OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、「オンラインとオフラインチャネルの融合」という意味になります。近年、従来の店舗での商品販売に加えて、オンラインストアでの販売にも注力している企業が増えてきていることもあり、OMOという言葉を聞くことが増えてきたのではないでしょうか?OMOとは消費者の目線でECサイト(オンライン)と実店舗(オフライン)の違いをなくし、より顧客の購買意欲を強めることを目的とするマーケティング手法です。近年小売業界で注目されている販売戦略の1つであり、デジタル化を推進する販売戦略といっても過言ではありません。
そこで今回は、OMOを知らなかった方やこれから取り入れようと検討している方々向けに、用語の解説から、その効果や必要となる準備などをご紹介していきます。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、OMOを推進する上で欠かせない”MA”や”CDP”といった機能はもちろん、データ活用に必要なその他機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。
1. OMOとは?
OMOは「Online merges with Offline」の略であり、全チャネルを統合して、オンライン、オフラインを問わずにシームレスな顧客体験を提供していくことで、双方が明確に区別されていないことが特徴です。
また、OMOは顧客視点での戦略で、スマホやアプリ、キャッシュレス決済などを活用して、顧客に上質な体験を促すものです。
1-1. OMOに注目が集まる背景は?
OMOの概念について説明しましたが、なぜOMOに今注目が集まっているのでしょうか?その背景について深掘っていきます。
①デジタル化
近年の急速なデジタル技術の発展に伴い、人々の生活は大きく変化をしてきました。その代表としてよく言われるのがスマホの普及です。スマホの普及率は令和2年の調査で、日本国民の8割を超え、高齢者の割合も増加傾向にあります。PCよりも手軽に、どこでもインターネットにアクセスできるようになり、情報収集や決済といった活動がオンラインに移行しつつあります。購買行動の一部であるそれらがオンラインと密接にリンクするようになり、オフラインの購買活動に留まらない新たな購買活動の出現してきたため、近年OMOに注目が集まっています。
②コロナ禍
コロナ禍による感染リスク低減のために、非対面での購買や非接触での決済などの要求が増え、従来よりもオンラインを活用する機会が増えつつあります。デジタル化にコロナが追い風となって人々のオンラインへの購買活動の変容は加速傾向にあります。実際にNRIの調査で、今後OMO市場が拡大傾向にあると予測されています。
2. OMOと他の言葉の違い
OMOを説明していく前に、混同されやすいいくつかの用語を説明していきます。OMOとよく混同する言葉として、「シングルチャネル」「マルチチャネル/クロスチャネル」「オムニチャネル」があります。
2-1. シングルチャネル
言葉のごとく1つ(=シングル)のみのチャネルを用いて事業者と顧客間でやり取りが行われている状態です。例えば、店頭販売しかしていない個人商店やオンライン限定の通販サイトなどが、シングルチャネルにあたります。
2-2. マルチチャネル/クロスチャネル
事業者が複数のチャネルを持ち合わせている状態をマルチチャネルと呼びます。ただし、持ち合わせているだけであり、それぞれは独立、情報は連携されていません。例えば、実店舗、オンラインサイトどちらからも商品を購入できるものの、オンラインサイトから各店舗の在庫情報を把握できなかったり、ポイントカードを併用できなかったりするケースが該当します。
これに対して、チャネル間の連携が為されている状態をクロスチャネルといいます。チャネル間を跨いでの情報確認/提供はできるものの、オンラインで購入したものを店頭で受取したり、店頭でその支払いをしたりするなどといったチャネルが統合された状態ではない点には注意が必要です。
2-3. オムニチャネル
オムニチャネルは、先程クロスチャネルの説明の際に記載した、オンラインで購入したものを店頭で受取したり、店頭でその支払いをしたりするなどのチャネルが統合された状態のことを指します。オムニチャネルでは、すべてのチャネルがより統一感を持って運営されており、顧客がどのチャネルを使っても一貫したサービスが提供されるようになっています。
