顧客ニーズの多様化や、顧客に関するデータ量の増加に伴って、顧客のデータを活用し、一人ひとりに最適なアプローチをしたいというニーズが高まっています。このような背景のもと、データマーケティングツールの導入を考えている企業も少なくありません。しかし、いざ導入するとなると、種類が多くどのようなツールを選べばいいか迷ってしまうものです。データマーケティングツールは、自社の課題に応じたものを選ぶことでより効果が期待できます。本記事では、マーケティングツールの選び方やおすすめのツールについて紹介します。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データマーケティングを行う上で必要となるMAやCRM、BIといった機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。

 

1. マーケティングツールとは?

マーケティングツールは、一言で言うと市場調査や商品開発、宣伝、分析、効果測定などのデータを活用したマーケティング活動を支援するソフトウェアです。マーケティングツールを活用することで、工数の削減や、売上の向上等の効果を期待することができます。

1-1. マーケティングツールが注目されている理由

データマーケティングツールが注目されるようになった背景は大きく2つあります。

ひとつは消費者行動の変化に伴って、企業のマーケティング活動も変化したことです。インターネットがない時代は、実店舗やテレビCM、折込広告、口コミなどが消費者と企業との接点でした。そのため、マスマーケティングといって消費者全体に向けて、一方的かつ画一的にサービスや商品をアプローチする手法をとっていました。しかし、スマートフォンやタブレットなどによって手軽にインターネットにアクセスできるようになったことで、消費者は自ら情報を入手できるようになりました。そのため、消費者の多様なニーズに応えるべく、One to Oneマーケティングのニーズが高まり、データを活用したマーケティングツールが注目されるようになりました。

もうひとつの背景は、既存顧客との関係性が注目されるようになったことです。「新規顧客の開拓」と「既存顧客の維持」とを比較すると、「新規顧客の開拓」の方が約5倍ものコストが必要といわれています。そのため、多くの企業が既存顧客との関係性を良好に築き、収益を向上することに力を入れるようになったのです。そのためのツールとして、データマーケティングツールが注目されています。 

2. マーケティングツールの種類と基本機能

マーケティングツールは目的に応じてさまざまな種類のものが存在しています。ここではその一例と、それぞれが保有する基本機能を紹介していきます。自社の課題に応じて使い分けるとよいでしょう。

2-1. MA(マーケティングオートメーション)

データマーケティングツールは目的に応じてさまざまな種類のものが存在しています。本記事ではその一例を紹介していきます。自社の課題に応じて使い分けるとよいでしょう。

顧客情報の収集や蓄積、見込み顧客の育成、販売促進活動やその結果の分析、といった企業におけるマーケティング活動を自動化するツールが「MA(マーケティングオートメーション)」です。BtoB向けのツールとBtoC向けのツールが存在します。様々な機能を保有しているので、マーケティングの中枢になるケースも少なくありません。ただし、自動化といっても任せておけば勝手に顧客が増えるというわけではなく、あくまでも担当者の業務を効率化して仕組化するサポートをするためのツールです。セグメント毎のシナリオ配信や、スコアリングをすることによって、営業/マーケティング活動の生産性向上および、売上の向上に寄与することが可能です。

次に機能について、BtoB向けのものとBtoC向けのものとでそれぞれご紹介します。

● BtoB向けMA

BtoB事業におけるMAは主に「新規顧客の獲得」を目的としており、潜在顧客や見込み顧客に効率的にアプローチするために活用されます。具体的には、webサイトのようなオンラインチャネルや、展示会やイベントといったオフラインチャネルで獲得した潜在顧客に対して、顧客の属性情報や企業の所属業界等の情報に応じて、商品紹介パンフレットやホワイトペーパーといった案内物を出し分ける、といった活用をします。

