「コンテンツマーケティング」という言葉はマーケティング領域において一般的になったものの、そもそもコンテンツマーケティングの定義や、SEOや広告との違いについて正しく理解できている人は多くないのではないでしょうか。本記事では、そもそもコンテンツマーケティングとはなにか?SEOや広告との違いは?どんな事例があるのか?とういう疑問を解消していきます。

 

1. コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作/発信することで顧客のニーズを喚起し、購買へとつなげ、最終的には自社のファンとして定着させることを指します。

ここでいう「コンテンツ」は、テキスト記事、動画、イラスト、図表など、幅広いものが該当します。また、コンテンツを発信するメディアは自社のwebサイトに限らず、DMやSNSなど多岐に渡りますが、発信するコンテンツの内容やタイミングを自由に選択できる自社メディアが一般的です。(本記事においては、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを広告で配信する場合は、コンテンツマーケティングとは定義しません)

では、「ユーザーにとって価値のある」コンテンツとはどのようなものなのでしょうか。自社の商品やサービスの強みや特徴、いわば企業が伝えたいメッセージのみを伝えるコンテンツは「ユーザーにとって価値のある」コンテンツとは言えません。その商品(およびその商品カテゴリ)を使うことでその人のライフスタイルがどう変わるのか、またその商品を選ぶ上での注意点は、その商品が属する業種や業界におけるお役立ち情報など、自社の商品やサービスにとらわれない、ユーザーが求めている情報のことを指します。

これらのような「ユーザーにとって価値のある」コンテンツを制作し、発信することで見込み客を集めて、価値ある情報を発信し続けることで購買へつなげるとともに、購買後も良好な関係を維持してファン(リピーター)になってもらうマーケティング手法をコンテンツマーケティングといいます。

2. コンテンツマーケティングが有効なケース

コンテンツマーケティングは、あらゆるケースにおいて有効なマーケティング手法ではありません。特に有効性が高いケースとしては以下のものが挙げられます。

購入の意思決定まで時間がかかる商品やサービス

購入の意思決定まで時間がかかる商品やサービスに向いています。理由としては、興味を抱いてから意思決定をするまでの間に、情報を集めるケースが多いからです。例えば、他社の商品と特徴や価格を比較したり、利用者の口コミを確認すること等が考えられます。このタイミングで、コンテンツを通して自社の商品/サービスの魅力や、優位性を伝えられれば購買へ結びつける事が可能です。

機能的に他社と差別化を図るのが難しい商品やサービス

コンテンツマーケティングは、機能的に他社と差別化を図るのが難しい商品やサービスにも向いています。他社の商品/サービスとの差別化が図りづらい場合、商品/サービスを全面に押し出した広告施策を実施しても購買には結びつきづらいです。しかし、ユーザーの疑問を解決する一般的な情報と一緒に自社商品の魅力を伝えて興味をもってもらったり、商品やサービスの活用方法を紹介することで、数ある商品/サービスの中から自社の商品/サービスを選んでくれる可能性は高まります。

広告予算を投資出来ない商品やサービス

そのほか、コンテンツマーケティングは、広告予算を投資出来ない商品やサービスとも相性が良いといえます。コンテンツマーケティングはマスマーケティングよりも低予算で実施できることが多いため、資本力や企業規模を問わず結果を出せる可能性があります。コンテンツマーケティングは、集客に悩む商品やサービスを抱える企業にとって魅力的な解決策になる可能性があります。

 

3. コンテンツマーケティングの事例

コンテンツマーケティングについてさらなる理解を深めて頂くために、コンテンツマーケティングの具体的な事例を紹介します。

コカ・コーラ

コンテンツマーケティングにいち早く取り組んだ企業として有名なのがコカ・コーラです。同社は2011年に発表した「Content 2020」内で「Content Excellent」を掲げ、従来型の広告手法から脱却を図るとともに、コーポレートサイトでコンテンツマーケティングの展開をはじめました。コーポレートサイトでは、コカ・コーラの製品情報だけでなく、コカ・コーラの歴史、有名スポーツ選手のインタビュー、持続可能なビジネスを実現するための取り組みなど、さまざまなコンテンツを掲載しています。ブランド力の強化に役立っているといえるでしょう。