[参考]
・オムニチャネルとは?メリット・デメリットや戦略を成功事例付きで解説
2-4. O2O
O2Oは「Online to Offline」を略したビジネス用語で、webサイトやインターネット広告、SNSなどのオンラインのアプローチから、実店舗などのオフラインへと利用を促す仕組みです。例えば、ECサイトの利用者に実店舗で使えるクーポンを発行したり、地図アプリや位置情報サービスを使うユーザーに、店舗に近づくとプッシュ通知を配信する、といった施策があります。
3. OMOの効果・メリット
顧客がオンラインチャネルを活用していく傾向にはありますが、それではなぜ各事業者がOMOを実施していくことが望ましいのでしょうか?ここでは、OMOの具体的な効果やメリットについて見ていきます。
3-1. ① 業務の効率化
各チャネルに分散されている情報を一元管理することによって、在庫管理・受発注などの作業の効率化、ひいては工数の削減に繋がります。また在庫が適切に管理・連携されることで、在庫切れの可能性が減り、機会損失を少なくすることができます。
3-2. ② 新しい顧客体験の創造
チャネルを横断した施策やサービスを実施することができるようになるため、顧客に新たな付加価値を提供し、顧客満足度の向上に繋げることができます。例えば、オンラインショッピングしたものを店舗で返品受付可能にしたり、オンラインショッピングしたものを店頭で受取可能にしたりというものが挙げられます。また同事例に関しては商品のフルフィルメント(=配送や返品処理など)のオペレーション工数を削減でき、業務の効率化にも寄与します。
3-3. ③ 1人1人に合ったマーケティングが可能
多様化する顧客のニーズに対して、多くのチャネルから収集した情報を統合するで、適切なチャネルで適切なタイミングに適切なアプローチをすることが可能です。例えば、実店舗で特定の商品カテゴリーを多く購入した顧客の情報があるとすれば、その商品カテゴリーに興味をもっているという事実がわかるため、オンラインサイトに訪れた際に、関連する商品の広告を表示することで購買に繋げやすくすることができます。
3-4. ④顧客生涯価値を最大化する
オンラインとオフラインを連携させることで、顧客は自分のニーズに合った製品を入手しやすくなり、自社の商品を継続的に購入する可能性を高めることができます。これにより、顧客のリピート率の向上を実現することができ、生涯価値(LTV)の最大化につながります。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、OMOを推進する上で欠かせない”MA”や”CDP”といった機能はもちろん、データ活用に必要なその他機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。
4. OMOの注意点・デメリット
一方で、OMOを利用するにあたって、注意点やデメリットもあります。
4-1. ① 社内の体制整備が必要
OMOを活用するためには、実店舗とECサイト、スマホアプリを連動させるためのシステム開発、またそれらを運用するための人材育成が必要となります。また、実店舗のオペレーション変更や、顧客データの収集や分析をする人材の育成なども必要であり、これらに投資できるだけのコストやリソースを確保する必要があります。
4-2. ② システム開発が難しい
オンラインとオフラインの統合をする際には、高度な技術力が必要です。もし問題が発生した場合、顧客が自社サービスを利用する際に混乱してしまうリスクがあります。例えば、ECサイトで購入した商品を店舗で返品する手続きが複雑だったり、逆も然りです。これにより、顧客満足度が低下してしまう可能性があります。
4-3. ③ OMOに対応したデータベース構築/UI変更が必要
OMOに対応するためには、お客様の購入履歴や商品の在庫状況などのあらゆるデータの収集・連携・分析が必要です。一元的なデータベースの構築には技術面のハードルが高く、時間もコストもかかります。また、スマートフォン向けのアプリなどをOMOに対応させるために、新たな開発が必要になります。UI変更だけでなく、新たなレコメンドロジックの構築などにも時間がかかります。
