マーケティングの歴史は、いつでもテクノロジーの進化とともにありました。未来のマーケティングトレンドを押さえる上で最も大事なことは次に「来る」テクノロジーを考えることです。そこで今回は、2019年にマーケティング業界に大きなインパクトを与えると言われている、3つのテクノロジーをご紹介します。
1.スマートスピーカー
代表格として真っ先に出てくるのは、スマートスピーカーでしょう。2014年11月、Amazonが「音楽のためのデバイス」としてAmazon echoの販売を開始したのを皮切りに、世界各国でスマートスピーカーの人気が高まっています。スマートスピーカーとは対話型の音声操作に対応したAIアシスタント搭載スピーカーで、AIスピーカーとも呼ばれます。
現在、多くの人がインターネットを介して音楽鑑賞や調べ物、買い物をしていますが、スマートスピーカーでは、そうしたサービスをPCやスマートフォンなどを介することなく、「音声」のみで操作することが可能です。
スマートスピーカーの市場規模
では、実際にスマートスピーカーはどれほど普及しているのでしょうか。また、今後どうなると考えられているのでしょうか。マーケット調査会社のAritzonが2017年夏に公開したレポートでは、「2022年の全世界でのスマートマーケット市場規模が約48億ドルになる」と予測しています。ま、2018年の成長率は93%と見積もられており、この市場が急速な勢いで成長していることがわかります。日本における市場規模も、2018年現在で20万台・18億円と海外に比べるとまだ小さいですが、2025年には160億円になることが予測されています。
今後、確実に成長が予測されている市場であり、その拡大とともに消費者の購買行動に大きな変化を与えることが予想されるこのトレンドを押さえることは必須でしょう。
スマートスピーカーが与える影響
では、実際にスマートスピーカの普及は顧客の行動プロセスにどのような影響を与えるのでしょうか。二つの観点から見ていきましょう。
■検索フェーズ
皆さんが、何か購入しようと思った時に真っ先にやることはなんでしょうか?恐らく、多くの人がPCやスマートフォンでの「検索」を思い浮かべたと思います。誰もがスマートフォンやPCを持つようになった現代において、スマートフォンやPCとのタッチポイントにおいて、いかに消費者に自社製品を知ってもらい、興味を持ってもらうかが企業にとっては重要になりました。
その結果、ディスプレイ広告・キーワード広告・動画広告などのWeb広告やSNS広告など、様々な形態・手法の広告が進化し、これらは潜在顧客へのリーチに重要な役割を担うようになりました。
しかし、スマートスピーカーが爆発的に普及し、一家に一台あるような状況が当たり前になれば、こうしたユーザーの検索行動は「キーボードでのタイプ」から「音声」に変わるでしょう。音声検索での買い物が主流になれば、消費者は音声入力しやすいブランドや商品を検索する可能性が高くなります。
■購買フェーズ
検索同様、購買もスマートスピーカー経由になるものが出てくるかもしれません。現に、既にAmazon Dash Buttonによって、ブラウジングをすることなく特定の商品を購入するようなライフスタイルが実現しています。
例えば「ティッシュがなくなった」、「お茶を買わなくちゃ」という日常会話がそのまま購買行動になります。つまり、「いつも使っているアイテム名、メーカー名、店舗」をスマートスピーカーが学習することで、比較検討することなく商品を購入することが増える可能性があるということです。
2.チャットボット
2つ目にご紹介するのは、チャットボットです。AI女子高生「りんな」などを使ったことがある読者の方も多いでしょう。みなさんご存知だとは思いますが、まずチャットボットの定義からご説明します。
チャットボットとは、会話のシミュレーションを行うコンピュータプログラムのことです。ユーザーがメッセージを入力するか、リストから会話内容を選択すると、その内容に沿ってボットが応答します。このテクノロジー自体は、実は1950年代から進化し続けてきましたが、近年になって日の目をみるようになりました。現代のチャットボットは、LINEなどのメッセージングアプリのようなスタイルでやり取りを行えるようになったからです。
チャットボットが「来る」理由
BUSINESS INSIDERの最新調査から、企業の80%が2020年までにチャットボットの導入を希望していることがわかっています。このことから、チャットボット熱が高まっていることは明らかですが、なぜこれほど高まっているのでしょうか。その理由をいくつか以下に挙げてみましょう。
■メッセージングアプリの台頭
最近では、マーケティングというとSNSの影響力が強いと思われる方も多いと思いますが、実は最もよく使われているプラットフォームはSNSではなくメッセージングアプリです。それを示す好例に、FacebookによるWhatsAppの買収があります。
2014年、Facebookは、自社の名を冠する極めて人気の高いメッセージングアプリを擁していたにもかかわらず、別のメッセージングサービスであるWhatsAppを買収しました。人々がソーシャルメディアよりもメッセージングアプリに時間を費やすようになった今、マーケターもその時流に乗ることが求められています。人気のあるメッセージングアプリ内で、チャットボットを利用することによってユーザーにアピールできるようになることが重要といえます。
■新たな購買プロセスの確立
チャットボットは、消費者がオンラインで商品を購入する際に立ちはだかる、あらゆる障壁を取り除きます。ECサイトでモノを購入するときを想像してください。色々面倒なことが思い浮かぶでしょう。そう、会員登録のフォーム入力や決済処理の手続きなどです。企業はこれまで、商品購入を妨げる様々な要因と何年も格闘してきました。チャットボットは、人気のあるアプリと連携することでこうした面倒な手間を減らす可能性をもたらします。