ハーゲンダッツジャパン

InstagramやFacebookなどのSNSを活用したマーケティングはブランディングだけでなく、コンテンツ配信やコミュニケーションツールとして活用することも可能です。ハーゲンダッツジャパンはInstagram、Facebook、Twitter、LINE、それぞれのチャネルの特性を活かした運用を行い、合計1,000万以上のファン数を誇ります。Instagramの投稿では、商品紹介だけでなく、映画の紹介やハーゲンダッツを使ったレシピの紹介なども配信されています。ハーゲンダッツにとって、SNSはユーザーとの交流の場であり「好きになってもらう」ことを目的に活用しています。

北欧、暮らしの道具店

「北欧、暮らしの道具店」は、ユーザーの信頼性獲得と商品の販売促進を同時に実現した事例です。サイト内では、北欧の家具や雑貨を取り入れた生活を紹介し、北欧のライフスタイルの特徴を啓蒙し、最終的な家具や雑貨の販売促進を行っています。実際に、「北欧、暮らしの道具店」のユーザーの半数以上は月に20回以上サイトを閲覧しており、ユーザーからの支持を集めて信頼構築に成功しています。

土屋鞄製造所

「土屋鞄製造所」は革製品を扱う専門店ですが、自社サイトにて製品の活用イメージやメンテナンスなどをコンテンツとして発信し、革製品に興味のあるユーザーにアプローチしています。顧客に商品の良さを知ってもらうことを優先したコンテンツが掲載されており、顧客の信頼獲得に寄与しています。また、サイト内では、商品紹介のみを行うのではなく、スタッフの日常やコラムも発信しています。スタッフの思いがユーザーに伝わり、会社としてのブランド力向上につながっている事例です。

シャープ

コンテンツマーケティングの成功例としてシャープも挙げられます。シャープは、自社で運用するSNS(Twitter)を活用してユーザーと良好な関係を築いています。特徴は「中の人」が、人間味を感じられる投稿を行っていることと、コメントに返信していることです。ユーザーと同じ目線でSNSを運用している点が特徴といえるでしょう。2022年1月時点のフォロワー数は83.1万人となっています

WISDOM

NECが運営している「WISDOM」は、マーケティングやテクノロジー関連の情報を発信しているメディアです。マーケターや企業が必要としているコンテンツで興味関心をひき、商材の購買へとつなげています。WISDOMでは最新のビジネス情報を発信し、新しい着想を得てもらうことを目的としています。その流れで、自社ツールを紹介し、ツールの販売促進につなげています。最新の情報を発信することで「ビジネス分野の最先端企業」としてブランド力を高め、効果的に自社ツールの訴求につなげています。

サイボウズ式

サイボウズのオウンドメディアである「サイボウズ式」は、コンテンツマーケティング担当者であれば知らない人はいないほど有名なオウンドメディアです。サイボウズは「サイボウズ Office」や「kintone」などのグループウェアメーカーで、オウンドメディア流行以前の、2012年から「サイボウズ式」を運用しています。多くの記事が配信されていますが、自社製品をレコメンドする記事ではなく、中立的なメディアとして記事づくりをしています。サイボウズ式が様々な情報を発信していることで、「サイボウズの社風を知っている」「サイボウズの事業を知っている」「サイボウズが目指していることを知っている」人の増加に寄与しています。

Social Media Lab

「Social Media Lab」は、ソーシャルメディアに焦点を当てたビジネスやSNS運用に関する記事を発信しているメディアです。実際に業務を行っているマーケターのノウハウが記事化されており、情報の信頼性が高いのが特徴です。本メディアの注目ポイントは、ジャンルをSNSに絞り、競合サイトとの差別化を図っている点です。

4. コンテンツマーケティングが注目される背景

コンテンツマーケティングは、多くの企業が取り組んでいるマーケティング手法です。なぜ注目を集めているのでしょうか。

最も大きな理由として、インターネット広告の単価が高騰していることが挙げられます。単価が高騰している理由は、限られたキーワード、広告スペースを多くの事業者が奪い合っているからです。そのため、ユーザーに情報を届ける新しい手段としてコンテンツマーケティングに力を入れる企業が増えています。

もうひとつの理由として挙げられるのが、ユーザーの行動が変化したことです。インターネット環境が整ったことで、ユーザーは必要な情報を自分で集めるようになりました。それに伴い、企業が伝えたい情報を一方的に発信するプッシュ型の広告は敬遠されるようになりました。ユーザーが自分で情報を探しているタイミングに伝えたい情報を届けることができるコンテンツマーケティングが注目を集めているのです。