そのため、BtoB事業用のMAツールでは、リード管理機能、スコアリング機能、メール配信機能といった機能を有していることが多くあります。

◇ リード管理機能
リード管理機能は自社サイトやセミナーなどのさまざまなマーケティング活動を通じて得た、リードと呼ばれる見込み顧客の情報を一元管理できる機能です。氏名やメールアドレス、年齢などの情報から顧客属性を分けて管理することもでき、この機能を活用することで、見込み顧客の属性や行動に合わせて商品の案内を送ったりすることができ、見込み顧客の購買意欲を促進することができます。

◇ スコアリング機能
スコアリング機能は自社サイトを閲覧したら3点、そこからさらに資料請求まで至ったら+10点といったように、見込み顧客の行動に応じてスコアをつける機能のことを指します。一定以上のスコアに至った見込み顧客は自社への関心が高いと判断され、営業担当者に引き渡す、といったオペレーションを行うことで、営業活動を効率化し顧客獲得の効率性を高めることが可能になります。

◇ メール配信機能
メール配信機能では、顧客の属性情報や行動情報に基づいてセグメントしたグループに応じて、適切な内容、適切なタイミングでメールを配信する機能を指します。メールを配信するだけではなく、メールの開封率やクリック率などの配信成果の数字を検証できるツールも多くあります。

● BtoC向けMA

BtoC事業におけるMAは、CCCM(Cross Channel Campaign Management)とも呼ばれ、主に「既存顧客の育成」を目的としており、メールやLINE、SMSといった複数の販売促進チャネルを組み合わせて、顧客にアプローチすることを指します。具体的には、例えば、ECサイトを運営する企業であれば、商品を初めて購入した顧客に対して2回目の購入を促すために、購入後1週間後にクーポンメールを配信し、そのメールを開封しない顧客にはLINEで再度クーポンメールを配信する、といった活用方法があります。

BtoC事業におけるMAツールは、「メール」「LINE」「SMS」といった顧客にアプローチするチャネルに関する機能や、複数のチャネルを組み合わせるシナリオの機能などが存在します。

◇ メール配信機能
BtoB事業におけるメール配信機能と同じく、属性情報や行動情報に基づき顧客をセグメント化し、セグメントごとに適切なコンテンツを適切なタイミングでメールで配信する機能です。

◇ LINE配信機能
企業が保持しているLINE公式アカウントと友だちになっているアカウントに対して、販売促進のメッセージをLINE配信する機能です。

◇ SMS配信機能
SMS(Short Message Service)とは、顧客の携帯電話の番号を用いることで、携帯端末に短文の販売促進メッセージを配信する機能を指します。

◇ シナリオ機能
メール、LINE、SMSやPush通知など、顧客にアプローチするチャネルを組み合わせる機能です。この機能を活用することで、メールで販売促進メッセージを送ったが、そのメールを開封しなかった顧客に対してLINEで追客する、といった機能が利用できるようになります。

MAの保有する機能についてより詳しく知りたい方は、下記資料にてコストの観点と合わせてご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

[参考資料]
マーケティングオートメーション(MA)とは?
無料MA(マーケティングオートメーション)ツールおすすめ10選!
【2022年最新比較】おすすめMAツール10選+選び方
【厳選8事例】マーケティングオートメーション(MA) 導入の成功/失敗事例まとめ!効果は?

2-2. CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)

顧客管理システムとも呼ばれるのは「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」です。BtoBでもBtoCでも導入/活用されています。顧客の名前や連絡先、商談や取引の進捗状況、過去の購買履歴、サイトの行動履歴、メールの開封履歴などを把握/管理することで、顧客との長期的な関係性の構築が期待できます。蓄積されたデータを分析し、施策に活かすことで、顧客一人ひとりに最適なアプローチが可能になり、顧客満足度の向上や、売上の向上に繋げる事が可能です。

CRMの基本機能で顧客対応の効率化に役立つのが、顧客管理機能です。BtoB企業、BtoC企業問わず、顧客の氏名や社名、担当部署、住所、担当者名、メールアドレス、電話番号などの情報はこれまでExcel等で管理されていることが一般的でした。しかし、CRMツールを使えば、それらでのデータをシステム上で管理することができ、簡単に施策や分析に活かすことが出来ます。また、属性情報だけでなく、過去の受注/購買履歴や、サイト上での行動履歴など、様々なデータも紐付けて管理することが可能です。

