エンゲージメントマーケティングを一言で説明すると、見込み客とのつながりを強化するマーケティング手法のことです。このエンゲージメントマーケティングですが、情報収集の多様化やSNSが普及した現代で、効果的なマーケティング手法として注目を集めています。本記事では、エンゲージメントマーケティングの特長や具体的戦略、実践方法などをわかりやすく解説します。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データ準備に必要なCDPの機能から施策分析の実施に必要なMA、BI、web接客といった機能を搭載しており、顧客エンゲージメントの向上に寄与するツールとなっています。

1. エンゲージメントマーケティングとは

ここで言う「エンゲージメント」とは、企業と顧客の強い結びつき、平たく言うと「自社の会社・製品に対する顧客の共感・愛着」のことを指します。例えば、見込み顧客の場合はエンゲージメントが高まると、より自社の製品・サービスを選んでもらいやすくなります。更に、エンゲージメントが高い顧客は製品やサービスをSNSなどを通じて他の人にもお勧めしてくれたり、価値向上のために建設的な意見を提供してくれることもあります。

このように、企業が長期的に成長していくためには欠かせない、顧客のエンゲージメントを高めていくためのマーケティングをエンゲージメントマーケティングと言います。

 2. エンゲージメントマーケティングが近年注目されている背景

近年、エンゲージメントマーケティングが注目されている背景には 「1. 顧客のカスタマージャーニーの変化 」、「2. マーケティングの変遷」という2点があります。まずは、顧客のカスタマージャーニーの変化について説明していきます。

2-1.従来型のカスタマージャーニー

ネットワークが進化し、だれもが簡単に情報を入手したり発信したりできるようになる以前、マーケティングは次のような企業側から顧客への一方通行ともいえる手法がとられていました。

市場の顧客ニーズを把握 → ニーズに合わせたテレビCMなどを用いた広告戦略で認知度向上 → 顧客接点の創出

これらの手法が成り立っていたのは、顧客が主にテレビCMや雑誌広告から情報を収集していたためになります。従来型のカスタマージャーニーはこのようにして企業が一方的に発信した情報を基に購買の意思決定を行っていました。

2-2. 現代型のカスタマージャーニー

しかし、スマートデバイスやSNSが普及し情報収集を自在に行えるようになった現在では、カスタマージャーニーにおいて、より多くの情報をオンラインで収集して購買する商品を決めるようになってきました。

具体的には、以下の流れになっています。

顧客が解決したい悩みや欲しいと思った商品に関する情報の収集 → 得られた情報の中から自分にとって必要なものを取捨選択 → 選んだ情報を基に購入する商品の決定

このように、顧客が能動的に情報を収集できるようになると、従来型の一方的な発信では企業からのメッセージが伝わりにくくなっています。こうした状況では顧客が知りたいタイミングで必要な情報を届けることや、この企業の製品だから使いたいと思ってもらえるようなメッセージの訴求を通じて、顧客エンゲージメントを高めることがマーケティングに求められております。

3. マーケティングの変遷から分かる重要性

続いて、エンゲージメントマーケティングが主流になるまでのマーケティングの変遷を振り返ることで重要なポイントを明確にしていきます。

① マスメディア・マーケティング

マスメディアを活用した従来のマーケティングでは、製品やサービスの販売・提供が企業の主な目的であり、ニーズの存在する不特定多数の市場に向けて機能性を追求した製品を価値として提供していました。

② One to one マーケティング

マスメディアによるマーケティングが力を失い、新規顧客開拓に多くのコストがかかるようになると、企業は顧客ひとりひとりのニーズを読み取り、個々に対して最適なコミュニケーションを取るようになりました。

③ エンゲージメントマーケティング

エンゲージメントマーケティングはOne to Oneマーケティングを一歩進めたものです。昨今、企業間での製品のコモディティ化や顧客が持つ知識が増えたことで、顧客に選んでもらい長く利用し続けてもらうためには、機能的な強みに加えて企業のミッションや理念への共感などといった、感情的な体験価値で差別化していくことが求められます。

