ROAS分析で「広告の費用対効果」を分析できるということは知っていても、具体的な計算方法や、それによってもたらされるメリットを理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、ROAS分析がどのような指標で計算されるのか、またROI分析やCPA分析との違いとともに解説していきます。

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1. ROAS分析とは?

ROASとは「Return On Advertising Spend」の頭文字を取った略語で、日本語に訳すと「広告の費用対効果」という意味になります。「広告費」に対して「どれだけ売上として見返りを得られたか」を表す指標となり、広告費1円あたりの売上額や広告費用の回収率を計ることができます。この際の売上はLTVで計算されることが一般的で、例えばEC事業においては初回購入のみの売上ではなく、2回目、3回目等の購入も含んだ売上で計算します。

ROASが高いほど広告の費用対効果が高いということになるため、ROASの高い広告の予算配分を高くしたり、入札価格を上げたりするなどして活用することが可能です。また、ROASが低い広告に関しては広告のリンク先ページを改善したり、そもそも配信を停止するなど、効率的な広告運用を進めることもできます。

このように、ROASを活用することによって、運用している広告が売り上げに寄与しているのかを数値で判断し、改善していくことが可能になります。

ROASの計算方法

ROASの計算方法は「売上 ÷ 広告費 × 100(%)」となります。

例えば、100万円の広告費に対して300万円の売上があったなら、「300万円 ÷ 100万円 × 100 = 300%」というROASの数値が算出できます。ROASは100%を基準にして、どれだけ広告費を回収できたかを判定することが可能です。そのため、この計算では広告1円に対して3円の利益を上げていることがわかります。

一方、広告費100万円に対して50万円しか売上が上がらなかった場合、「50万円 ÷ 100万円 × 100 = 50%」と費用対効果が悪いことが判断できます。

ROASもROIと同様に、算出された数値が高いほど広告が効率的に運用されていることになります。

 

2. ROAS分析の用途・シチュエーション

広告運用でよく用いられる指標にCPAとROIがあります。

ROIは、投資した費用の利益率を算出するのに用いられる指標で、収益率を測ったり、投資した広告費に対する利益を測定することができます。
CPAはコンバージョンを1件得るのに必要な単価のことを指しており、運用型広告の改善や価格が同じ商品を取り扱うサイトの改善に利用することが多いです。

ROASとROI、CPAにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、ROASとCPA/ROIとの関係について解説します。

2-1. ROASとROIの違い

ROIとは「Return on Investment(リターン・オン・インベストメント)」の頭文字を取った略語で、日本語に訳すと「投資に対する利益」という意味になります。そのため、企業の投資収益性を測る場合に使用されることが多い指標です。広告の場面においては、支出した広告費に対する利益をチェックする際に使用します。

このROIの指標を使うときは、同時に実際の利益額を確認する必要があります。ROIの計算式は以下の通りです。

ROI = 利益 ÷ 投資コスト × 100(%)

この公式での計算結果がプラスの数値なら利益が発生しており、マイナスの数値なら損失が生じていることになります。例えば、投資額50万円に対して利益が70万円であったなら、「70万円 ÷ 50万円 × 100 = 140%」と、ROIはプラスの値になるため、利益を生み出していることがわかります。

ビジネスでは、ROASを高めつつ、ROIが100%を超えることを目指すことが大切と言えるでしょう。

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2-2. ROASとCPAとの違い

ROIやとともに、広告の貢献度を測る指標にCPAがあります。CPAは「Cost Per Acquisition」の頭文字の略語で、「1件のコンバージョンを獲得するのにかかった広告費用」という意味となります。計算式は以下の通りです。

CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数

例えば、30万円の広告費をかけてクリックもしくは購入が10件あった場合は「30万円 ÷ 10件 = 3万円」となり、1件のコンバージョンを得るために3万円かかったことがわかります。一方、30万円の広告費をかけて3件しかクリックもしくは購入がなかった場合は30万円÷3件=10万円となり、1件のコンバージョンを得るのに10万円かかった計算です。

CPAの数値が高い場合、1件のコンバージョンを得るために高い広告費を費やしていることになるため、できるだけ低くするための対策を練る必要があります。サイトの改善やクリック単価の低い広告枠での配信など、工夫が必須となるでしょう。