■One to Oneマーケティングの実現
テクノロジーの進化により、マスマーケティングが主流だった時代から、狙ったターゲットに焦点を当てたOne to oneマーケティングが出来るようになってきました。実際、Google AdWordsやFacebookの広告サービスを利用したターゲティング手法が大きな成長を見せてきましたが、企業と消費者との一対一のつながりは、いまだ十分なものといえません。この点でチャットボットは、企業が個々のユーザーデータを安価に利用できる、初の実用的なプラットフォームとなりえます。
しかも、これは企業の規模に関係しません。規模に関係なく、データを構築して個人に最適化されたアプローチが出来るという点で、マーケティングの転換点といえるでしょう。かつて、このようなことはマーケティングに大きな予算を充てられる最大手ブランドにしか実現できませんでした。しかし、その状況は終わったのです。
■「年中無休」のチャットボット
製品やサービスを使っていて、何か不具合が起こった時に、サポートサイトを調べて電話しようとする人は多いでしょう。例えばそれが夜遅い時間帯だったり、サポートサービスがお休みの日だったりすると、非常に不便ですよね。
しかし企業がチャットボットを導入すれば、そのような事態がなくなります。当たり前ですがボットなら24時間年中無休で対応でき、即座に回答出来るからです。さらに、複数の対話に同時に対応できるため、順番待ちも発生しません。企業はチャットルームボットを導入することで、顧客満足度の向上とコストの抑制のどちらも実現できるようになるでしょう。
チャットボットの活用事例
ここで一つ、最新事例をご紹介しましょう。Uberによるチャットボットの活用です。チャットボットで乗車を予約するという1つのシンプルなサービスを提供しているUberは、日常的な会話の延長としてボットを活用する方法を示す好例です。そのシンプルさこそが、同社のボットの非常に優れた点であり、チャットボットが消費者の行動を変えることを示してくれています。
3.デジタルサイネージ
最後にご紹介するのはデジタルサイネージです。デジタルサイネージという言葉に馴染みがある方もない方もいると思うので、まずは概要から紹介します。デジタルサイネージとは、「屋外や屋内、公共交通機関といったあらゆる場所において、ディスプレイなどの電子機器を使って情報を発信するシステム」を指します。駅などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
デジタルサイネージの市場規模
次に、デジタルサイネージの市場規模について見ていきましょう。総務省が発行した資料によると、市場は年々順調に伸びており、2018年には2012年比9.37倍の成長が見込まれています。伸びている要因は、センサー技術の発達が大きいようです。センサーをディスプレイに取り付けることで、閲覧者の分類や天気などの環境で、表示を切り替えることが出来るようになりました。さらに開発技術向上に伴い、コストを抑えてディスプレイを開発できるようになったのも要因の1つです。
また、東京オリンピックの開催という背景も大きく、2018年以降も市場が拡大すると考えられています。日本に来訪する外国人が増えると、日本企業のアピールのチャンスが増えます。視覚的にアピールできるデジタルサイネージは、外国人からの反響が大きいと予想されています。
デジタルサイネージの最新活用例
ここで、海外でデジタルサイネージが活用されている最新事例を二つご紹介しましょう。
■Pepsi Max 「ARとデジタルサイネージの融合」
一つ目はPepsi Maxによる、デジタルサイネージとAR(Augmented Reality : 拡張現実)を融合させた事例です。ただのバス停だと思っていた人が、ふと外を見ると、まるでアミューズメントパークに来たような感覚に。マーケティングの「興味喚起」が圧倒的で、惹きつけられる好例です。
https://youtu.be/Go9rf9GmYpM
■Astra 「女性にだけ、ビールをオススメする広告」
二つ目は性別と年齢によって広告を変える、ドイツ企業のAstraの事例です。女性のビール消費量をあげたい、という目的で製作されました。カメラで年齢と性別を計測し、女性にはビールの広告、男性にはそっけない対応をする、と使い分けています。センサー技術の発展で人のタイプによって広告を変えるという好例ですね。
https://youtu.be/PZKgAuk6kLM
デジタルサイネージの将来性
デジタルサイネージは生活が豊かにし、非日常を演出してくれます。例えば、ただでさえ混んでいる電車で子供が泣いていたときに、サイネージが反応して子供向けの広告を表示して穏やかな雰囲気になったとしたら、イライラした気持ちも和らぐでしょう。
デジタル技術の発展によって、人々の情報が蓄積・連携され、新しいイノベーションが起こっていくことが予想されます。人や場所、環境によって最適な広告が表示される未来は遠くないのかもしれません。デジタルサイネージには、多くの可能性が眠っていると言えます。視覚的なインパクトを強烈に残すことが出来るので、企業としてはデジタルサイネージを用いて認知を獲得したり、新商品のプロモーションをしたりするにはもってこいのプラットフォームになるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。テクノロジーによって人々の購買行動が大きく変化する昨今において、最新テクノロジーを追求することはマーケティングの肝と言えるでしょう。常に最新情報を追い、マーケティング戦略、ひいては企業活動を最適化していくことが出来れば、競合他社より優位に立つことが出来ます。まずは今回ご紹介した3つのトレンドをしっかり押さえましょう。
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