それに伴い、ただ顧客にあった機能的な強みを訴求していくだけではなく、顧客のエンゲージメントを高めていくことがマーケティングにも求められるようになりました。

4 .エンゲージメントを高めていくための戦略① 向上戦略

先述の通り、重要性が高まっているエンゲージメントマーケティングですが、実践する際はどのような戦略を取ればよいのでしょうか。ここでは、エンゲージメントマーケティングを成功に導くために重要な「向上戦略」と「最適化戦略」の2つを紹介します。向上戦略は顧客に共感、愛着を抱いてもらうための施策実施のことを指します。

施策を実行することで顧客に企業としての信頼性を伝えたり、顧客と共に製品を改良しようとする姿勢を見せ、エンゲージメントを高めることを目指します。以下で実際に行う施策を説明していきます。

4-1.ブランディング

エンゲージメントマーケティングにおいて、もっとも重要になるのがブランディングです。ブランドを確立するには長い時間を要しますが、ブランドを顧客に適切に届けることができるようになるとiu

機能的なメリットだけでなく、そのブランドの製品やサービスを利用しているという体験に価値を感じてもらえるようになります。

4-2. 最適な情報配信

エンゲージメントを高めるためには、顧客の属性やフェーズに応じて適切な情報を発信して関心を高めてもらうことが求められます。

例えば、以下のようなものが挙げられます。

・初めて自社の商品を買うか迷っている人に初回購入限定のキャンペーンメールを送り購買を促す
・自社の商品を何度か買ってくれている人に自社の製品が生まれた背景を発信して、製品に加えて企業の思想自体にも共感してもらう 

5. エンゲージメントを高めていくための戦略② 最適化戦略

    1. 向上戦略で実施する施策の効果を高めていくには、実施した施策を振り返り、最適化していくことが求められます。以下では最適化戦略で行うべきことを紹介していきます。

      5-1. ゴールの明確化

エンゲージメントマーケティングを行った結果、どのような状態になれば成功したといえるのか、定量的な基準をもって定義する必要があります。また、最終ゴールの達成に必要な中間指標も定義することで、エンゲージメント向上のどこに歩留まりがあるかを測定することができるようになります。

  1. 5-2. データの収集・分析

具体的には、

  • ・最終ゴールの指標
    ・中間指標

    に関するデータを収集し、分析します。収集するデータが不足していると、実施した施策の効果測定が不十分となり、施策の改善すべき点が見つけづらくなるため、施策を実施するタイミングで収集すべきデータも整理し、サイト上にタグを埋め込むなどといった準備をしておく必要があります。

  • 5-3. 素早い改善策の実行

  • 顧客エンゲージメントを強化するためには試行錯誤が必要ですが、考えているだけではなく迅速に実行し、その結果によって改善していくことが重要です。

6.エンゲージメントマーケティングでよく聞かれるMAとは?

ここまで紹介してきた戦略は自社の成長にとって非常に重要であるものの、それぞれの戦略を実行し素早くPDCAを回していくためには、多大な工数がかかってしまいます。

この工数負担の悩みを解決してくれるのがMA(マーケティングオートメーション)ツールです。MAツールとは、顧客獲得における一連のマーケティング施策を、管理・自動化・効率化するツールの総称です。MAツールを上手く活用することで多くの業務や分析を自動化してくれます。ここでは、エンゲージメントマーケティングに必要なMAツールの機能を3つ紹介します。

また、MAについて詳しく知りたい方は下記記事も合わせてご一読ください。

  • 7.エンゲージメントマーケティングで活用したいMAツールの機能

7-1. 顧客のセグメント

  • ・顧客の年齢や居住地、性別などの属性
    ・閲覧したページや開封したメールなどの行動データ
    ・過去の購入商品、購入回数などの購買データ

といった各種データをMAに蓄積して、顧客を幾つかのセグメントに分類することで、セグメント毎に適したコンテンツを配信することができます。同一のコンテンツを全ての顧客に送ってしまうと、購買意欲や興味・関心の差によって目的のアクションを起こしてくれる可能性は低くなるため、顧客に応じて配信するコンテンツを出し分けることが重要です。