また、複数の広告を運用しているなら、CPAの変化を比較するなどして費用対効果の高い方法を見つけられます。ただし、CPAだけ見て費用対効果を判断するのは禁物です。CPAが低くてもLTVが高い場合もあるため、CPAの数値だけにとらわれずコンバージョンを上げる努力が必要です。

2-3. ROASをKPIとして用いる場合

ROASをKPI(Key Performance Indicator)と用いる場合、損益分岐点となるROASを把握することが重要です。損益分岐点となるROASは以下の計算式の通りです。

損益分岐点ROAS=(顧客単価-原価) × 100(%)

損益分岐点となるROASを把握しておくことで、どの程度まで売上があったほうが良いのか算出しやすくなり、目標(KPI)を追いやすくすることが可能です

3. ROAS分析におけるメリット・デメリット

ROASにおけるメリット/デメリットは何でしょうか。ここでは、ROASのメリット/デメリットについて解説します。

3-1. ROAS分析におけるメリット・デメリット

ROASのメリットとしては、広告がきちんと売上に寄与しているのかを数値で測れることです。ROASが高いほど売上に貢献していることになるため、効果の高い広告の予算を増やすなど適正に広告運用ができます。

また、ROASが低いものは広告先のWebページを改善したり、キーワードや文章を変えてみるなど、より効果的な対策を施せます。

ROASのデメリットは、実際に利益が出ているのかは測れないことです。ROASは広告効果を売上ベースで示すだけなので、どれだけ数値が高くても利益がマイナスの可能性もあります。ROASが高くても、例えば利益率の低い商品の購入ばかりにつながっていればROIが低く利益が上がっていないことになります。ROASの数値だけを広告の費用対効果の指標とすると、取り返しのつかないことになる可能性もあります。

また、LTVベースで売上を可視化するのが難しいこともデメリットの一つです。広告流入経由での初回購入の売上のみをカウントするのではなく、期間を決めて、2回目/3回目購入と複数回の購入を含んだ売上を算出する必要があるため、広告経由で商品を購入したユーザーごとの購買データを元に算出する必要があります。

3-2. ROASを活用して実施できる施策

ROASを算出することで、広告出稿先となる媒体の見直しを行うことができます。ROASは比較的簡単に算出が可能なため、広告同士の費用対効果測定が効率的に行えます。施策によってはROIやCPAなどの指標が適していることもありますが、ROASを活用することで、費用対効果が高い広告を抽出することができます。その結果、予算をより数値の良い広告媒体へ振り分けるなどの施策が可能になります。

3-3. ROAS分析に適さない商材

ROASには指標として適さない商材も存在します。店舗の販売などweb上で売上が完結しない業種/業態です。サイトで売上が完結しないものはコンバージョンの価値が測りにくいため、ROASよりも来店率や成約率を考慮した指標が適しています。 また、問い合わせや資料請求など売上が発生しないコンバージョンも、売上金額で効果を計るROASには向いていません。そのため、ROASで売上を知るとともに、ROIで利益も確認することが大切です。

4. ROASを改善させる5つのポイント

ROASを改善するには、売上を増やす施策広告費を最適化する施策の2パターンがあります。それを踏まえた上で、ここからは改善ポイントを5つ紹介します。

① CVRを高める

CVR(コンバージョンレート)とは、Webサイトへのアクセスのうち、どの程度がコンバージョンに至ったのかを示す数値です。計算式は以下の通りです。

CVR = コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100(%)

広告運用では、広告コストをかけてサイトへの流入数を増やすことも、もちろん大切です。しかし、訪問してもらうだけでなくコンバージョンにつながらなければ売上が増えず、広告費の回収ができません。流入だけでなくCVRアップも意識することで、売上が増えてROAS改善につながります。

なお、CVRを改善する施策には、以下のものが挙げられます。

【CVRを改善させる施策例】
● 導線設計
● LPO(ランディングページ最適化)
● EFO(エントリーフォーム最適化)
● CTA強化

[参考記事]
CV/CVRとは?