5. コンテンツマーケティングと広告、SEOとの違い

続いて、よく混同される広告とSEOとの違いを解説していきます。

5-1. 広告とコンテンツマーケティングの違い

コンテンツマーケティングは、従来型の広告と大きく異なります。最も大きな違いは、発信するコンテンツの内容です。従来型の広告は企業が伝えたい情報を一方的に発信するのに対し、コンテンツマーケティングはユーザーが求める(ユーザーにとって価値のある)情報を発信します。これは第1章でも述べたとおりですが、商品やサービスの押し売りではなく、ユーザーの悩みを解決する手段として商品やサービスを紹介することできれば、敬遠されることなく自然と態度変容に繋げる事が可能です。

また、コンテンツマーケティングと従来型の広告では、効果の持続性にも違いがあります。従来型の広告は、基本的に広告配信期間のみしか顧客の目に触れないため、基本的にはその期間のみしか効果を発揮しません。一方で、コンテンツマーケティングは長期にわたって効果を発揮するケースが一般的です。例えば、ブログやオウンドメディアを活用する場合、コンテンツは資産として残り続けます。該当記事が検索結果の上位に表示され続けていれば、1年後も2年後も集客を続けることが可能です。

これまで、広告よりもコンテンツマーケティングが優れているポイントをご紹介しましたが、広告のほうが優れているポイントもあります。コンテンツマーケティングは従来型の広告よりも効果が現れるまでに時間がかかります。直接的な商品/サービスの訴求ではないため、徐々に態度変容が促されますし、ユーザーがコンテンツを見つけるまでに時間がかかります。その点、広告は直接的な商品/サービスの訴求かつ、ユーザーにすぐにリーチ可能なので、即効性があります。

5-2. SEOとコンテンツマーケティングの違い

SEOは、「Search Engine Optimization」の頭文字で構成される略語です。日本語で、検索エンジン最適化といいます。具体的には、ユーザーが検索エンジンを使って、あるキーワードを検索したときに、自社サイトの表示順位を上昇させる施策のことを指します。当たり前ですが、表示順位が高いほどサイトへの流入は増えます。そのため、作成したコンテンツを多くの人に見てもらうためには、SEOはとても重要な取り組みです。では、SEOとコンテンツマーケティングはどのような違いがあるのでしょうか。

先述したとおり、コンテンツマーケティングは「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作/発信することで顧客のニーズを喚起し、購買へとつなげ、最終的には自社のファンとして定着させること」という広義の概念であるのに対して、SEOは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に自社コンテンツが上位表示させるようにする手法のことです。そのため、対象となるチャネルの範囲が異なります。

また、SEOの場合、自社のコンテンツが掲載されたサイトだけでなく、自社の商品/サービスサイトを対象にする場合もあるため、その点もコンテンツマーケティングとは異なります。

6. コンテンツマーケティングの実践方法

コンテンツマーケティングは、どのように実践すればよいのでしょうか。基本的な実践方法を紹介します。

1. 目的の明確化

最初に、自社が抱えているマーケティング課題とコンテンツマーケティングの目的を明確にします。コンテンツマーケティングで課題を解決できる、目的を達成できるとわかった場合は実践へ移ります。

2. ペルソナの設定

次に、ペルソナを設定します。ペルソナは、商品やサービスを購入してほしいユーザー像です。具体的には、年齢 / 性別 / 家族構成 / 職業 / 年収 / 性格 / 趣味などを設定します。既存のユーザーを分析すると、理想的なペルソナを設定しやすくなります。ペルソナの設定は、ユーザーに役立つコンテンツを企画するため非常に重要な取り組みです。ペルソナを設定していないと、深いレベルでユーザーのニーズやユーザーの心理を理解することはできません。

3. カスタマージャーニーマップの作成

ペルソナを設定してペルソナのニーズや心理を把握したら、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品やサービスに興味を抱いてから購入に至るまでのプロセスを見える化したものです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の心理を理解しやすくなるとともに顧客との接点が明らかになります。

