効果的なマーケティングを行う上で「MA(マーケティングオートメーション)」は欠かせないツールになりつつあります。ただ、MAの導入を検討しているものの、具体的な活用方法やMAツールで何が出来るのか明確でない方が多いのではないでしょうか。そこで、この記事ではMAツールで分析できることやMAツール導入のメリット、注意点まで詳しく解説します。

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1. MAツールで分析できること

ここではMAツールを活用して、分析できることを4つご紹介していきます。

1-1. 見込み顧客ごとの行動

1つ目は、顧客ごとの行動履歴です。ウェブサイトへの流入経路や広告キャンペーンの効果、ソーシャルメディアからの訪問数などを把握し、滞在時間やコンバージョン率の変化を記録/観察します。さらに、顧客の購買履歴やアポイント数の分析も可能です。これにより、顧客の興味や購買意欲の理解に繋がり、ターゲット設定やコンテンツ戦略の最適化が可能になります。

1-2. メール施策の効果検証

2つ目は、メール配信の施策効果です。まず、メール施策において、開封率が最も重要な指標となります。MAツールを活用すると、HTMLメールを送信した際に、開封率を把握することができます。また、メール内のリンク経由でのサイト移動も追跡可能です。これらの情報を活用することで、顧客の興味関心を把握し、セグメンテーションを最適化できます。それらのデータを活用することで、より効果的に見込み顧客にアクションを促すことが可能になります。

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1-3. 顧客のセグメント理解

3つ目は、顧客の属性データです。MAツールは顧客の属性データを収集/分析し、年齢や性別、地理的位置、購買履歴、関心分野などを把握できます。そのため、顧客のセグメント理解が深まり、より精緻なターゲット市場を設定が可能になることで、特定のセグメント向けのカスタマイズされたマーケティングキャンペーンを展開することができます。さらに、顧客の属性情報に基づいて適切なコンテンツやプロモーションを提供し、個別のニーズに対応することが可能になります。

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1-4. 訪問企業の特定

4つ目は、webサイトへ訪問した企業情報です。MAツールを活用することで、企業の固定IPアドレスを追跡し、その企業の訪問履歴や関心分野を把握できます。これにより、企業のニーズを理解し、適切なターゲティングやフォローアップを行う基盤が提供されます。例えば、特定の製品ページを何度も訪れた企業はその製品に興味を持っている可能性が高く、営業チームは適切で効率的なアプローチをし、リードの変換率を向上させることができます。

2. MAツールの機能

ここではMAツールの代表的な機能を一部ご紹介します。

メール配信

MAツールの「メール配信機能」には設定した条件ごとに見込み客を分類し、そのセグメントごとに必要なコンテンツをメールで送付する機能があります(セグメントメール配信機能)。 そのため、ユーザーが欲しい情報を適切なタイミングで提供することができます

フォーム作成機能

MAツールで作成したフォームを使用することで、フォームで送信されたユーザーの情報をMA内のデータベースに蓄積できます。データベース上に見込み顧客の情報が溜まることで、そのデータを活用したマーケティング活動が可能になります。

スコアリング

スコアリングとは、見込み客の行動と属性に点数を設定することで評価し、一定の点数を超えたら特定の情報を送信するといった設定を行う機能です。MAのキャンペーン設計で「スコアリングモデル」を採用する場合に使います。 スコアリング機能を使えばスコアの高い順に効率よくアプローチすることができ、リードが多数となった場合に営業およびマーケターがフォローしきれなくなることを防ぐことができます。

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マーケティングオートメーション(MA)とは?

3. MAを用いた分析を行う際の注意点

MAを活用して分析をする際には、いくつか気を付けたいポイントがあります。ここでは、MAの分析機能を有効活用し、施策効果を高めるために注意すべきポイントを紹介します。

3-1. 最初はシンプルなシナリオにする

MAでは、見込み顧客のアクションによって分岐する「シナリオ」を主に活用していきます。シナリオを実装する際に注意したいのが、初めから複雑な内容にし過ぎないことです。役職や業種など分岐の数を多くするほど分析にも時間や手間がかかり、当然難易度も上がります。最初からシナリオを複雑にし過ぎると、どの要素が良くて反対にどの要素が悪かったのか、仮説を立てることが難しくなります。そのため、最初はシンプルなシナリオからスタートしていくことがおすすめです。初めは小さく、徐々に大きく複雑にすることを意識してシナリオづくりをしてみましょう。

3-2. 分析する指標はできる限り最小限にする

MAはさまざまなチャネルにまたがるマーケティングを一元管理し、其処から取得したデータを用いて豊富な分析を行えます。しかし、すべてを活用・確認していくと膨大な時間や手間がかかるため現実的ではありません。したがって、あらかじめ指標を最小限に絞り込んでおくことが重要になります。たとえば「開封率とクリック率を最も重視してほかの数値は参考程度に留める」など、どこに重点を置くべきか決めておきましょう。目的と見るべき値を事前に検討しておくことで、分析とその後の改善をスムーズに行えます。

3-3. 見込み顧客の数に応じてセグメントを設計する

マーケティング施策の効果を高めるためには、見込み顧客の数に応じたセグメントを設計する必要があります。さまざまな属性を持つ見込み顧客をいかに細かく、正確にセグメントするかが重要になります。ただし、注意したいのがセグメントは必ずしも「細かければ良い」というわけではないことです。条件が細かく複雑になればなるほど、セグメント内の見込み顧客の数は少なくなります。すると、施策の効果測定の正確さが担保されず、結果として成果を得ることが難しくなるため注意が必要です。見込み顧客の数が多く、セグメントを細かくしても分析に十分な数であれば問題ありません。一方、数が不十分な場合はまず見込み顧客を獲得し、数を増やすことを優先したほうが無難でしょう。