4-4. ④ セキュリティリスクが高まる
オンラインとオフラインの統合により、システムに蓄積される顧客の個人情報が多くなります。このため、セキュリティインシデントが増大し、もしハッカーによる攻撃やデータ漏洩が発生すると、顧客や企業に大きな損害を与える可能性があります。
4-5. ⑤ 効果が出るまで時間がかかる
OMOは短期的な収益向上に直結するものではなく、長期的に運用することによって初めて効果が得られる施策です。そのため、導入にかかる初期費用と長期的な運用コストを踏まえて導入を検討する必要があります。
4-6. ⑥ ビジネスモデルによっては相性が悪い
OMOは、オンラインとオフラインの統合によって行われるマーケティング施策であるため、顧客との接点を増やす必要があります。そのため、「実店舗だけ」や「通販だけ」など、どちらか一方でしか顧客と接点を持たないビジネスモデルでは、施策を反映させることが難しくなります。
5. OMOの施策例を紹介
5-1. ① チャットボット
チャットボットとは「チャット(chat)=おしゃべり」と「ボット(bot)=ロボットの略」を掛け合わせた造語で、蓄積されたデータを元にAIが自動でユーザーの質問などに応答するシステムです。近年、このチャットボットを導入する事例が増えてきています。例えば、ECサイトの場合、実店舗と違い、その場に販売員がいないため、気軽に商品やサービスについて質問できないのがデメリットですが、よくある質問の情報を学習させたチャットボットを導入しておけば、一部デメリットを解消できます。
5-2. ② サイネージ
テナントとして入っている店舗の買い回り活性化を目的とし、店頭に商品をレコメンドする「サイネージ」を設置したことも、OMO施策の一例です。 店頭などに設置されたサイネージの前に顧客が立つと、分析された結果によっておすすめの商品が提示される仕組みです。 ある鉄道駅のホーム自販機でも使用されている例があり、自販機の前に立った人の年齢や性別にあわせ、好みそうな商品をおすすめしてくれます。利用者は、サイネージに表示されたQRコードからオンラインで商品を購入することも可能です。
6. OMOの成功事例5選
ここでは実際に、OMOの成功事例として5つの企業を見ていきます。
6-1. 事例➀ : 無印良品
スマートフォンアプリ「MUJI passport」を運営しています。同アプリは通常のオンラインサイト機能に加え、店舗でのチェックインでマイルが溜まるポイントカードのなどの機能も持っており、実店舗への送客もサポートしています。
6-2. 事例➁ : ABCマート
ABCマートでは在庫一元管理とウェブルーミングの大きく2種類の取り組みを実施しています。前者では靴の取り寄せサービス「iChock(アイチョック)」を展開しています。在庫情報が店舗とネットで一元管理されているため、来店した際にサイズや色がない場合は、店頭のスタッフがipadで在庫を調べ、倉庫から直接顧客の自宅に送料無料で配達するというサービスで、機会損失を防ぐことができます。後者のウェブルーミングとは店舗で商品を探索してオンラインで購入するショールーミングの逆で、オンラインで商品を探索後に実店舗で商品を購入するものです。実際にABCマートでは、靴という接触要求が強い商品を、オンラインサイトでそのデザインや価格を確認してもらった後に店頭で試着してもらう動線を設計し、購入を促進しようとしています。
6-3. 事例③ : BEAMS
国内の大手セレクトショップであるBEAMSは、別々に管理されていた実店舗の顧客データとECサイトの会員データを一元管理したことで、より顧客一人一人にパーソナライズしたサービスを提供可能にしました。パーソナライズ化は顧客データや購入履歴をもとにしており、レコメンドはもちろん、広告のターゲティングにも活用しています。来店試着の予約や取り寄せ試着などのサービスが充実している点も特徴的です。
6-4. 事例④ : ニトリ
家具や雑貨を販売するニトリは、ビデオ通話を通じてリフォームの相談ができるサービスを提供しています。ユーザーは自宅にいながらショールームと同じ顧客体験を得られます。また、ビデオ通話の利用によって自宅の様子も見てもらえるため、より具体的な提案ができる点も魅力です。
6-5. 事例➄ : サントリー