[参考資料]
【2022年注目】CRMツール10選!
MAで必須のCRM成功条件とは

2-3. SFA(セールスフォースオートメーション)

SFA(セールスフォースオートメーション)」は、営業支援ツールと呼ばれるもので、営業部門の活動を支援するために開発されました。そのため、BtoB企業で主に利用されます。取引先担当者の基本情報、商談の進捗、過去の接点などを数値や文章でデータ化し記録することができます。データはチームメンバーで共有し、外出先から入力や確認が可能です。

次に機能についてですが、SFAツールの基本機能は主に4つあります。

◇ 顧客管理
1つ目の機能は、顧客管理です。会社名や電話番号、所在地、役職といった基本的な情報に加え、顧客との接客履歴などの情報まで蓄積/管理することができますツールによっては、名刺の自動取り込みも可能なので、効率よく正確な情報を管理するのに適しています。また、営業担当が変更する際の引継ぎに関しても、SFA上に過去のデータが蓄積されているので、スムーズに引き継ぎをすることが可能です。

◇ 案件管理
2つ目の機能は案件管理です。営業先の企業名や担当名、案件の進捗情報、提案商品や提案サービス、受注見込み、受注見込み金額などの案件情報を適切に管理できる機能です。SFAを活用することで、誰がどの企業/担当者に対してどんな金額で提案し、今どのようなステータスなのかを営業マネージャーなどがひと目で確認することができます。その結果、適切な指示出しが可能になります。さらに、営業会議等でもスムーズに案件情報を報告/共有できるようになります。

◇ 営業担当の行動管理
3つ目の機能は、営業担当の行動管理です。営業マネージャーは、テレアポのコール数やアポイント数、訪問数、受注数、受注金額など、営業担当一人ひとりの行動と成果を数値化することで、営業担当同士を定量的に比較することが可能です。その結果、効果的な営業方法を見つけたり個人の目標設定の手助けになったりといった効果が期待できます。部署全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

◇ 売り上げ予測及び予実管理
4つ目の機能は、売り上げ予測及び予実管理です。営業担当や部署ごとの売り上だけでなく、商品やサービス、顧客ごとなどあらゆる視点から売り上げを予測したり、目標と実績を比べながら進捗の管理ができます。

2-4. ABM(アカウントベースドマーケティング)

SFAが担当者レベルでのデータの管理をするのに対し、「ABM(アカウントベースドマーケティング)」は企業アカウントに焦点を絞っているのが特徴です。特定の企業をターゲットとし、集中的にアプローチをするために活用されますそのため、BtoB企業で主に利用されます。大口顧客となり得る企業をリストアップし、トップ営業や手紙を書く等して攻略をするために活用されます。

ABMツールは、見込み顧客の情報収集や管理などが基本機能です。ツール内に企業一覧が登録されているので、セグメントを切って自社のターゲットとなる企業をピックアップし、アプローチ状況を管理することが可能です。ABMツールを使ってよりよい効果を求めるのであれば、MAやSFA、CRMと組み合わせることでより高い効果を発揮することが可能です。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データマーケティングを行う上で必要となるMAやCRM、BIといった機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。

3. マーケティングの基本プロセスとは

優れたマーケティングを実施するには、一貫した戦略のもとマーケティングの施策立案から実行までを行う必要があります。これをマーケティングの基本プロセスと言い、以下の6つに分けられます。

3-1. ターゲティング

ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化された市場の中で、ターゲットを絞り込んでマーケティング戦略を立てることをいいます。

現代はモノや情報で溢れ、さらには嗜好や価値観も多様化しています。そのため、たとえ優秀な製品やサービスでも、必ずしも売れるとは限らないのが現状です。そのような状況下で、製品やサービスを求める人に向けて情報を届けるには「顧客のニーズを汲み取った戦略」が不可欠です。顧客となり得る層が何を求めているかを理解し、勝負する市場をきちんと選ぶことで、ビジネス戦略を明確にして成功に導くことができます