3-4. 分析と改善は継続的に行う

MAを活用した分析とそれにともなう改善は、一度だけではなく繰り返し行うことが重要です。シナリオやセグメントの設計をはじめ、メールの文面やタイトルなども定期的な見直しが求められます。なぜなら、消費者のニーズや市場のトレンドは日々変化しているためです。その変化に対応するためには、状況を常に適切に測定してそれに合わせた施策を打ち出す必要があります。マーケティング施策の効果を高めて利益につなげるためにも、分析と改善を継続する必要があるでしょう。

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4. MAツールの分析によるメリット

MAツールの分析によるメリットは、数多くありますが、ここでは特に大きなメリットを2つご紹介します。

獲得した見込み顧客を資産化

MAツールは、見込み顧客情報の収集から商談化までの段階を効率的に管理し、商談数を最大化するツールです。顧客はすぐに商談に応じないことがあり、情報収集や競合比較を経て商談化するのが一般的です。MAを使えば、顧客との連絡を自動化し、商談化の可能性の高い見込み顧客を把握できます。これにより、効率化された営業活動で商談獲得数を増やし、見込み顧客を資産化することができます。

営業が見逃していた案件/商談の獲得

MAツールを用いると、従来見逃され傾向にあった見込み顧客を商談に結び付けることが可能です。webやメールを通じたコミュニケーションにより、見込み顧客の状況を明確化し、受注可能性の高い顧客を特定できます。さらに、分散している見込み顧客情報を統合し、継続的なコミュニケーションを通じて、有望な見込み顧客を営業に効率的に引き渡すことが可能です。

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5. MAツールの効果をさらに高めるための4つのフレームワーク

ここでは、MAツールの効果を高めるために使用される4つのフレームワークを詳しく説明します。

5-1. STP分析

1つ目は、STP分析です。STP分析は、MAツールを活用した分析に役立つフレームワークです。分析方法としては、まず市場を細分化し、異なる顧客セグメントを特定します。次に、特定したセグメントから最も戦略的なターゲットを選び、それに合わせたマーケティング戦略を立てます。最後に、選んだターゲットに対して、魅力的で効果的なアプローチ方法を考えるという分析方法です。STP分析をMAツールと組み合わせることで、より効率的に顧客対応が可能になり、戦略的なマーケティング施策の成功に貢献します

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5-2. セグメンテーション分析

2つ目は、セグメンテーション分析です。セグメンテーション分析は、市場や顧客を異なる特性やニーズに基づいてグループ分けし、それぞれのセグメントに合わせた戦略を展開するフレームワークです。この分析により、顧客の特性や購買行動、コンテンツ嗜好、購買段階などの情報が得られます。MAツールを使用して、この情報を活用し、ターゲットセグメントに向けたパーソナライズされたコンテンツやプロモーションを展開することで、マーケティングの効果を最大化できます。

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5-3. デシル分析

3つ目は、デシル分析です。デシル分析は、MAツールを使ってデータセット内の要素10等分して、それぞれのデシル(10分位)に対して分析するフレームワークです。この手法は、データ内の階層や傾向を明らかにするのに役立ちます。具体的には、顧客リストやセグメントをデシルに分け、各デシルの特性や行動パターンを調査します。これにより、高付加価値の顧客グループや高リターゲティングのポテンシャルを持つ顧客を特定できます。

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5-4. RFM分析

4つ目は、RFM分析です。RFM分析は、顧客を評価/分析するフレームワークで、Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標を使用する分析手法です。Recencyは最近の購入日を示し、Frequencyは購入頻度を示し、Monetaryは購入金額を示します。これにより、最近活動のある顧客やリピーター、高額購入者を特定できます。これらの指標を組み合わせて顧客を分類し、それぞれに適切なマーケティング戦略を展開することができます。

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6. 成功事例

MAツールを活用した成功事例をBtoCとBtoBに分けてご紹介します。

6-1. BtoCの場合

化粧品ECのE社のケース

化粧品を自社ECサイトで販売するE社は、1回目の購入に至ったものの、2回目の購入に至らないユーザーが多いという課題を抱えていました。マーケティングオートメーション(MA)ツール導入以前は全顧客に対して同一コンテンツを一斉メール配信しておりましたが、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入し、顧客一人ひとりに最適化したコンテンツを出し分けました。具体的には、1回目の購入商品と、過去のサイトの閲覧履歴をもとに、興味がありそうな商品カテゴリをメールでおすすめしました。結果、2回目購入率が150%増加し、LTVも115%増加させることができました。

6-2. BtoBの場合

人材育成サービスのG社のケース

人材育成サービスをメインに提供しているG社においては、従来の新規顧客獲得は、経営上層部からの紹介に依存していた背景があり、新たな新規顧客獲得ルートの発掘が喫緊の課題となっていました。そこでマーケティングオートメーション(MA)ツール導入時は、まず営業/マーケティング部門の責任者が、試験的にマーケティングオートメーション(MA)ツールを活用。グループウェアを通してその効果を発信するにつれ、徐々に社内全体にツールが浸透していったようです。見込み客の動向を正確に把握できるようになったため、より効果的な営業アプローチが進展します。結果的に問い合わせ数や商談数が急増し、MAツール導入前の3倍の売上を達成しました。

[詳しくはこちら]
マーケティングオートメーション(MA)とは?

7. まとめ

MAツールを活用した分析を行うことで、より生産性を高めたマーケティング施策を実施できます。また、MAツールを導入することで様々な作業を自動化/効率化をすることもできます。しかし、実際に導入し、MAツールを最大限に活用していくためには、MAツールでできることやメリット、注意点を把握しておく必要があります。それらのポイントを押さえてMAを導入し、マーケティング活動の成果アップや業務効率化を目指しましょう。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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