飲料メーカーのサントリーは、LINEで注文して商品を受け取れるカフェ「TOUCH-AND-GO COFFEE」をオープンしました。LINEで好みのコーヒーを事前注文し、指定した時間に完成したボトルコーヒーが店舗のロッカーに一本ずつ格納されるというサービスです。ベースとなるコーヒー、フレーバーなどを自由にカスタマイズできるため、組み合わせの総数は200種以上にものぼります。カスタマイズ性の高さや受け取りのスピード感が人気となっています。
下記資料では、様々な業種/業界におけるOMOの成功事例を詳しくご紹介しておりますので、是非合わせてご一読ください。
7.OMOの成功に必要なポイント
以下では、OMOを実現するために必要なことについて紹介します。
7-1. データベースの設計/一元管理
企業がもつ、店舗・EC・外商などあらゆるチャネルの顧客データ、商品データはすべてまとめて一元管理する必要があります。いずれの現場の担当者でも等しくデータにアクセスできるような環境をつくり、サービスとの連携がとれるようにしましょう。
7-2. マルチチャネル化
すでにO2O、オムニチャネルの施策に取り組んできた企業であれば、複数チャネルの運営にも注力をしているのではないでしょうか。OMOでも引き続き、ネット内外でチャネルを展開し、ユーザーと接する機会を広く設けておくことが有効だといえるでしょう。なぜなら、OMOで効果的なマーケティングを打っていくためにはよりたくさんの顧客行動データを蓄積する必要があり、複数のチャネルをもっていればそれだけデータを得る機会も増えるためです。OMOを成功させるためには、何より自社の顧客への理解が必要なのです。マルチチャネル化ができていれば、顧客をさまざまな角度から知るチャンスを作ることが可能となります。
7-3. システムの整備
OMOを実行していくためには、さまざまな場面でシステム整備をしなくてはなりません。たとえば、すでに触れたように各チャネルが積み上げてきたデータ同士の連携や、店頭で受けられるデジタルサービスの設置などが挙げられます。OMOではいかに効率よく個々のデータを紐づけ、それらを分析するかが重要です。そのためには高度に構築されたシステムが必要となります。
7-4.OMOの手順の確認
急速に変化していく市場の中で事業を拡大していくためにOMOは不可欠であるといっても過言ではありません。それでは実際にOMOを推進していくにはどうすれば良いのでしょうか。OMOの推進に向けた手順を見ていきましょう。
目的の設定
OMOを推進していくにあたって、何を目的にするのかを明確化する必要があります。例えば、メールの開封率を伸ばしたいのか、オンラインサイトへの訪問者数を増やしたいのか、リピート率を増やしたいのかなど、売上に紐付く各KPIの何をターゲットにするかを選定しなければ、打ち出す施策や、そもそもとして用意する必要なデータが異なってしまいます。
現状把握
自社ではどういうチャネルがあり、顧客はどういう経路で流入しているのか、それぞれで現状どういうアプローチがなされているのかというカスタマージャーニーを作成していく必要があります。またそもそも、OMOを推進していくに当たってリソースは充分か?活用に必要なデータは揃っているのか?どこに存在しているのか?競合はどのよう施策を実施しているのか?などをカスタマージャーニーと合わせて調査・把握を行います。
データの連携
次に、提供する価値を検討し、活用に必要なデータ基盤を構築していく作業に移ります。
前提、必要なデータの全てが同じ場所に保管されているわけではなく、バラバラのシステムやツールに散らばっていることが多いです。メールアドレスや氏名といった顧客に関するデータは顧客データファイル、商品名や商品IDといった商品に関するデータは商品データファイルなど、情報のカテゴリーごとにファイルが分かれて存在しているケースがほとんどです。
また、ファイルがバラバラに存在するだけでなく、集約されたデータが集計方法の差異やその他様々な要因によって、表記揺れが生じており、そのままでは活用できない状態にある場合も多いです。例えば20歳の方に向けた施策を実施しようと年齢のデータを参照した際に、「20歳」または「20」というようにその表記が揺れているケースです。目視では大きな問題はありませんが、機械的に集計する際には表記揺れがあるとうまく対応ができません。