4. コンテンツ制作

以上の準備を整えてから、コンテンツを制作します。コンテンツは、ユーザーが商品やサービスに興味を抱いてから購入に至るまでのプロセスに合わせて制作することが重要です。具体的には、次のプロセスへ歩みを進められるようなコンテンツを制作します。例えば、認知段階では自社の商品/サービスを知ってもらうコンテンツ、情報収集段階では商品/サービスについて理解を深めてもらうコンテンツ、比較検討段階では自社の商品/サービスの優位性を理解してもらうコンテンツが有効です。コンテンツは、コンテンツマップを用いると無駄なく、抜けなく制作できます。コンテンツマップは、どのプロセスにどのような自社のコンテンツがあるか見える化したものです。コンテンツマップを制作してから、不足しているコンテンツを補っていくとよいでしょう。

7. コンテンツマーケティングの効果測定

コンテンツマーケティングの精度を高めるため欠かせないのが効果測定です。発信したコンテンツが目的を果たしていることを確かめなければなりません。

効果を測定するため最初に設定したいのがKGIです。具体的なKGIはコンテンツマーケティングを実施する目的で異なります。例えば、商談数の増加、売上の増加などが考えられます。

KGIを設定してから、KGIを達成するためのマイルストーンともいえるKPI(重要業績評価指標)を設定します。具体的なKPIはKGIにより異なります。KGIが商談数の増加であれば、KPIは資料請求数や問い合わせ数などが考えられるでしょう。

KPIをユーザーのプロセスに応じて設定すると、コンテンツの問題点を把握しやすくなります。例えば、認知段階のユーザー向けコンテンツでは自然流入数や検索順位、情報収集段階のユーザー向けコンテンツでは滞在時間や離脱率、比較検討段階のユーザー向けコンテンツでは資料請求数や問い合わせ数が重要になると考えられます。KPIを正しく設定しておけば、目的を果たせていないコンテンツを把握できます。問題を抱えているコンテンツは見直し/修正の対象となります。

8. コンテンツマーケティングを実施する上でのよくある課題

最後に、コンテンツマーケティングを実施するうえで課題になりやすいポイントを紹介します。

8-1. 成果が出るまで時間がかかる

コンテンツマーケティングを実施する上で絶対に理解しておきたいのが、成果が出るまで時間がかかることです。広告のように、ユーザーに対して強制的にコンテンツを見せるわけではなく、また、配信したコンテンツが必ずしも顧客のニーズを喚起できるわけでもありません。ユーザーが自社のファンとして定着し、成果として現れるまでには一定の時間が必要です。コンテンツマーケティングを行う上で、中長期的に質の高いコンテンツを配信し続けることは必須になります。

8-2. 社内のリソース不足する

社内のリソース不足によってコンテンツを継続的に制作できないケースもあります。片手間でコンテンツマーケティングを始めた企業が陥りやすい課題といえるでしょう。また、先述したとおり、効果が出るまでに時間がかかるので、他施策との優先度も下がってしまいがちです。そのため、人員を確保して体制を整えてから取り組むことをおすすめします。社内でリソースを確保できない場合は、コンテンツの制作を外注することもできます。外注する場合は、予算の確保も必要です。

8-3. 効果測定が難しい

前述した通り、コンテンツマーケティングの精度を高めるためには効果測定は必要であり、効果測定を行うためにはデータ収集が欠かせません。しかし、多くの企業ではデータごとに収集方法が全く異なっているため、”同じファイルやテーブル内にデータが存在せず集計が出来ない“や、集計できたとしても”集計するのにSQLなどの専門的な知識が必要になり、集計できる人が限られる“などの問題があります。そのため、データの集計に時間がかかってしまい、コンテンツマーケティングのPDCAのスピードが遅くなってしまうケースが多く存在します。そこで、おすすめのツールがb→dashです。b→dashはノーコードで誰でも簡単に、マーケティングプロセスにおける全てのデータをひとつに集約・連携し、成果分析まで行うことが可能となっています。

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9. まとめ

本記事では、コンテンツマーケティングの概要と事例、実践方法などを紹介しました。インターネット広告の単価が高騰しているうえ、広告が嫌われ、消費者が必要な情報を自分で探すようになっているため、従来型の広告で成果を挙げることは難しくなっています。集客や売上に悩んでいる方は、ユーザーと良好な関係を構築して顧客生涯価値を高めるコンテンツマーケティングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

Editor Profile

  • Marketics 編集部

    ユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、 ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォーム「b→dash」が運営する マーケティングメディア「Marketics」の編集部。インタビュー記事やノウハウ記事を定期的に発信しています。

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