提供するなどの場合に、行動トレンド分析が適した場面を選びましょう。 

 

3. 顧客分析はなぜ必要?

顧客分析はマーケティング全体のプロセスを設計する上で必要な分析です。顧客を正しく理解するための現状分析の手法として顧客分析は欠かせません。現状分析を正しく行うことで初めて、顧客ニーズに合ったサービスの提供や、顧客の意見を取り入れた商品開発などが可能になり、マーケティングも効率化できます。その結果が業績や品質、顧客満足度、既存顧客の向上などに現れ、さらなる改善にも生かせます。

ただし、同時に顧客分析はあくまで分析でしかないということも忘れてはいけません。分析結果を元に広告内容を修正したり成果につなげるためのキャンペーンを立案したりするのは別の仕事です。このため、顧客分析とは、客観的で正確なデータ、サンプルを収集して、活用しやすい形に整理、加工するために必要な施策と考えられます。

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4. 顧客分析で陥りがちな注意点

顧客分析を実施する初期段階でありがちな失敗の大きな原因は、目的を明確にしていないことです。例えば、新規顧客獲得が目的か、既存顧客の満足度向上が目的かによって調査対象や収集するデータの項目は変わります。闇雲にデータを収集して分析しても、有意義な示唆が得られるわけではありません。

また、データ収集のプロセスで陥りがちな失敗は、顧客や自社スタッフの負担を考慮していないことです。データを多く集めたいからといって、例えばアンケート項目を増やせば、顧客がストレスに感じたり、接客スタッフの工数負担が増加したりしてしまうでしょう。

その他にも、顧客分析結果を活用する際には、適用できる範囲に注意が必要です。例えば、特定の顧客層に効果が出たからといって、同じDMを全顧客に配信してしまうというのはよくある失敗です。購買行動に合わせて顧客が求める情報を送らなければ不快感を持たれるため、常に顧客目線を忘れずに顧客分析の結果を活用する必要があります。

5. 顧客分析をよりよくするには?

顧客分析の精度を高めるには、関係各所の意見をまとめることと、自社以外のデータも活用することが重要です。

5-1. 事前に何を知るべきかを関係各所とすり合わせておく

顧客分析をする目的を明確にするために、事前に把握したい傾向やパターンなどを関係各所とすり合わせておきましょう。顧客分析は分析自体が目的ではなく、その結果を活用してこそ意味があるため、営業部や商品開発部、広告運用担当者などが利用しやすいかどうかが重要です。また、データを共有するために、ICT環境の整備やマーケティングツールを用いた一元的なデータ管理なども重要です。

5-2. 自社顧客以外のデータも収集する

自社の顧客情報以外にも、2次データ、3次データを活用することもおすすめです。2次データとは官公庁や調査機関、他社がオープンソースとして公表しているデータです。具体的な詳細データは入手しにくいですが、人口や市場規模などのように活用可能なデータもあるでしょう。3次データは主にリサーチ会社が収集したデータや、分析/加工したデータ、リポートなどです。通常、有料で購入しなければなりませんが、有益な情報を得られます。

6. まとめ ~ツールを活用する~

顧客分析は顧客ニーズを深く理解するために欠かせない分析です。顧客分析を適切に行うことで、効果的な顧客アプローチが可能になったり、顧客ニーズを捉えた商品開発をすることが可能になります。

一方で、顧客分析を行うには、手動でできることに限界があるため、ITツールやマーケティングツールを使ったデータ収集や分析も検討しましょう。特にオンラインで収集するデータは膨大になりがちなので、効率的な分析環境を整えることが不可欠です。

BIツールの概要から、各社ツールの比較、選定ポイントまでさらに詳しく知りたい方は、下記資料にてご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

[参考記事]
デシル分析とは?活用におけるメリット・デメリットや他の分析方法との違いをご紹介

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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