外資系企業のマーケティングでは一般的になっている「インバウンドマーケティング」。この記事をご覧の皆さんであれば、一度は聞いたことのある言葉かもしれません。 しかし、その「インバウンドマーケティング」についてご存知な方、また正しく理解されている方は意外と多くないのではないでしょうか。そこで本記事では「【徹底解説】インバウンドマーケティングの基本」と題して、インバウンドマーケティングに関する基本的な内容を解説していきます。是非ご参考にしてください。

目次
■インバウンドマーケティングとは
■インバウンドマーケティングの4つのメリット
■インバウンドマーケティングの2つのデメリット
■まず何から始めたら良いか?
■まとめ

■インバウンドマーケティングとは

“Inbound Marketing” ーー この言葉は、2006年にHubSpotの共同創業者CEO、ブライアン・ハリガン氏によって作られました。彼はこれを「”一般消費者”を”特定の商品やサービスに対する顧客”に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」と定義しています。

もう少し噛み砕いて言うと、「自社で作ったコンテンツを消費者に見つけてもらい、そこから商品の購買につなげるマーケティング手法」といったところでしょうか。具体的にはブログやeBook、ホワイトペーパーや動画などをWebやSNSで公開し、それを検索結果の上位に表示させたり、SNSで拡散させたりする取り組みを指します。

では、なぜこのような概念が近年になって浸透したのでしょうか。理由の一つに、商品の購買プロセスの変化があります。インターネットの普及により、商品情報の入手経路が大きく変わりました。これまでメインだった「店頭で見て」または「テレビ広告で見て」に置き換わり、「インターネットで検索して」が情報入手経路として最も多くなっています。消費者は、テレビなどを通して送られてくる情報を受動的に受け取って購買につなげるのではなく、インターネットで自らの意思で能動的に調べ、購買まで至るようになっているのです。

この購買プロセスの変化に着目したのが、インバウンドマーケティングの手法です。すなわち、商品に興味を持った消費者が検索した際に「見つけてもらえる」よう、「消費者が欲しい情報」を用意し、ニーズを育成して購買につなげていくのです。 では、以下でインバウンドマーケティングがどのような強みを持っているのか見ていきましょう。

■インバウンドマーケティングの4つのメリット

インバウンドマーケティングのメリットは大きく4つあります。

1) 高いコストパフォーマンス

真っ先に挙げられるメリットは、費用を大幅に削減できることでしょう。従来のアウトバウンドマーケティングでは、不特定多数に対する大規模な広告が必要だったので、それに伴い莫大な広告宣伝費がかかっていました。ゴールデンの時間帯にテレビCMを一本流すのに、一体いくらかかると思いますか? 一方でインバウンドマーケティングは、プル型のコミュニケーションです。広告でもなんでもなく、「ユーザーが自発的にサイトに訪れる」という構造になっています。よって基本的に宣伝費はかからず、コンテンツ制作費などが主な費用となります。良質なコンテンツを作成し、それが多くの顧客の目に留まれば、最小の費用で大きな効果を生むことが可能です。

2) 顧客関係の強化

費用削減と並ぶ大きな強みが、良好な顧客関係を築けることです。 皆さんもいち消費者として、次の例をイメージしてみてください。 放置し続け、気付いたら1,000件以上溜まっているメール。好きなドラマの良いシーンで流れる全く興味のないCM。アプリを開くと毎回表示される、別のアプリの広告。 なぜ私たちはこれらに対し、「うっとうしい」「邪魔だ」という感情を抱くのでしょうか。 答えは、全てが「求めていない情報の押し売り」だからです。 対してインバウンドマーケティングは、誰の行動も妨げません。顧客は自分の意志で動きます。これがプル型のコミュニケーションということです。 自発的にあなたのブログを読み、自発的にメルマガ登録をするのです。自発的に動画を見て、自発的に商品サイトを検索します。 これは良好な顧客関係を築く上で非常に大事なことです。押し付けられた感がないため、製品や会社に対してマイナスのイメージを抱くリスクが軽減できるからです。 そしてこれは何も新規顧客との関係性に限りません。既存顧客との関係強化にも、もちろん繋がります。