[参考資料]
セグメンテーションはなぜ必要?進め方と違い

3-2. リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、自社のビジネスの見込み顧客(リード)を獲得するための取り組みのことで、営業活動を行う上で重要な施策の1つです。不特定多数ではなく、自社の製品・サービスに関心を示す個人や企業の個人情報を獲得することを指します。

具体的には、見込み顧客(リード)にアプローチするために必要な情報(名前や連絡先など)の取得が中心となります。いかに質の良い顧客を多く獲得するかが重要なポイントです。

3-3. リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客(リード)の購入意欲を高め、将来的な受注へと育成していく取り組みのことです。

ここでいう見込み顧客とは、自社の製品やサービスに興味を持っており、将来的に購入の可能性がある顧客です。ちなみに、ナーチャリング(育成)は、見込み顧客だけでなく取引実績がある既存顧客に対しても行われます。

3-4. インサイドセールスとフィールドセールス

インサイドセールスとは、顧客先に足を運ぶことなく、電話やメールなどの非対面によるコミュニケーションでアプローチをかけていく営業活動やその部門・役割を指します。社内に留まり営業活動を実施していくことから、内勤営業とも呼ばれています。

インサイドセールスの役割は、マーケティング部門と営業部門の中間に位置しており、マーケティングが獲得した見込み顧客(リード)の育成を担当していくことになるのです。インサイドセールスがクロージングまで担当するケースもありますが、基本的には購買意欲が一定まで高まった時点でフィールドセールスに引き継ぐことになります。

フィールドセールスとは、オフィスの外部で実際に顧客先へと足を運んで行う営業活動やその部門・役割を指します。外勤型営業とも呼ばれ、日本における営業職の大半がフィールドセールスに従事していると言えるでしょう。

3-5. 顧客との関係を構築

インサイドセールスの継続的なアプローチで顧客との関係性を醸成していきます。インサイドセールスは、マーケティング部門とフィールドセールス部門との密接な連携が営業効率を高める重要なポイントです。したがって、顧客とのやり取りの履歴を細かく蓄積して、戦略的にアプローチしていくことが重要となります。

3-5. 分析と改善

各部門が一貫して多くのデータを蓄積していくことで、顧客ごとの傾向や趣味・嗜好なども分析できます。マーケティング施策に役立てたり、顧客ごとに提案内容を変えたりするなど、分析結果を多様に活用できるため成果につながりやすくなるでしょう。

特に、顧客が抱えている課題やサービスを契約する上で懸念となっている点などは、できるだけ具体的に共有することが大切です。これらの情報を連携することで、各部門が一貫した顧客対応を行えるため長期間にわたる質の高いリードナーチャリングが実現します。
また、フィールドセールスへ移行する前に失注した顧客に関しても定期的に傾向を分析し各部門へ共有することで、マーケティング施策でのターゲティング設定の改善などにも繋げられるでしょう。

4. マーケティングツール導入のメリット

導入するツールにもよりますが、マーケティングツールを導入することで、様々なメリットを得ることが出来ます。

4-1. 業務効率化/生産性向上

データの管理やメールの配信など、これまで手動で行っていた作業を自動化することができるため、業務の効率化や生産性を向上させることが可能です

4-2. コスト削減

データを管理したり、セグメントを細かく切ってメールを配信したりするためには、人材の確保が欠かせません。しかし、ツールをうまく活用すれば、人件費よりもリーズナブルなコストで、データを活用したマーケティングができるようになりま

4-3. 売上向上

様々なデータが可視化されることにより、適切なタイミングで営業担当が顧客に連絡をすることができたり、データを活用することで、顧客一人ひとりに最適なアプローチをすることが可能になるため、売上の向上に繋げることができます。

5. マーケティングツール導入のデメリット

マーケティングツールを導入することで多くのメリットを得られる一方で、企業によっては課題やデメリットに感じられる点もあります。例えば、ツールが運用にのって成果が出始めるまで、イニシャルコストとともにランニングコストもある程度かかります。また、操作が難しく、担当者が使い慣れるまでの負担が大きいのも事実です。

