消費者のライフスタイルがデジタル技術の進歩により大きく変化したことをきっかけに、「デジタル活用」や「DX」という言葉が当たり前のように使われ始めました。そのような背景もあり、「データマーケティング」(データドリブンマーケティング)は一般的なマーケティング手法となっています。データマーケティングは、データ量が爆発的に増加している現代のマーケティングにおいて成功を収める上で、絶対に欠かすことができない取り組みです。ここでは、データマーケティングの必要性や具体的な方法について紹介していきます。

 

1. データマーケティングとは?

1-1. データマーケティングとは?

「データマーケティング」とは、あらゆるデータを活用して、商品やサービスを訴求するマーケティングの総称です。「データドリブンマーケティング」と表現されることもあり、「データドリブン」とは、自身の勘や経験に頼るのではなく、客観的な情報を基にして意思決定を行うという考え方です。そして、この考えをマーケティングに活用したものが「データマーケティング」です。

また、データマーケティングの対象となるデータには、多くの種類があります。例えば、性別・年齢・職業などの属性データだけでなく、購買履歴や来店履歴などの行動データやオンライン上でのアクセスログデータ、広告データなども用いられます。

これらの情報を活用することにより、顧客のニーズを的確に捉え、商品やサービスを訴求するための適切なアプローチ方法を見つけ出すことができます。

1-2. デジタルマーケティングとの違い

「データマーケティング」と意味の違いが曖昧ですが、異なる言葉として紹介されている「デジタルマーケティング」について、それらの違いを紹介していきます。

まず、「デジタルマーケティング」とは、デジタル技術を活用したマーケティング手法の総称です。デジタル技術を活用したマーケティングとは、例えばインターネット、デジタルデバイス、アプリ、IT技術、AI技術など、様々なものが挙げられます。

その点において、「データマーケティング」と「デジタルマーケティング」の違いは、強調している対象が異なると言えます。「データマーケティング」の場合、“データを活用する”ということを強調しており、「デジタルマーケティング」の場合、“デジタル(技術)を活用する”ということを強調しています。

一方で、データを活用する上でデジタルとの接点は切り離せないものであるため、ほとんど同じ意味として使われることが多く、明確に分けて考える必要はありません。

2. データマーケティングのメリット

データマーケティングを行うメリットは、客観的なデータを用いて比較や分析、施策ができるようになることです。本章ではデータマーケティングによって可能になることを3つご紹介します。

① 実施すべきアクションのアイデアを考えやすくなる

例えば、アパレルの企業で「売り上げを伸ばすために起こすべきアクションは?」という大きなテーマで考え始めると、「顧客を増やす」、「来店/購入頻度を増やす」、「単価を上げる」など、切り口が多すぎて何から手を付けてよいかわからなくなってしまうのではないでしょうか。しかし客観的なデータを使うことで、事業上のどこに課題があるかを特定することができ、検討事項が絞られ、アイデアを考えやすくなります

② CX向上により優良顧客を創出する

データマーケティングではCX(カスタマーエクスペリエンス)を高めていくことも可能です。

[参考記事] CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

CXとは、「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称で、企業の商品やサービスの購入を検討する前から購入にいたるまで、そのすべての体験や価値を指します。商品やサービス自体の価値だけではなく、購入前後に顧客が体験するすべてを価値として捉えることが大きな特徴です。CXが向上すれば、企業は顧客の信頼を得ることができるようになっていきます。その結果、優良顧客が増加し、商品やサービスをリピートしてくれるだけでなく、積極的にそれらの魅力を拡散してくれるようになります。

また、データマーケティングにより顧客の属性ごとに的確なアプローチを打つことができるため、「顧客ロイヤルティー」と呼ばれる愛着や信頼、親しみを育むことができます。例として、顧客の誕生月や累計購入金額、過去の購買商品に応じて、顧客ごとに最適なサービスやコンテンツを提供することが可能です。このような取り組みをすることにより、CX向上、顧客ロイヤルティー向上が期待できます。

③ 業務の属人化の解決に繋がる

従来のマーケティングは勘や経験などに頼ることが多く、マーケティング実務に長く携わっている方でないと効果的な意思決定ができないことが一般的でした。しかし、データをもとにした意思決定ができるようになることで、マーケティングに関する経験がなくても成功の確率を高めることが可能になり、キャリアやスキルに関係なく、統一されたサービスを提供できるようになります。

  1. 3. なぜ今、データマーケティングが注目されているのか?

