マーケティングや営業で良く用いられる用語の1つに「クロスセル」があります。クロスセルは顧客に対して一度購入する商品とは別の商品の購入を促す営業手法であり、多くの企業が取り入れている一方で、本質的な意味やメリットを理解できていない方も多いのではないのでしょうか。実際の業務でクロスセルを行っていくためにも、本稿ではクロスセルの概要から実践までのステップ、実際の成功事例まで解説していきます。

 

1. クロスセルとは?

クロスセルとは、商品の購入を検討している顧客や一度商品を購入した顧客に対して、別の商品を提案し購入してもらう営業手法です。例えば、PCを購入しようとしている顧客にマウスの購入を促したり、ファーストフード店でハンバーガーを購入しようとしている顧客にドリンクセットの購入を促すといったことがクロスセルに該当します。また、ECサイトでよく表示される「あなたへのおすすめ」や「この商品を購入した方におすすめの商品」といったレコメンドもクロスセルのひとつの手法とも言えます。

クロスセルの目的

クロスセルを行う目的は、大きく以下の2つが挙げられます。

①購買単価の上昇
クロスセルに取り組む目的の1つに、購入1回あたり単価の向上があります。ECサイトで商品を購買する際に、かご確認画面や購入確認画面において、おすすめ商品が表示されることがありますが、このような施策が1回あたりの購入単価向上を狙った施策になります。

②リピート購入の促進
クロスセルに取り組むもう1つの目的に、リピート購入が挙げられます。過去に商品を購入したことがある顧客に対して、メールやLINE等のチャネルを用いて、過去に購入した商品とは別の商品の購入を促す施策が、リピート購入の促進を狙う施策の例になります。

2. クロスセルとアップセルの違いとは?

クロスセルと混同しやすい言葉として「アップセル」が挙げられます。アップセルは購入を検討している商品よりも上位モデルやプランを購入してもらう営業手法です。どちらも顧客単価の上昇を目的としていますが、クロスセルは関連商品、アップセルはより上位モデルやプランというように、達成までのアプローチ方法が異なっています。

合わせて覚えておきたい「ダウンセル」

クロスセルやアップセルと合わせて、「ダウンセル」も覚えておくと良いでしょう。ダウンセルは、クロスセルやアップセルと異なり、顧客単価を下げてでも商品購入をしてもらいたい場合に、販売単価を下げて商品購入を促す手法です。ダウンセルを用いるケースは、競合企業に顧客を流したくない場合、自社製品の強みが価格面にある場合によく利用されます。

3. クロスセルの意義とは?

クロスセルを行う意義は、既存顧客のLTV向上にあります。一般的に、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストよりも多くかかると言われています。「1:5の法則」という言葉もありますが、これは新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍必要であるという意味を指します。

このようなコストの観点からも、既存顧客のLTV向上に注力する企業は多くなってきていますが、既存顧客のLTVをあげていく際に用いられる手法がクロスセルです。クロスセルでは、購入を検討している顧客や一度購入している顧客にアプローチする手法であるため、新規顧客の獲得よりもコストをかけずに、売上の向上を実現することが出来ます

4. クロスセルの成功に必要な条件とは?

クロスセルを成功させるには、大きく2つの条件が必要と言われています。クロスセルを実行する前に、次に紹介する2つの条件を満たしているか確認しておきましょう。

4-1. 条件①:顧客情報を収集できているか

既に説明をした通り、クロスセルは商品を購入しようとしている、または、一度商品を購入したことのある顧客に対して販促を行う手法です。そのため、顧客が過去に何の商品を購入したかといった、情報の収集/管理は必須となります。具体的には、下記のような情報を収集しておきましょう。

・既存顧客の属性
・顧客の購買履歴
・ECサイトのアクセス状況
・ECサイト内での行動データ
・問い合わせ内容

4-2. 条件②:顧客情報を分析できているか

顧客の情報を集めただけでは、クロスセル施策が実施できたとしても高い効果を得ることはできません。顧客の情報を分析して、どのような顧客がリピートしてくれそうなのかをしっかり把握した上でクロスセル施策を展開する必要があります。顧客を判別しなければ、全顧客に画一的なアプローチをすることになり、工数をかけたにもかかわらず、あまり効果が得られない結果になってしまう可能性が高まってしまいます。
どのような分析を行うのかは、「5. クロスセルを始めるために必要なステップ」で解説しています。

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5. クロスセルを始めるために必要なステップ

クロスセルの意義や準備が分かったところで、実際にクロスセルを行うためにはどのようなアクションを取っていけばよいのでしょうか。ここでは、クロスセルを始めるにあたってのステップを解説していきます。

5-1. ステップ①:「LWP分析」をして顧客の状況を洗い出す

まず初めに、LWP分析を行います。LWP分析は、List(顧客リスト)、What(行動内容)、Pace(行動頻度)の観点で、クロスセルを行う顧客を抽出する方法です。

LWP分析では対象となる顧客リストの洗い出しを行い、これまでの顧客の行動をもとに、その顧客にポテンシャルがあるか判断してフラグ付けを行います。その後、顧客との接点や頻度についても、ポテンシャルと同様にフラグ付けを行っていきます。

5-2. ステップ②:「ランク付け」と「マッピング」を行う

次に、ステップ①でつけたフラグをもとに、顧客に対してマッピングを行います。マッピングでは「拡大余地」と「実績」の2軸で可視化を行い、その結果に基づき顧客を4つのランクに分類します。

・拡大余地:、実績: → ランクA(実績も多く拡大余地もある
・拡大余地:、実績: → ランクB(開拓営業先候補
・拡大余地:、実績: → ランクC(現状維持が最優先
・拡大余地:、実績: → ランクD(ビジネスの余地が見込めない顧客

このように整理することで、どの顧客にクロスセルのアプローチをするべきかがわかりやすくなります。

5-3. ステップ③:「顧客の選定」と「アクションの立案」を行う

最後に、顧客の選定とアクションの立案を行います。自社のリソースを考慮しつつ、ランクAから順にどのようにアプローチをしていくのかを決めていきます。売上貢献に寄与しやすいランクAからランクB、ランクC、ランクDの順にアクションを行っていくことで、効率的にクロルセルを実施していくことができるでしょう。

6. クロスセルの成功事例

ここでは、クロスセルの具体的な成功事例を紹介していきます。成功事例をもとに、自社でどのようにクロスセルを実行していけばよいかイメージしていきましょう。

6-1. ファーストフード

ファーストフード店は、クロスセルを積極的に行っている業態です。セットメニューの作成や、商品購入時に「一緒にドリンクやポテトはいかがですか?」と別商品の購入を促すなど行われています。あるファーストフード店では、マニュアルにて商品購入時の提案などを必ず教えるようになっており、クロスセルが行われやすいように設計されています。

6-2. ECサイト

ECサイト上でもクロスセルは頻繁に行われています。「よく一緒に購入されている商品」や「おすすめの商品」がECサイト上で紹介されたり、おすすめ商品情報がメールやLINE等で案内する施策がクロスセル施策にあたります。人の手を介さなくとも、ECサイト上でもクロスセルを行うことができる工夫が、サイトのところどころに凝らされています。

7. まとめ

クロスセルとは、商品の購入を検討している顧客や一度商品購入している顧客に対して、別の商品を提案し共に購入してもらう営業手法です。新規顧客の獲得が難しくなっている中、既存顧客へのアプローチが重要になってきていますが、クロスセルは既存顧客に有効な営業手段であるため、自社でクロスセルが活用できるかをしっかりと検討し、有効性が高い場合は積極的に導入していきましょう。

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  • Marketics 編集部

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