メリットとデメリットを考慮した上で運用体制を整え、自社に適したツールを選ぶことが重要になります。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データマーケティングを行う上で必要となるMAやCRM、BIといった機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。

6. マーケティングツール選定のポイント

マーケティングツールを選定する際には、以下の3つのポイントに着目することが重要です。

6-1. 利用目的の明確化

まずは、利用目的をはっきりさせましょう。見込み客の獲得ならMAツール、営業活動ならSFAツール、満足度向上などの顧客対応やリピーター獲得ならCRM、特定の企業へのアプローチならABMツールが適しています。ステップごとに自社のマーケティングを見直すことで課題が明確になり、利用目的をはっきりさせることができます。

6-2. 解決したい課題の優先順位

次に、解決したい課題の優先順位をつけましょう。マーケティングツールにはそれぞれ強みがありますので、「必ず取り組みたいこと」、「できるだけ取り組みたいこと」のように整理しておくと、課題に対して効果を発揮できるツールの比較・検討がしやすくなります。

6-3. コスト・利用可能な人材の確認

次に、コスト・利用可能な人材を確認しましょう。高度な機能を持っているマーケティングツールには、相応の知識や技能をもった人的リソースが要求される場合があります。そのため、マーケティングツールの導入と同時に、組織内にマーケティングの知識やスキルを持ったリソースを確保しておくことが重要です。外部のコンサルタント等にアウトソーシングすることも可能ですが、コストを考えると組織内の人材で運用するほうがベターでしょう。

6-4. 連携機能の有無

次に、機能に着目しましょう。BtoB向け/BtoC向けはもちろんのこと、強化したいポイントや取り組みたい施策がはっきりしているのであれば、そのために必要な機能が全て含まれているかを確認します。例えば、メールだけでなく、LINEやアプリPush、SMSなどを活用し、クロスチャネルで顧客にアプローチをしたい場合は、シナリオ設定の細かさや、各チャネルでの配信機能の有無、他ツールとの連携可否などは確認しておくべきです。

6-5. サポート体制

次に、サポート体制を確認しましょう。適切なサポートを受けられないと、導入したマーケティングツールを使いこなせない恐れがあります。そのため、導入後も電話やメールで問い合わせに応じてもらえるか、またはサポートサイトが整備されているか確認しておくことが重要です。導入後のトラブルに対するサポートだけではなく、製品の導入や体制の整備、他ツールとの連携、戦略立案など包括的にサポートしてくれるものを選んでおくと安心です。

6-6. 使いやすさ

最後にチェックしておきたいのが、使いやすさです。マーケティング業務の効率化を目的にツールを導入したものの、使いづらく、かえって工数が増えてしまっては意味がありません。そのため、自社の業務オペレーションに応じたカスタマイズができたり、誰でも直感的に操作しやすいかという視点で選ぶことをおすすめします。特に、初めてツールを導入する企業であれば、なるべく丁寧なサポートがしてもらえるツールだと安心です。

7. おすすめのマーケティングツールと運用のポイント

ここでは、多くの企業が導入しているおすすめのマーケティングツールと、そのポイントを簡単に紹介します。

7-1. MA(マーケティングオートメーション)ツール

①Marketo Engage

Marketo Engageは、Adobeが提供するMAツールです。大企業からスタートアップまで全世界で5,000社以上の導入実績があります。業界/業種を問わず幅広く導入されているツールです。

リードの育成(ナーチャリング)が得意で、クロスチャネルのリードナーチャリングに対応しています。AIのサポートによって、顧客ごとにコミュニケーションを最適化できるのも特徴です。ホットリードを可視化して、最適なタイミングで営業と連携し、売り上げの向上につなげます。数多くの外部システムと連携できる拡張性の高さも魅力です。