上記のように、様々なメリットがあるデータマーケティングですが、現在注目されている背景には、何があるのでしょうか。ここでは、その背景について3つの理由を解説していきます。

① デジタル技術の発展

企業でのデータ活用が盛んになっている背景には、デジタルテクノロジーの進歩が挙げられます。これにより、顧客に関する「データ収集」が容易になりました。Webサイト、SNS、アプリなどのオンライン上でのデータはもちろん、最近であればビーコンを活用して来店データを取得することもできるようになっています。このように、顧客に関する様々な行動/購買データを取得することができるようになったため、それらのデータを活用するニーズが高まっています。

② 顧客行動の多様化

もうひとつの理由には、顧客行動の多様化があります。顧客と企業間において、店舗やイベントなどリアルでの接点に加え、インターネットが普及したことによりWebサイトやアプリ、SNSの活用など顧客の行動も多様化しています。顧客は情報を自分から情報を検索するようになり、商品を購入する前にサイトやSNSの口コミを確認したり、店頭で商品を購入する際にも他に安い店舗がないか、ネットで検索するというような行動が一般的になっています。このように、多様な顧客行動に合わせてアプローチする有力な手法が、客観的なデータに基づくマーケティングなのです。

4. データマーケティングを行うための5つのステップ

ここまで、データマーケティングの概念やメリット、注目されている背景について説明してきました。では実際にデータマーケティングを行う際、どのようなことをするべきでしょうか。ここでは、データマーケティングを成功させるための実行手順について5つのステップに分けて解説します。

4-1. 目的の明確化

データマーケティングを成功させるための1つ目の手順は、目的の明確化です。事業運営上の課題や問題点を把握せずにデータマーケティングを行ったとしても、コストや工数を浪費するだけで終わってしまう可能性があります。目的として、顧客認知を獲得したいのか、新規顧客を獲得したいのか、既存顧客のLTVを向上したいのかによっても、実施する施策は全く異なります。データマーケティングが失敗に終わらないためにも、最初の段階で目指すべきゴールを明確にすることが重要です。

4-2. データ収集

目的を明確にした後は、データの収集を行います。これは、データマーケティングを行う上で根幹となる作業です。顧客に関するデータでは、属性データ、購買データ、アクセスログデータ、広告データなど多岐に渡ります。

しかし、顧客に関するデータは膨大に存在するので、際限なく収集することができてしまいます。膨大な量のデータを収集/蓄積しようとすると、膨大な工数が発生してしまうので、まずは設定した目的に応じたデータのみを収集することをおすすめします。

またデータによっては個別で収集しても、他の情報にひも付けられず活用しきれないものがあるということも注意が必要です。例えば、「顧客が購入した商品」のデータだけを収集しても、「その顧客の属性」のデータと紐づけることはできません。こうした問題を防ぐためには、顧客属性とその他のデータを紐づけて一元管理できる仕組みを作る必要があります。

4-3. データ分析

データ収集が終われば、次に集めたデータを分析します。目的に応じて、データベースからデータを抽出し、分析に必要なデータの加工処理なども行います。その後、データをグラフや表形式で可視化したり、統計モデルの作成などを行います。この段階において、現状のどの部分に課題があることで、目的を達成できていないのかなどを把握しておくことが重要です。

