そこで、本記事ではSTP分析に焦点を当てて、その概要や目的、それぞれのポイントについて解説を行っていきます。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、施策を行うためのデータの連携から抽出までをノーコードで実現し、メール/LINE/SMSなど、複数のチャネルを組み合わせた顧客アプローチが可能なツールで、STP分析のみならず様々な分析を実施することができるツールとなっています。
1.STP分析とは?
それでは早速、STP分析とは何か解説していきます。企業活動を行っていく上で欠かせない顧客分析ですが、特にSTP分析について理解を深めて実践することで、様々な視点を得ることが可能になります。そのための知識とスキルを習得していきましょう。
1-1 STP分析の概要
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取って付けられた分析手法のことです。
企業活動を行う上では、市場の中で自社がどのポジションに位置しているのか理解し、ターゲットを絞り込んだ上で販促活動を行うことが重要です。そのために市場を細分化するセグメンテーションがあり、区分けを行ったうえで自社のターゲットとポジションを明確にすることがポイントです。
[参考記事]
・セグメンテーションとは?ターゲティングやポジショニングとの違い、主な分類方法を図解
1-2 STP分析の目的
STP分析の目的としては、端的に「効率良く売上アップを図ること」にあると言えます。せっかく良い商品や質の高いサービスがあったとしても、ターゲットやポジションを明確にすることができなければ効率良く売ることはできません。
現代はインターネットとモノが融合する時代でもあり、顧客情報も取得しやすくなっています。お客様が求めている商品やサービスは何か、企業として提供できる商品やサービスは何かを分析して効率良く売っていくためにSTP分析は欠かせない手法です。
変化の大きい市場の中でいかにプロモーション活動を行い、ビジネス展開をしていくかという点でも、STP分析が役立ちます。
2.セグメンテーション(Segmentation)の考え方
まずは、STP分析のうちの”セグメンテーション”の考え方に注目していきます。ターゲティングの把握やポジショニングの把握も重要ですが、まずは適切にセグメンテーションを行うことが最大のポイントです。
4つの指標をもとに細分化するのがセグメンテーションの考え方です。その具体的な内容について確認していきましょう。
2-1 人口動態変数(デモグラフィック変数)
まず挙げられるのは、人口動態変数です。人口動態変数で把握しておきたい項目としては、主に以下を挙げることができます。
・年齢
・世帯規模
・家族構成
・職業
・収入
・最終学歴
主にこれらの項目について、市場や顧客を細分化することがポイントです。細分化することで、どのような特徴を持つ人がどのような商品やサービスを利用しているのかを分析することができます。
2-2 地理的変数(ジオグラフィック変数)
続いて、地理的変数について確認していきます。地理的変数に関しては、主に以下のような項目を指標とします。
・世界の地域
・日本の地域
・地方
・県
・市
・地域の人口密度
・天候傾向
・駅の有無
・発展度
・文化
例えば、日本なのか海外なのか、アジアなのかヨーロッパなのか、といった地域ごとでも、提供するべき商品やサービスは変わっていきます。天候の傾向なども細分化しつつ、どの地域にどのような商品を提供すれば良いのかを検討する際に役立ちます。
2-3 心理的変数(サイコグラフィック変数)
続いて、心理的変数について確認していきます。心理的変数は、主に以下の項目を抑えておくことがポイントです。
・ライフスタイル
・性格傾向
・価値観
・購買動機
人間が抱く価値観や感性、心理に焦点を当ててセグメント化することで、1人1人の特徴を捉えたマーケティングを展開することができます。なぜその人はその商品やサービスを利用したのかを把握することができれば、より効率的に販促を行いやすくなります。
2-4 行動変数(ビヘイビア変数)
最後に、行動変数について確認していきます。行動変数でも、主に以下の項目を抑えておくことがポイントです。
・購買プロセス
・購買におけるベネフィット
・購買時の態度
・利用経験
・利用水準
・ロイヤリティの状態
・購買準備段階
特定の人間の行動記録に焦点を当てることで、いつ、どこで、どんなタイミングで商品が売れたのかを理解できるようになります。その情報を入手することで、例えば、夏に売った方が良いのか、あるいは冬に売った方が良いのか、クリスマスやバレンタインといった時期を狙って販促するのが効果的なのかといった施策を検討することができます。
顧客が何を求めて商品やサービスを利用するのかという、顧客視点のベネフィットに注目することも重要です。