➁SATORI

SATORIは、BOXIL SaaS AWARD 2021 Autumnのマーケティング部門1位やITreview 2022 WINTERのMA部門Leaderなどを獲得しているMAツールです。国産のMAツールの中では認知度が高く、1,000社以上の導入実績があります。

SATORIが得意としているのは、新規顧客の開拓です。ウェブサイト上でコンバージョンを促し、購買意欲が高まった見込み客だけを選んで、最適なタイミングで自動的にアプローチをかけます。リード客の一元管理は、オンラインでもオフラインでもでき、実名顧客だけでなく匿名顧客の管理も可能です。

③b→dash

b→dashは、SQLの知識がなくても簡単にデータを扱えるクラウドベースのデータマーケティングシステムです。国産のツールで、誰でも使いやすい操作性のよさと、機能の充実さを兼ね備えています。

「データパレット」という機能を使って、ノーコードで誰でも簡単にデータの取り込みや加工、統合、抽出、活用ができます。また、MA、BI、web接客、CDPなどのデータマーケティングに必要な機能がすべてそろったAll in Oneのシステムです。

ツール運用のポイントは以下3つです。
・導入の目的を明らかにすること。
・社内リソースを確保し、継続して運用できる体制を作ること。
・MAツールでどのような施策を実施できるのかを理解すること。

7-2. CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツール

①kintone

kintoneは、紙媒体や複数のツールに保存した顧客情報を簡単に一元管理できます。アップしたデータに書き込みやコメント入れができるので、1人の顧客に複数の担当者が付く場合などでもチーム連携が容易です。SNSさながらのメンション機能付きチャットは、添付ファイルに保存したデータも検索の対象になります。引継ぎが必要な場合に便利です。マルチデバイス対応で、日本語、英語、中国語にも対応しているため、海外拠点とのやり取りやリモートワークでも情報を共有できます。

➁HubSpot CRM

HubSpot CRMは、顧客管理画面から直接コミュニケーションをとれるCRMツールです。顧客の情報を管理するだけでなく、コンタクト管理ができる点もこのツールの特徴といえます。

コンタクトとは、顧客の担当者のことで、コンタクト管理は相手の企業ではだれが契約のキーマンになっているのかを把握するための機能です。無料で使えるコストパフォーマンスの高いツールで、世界120カ国、約8万社で導入されています。既存のツールとの連携もでき、GoogleドライブやDropboxのファイルをレコードに添付することも可能です。コストをできるだけ抑えてCRMツールを試してみたいという企業に向いています。

③Salesforce Sales Cloud

Salesforce Sales Cloud は、20年以上の歴史を持つ世界的に有名なCRMツールです。API連携できるツールが多いのが特徴で、SATORIやNP掛け払いなどとも連携できます。

多くの基幹システムやシステム開発用ツールと連携できるということは、長年にわたって顧客情報を蓄積してきた既存のシステムとも連携できる可能性が高いということです。部署ごとに異なるツールを使っている場合などでも、導入を検討しやすいといえるでしょう。トレーニング機能も充実しているので、初めてCRMツールを導入する場合や、CRMツールの運用ノウハウがない場合でも安心です

ツール運用のポイントは以下3つです。
・導入の目的を明らかにすること。
・慎重を期し、まずは1チームなど限られた人数から導入スタートすること。
・入力しやすいシステムでカスタマイズすること。

7-3. SFA(セールスフォースオートメーション)ツール

①eセールスマネージャー

e-セールスマネージャーは、上場企業から中小企業にいたるまで5,000社を超える企業に導入される実績を持つなど幅広い支持を得ており、かつ95%という定着率の高いSFAツールです。

1度の入力で必要な情報すべてを紐づく項目に自動反映することが可能で、入力の負荷がかからないだけでなく入力ミスも減らすことができます。導入から環境構築・運用後のサポートにいたるまできめ細やかなアフターフォローも充実しています。