3) 新たな市場や人へのリーチ

3つ目は、新規顧客の獲得につながることです。 インバウンドマーケティングは、これまでリーチしていなかった新たな市場や顧客にリーチすることを可能にします。なぜでしょうか。 良質なコンテンツを作成することができれば、GoogleやYahooの検索結果上位に表示されるようになります。そうなると、そのコンテンツや会社の自社サイトをリンクしたり、共有・拡散したりする人が増えます。論文と同様、「良いもの」は引用されるのです。 そうすると、従来のマーケティング手法ではリーチできていなかった顧客の目に留まり、そこから商品に興味を持ってもらうといった流れが増えるのです。

4) 最適化

最後はマーケティングの最適化に関してです。 インバウンドマーケティングはマーケティングオートメーションなどのプラットフォームによって支えられていますが、これは潜在顧客や潜在リードの動きを追うのに非常に有用です。 どのコンテンツが効果的でコンバージョンに繋がっているのかがわかるので、オンラインでのファンを増やすためにどういったコンテンツを流せばいいのかわかるようになります。ここで得た知見は、オンラインのみならず、セールス・マーケティングの両方の活動に寄与します。見込み顧客が興味のあるコンテンツが分かれば、全てのコミュニケーションがボトムアップします。 コンテンツを作成し、それぞれの効果測定をした上で、さらに顧客に刺さるコンテンツを考える。そしてまたそれらを効果測定する、、、 このPDCAを繰り返し回すことで、精度の高いマーケティングが可能となるのです。

 

■インバウンドマーケティングの2つのデメリット

もちろん、メリットだけではありません。デメリットもしっかり把握したうえで施策に取り掛かることが必要です。ではデメリットについて見ていきましょう。

1) 成果が出るまでの時間

インバウンドマーケティングの一番のネックは、成果が出るまで時間がかかるということです。一般的に、効果が感じられるようになるまで数か月程かかると言われています。 そのため、長期的な計画を立てにくいということが考えられます。 「顧客が欲する情報」が初めからピンポイントで分かるわけではありません。また顧客が欲する情報を提供したとしても、それがすぐに商品購入に繋がるとは限りません。効果的なコンテンツを配信し続け、商品購入に至るまでの最適なカスタマージャーニーを設計するまで、長い時間をかけてPDCAを回す必要があるのです。 しかし、一度成長曲線に到達すれば費用対効果の最も高いマーケティング施策であることは間違いありません。

2) 難易度

2つ目は「コンテンツ作成の難易度」です。 これまで当たり前のように書いてきましたが、顧客の欲する良質なコンテンツを作成し続けることは、かなり難易度が高いです。競合企業が同じような施策をしている場合も多く、「普通」のコンテンツでは、情報社会の中で埋もれてしまうことは明確です。 良質なコンテンツを数多く作成するためには、一定以上の能力と労力が必要です。方法として外注を依頼したり、プロジェクト専任の担当者を決めたりすることが考えられますが、いずれにしても計画的に行える管理体制がないと、途中で挫折してしまうでしょう。

■まず何から始めたら良いか?

では、まだインバウンドマーケティングに取り掛かっていない場合、何から始めたらいいのでしょうか。

まず、ブログやホワイトペーパーで情報発信をしましょう。見込み顧客が検索しそうな情報について、価値のあるものを提供するのです。それにより、見込み顧客が情報収集をする際に、あなたの会社についても知ることになります。この「網」が広ければ広いほど、様々な見込み顧客にアプローチすることが可能となります。もちろん初めから「網」を広くする必要はありません。最初は、比較・検討段階に入った見込み顧客からアプローチすることが重要と言えます。 キーエンスでは、様々な商品に関する用語集、エンジニアのための技術習得書を多数公開し、リード獲得のほとんどをインバウンドマーケティングで補っています。(https://www.keyence.co.jp/)

重要なのは、彼らはここで「自社のPR活動」を行っていないということです。純粋に、「顧客が調べそうなキーワード」「顧客が知りたそうなキーワード」「顧客にとって役に立ちそうなキーワード」という顧客立脚の情報提供をしているということです。

■まとめ

いかがでしたか? インバウンドマーケティングの背景や基本的な内容について、お分かり頂けたでしょうか?難易度が高く、計画的な管理体制が必要となるインバウンドマーケティングですが、軌道に乗れば大きな効果が見込める手法であることは間違いありません。 まだ着手していない企業の方は、是非検討されてみてはいかがでしょうか!

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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