施策を打つ際には、バラバラにあるデータを集め、また、そのファイル内の表記揺れを無くして活用できるデータベースを構築していく必要があります。とりわけ、複数のチャネルが存在するOMOであればデータが散在しているのは必然であり、データ基盤の構築がOMOの障壁になります。
施策の実施/検討
どのような顧客にどのタイミングでどういうアプローチをしていくかを、データをもとに判断し、施策を実施していきます。ここで重要なことは、単に実施するだけではなく、その効果をしっかりと測定していくことにあります。成果が出たのかどうかをしっかりと判断して、改善をしていくサイクルが必要となります。顧客行動は複雑であり、とりわけ複数のチャネルに跨るOMOではどの施策で効果が得られたのか可視化するのは容易ではありません。しっかりと分析し、柔軟にアプローチを変えていける体制も合わせて重要になってきます。
7-5.OMOを推進する上での課題の確認
OMOを進める上で、よく課題となる2つの事象を紹介していきます。課題をしっかりと把握したうえで、OMOを推進するか決めていきましょう。
① データ準備コスト
OMOを推進していく上で、データ基盤の整備というシステムの構築に莫大なコストが必要となります。また、自社にシステム開発できる人材がいない場合は、外注することになります。各チャネルの運用状況を把握していないエンジニアによって、システムが構築された結果、実運用時には利便性を欠いてしまうということもあり、留意が必要です。
② エンジニア工数の増加
顧客行動が多様化し、様々なチャネルを顧客が利用することはこれまで何度も触れてきました。つまり、マスマーケティングから個人のニーズに合った訴求が必要になってきます。
そこで必要となるのは、セグメント毎への施策の実施です。例として、LINEでの施策実施パターンを見ていきます。LINEを登録している会員全員に同じクーポンを送信するのと、過去の購入した商品に関連したクーポンを、直近に購入がある顧客のみにピンポイントで送信するのとではその効果が異なります。前者の場合は、興味のない配信を受取ったユーザーはLINEアカウントのブロックをする可能性がある一方で、後者は対象を絞っているためその可能性が低く、かつ購入に繋がりやすくなります。
しかし、このような施策を実施するためには、データ基盤から必要なデータを抽出/加工し、かつ複数の条件分岐を設定してセグメントを絞り込む必要があります。ここでいう加工とは、例えば、最終購入日から1週間以内の顧客データが欲しい時に、最終購入日と本日の日付から、引き算を行い、その日数が7以下の顧客を絞り込む作業が該当します。
これらの作業には逐一、エンジニアの稼働が必要であり、かつ施策は流動的であるため、常にエンジニアを抱えておく必要があります。自社でエンジニアを準備できない場合は、外注して他社に頼るしかなくなります。そのため、自社のエンジニアの工数を考慮し、外注が必要な場合はかかるコストをしっかりと考慮しておくことが必要となります。特にOMOではチャネルの接点が多い、つまりそれだけ多様なセグメントが存在し施策に応じて工数が嵩む可能性があるということを留意しておく必要があります。
7-6.OMOの課題へのアプローチ方法の確認
データの基盤構築や揃えたデータを適切に活用していくことがOMOにおいては大きな課題であるとわかりました。その解決策として2つのツールを紹介していきます。ただ、紹介するどちらのツールもOMOを推進する上で非常に重要なものとなっている一方で、SQLを書くためにエンジニアの稼働が一定必要であることは留意しておきましょう。
CDPツール
データの抽出や加工、統合をするためのツールに、CDP(データ基盤系ツール)と呼ばれるものがあります。このツールによって散らばったデータを一元的に管理することができ、各施策利用時のデータを用意しておくことができます。またデータの表記揺れや足りないデータが存在した場合、ツール上でSQLを書くことでデータを加工することができます。
MAツール
施策実施の場面においてはMAツールを用いることができます。複数の条件を設定して、意図した顧客にコンテンツを送信することができます。ただし制約が存在しており、事前に分岐に必要なデータを、ツールに取り込む前に加工して用意しておく必要があります。そのため、エンジニアに依頼してデータ処理を行うことで施策に対する課題をクリアすることができます。