➁Sales Force Assistant

Sales Force Assistantは、一日一枚の営業日報入力で、顧客管理、商談管理、案件管理、訪問計画管理まで網羅しているSFAツールです。

ゲーミフィケーションの要素を取り入れた専属の「AI秘書」をつけることで、営業社員の業務負荷の軽減と目標達成意欲を保持しつつ、システム運用の定着や活用度向上が図れます。日報画面が搭載されており、社員の商談や業務内容が集約されて一つの画面に表示されるため、管理が煩雑になることがありません。カスタマーシート、コンタクトマップなどの3つの分析機能により、顧客・パーソン間の人的つながりと営業活動を可視化することも可能です。

③Knowledge Suite

Knowledge Suiteは、オンライン商談ツールやアカウント一括管理ツールなどを提供しているSFAツールです。グループウェア、SFA/CRM、問い合わせ管理、集計・分析ツールなどがオールインワンになっています。

共有範囲や共有グループを指定して、組織、役職、グループなどによって情報を見せる・見せないを制御できる「動的可視化」機能が特徴です。定着具合に合わせて徐々に機能追加していくことも可能なため、利用ハードルを下げて早期の運用定着化を促進するといった使い方にも便利です。

ツール運用のポイントは以下3つです。
・従業員から「現場の課題」を集め、それを踏まえた運用ルールを作ること。
・導入効果を測定するために、KPIとKGIを設定し、それを定期的に測定すること。
・KPI/KGIやSFAで集計したデータに基づき、PDCAサイクルを回し続けること。

7-4. ABM(アカウントベースドマーケティング)ツール

①FORCAS

FORCUSは、保有している144万社以上の企業データベースを元に顧客分析を行い、受注傾向やポテンシャルを瞬時に把握できるABMツールです。

社内に有する顧客情報とFORCUSの企業情報を合わせ、名寄せエンジンで検索することにより、精度の高い顧客データ統合が期待できます。SFAやMAとAPI連携することで名寄せ・データエンリッチメントされた状態が持続され、リードへの対応順位付けなどに役立ちますす。

➁uSonar

uSonarはLBCという820万拠点、国内拠点網羅率99.7%の企業データを搭載したクラウド型の顧客データ統合ツールです。

顧客データベースと連携できるアプリ「ユー名刺」で撮影した名刺情報も瞬時に表示可能であり、少ない手間で優先度の高い企業を選定することができます。WEBサイト来訪企業や名刺情報、各部門ごとの顧客情報など独立していたデータを統合することで、社内各部門の密接な連携が可能です

③Datanyze

DatanyzeはAPIやCSV経由で社内システムとの統合が容易にできるABMツールです。

マシンラーニング技術も搭載した予測分析機能により、ICT企業に共通するテクノグラフィックデータや履歴などを分析し、リードの発掘を行います。また、重要企業のデータを毎日メールで知らせてくれるため、効率的に既存顧客解約リスクを防止できます

ツール運用のポイントは以下3つです。
・目標数値を設定し、達成するためにどのデータベースからターゲットを抽出するかを見極めること。
・アカウントに適した戦略を策定すること。
・効果検証のPDCAサイクルを回し、最適化を繰り返していくこと。

7-5. Webマーケティングツール

①Googleオプティマイズ

Google オプティマイズは、Googleが提供している無料のテストツールです

「A/Bテスト」「リダイレクトテスト」「多変量テスト」の3つのテストが実施できます。レイアウトの変更やテストの設定、テストの実行、効果測定まで運用管理者が一人で行うことができます。エンジニアやデザイナーの手を煩わせることがないため、コスト削減やスムーズなPDCAに繋がります

ツール運用のポイントは以下3つです。
・A/Bテストを実施する目的を決めること。
・どの程度の改善を目指すのか、評価基準を決めること。
・予算を決めること。

7-6. 分析ツール

①Google Analytics

Google Analyticsは、Googleが提供するGoogle マーケティング プラットフォームの製品であるアクセス解析ツールです。

企業だけでなく個人も自由に登録して使える手軽さと、豊富な機能が特徴で、国内外で多くのユーザーが存在します。無料でありながら、レポート機能でテンプレートがあることや、Web上に参考情報も多く、初心者でも始めやすいツールとなっています。