3.ターゲティング(Targeting)とポジショニング(Positioning)のポイント
ここからは、”ターゲティング”と”ポジショニング”に焦点を当てて解説を行っていきます。セグメンテーションにおける市場の細分化を丁寧に行うことができたら、それをターゲティングとポジショニングにつなげていきます。その概要について理解を深めていきましょう。
3-1 ターゲティング(Targeting)
まず、ターゲティングに関しては、企業の成長性や市場規模などを考慮しつつ、未開拓の市場を探し出すことがポイントです。いわゆるブルーオーシャンと呼ばれるような未開拓地を探し出すことができれば、今後の爆発的な売上拡大の可能性が出てきます。
もちろん、競合ひしめくレッドオーシャンであっても十分に戦うことは可能です。ブルーオーシャンの場合は成長性も見込める一方で、ビジネス規模が小さくなるリスクもあります。その点において、レッドオーシャンの場合はすでに市場が成熟していますが、すでに売れることはわかっているのがメリットです。
どちらもリスクがあることは間違いありませんが、経済規模や市場の成長性などを考慮した上で、どのようなビジネス展開を進めていくかがターゲティングの考え方です。
3-2 ポジショニング(Positioning)
続いて、ポジショニングについては、同業他社との立ち位置を明確化するところに目的があります。ターゲットとして設定した市場に対して、自社はどのようなポジションでマーケティング施策を実行するのかを検討するのがポジショニングの考え方です。
基本的には、同業他社と比較した際に優位性があるポイントを見極めることが重要です。消費者は、商品やサービスの魅力や価値にお金を払います。そのため、他社と比べて優れている部分を徹底的に分析して、立ち位置を押さえることが有効です。
顧客視点に立つことで、より正確なポジショニングを導き出しやすくなります。
4.STP分析の事例
本章ではSTP分析の事例についてご紹介していきます。ここでは、大手コーヒーチェーンの事例を取り上げます。他の業界や業種にも通じる部分があるので、どうぞ参考にしてください。
4-1 セグメンテーションの設定
まずは、セグメンテーションの設定から開始していきます。このコーヒーチェーンでは、以下のようにセグメンテーションの設定を行いました。
勤務エリア:大都市/地方主要都市/それ以外の都市部
社会的地位:会社役員/役職者/平均年収以上の方
会社の規模やブランド、購買客層などから上記のような設定を行い、ターゲットとポジショニングの明確化に繋げていきます。
4-2 アンケートの実施
続いては、アンケートの実施へと移っていきます。当該のコーヒーチェーンでは、Web上でアンケートモニターを募集し、主に以下の項目でアンケートを実施しました。他のコーヒーチェーンのイメージも同時に尋ねています。
・庶民的
・コーヒーが美味しい
・食べ物が美味しい
・入店しやすい
・居心地が良い
・サービスが良い etc…
こうした1つ1つの項目に対して点数を加算していき、点数が高いものと低いものに分けて分析を行います。
4-3 ターゲットの明確化
アンケートを実施して評価が見えてきたところで、ターゲットの明確化を行います。利用者の回答として、このコーヒーチェーンに対するイメージは「オシャレで高級感がある」、「コーヒーが美味しくて居心地が良い」といったものであることがわかりました。
反対に、庶民的や価格帯の評価は低くなっています。これらのことを総合的に勘案して、ターゲットとしては一定程度の社会的地位や経済的地位がある方が良いのではないかという方針にいたりました。
4-4 ポジショニングの明確化
ポジショニングに関しては、高価格帯でも売れるコーヒーを作ることによって同業他社との差別化を図ることを決定しました。アンケート結果などから、消費者がこのコーヒーチェーンに求めていることとして、多少値が張っても良いので、オシャレな雰囲気やコーヒーの美味しさを提供して欲しいというニーズがあることがわかりました。
そのため、安くて美味しいコーヒーを提供するコーヒー店などには捉われず、高くても売れるコーヒーを作るところに価値を見出しました。店内の作りや雰囲気も合わせて、他社との差別化を図ることで、売上アップを目指します。
非常に簡単な説明でしたが、このようなフローでSTP分析を実施します。
5.まとめ
STP分析とは何か理解することで、企業としてのマーケティング活動を一段階上のステージに引き上げることができます。商品やサービスを売るために苦労する部分も多いですが、そのための手助けとなるのがSTP分析です。
正しい知識やスキルを身につけて、正しく分析することで、効率的に結果につなげることができます。BIツールの活用も含めていかに商品やサービスを売るか検討しつつ、実際の行動へとつなげていきましょう。
[参考記事]
・顧客分析の目的は?
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。