EC化率とは、電話・FAX・メール・EC・対面等も含めた全ての商取引金額に対するEC市場規模の割合を指します。近年、国内外ともにEC化率が占める割合は増加しており、EC化率を知ることで、各業界ごとの特色やオンラインショッピングに対する需要などを把握できます。

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1. EC化率とは?

EC化率の意味は、店舗販売、対面販売、電話やEC全てを含めた商取引に対し、EC市場が占める割合です。近年、コロナ禍も相まってEC市場の拡大とともに、EC化率も増加しています。

1-1. EC化率の求め方とは

EC化率は
「EC化率 = (ECの総額 ÷ 全商取引の総額)
という式によって求められ、この解が高ければECの活用が進んでいる、低ければ実店舗が主に利用されているといったことが明らかになり、市場の実態や傾向が把握することが可能です。

2. 国内EC化率

ここでは、経済産業省の市場調査をもとに、日本国内のEC化率の現状について解説します。

2-1. BtoBのEC化率

2021年のBtoB-EC市場規模とEC化率は市場規模が372兆7,073億円で、前年より11.3%増加し、EC化率は35.6%で、前年より2.1%増加しました。この背景には、BtoBに特化したASPサービスや、ECシステムが浸透してきたりしていることが挙げられます。また、EDI(Electronic Data Interchange)と呼ばれる、企業間の発注書、納品書、請求書などの書類を電子化する受発注システムが含まれていることも理由の一つです。

BtoBのEC市場規模を業種別に見ると、2020年における業種別のEC化率が最も高いのが「輸送用機械」で70.7%、最も低いのが「建設・不動産業」で13.1%です。

2-2. BtoCのEC化率

2021年のBtoC-EC市場規模とEC化率は市場規模が20兆6,950億円で、EC化率は前年より7%増加し、8.78%です。BtoB-EC市場と比較すると低い数値と言え、さらに、世界のBtoC-EC市場は推計19.6%であり、オンラインの購入やデジタルコンテンツの増加が一般化する中でも、日本のBtoC-EC市場は遅れていると言えます。

BtoC-EC市場規模を業種別に見ると、業種ごとにばらつきがあり、書籍、映像、音楽ソフトはEC化率が4割を占め、食品類はおよそ3%となっております。

2-3. 分野別のEC化率:物販系

物販市場における2021年のEC化率は8.66%となりました。特に2021年においてEC化率が高いものは、下記の通りです。
・「書籍、映像・音楽ソフト」:42.97%
・「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」:37.45%
・「生活雑貨、家具、インテリア」:28.25%

EC化率が高くなる背景として、「書籍、映像、音楽ソフト」「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」は、型番や製品名で購入すること多く、どこで買っても品質が変わらない、価格の比較をしやすいからであることが挙げられます。さらに、Amazon・楽天・Yahoo!などのECモール、ヨドバシカメラ・ビックカメラなどの大手小売りが、以前からサービス強化を進めており、利便性が追及された分野であることも要因と言えます。

また、伸長率では、対前年比8.61%で、伸長の大きかった分類は下記のとおりです。
・「食品、飲料、酒類」:14.1%
・「化粧品、医薬品」:9.82%
・「衣類、服装雑貨等」: 9.35%

一番の伸長率であった「食品、飲料、酒類」業界では、スーパーやコンビニなどの実店舗において時間や場所の制約もなく利便性が高かったため、コロナ禍以前はEC化率が伸びづらい業界でした。しかし、コロナ禍で外出自粛などにより、実店舗に来店しなくても購入できるオンラインサービスを利用する消費者が増えたことでEC化が促進されたと考えられます。
「化粧品、医薬品」業界でも「食品、飲料、酒類」業界と同様、実際に試したり、実際の接客を求める顧客が多く、オフラインでの購入ニーズが高い業界でしたが、コロナ禍によって、実店舗のサービスが受けられなくなったことや百貨店の減少などにより、EC化率が増加しました。
「衣類、服装雑貨等」(アパレル)業界も同様で、従来は実店舗を利用していた人々が、自宅でいつでも買い物ができるEC利用に移行したことによる伸長だと言えるでしょう。

実際にEC化率を増加させ、売上を向上させた事例を下記資料にてご紹介しておりますので、是非合わせてご一読ください。

2-4. 分野別のEC化率:サービス系

  • サービス系分野には、旅行サービスや飲食サービス等が含まれ、EC化率は前年と比較し、1.29%増加しています。しかし、コロナ禍による外出自粛が推進されたことから、2020年にて旅行サービスや飲食サービス、チケット販売などの市場規模が大きく縮小しており、まだ2019年以前の水準には戻っていません。パンデミック収束後、経済活動と消費者行動が活性化すれば、サービス系分野のEC市場は急速に回復すると見込まれています。