➁Adobe Analytics

Adobe Analyticsは、アドビが提供する「Adobe Experience Cloud」の製品の1つで、アクセス解析ツールです。

高いカスタマイズ性、高精度なWeb分析機能と自由度の高いレポート機能などを持ちあわせていることで、ビジネスに適した計測・分析を素早く行うことが可能です

ツール運用のポイントは以下3つです。
・導入効果を測定するために、KPIとKGIを設定し、それを定期的に測定すること。
・KPI/KGIやSFAで集計したデータに基づき、PDCAサイクルを回し続けること。
・自サイトを訪れたユーザーの行動プロセスを分析すること。

8. マーケティングツール導入・運用の注意点

マーケティングツールを導入・運用する際には、以下の6つのポイントに注意する必要があります。

8-1. 目的の明確後に導入する

まずは、目的を明確にする必要があります。当然ですが、マーケティングツールはあくまでビジネスの課題を解決したり、成功へ近づくための手段でしかありません。どの機能を用いてどのような効果を期待するのか具体的に定義をしておきましょう。これによって、「何をどのように行ったら、どのくらいの効果が得られたか」が明確になり、効果測定と改善を行いやすくなります。

8-2. 機能・使い方を正しく理解する

マーケティングツールの正しい使い方をそもそも理解していないと、ツールが機能しなくなってしまいます。マーケティングツールは得てして高機能であり、各機能はマーケティング業務における様々な作業を自動化したり、施策効果や顧客の状態を判断するための情報を提示します。しかし、その正しい使い方を理解していないと、ツールの効果を最大限に引き出すことは不可能でしょう

8-3. 導入範囲は少しずつ広げる

よりよい成果を出すために、マーケティング部門と連携する営業部やカスタマーサクセス部、カスタマーサポートなどとの情報の可視化・共有化を強化しながら、導入範囲を少しずつ広げていくことが重要です。そのために、まずはマーケティングツールに解決してもらう課題の内容や範囲の定義づけをしっかりと行う必要があります。

8-4. 導入したツールは利用を標準化する

マーケティングツールの利用を標準化するには、業務フローに組み込むだけではなく、ツールによってどのような利益が生まれるのか、顧客に対してどのような価値を提供できるようになるのかという2軸で考え、現場にメリットを理解してもらうことが大切です。運用設計に正解はなく、非常に難しい工程ではありますが、マーケティングツール導入を成功させる大きなカギとなるため、じっくりと取り組むことが大切です。

8-5. 導入後は短いPDCAサイクルを回す

マーケティングツールは長期にわたる運用と分析を基に導かれたノウハウが必要です。そのために、実践した施策がどのような効果をもたらしたのかを分析し、改善につなげていくPDCAサイクルを回すことが重要になります。ここでありがちなミスとしては、大きな成果を求めようとする余り、PDCAサイクルが長期化し、効率良く運用を最適化できなくなることが挙げられます。最大限ツールの効果を発揮するためには、短いPDCAサイクルを回して運用する必要があります。

8-6. セキュリティ面に注意する

マーケティングツールの脆弱性はベンダーに依存します。そのため、セキュリティ対策として「セキュリティ面の外部監査を受けているか」を確認しておくと良いでしょう。個人情報の漏洩はコンプライアンス違反にもつながるので特に注意が必要です。顧客の信頼を失わないようにするために、社内でパスワードやIDの管理を徹底すると同時に、個人情報保護法など関連する法律も確認しておきましょう。

9. まとめ

マーケテイングツールは、活用次第で企業に様々なメリットをもたらしてくれます。すでに導入されている企業も、まだ導入されていない企業も、本記事を参考にツールの見直しや導入の検討のきっかけになれば幸いです。

[参考記事]
【2022年注目】Web接客ツールおすすめ 20選!
web接客/オンライン接客の成功事例17選!失敗しないコツを徹底解説
【2022年注目】CRMツール 10選!
サードパーティクッキー規制を受けて、マーケティングはどう変わるのか?

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

Category
Tag