② 購入単価をアップさせる

購入単価とは、1回の購入時に顧客が支払う総額のことです。ROASをアップさせるには、ただコンバージョンの数を増やすだけではなく、購入時の単価を高めることも役立ちます。

購入単価をアップさせるには、クロスセルやアップセルの考え方を用いた以下の施策が効果的です。

【購入単価をアップさせる施策例】
● まとめ買いの推進
● 関連商品の提案
● 上位グレード商品の促進
● 付加サービス拡充
● 費用対効果/価値のアピール

 

③ リピート率を上昇させる

リピート率とは、過去に購入歴がある顧客のうち、商品・サービスを継続して利用・購入している割合を示す指標です。特に単品リピート通販やサブスクリプション型といった継続型ビジネスでは重視されます。

リピート率が高まれば、ROASが高まり、事業全体の売上アップも見込めます。リピート率を高めるポイントは以下の通りです。

【リピート率を上昇させる施策例】
● データの分析
● クロスセル・アップセルの活用
● サービスの充実
● リピートを促す仕組みの構築
● 接触チャネルの多様化
● 定期的な販促

 

④ ターゲティングを最適化する

CVRを高め、同時に無駄な広告費を節約するには、「購買意欲の高いユーザーに、欲しい商品を、欲しい時にプロモーションする」ことが大切です。
そのためには広告のターゲティングを行う必要があります。

例えば自社商品・サービスを訴求すべき潜在顧客を見極めて、属性、地域、検索クエリなどを基にパーソナライズされた広告を発信できると理想的です。その結果、広告費を最適に配分できるようになりROAS向上につながります。

⑤ チャネル配分を調整する

上記のポイントと関連して、広告を配信しているチャネルの見極めも重要になります。インターネット広告に限っても検索エンジン、ポータルサイト、動画サイト、SNSなど数多くのチャネルがあり、媒体ごとに費用も効果も様々です。そこで、コストに見合った成果が出ているチャネルを絞り込みリソースを優先的に配分することで、効率的にROASを改善することができます。

改善ポイントのまとめ

ここまでに紹介した5つのポイントを実施しつつ、継続的に効果測定を行い、改善のPDCAを繰り返すことが大切です。

定期的に効果検証を行うことで費用対効果の高い施策を絞り込むことができ、さらに様々な改善策を試すことで施策の精度も高まっていきます。その結果、コストを適切にコントロールしながら同時にROASアップを目指すことが可能になるのです。

5. ROAS分析の限界

ROASには、1つの大きな欠点があります。それは、ROASは「購入」等の最終地点の成果のみを可視化している点です。広告運用では購入というアクションだけではなく、認知なども購入までのプロセスに影響を与えていますが、ROASではそこまで測定することができません。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで一元的に管理できる他、BIの機能も充実しており、b→dash上のデータを活用したRFM分析,デシル分析,ROAS分析といったレポートの作成や、メール等の施策の効果検証に最適なツールとなっています。

 

6. ROAS分析の実践事例

ここまでROAS分析について解説してきましたが、実践事例を元に、ROAS分析をより具体的に、説明していきます。

6-1. ECサイトでの実践事例

ECサイトは価格の異なる商品を多数販売していること、キャンペーンやセールによって不定期で商品価格が変動することからROASの活用がおすすめです。
他の指標で広告効果を測ろうとした場合、例えばCPAであれば商品単価はいくらであれ、1件のコンバージョン(=商品購入とした場合)を獲得するのにかかった広告費用を表す指標なので1万円の商品が売れたとしても1件、500円の商品が売れたとしても1件として計算されます。

そうすると、ECサイトのように商品の価格がバラバラであったり変わりやすい場合は広告の費用対効果を正確に見ることが難しくなります。ROASであれば商品単価ではなく売上での広告費用対効果をみることができるので、より正確に広告効果の測定と改善ができるでしょう。

【ROASとCPAの分析比較】
10万円の広告費を投じて5,000円の商品が5件、1万円の商品が3件売れた。

● CPAで測った場合の広告効果:10万円 ÷ 8件 = 12,500円
 → 全体の売上としての費用対効果が分かりにくい

● ROASで測った場合の広告効果:5.5万 ÷ 10万 × 100% = 55%
 → 広告費1円あたりで0.55円の売り上げがあったことが分かる 

ROASとCPAはどちらも広告成果を測る指標となるものですが、実際に広告成果を判断する際には、それぞれを適切に使い分けていく必要があります。それでは、なぜECサイトではROASの活用がオススメなのでしょうか。CPAと比較しながら解説していきます。

まず、CPAで測られるのはコンバージョン1件あたりの獲得単価です。コンバージョンを商品購入に設定した場合、商品単価に関わらず、1件の購入に対してのパフォーマンスが算出されます。