2-5. 分野別のEC化率:デジタル

デジタル系分野では、前年と比較し、12.38%増加しています。主に拡大したのは、「電子出版」「有料動画配信」であり物販系分野と同様、コロナ禍での外出を控える消費者が増えたことから需要が増加したと考えられるでしょう。しかし、コロナ禍によって需要が増えたものの、デジタル系分野に多く含まれる電子出版や動画配信、オンラインゲームなどのコンテンツサービスは、ヒット作品が生まれたかどうかによって市場規模が変動しやすく、予測が難しい分野です

2-7. EC化による国内CtoCの拡大

メルカリやYahoo!オークションなどに代表される、CtoC-EC市場が急速に拡大しています。拡大した背景としては、CMやSNSなどによって認知が拡大した点や、スマートフォンの普及により手軽に出品できるようになった点が挙げられます。一方、CtoC-EC市場は新たな市場であり、法整備がされていないため、現金や入金済みICカードが出品されるなどの不当な行為が多く起きている現状です

<出典> 経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html

3. 業種別EC化率

ここでは、経済産業省の市場調査を参考にEC化率の高い業種、低い業種について紹介します。業種別EC化率を知ることで、EC化への戦略や優先度を決め、効率的に成果を出すことが可能です。

3-1. EC化率の高い業種

日本国内においてEC化率が高い業種は以下の通りです。業種ごとに市場規模、EC化率が算出されています。

1.「事務用品、文房具」 2,264億円 41.75%
2.「書籍・映像・音楽ソフト」 1兆3,015億円 34.18%
3.「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」 1兆8,239億円 32.75%

3つの業種に共通している特徴が、商品名や型番、品番で注文ができ、商品の品質に差がなく一定であるためECとの相性が良いという点が挙げられます。また、「事務用品・文房具」「書籍・映像・音楽ソフト」は価格も安価であり、ECサイトから購入する心理的障壁が低いです。「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」は「事務用品・文房具」「書籍・映像・音楽ソフト」と比べると価格は高額とであるものの、国内メーカーの信頼性が高いことから消費者に受け入れられたことが理由であると考えられます。また、外出自粛やテレワークの広がりで自宅にPCや周辺機器などの需要が高まったことも背景の一つです。

3-2. EC化率の低い業種

日本国内においてEC化率が低い業種は以下の通りです。業種ごとに市場規模、EC化率が算出されています。

1.「自動車・自動2輪車・パーツ等」 2,396億円 2.88%
2.「食品・飲料・酒類」 1兆8,233億円 2.89%
3.「化粧品・医薬品」 6,611億円 6.00%

EC化率が低い業種は市場規模は巨大ですが、EC化率はわずか数%と非常に低いことが実状です。

EC化率が1番低い業種である「自動車・自動2輪・パーツ等」については、高価な商品であることから購入する心理的障壁が高いと言えます。また、現物を確認したり、試乗を求める顧客が多いことから、EC化と相性が良くない業種です。「食品・飲料・酒類」においては、生鮮食品など品質が同一ではない商品のため、現物を比較して購入したいという意見が多いこと理由が挙げられます。「化粧品・医薬品」では、前述した2つの業種に比べEC化しやすい商品ではあるものの、全国に点在するドラッグストアで安価に購入できるため、ECを利用すると逆に送料などが高くついてしまうことがあり、ECで購入するメリットがないと言えます。また、化粧品については店頭で店員からのサービスを受けながら実際に試したいという意見も多いです。

<出典> 経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html

4. 世界のEC化率と市場規模

日本のBtoC市場のEC化率は8.78%に対して、世界のEC化率は19.6%であり、日本のEC化率は世界の水準より低いといえます。ここでは、日本のEC化率が世界のEC化率と比較し低い原因を考察します。

4-1. EC市場規模世界ランキング

2020年における上位5位の国別BtoC-EC市場規模、EC市場シェア率は以下の通りです。

1. 中国 2兆2,970億ドル 52.1%
2. 米国 7,945億ドル 19.0%

3. 英国 1,804億ドル 4.8%
4. 日本 1,413億ドル 3.0%
5. 韓国 1.106億ドル 2.5%

1位の中国が2兆2,970億ドルと圧倒的な市場規模となっており、上位2か国である中国・米国だけで全世界の71.1%のシェアとなっていることがわかります

4-2. アメリカ

アメリカのBtoC-EC市場は2020年で7,879億ドル、世界でのEC市場シェア率は19%であり、EC化率は14.0%です。

アメリカの小売業界ではAmazonが有名ですが、Amazonだけでなくそれぞれのジャンルで高いシェア率のECサイトがあり、大手小売で世界一のWalmartやTargetなどのチェーン店もECを展開しています。この背景には、製造者が直接顧客と取引をするDtoCなどの新興勢力が続々と参入し、消費者の支持を得ていることや消費者がネット通販へシフトしていることなどが挙げられます。さらに、新型コロナウイルスの流行によって、小売店や百貨店が経営破綻に追い込まれたこともあり、今後もEC化勢いは増すでしょう。