4-4. 施策の計画と実行

分析が完了したら、分析結果を基に施策を実行するための計画をたてます。この計画は「アクションプラン」とも呼ばれます。アクションプランを社内で共有することにより、担当者は行うべき業務や期限、目標などを明確にすることができ、迷うことなく仕事を進めることができます。

実際にアクションを遂行するフェーズでの、広告の出稿やクリエイティブの作成など詳細なマーケティング施策については、様々な部門との連携が必要です。また、どれほど入念になったアクションプランでも、実行の際に何かしらトラブルが起こることもありえます。その場合、アクションプランを柔軟に修正し、市場の変化に対応することが重要です。

4-5. 評価と改善

データマーケティングにおける最後の手順は、評価と改善です。施策を実施した後は、結果となる数値や顧客からの評価などを再度分析して、再び改善策を考えて、PDCAを回し続けます。これを繰り返すことにより、施策の精度が上がり、より効果的かつスピーディーに施策を打つことができるようになるのです。

 

5. データマーケティングにおけるよくある課題

データドリブンマーケティングを実施する上でよくある課題としては「データの加工や統合ができない」、「データを活用できない」といったものがあります。

ここからは上記の2つの課題を詳しく見ていきます。

① データの加工や統合ができない

データマーケティングを始める企業が抱えがちな課題の1つが、データを加工/統合できないことです。蓄積したデータを分析したり、施策に活かすためには、多くの場合で収集したデータを加工や統合することが必要になります。例えば、「顧客が購入した商品情報」と「顧客の属性情報」を繋ぎ合わせたり、「男性、man、male」など揃っていないデータを「男性」に統一する、というような作業が挙げられます。これらの作業は、企業によっては「部門ごとにデータがバラバラに管理されているため、統合に時間がかかる」「専門的な知識やスキルが必要だがIT人材が不足している」「外注する費用を払えない」というような状況により、実現することができないケースがとても多いです。

② データを活用できない

2つ目の課題は、加工/統合したデータをうまく活用することができないことです。データ分析には専門的な知識やスキルが必要とされるため、データサイエンティストやデータアナリストなどの稼働が必要です。しかし、データサイエンティストやデータアナリストを社内に抱えている企業はそれほど多くありません。そのためデータを収集したものの、具体的にどのようにして分析を進めればよいか分からず、データ活用が進まないというケースもあります。

他にも、複数種類のツールを使い過ぎているというケースもあります。現在では、データマーケティングを実現するための様々なツールが世の中に存在します。MAツール、BIツール、CDPツール、web接客ツール、レコメンドツール…というように、挙げればキリがありません。しかし、データマーケティングを推進しようと、様々な種類のツールをバラバラに導入することはお勧めできません。その理由は、ツールの種類が増えるほどツール間の連携作業が必要になったり、活用できる人が限られてしまい、業務の属人化に繋がってしまうためです。データマーケティングは社内で誰でもデータを使うことができる仕組みを作ることで、円滑に進めることができるものなのです。

6. データマーケティングの課題に対するソリューション

先述したよくある課題をどのようにすれば解決できるでしょうか?ここでは、データマーケティングの課題に対する解決策を2点紹介します。

① 誰でも簡単に扱えるツールを選ぶ

「5. データマーケティングにおけるよくある課題」でも説明した通り、データを加工/統合したり、そのデータをもとに施策や分析を行うためには専門的な知識やスキルが必要であると説明しました。ツールによってはそれらの作業を簡易化し、誰でも実現できるようにしてくれるものも存在します。例えば、データの加工や統合作業では、CDPというツールを使って、SQLと呼ばれるデータベース言語を扱うことが一般的ですが、それらの作業をノーコードで行うことができるツールも存在します。また、分析や施策の実施についても、専門のカスタマーサクセス担当がついてくれたり、テンプレートが充実していることで、誰でも簡単にやりたい分析や施策を実施することができます。

いくら多機能で高性能なツールであっても、使いにくければデータ活用は進みません。スキルや知識に自信がないユーザーでも使えるツールを選ぶことによってデータマーケティングのへ活用が進むことになるでしょう。