お客様がカートに入れる金額がほぼ全員同じ場合には問題ありませんが、そうでない場合はCPAだけでは正確に現状を把握することができません。また、同一価格の商品のみを販売しているECサイトでも、キャンペーンやセールによって不定期・頻繁に価格が変わる場合は、CPAだけでは正確な判断が難しくなってしまいます

一方、ROASで測られるのは広告費1円あたりの売上割合です。商品単価に左右されるCPAとは異なり、全体の売上(LTV)ベースで算出していくので、価格帯の異なる商品を多数販売し、かつオンラインだけで購買が完結するサイトに向いています。キャンペーンやセールによって不定期・頻繁に価格が変わるサイトでも、ROASでは「売上(LTV)」をベースに計算していくので、問題なく広告成果を測ることができるでしょう。

このように、「価格帯の異なる商品を多数販売」し、「オンラインだけで購買が完結」、「キャンペーンやセールによって価格が変動しやすい」ECサイトでは、売上ベースの指標であるROASの方が、より適切に広告効果を測ることができるのです。

下記資料にて、売上データと広告データの統合によるオンライン広告分析手法を、実際の事例を元に詳しくご紹介しておりますので、是非合わせてご一読ください。

 

7. ROAS分析のためのBIツール

ROASの改善施策を行う際は、施策の実行・管理やデータ分析が大切です。しかし、そういった業務を全て人手で行うには限界もあるため、必要に応じてツールを導入することも検討しておく必要があります。ここでは、ROASの改善施策に役立つツールを4つ紹介します。

7-1. ① アクセス解析ツール

アクセス解析ツールとは、サイトのユーザー属性、デバイス/環境や行動、コンバージョンといったあらゆる履歴を記録し分析するツールです。

アクセス解析ツールがあれば、離脱率の高いページやCVRが高いページ、ユーザーの関心が高い情報などを高い精度で分析することが可能です。その結果、ターゲティングの精度アップや売上を最大化する施策の立案にも役立ち、ROAS改善につながります。

7-2. ② ABテストツール

有効なROAS改善の施策にABテストがあります。ABテストとは、デザインやテキストが異なる2パターンのWebページを用意して、効果を比較検証する手法です。
ABテストツールがあれば、テストが効率的かつ容易になることで、より離脱率が低いパターンや、CVRや購入単価の高いパターンなども検証しやすくなり、ROASの改善に貢献します。

[参考記事]
ABテストとは?

7-3. ③ web接客ツール

web接客ツールとは、ポップアップやチャットボットなどの機能を活用し、サイト訪問者ごとに最適なオンライン接客を実現するツールです。

近年はAI技術なども進化しており、ユーザーからの問い合わせに柔軟に対応できるチャットボットも登場しています。こういったWeb接客ツールを活用すれば、ユーザーの行動や問い合わせ内容に応じて最適なレコメンドを行うことが可能です。結果として、CVRアップや購入単価のアップにつながり、ROAS改善に貢献します。

[参考記事]
web接客/オンライン接客とは?

7-4. ④ CDPツール

CDPツールとは、複数のデータを統合するためのツールです。ROAS算出のベースとなるLTVを算出するためには、広告経由で流入したユーザーごとの一定期間における総売上を算出する必要があります。それには、顧客データや受注データ、アクセスログデータなど、複数のデータを統合しなくてはなりません。手動でExcel等を用いて算出することも可能ですが、データ量が多いとPCが重くなってしまったり、オペレーションミスが発生してしまいます。CDPツールはそれらのデータの統合を可能にし、BIツールと連携することで、簡単にROAS分析を実施することが可能になります。

[参考記事]
CDPの比較!ベンダーツールはどう選ぶ?

8. まとめ

このようにROASの指標を有効に活用することによって、配信している広告の効果を最大化し、また改善によってより利益を生みやすい状態をつくることが可能となります。ただし、この指標を最大限に活用するためには、その指標を適切に計測し分析するツールが必要となってきます。

このROAS改善ツールの一つとしてCDPとBIの機能を持つ「b→dash」があります。「b→dash」ではwebページへのアクセス計測から売り上げデータとwebデータの統合、そして配信を行なったログデータも含めた一気通貫の分析を行うことが可能となっています。

これまでにご紹介した広告の効果を最大化するさまざまなツールも含めて、
自分に合ったツールを最大限に活用しながら、より良い広告運用と利益の最大化を実現しましょう。

[参考記事]
LTVとは?

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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