  1. 7-2. 顧客のエンゲージメントの管理

  2. 顧客のエンゲージメントを測るためのスコアやフェーズを管理することができます。スコアは、属性、行動データ、購買データを複合的に組み合わせて顧客のエンゲージメントをスコア化します。MAを使えば、蓄積されたデータを基に顧客のスコアやフェーズを自動で更新/可視化することができ、セグメントの条件としても利用することができます。

  1. 7-3. パーソナライズされた配信

  2. 複数の顧客に一斉配信を行う際、

    • ・顧客の名前
      ・顧客の現在の会員ランク
      ・その顧客におすすめの商品

    といった情報については顧客一人一人に紐づくデータを差し込むことができます。このパーソナライズされたコンテンツを受け取った顧客は自分に合ったコンテンツであると感じてもらえるようになり、より共感が生むことが期待できます。

  3. 7-4. 自動配信

  4.  
  5.     顧客が特定の条件を満たしたタイミングで自動配信を行える機能です。

    ・顧客がECサイト上で商品をカートに入れたままサイトから離脱した場合に翌日に購入を促すメール
    ・特定の商品を購入した際に、関連商品をおすすめするメール

    ・以前、閲覧した商品の在庫が少なくなった際にお知らせするメール

    などを自動で送ることによって、顧客のモチベーションが高いときに購入を促すようなメールを送信することができます。

    1. 7-5. 分析

    2. ・配信したコンテンツの開封率やCVRの分析と改善
      ・スコア毎の顧客の行動を分析することでスコアのチューニング

    3. といった分析と改善を一気通貫して行うことで、顧客のエンゲージメント向上を最適な方針で進めることができます。

    4. 弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、データ準備に必要なCDPの機能から施策分析の実施に必要なMA、BI、web接客といった機能を搭載しており、顧客エンゲージメントの向上に寄与するツールとなっています。

      8. エンゲージメントマーケティングの事例3選

    1. 8-1. 三越伊勢丹

    2. 三越伊勢丹では、社員によるSNSでの情報発信に力を入れています。フォローしてくれた人が徐々に自社や従業員のファンになってもらうことを目指し、三越伊勢丹社員であることを自ら明示した上で店舗や商品に関するものに限らず、プライベートや趣味の話題も投稿します

    3. また、そのようなSNSの取り組みによって得られた顧客データを分析し、顧客属性を細かくセグメントすることで、顧客ごとに最適な情報を提供することを目指しています。

    4. 8-2. BASE FOOD

    5. 食べるだけで必要な栄養を摂取できる商品を展開するBASEFOOD(ベースフード)。「主食をイノベーションし健康をあたりまえに」という明確なミッションを決めており、顧客にも自分たちがなぜこれをやっているのかを丁寧に伝えることで、共感してくれたメディア、一流のシェフ、アスリートにSNSなどを通じて広めてもらい、購入者を増やしてきました。

    6. また、ユーザーは「一緒に革命を起こす仲間」という思想の下、定期購入者へのインタビューをニュースレターで掲載したり、Twitterを活用したイベントで一体感を育んだりなど、顧客エンゲージメントを高める機会を設けることで、ファンを獲得して成長を遂げております。

    7. 8-3. 株式会社オンワードパーソナルスタイル

    株式会社オンワードパーソナルスタイルはオーダーメイドブランド「KASHIYAMA」を展開しています。以前は10万名以上のお客様に単一のメールを定期配信していましたが、MAを導入してから、顧客の属性や購入回数、購入金額などで細かくセグメントを作り、メールを出し分けるようになりました。

  6. その結果、メルマガでアプローチしているお客様は、そうでないお客様より購入率が高くなるなどメールを通じたエンゲージメントマーケティングによって、お客様のファン化を推進できています。

    1. 9. まとめ

    1. 今回はエンゲージメントマーケティングを紹介いたしました。顧客がアクセスできる情報が増えきたと同時に商品がコモディティ化してきた昨今においては、顧客のエンゲージメントの向上が、長く自社の製品・サービスを使ってもらうためには重要です。

    2. とはいえ、エンゲージメントマーケティングを実行するためには莫大な工数がかかってしまいます。そこでMAツールを活用して工数を削減しながら素早く効果的なエンゲージメントマーケティングを実行してみてはいかがでしょうか。

     

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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