② 複数のツールを使い過ぎない

先程、データマーケティングを推進する上では、MAツール、BIツール、CDPツール、web接客ツール、レコメンドツールなど、様々なツールが存在すると解説しました。ツール間の連携作業や、各管理画面にログインする手間などをなくすためにも、できるだけ導入するツールの数を減らす、つまり複数の機能を持つツールを導入することをおすすめします。手間や工数はもちろん、複数ツールを導入するとその分コストもかさんでしまうので、できるだけ少ないツールに抑えることが重要です。もし、どうしても複数のツールを導入しなくてはいけない場合は、ツールの連携が容易かどうかは事前に必ず確認しておくべきです。

7. データマーケティングの成功事例

ここでは、実際にデータマーケティングを行った企業について、より具体的な成功事例を紹介します。

成功事例① メルカリのKPI策定に対するデータドリブン施策により成果の向上

人気フリマアプリである『メルカリ』では、ビッグデータから以下のKPI(重要業績指標)を定め、効果的な施策を検討することで成果を上げ続けることができています。

GMV(総流通額) = 購入者数×購入者あたりの購入数×商品単価
STR(出品物の売却率) = 売却数 / 出品数
購入または売却LTV(一人当たり利用額) = 初回利用率 ×継続利用率×単価

メルカリのビジネスモデルの特性として、ユーザーが出品者だけではなく購入者にもなるということが難しいポイントです。例えば、施策を実施した際に、「出品」は促進できたけれども、「購入」には悪影響を及ぼしてしまう場合もあるため、どちらの立場に対しても注意をする必要があります。その点において、上記の3つのKPIをモニタリングことによって方向性を見失わず、施策を検討し続けることができます。

上記のKPIを追うために、メルカリではあらゆるデータを収集し、分析や施策に活用しています。例えば、商品の価格やカテゴリーなどの商品情報、アプリ上でのユーザーの行動やweb接客に対するリアクションなどのアクセスログ情報などです。これらのデータを収集/蓄積することでKPIに対する現状を正確に測ることができ、効果的な施策を打ち続けることができるのです。

[参考記事] メルカリの“やばい”データマーケティング

成功事例② 一休のデータ活用におけるペルソナ設定により実現したLTV向上

多数の競合が乱立する宿泊予約サイト市場において、圧倒的な成長を実現している『一休』ですが、データを活用して、最も効果的なペルソナを設定することで施策の考案から具体的な成果に繋げることができています。

まず、ペルソナとは、商品やサービスを利用する典型的なユーザー像のことです。自社がターゲットとする顧客のあらゆるデータを取得し、分析することで本質的なニーズを捉え、精緻なペルソナをつくることができます。これにより、施策の方向性を定めやすくなり、顧客ニーズも捉えやすいため成果に繋がる可能性を高める事ができます。

実際に一休では、データを分析したうえで、「高級宿を頻繫に利用する顧客」をターゲットとし、様々な施策を打つことで競合との差別化を実現することができ、成果に繋げることができています。また、具体的なペルソナを定めることで、ターゲットとなる顧客にマッチした施策を打つことができるため、結果的にLTVを向上することができています。

[参考記事] 一休の“本当にすごい”データマーケティング

8. まとめ

個人の直感や勘を排除し、客観的なデータを用いて行うデータマーケティング。あらゆる場面でデジタル化が進み、顧客行動が多様化している現代だからこそ、あらゆるデータを可視化し、正確な判断を行うことが非常に重要です。

また、膨大なデータを扱い、マーケティングを成功させるためには、専用のツールの導入も欠かせません。可能な限り網羅性の高い機能を有し、誰でも使いやすいツールを活用しながら、データマーケティングを推進していきましょう。

 

Editor Profile

  • Marketics 編集部

    ユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、 ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォーム「b→dash」が運営する マーケティングメディア「Marketics」の編集部。インタビュー記事やノウハウ記事を定期的に発信しています。

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