4-3. 中国

中国のBtoC-EC市場は2020年において2兆2,970億ドル、世界でのEC市場シェア率は52.1%であり、EC化率は44.0%です。

2位のアメリカと圧倒的な差があり、世界のEC市場を牽引しているのは間違いなく中国と言えます。理由として挙げられるのは、中国には10億人ほどのインターネット人口が存在する点です
中国の課題には、大きく割合を占めている日常消費財の利益率の低さや、物流業者の配送の品質が高くないことが挙げられます。しかし中国のEC大手の「アリババ」と「京東」は、フルフィルメントセンターのネットワークを構築し、この点の改善に取り組んでおり、日常消費財をECで購入するユーザーも増えていることでしょう。

EC化が拡大し続けている中国ですが、中国当局による、アリババやテンセントなどのプラットフォーマーに対する規制の強化が進んでいます。その理由は、プラットフォーマーによる独占的行為があり、市場の競争が阻害されたためです。

4-4. 英国

イギリスのBtoC-EC市場は2020年において1,804億ドル、世界でのEC市場シェア率は4.8%です。

イギリスのEC市場規模は人口(約6700万人)の割には大きく、人口が1億2,600万人である日本を抜いて世界で3位に位置します。その理由は、ECサイトの利用率が高いためです。51%のイギリス人ユーザーが店舗より、オンラインでの買い物を利用しており、中でも頻繁にオンラインで買い物をする25歳~34歳のグループでは、平均で月8回の買い物をしているようです。また、公用語が英語であることから、他国からの越境ECでの購入や、イギリス人による他国サイトでの購入も活発であることも、EC市場規模が大きい理由の一つと言えます。

イギリスのEC化率の課題は、物流業者の配送の品質が高くないことと言えますが、Amazonなどのネット事業者が物流体制の整備を進めています。この課題がEC事業者により整備されることで、イギリスのEC市場は更に拡大するでしょう。

<出典> 経済産業省「令和2年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能であり、また MA、BI、web接客といった機能を網羅的に搭載しているため、ECにおけるデータマーケティングの施策や分析の実現に最適なツールとなっています。

5. EC業界の今後の展望

ここでは、今後のEC業界で必要とされる戦略・施策についてご紹介します。

5-1. SNSの活用

SNSは情報の発信者も受信者も手軽に利用でき、情報拡散性に優れているため、SNSの活用によってECサイトの情報を効率的に発信することが可能です。また、SNSでは公式アカウントの発信だけでなく、ユーザーからの意見や商品を使用したレビューなどの投稿もあり、双方向コミュニケーションができます。これらの特徴から、SNSの活用により、ECサイトへの動線や双方向コミュニケーションに活用することで、ECサイトの売上拡大・リピート獲得・満足度向上が可能です。競合企業との差別化に繋げるためにも、SNSの発信力や双方向のあるコミュニケーションをECサイト運営に活かすべきだと言えます。

更に、EC業界では、顧客利便性や顧客満足度を高めるために実店舗やECサイト、SNSなど複数のチャネルを活用するマルチチャネル・オムニチャネルを実践することがトレンドです。複数のチャネルを運営する中にも、情報拡散性に優れているSNSは代表的なチャネルの一つです。

5-2. 越境EC

国境をまたいだECである越境ECは、言語・法律・配送などさまざまな障壁がありました。しかし、近年では仕組みが整いつつあり、拡大している分野であり、更に、新型コロナウイルスの感染拡大で海外渡航が制限された影響から、海外から日本の商品・サービスを購入したいという需要が高まっています

越境ECは競合がまだ少なく、海外に拠点を構えずに市場を拡大できるため、いち早く参入できれば競争が激化するEC業界において優位性を発揮するチャンスです。

5-3. 業務全般のEC化

ECとはネット通販やネットショッピングなどECサイト上で商品を販売するだけに留まらず、受発注や顧客対応、決済、契約など、インターネット上で交わされる商取引のことすべてを指します。競争の激化するEC業界において、業務全般のデジタル化を推進して効率性を高めることは、顧客利便性や顧客満足度の向上に貢献する戦略にひとつです

成果につながる業務全般のEC化をとげた企業は世界でもわずか5%と言われており、デジタルマーケティングを含む業務全般のEC化を効果的、有用的に実現できれば、withコロナ時代のEC事業者として大きなアドバンテージとなると言えます。

他にもEC業界において必要とされる戦略や施策を下記資料にてご紹介しておりますので、是非合わせてご一読ください。

6. まとめ

現代では、多くの企業がEC化率を進めており、あらゆる分野で競争が激化しています。更に2020年以降、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる影響を受け、EC市場は年々増加傾向にあり、さらなる成長が期待できます。

拡大するEC市場で勝ち上がっていくためには、リアルとデジタルの両立をしつつ、消費者の期待に応えるサービスをいかに提供していくかが重要だといえるでしょう。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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