その他にも、CDPやMAといったマーケティングツールを活用するために事前に押さえておくべき重要なポイントについては、下記資料にて詳しく解説をしておりますので是非合わせてご一読ください。
8.日本でのOMOの今後
近年世界中でスマートフォン端末を特に都心にかけて使用している人が増加し、それによりモバイルペイメントも広まり、現金を持ち歩かずに買い物や食事を行う中国人が増えています。これは単純に決済が便利であると同時に、スマートフォンでの決済利用者の買い物、食事、観光などのオフラインの行動が、データ化され各一人ひとりにIDで紐づけされているということでもあります。
特にスマートフォン端末の利用者が多い中国では、スマートフォン端末を通してセールの情報を確認したり、店舗に訪れモバイルペイメントで決済を行ったり、その時にクーポンを使用したか、日頃からよく使うスーパーやコンビニであれば何曜日の何時ごろに来店しているかなど、お客様の行動すべてをオンライン上にデータ化されます。
このように世界でOMOは進行し続けていると言えますが、今後の日本人の経済環境にも根付いていくものなのでしょうか。
8-1. ① 日本で浸透するのか
日本はデジタル起点の考え方が広く受け入れられにくいといわれています。なぜなら、日本では幅広い分野で製品やサービスなど、いわゆるオフラインのものの水準が非常に高いためです。すでにオフラインで快適な顧客体験を実現できているからこそ、OMO的考え方の推進がこれまでなかったとも言えます。しかし、新型コロナウイルスの流行によってオンラインでの購入が一般化し、withコロナという生活の中でOMOは顧客の購買行動を広げる戦略として有効的だととらえられることが増えています。
また、OMOが進んでいる中国では、そもそもそれ以前にモバイルペイメントが浸透していたという背景があります。キャッシュレス決済への対応は、ユーザーの買い物体験をより便利にするだけでなく、行動データの集積にも役立つOMOの基礎ともいえる施策です。そして日本では、まず、2020年開催が予定されていた東京五輪の準備や、新型コロナウイルスの流行によって、キャッシュレス決済が歓迎され、より多くの小売店やサービス施設での導入が進んだのです。
このような状況から、現在の日本ではOMOが成立する土壌が育ちつつあるといえます。
8-2. ② どのような業種で進んでいくのか
可能性としてまず考えられるのは、アパレル業界です。店頭のサイネージやチャットボットによる商品のレコメンド施策は、国内でもすでに渋谷PARCOなどが実現させています。アパレル業界は、実店舗の場合試着が面倒・時間がかかる、ECの場合実際の商品を見ずに買い物をするのにリスクがともなうなどといったそれぞれのデメリットがありますが、OMOによって各デメリットの解消が可能です。また、すでにUNIQLOをはじめオムニチャネル化に成功している企業も多く、OMOを実現させるに足るベースもあります。
9. まとめ
OMOは近年変化する顧客行動に合わせて事業者が拡大していく上で重要な戦略です。一方で、OMOの推進には、「データ」という障壁が存在します。様々なツールを活用することで施策の実施まで至ることはできますが、導入や保守・メンテナンスにエンジニアの稼働が不可欠となります。それらを考慮した上での費用対効果を検討しなければせっかくの投資も無駄となってしまいます。
エンジニアの稼働を抑えて、誰でも簡単にデータを扱い、OMOを実施していきたいという方はぜひ、b→dashを検討してみてはいかがでしょうか。b→dashは業界初のSQL不要でデータの取り込みや加工といった一連の処理ができ、施策の設定、実施や分析レポートの作成などを画面上のボタン操作のみで行うことができます。OMOを実施によるエンジニアの工数の増加やコストに対する懸念を解消することができるでしょう。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。
●目次
1. OMOとは?
2. OMOと他の言葉の違い
3. OMOの効果/メリット
4. OMOの注意点/デメリット
5. OMOの施策例を紹介
6. OMOの成功事例5選
7. OMOの成功に必要なポイント
8. 日本でのOMOの今後
9. まとめ