自社のwebサイトを活用して、企業が顧客と接点を持つことが一般的になっていますが、サイト上で満足のいく接客が受けられないと、離脱してしまう可能性は高まってしまいます。この離脱を防ぐために、最近では「web接客」と呼ばれるツールが多くの企業で導入されています。
そこで本記事では、そもそもweb接客とはなにか、そして一般的なweb接客ツールの種類である「ポップアップ型」と「チャット型」のどちらがおすすめかを解説していきます。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、web接客の配信に必要なデータの準備から、コンテンツ作成、配信実績の確認までをAll in oneで、ノーコードで実現することが可能です。

 

1. web接客とは?

web接客とは、文字通り「web上で行う接客」のことです。つまり、実店舗に訪れた人に対して接客を行うのと同じように、webサイトを訪問してくれた人に対して商品の提案や、質問を受けたりします。これらの取り組みによって、売上や顧客満足度の向上につなげることが大きな目的です。

また、一口にweb接客といっても「人が直接顧客対応を行うのか」「機械が顧客対応を行うのか」などによって細かく分けられます。人が対応する場合、チャットツールを通じて顧客と直接やり取りをすることになりますし、機械が対応する場合は、自動応答チャットやポップアップを利用して、顧客とコミュニケーションをとることになります。

2. web接客ツールのメリット/デメリット

web接客ツールを導入すると多くのメリットを得られる一方で、デメリットがあるのも現実です。それぞれご紹介していきます。

2-1. web接客ツールのメリット

web接客ツールを導入することによるメリットとして、以下のものが挙げられます。

web接客ツールのメリット
 ① サイトからの離脱率改善
 ② CVRの向上
 ③ 顧客満足度の向上
 ➃ 平均購入単価の向上
 ⑤ サポート業務の効率化
 ⑥ 顧客に合わせたコンテンツの配信
 ⑦ 競合他社のサイトとの差別化

① サイトからの離脱率改善

1つ目は、サイトからの離脱率を改善できことです。ポップアップ表示をして、クーポンなどのお得な情報を表示したり、チャットを通じて顧客に話しかけたりすることで、顧客の注意を引き付けることができるため、離脱を抑えることが可能です。

② CVRの向上

2つ目は、CVR(コンバージョンレート、そのページのアクセス数に対する成約数の割合)の向上に役立つことです。個々のwebページには「商品の問い合わせをしてもらう」「アンケートに協力してもらう」など、達成すべき目標(コンバージョン)があります。

web接客ツールを使うと、サイト訪問者の属性や、行動/購買履歴をもとに、顧客一人ひとりに適した接客(情報の出し分け)をすることが可能なので、CVRの向上にも寄与します。

③ 顧客満足度の向上

3つ目は、顧客満足度の向上に役立つことです。専門性の高い商材や、顧客一人ひとりにカスタマイズした接客が必要な場合は、オペレーターによる有人対応の方が顧客満足度は高まります。しかし、すべての問い合わせに対して、オペレーターが24時間365日対応するのは難しいのが実情です。そのため、事故対応などの緊急性が高いものを除き、オペレーターによる対応は「9時~19時」と、時間が限られているのが一般的ですが、営業時間外に問い合わせをしたい顧客は待たされることになってしまい、顧客満足度の低下に繋がってしまいます。

しかし、web接客ツールのチャット機能などを活用すれば、24時間365日体制で問い合わせ対応ができるようになります。有人での対応ではないため、必要最低限の対応になってしまうかもしれませんが、何も対応しない場合と皮革すると顧客満足度は向上させることが可能です。

➃ 平均購入単価の向上

4つ目は、顧客の平均購入単価が上がることです。web接客ツールを用いて「この商品を買った人はこんな商品にも興味を持っています」などの提案を表示すれば、顧客が興味を持ってくれる可能性が高まり、結果として、平均購入単価も引き上がるでしょう。実店舗での「サイドメニューはどうなさいますか?」や「このシャツにあう、おすすめのパンツはこちらです」などの声掛けがなされるのと、仕組みは同じです。

⑤ サポート業務の効率化

5つ目は、サポート業務の効率化です。一口に、顧客からの問い合わせといっても、対応に掛かる時間はさまざまです。ちょっと調べればわかるような簡単な質問の場合もあれば、各部門の担当者に相談しないと解決しないような質問の場合もあります。そこで、web接客ツールを導入し、簡単な質問は自動応答で回答する仕組みを構築すれば、多くの顧客の質問を迅速に解決できます。丁寧なヒアリングや回答に時間を要する質問の場合にのみ、オペレーターが直接対応できるようになり、業務の効率化が図れます。

⑥ 顧客に合わせたコンテンツの配信

6つ目は、顧客に合わせたコンテンツの配信です。サイト訪問者の属性や行動/購買履歴をもとにして、顧客一人ひとりに合わせた適切なコンテンツを表示できるのは、web接客ツールならではの強みでしょう。サイトには定期的に訪ずれているものの、商品の購買に結びつかない顧客に対しては、「サイトの閲覧履歴をもとにしたおすすめ商品のレコメンド」や、「過去に閲覧した商品の割引の案内」などのコンテンツを表示して、顧客の行動を喚起するきっかけづくりが可能です。

⑦ 競合他社のサイトとの差別化を図れる

7つ目は、競合他社のサイトとの差別化を図れることです。今や、企業がwebサイトを活用するのは当たり前の時代なので、同業他社のサイトととどうやって差別化を図るかが、1つの課題になっています。そこで、web接客ツールを導入し、前述したような顧客対応や施策を実施することで、競合他社ではなし得ないようなサービスを提供することが可能です。

2-2. web接客ツールのデメリット

一方、web接客ツールを導入することによるデメリットとしては、以下のものが挙げられます。

web接客ツールのデメリット
① 導入/運用に伴うツールコスト
② ツールの運用工数
③ 初期設定の工数

① 導入/運用に伴うツールコスト

1つ目は、導入/運用に関するコストがかかることです。具体的な金額は、会社の規模や導入するシステムやツールによっても異なるので一概には言えませんが、初期費用と月額費用がかかるのが一般的です。ある程度まとまった出費が必要になるのは確かでしょう。

② ツールの運用工数

2つ目は、ツールの運用工数がかかることです。web接客ツールは、導入したらそれで終わりではありません。運用/メンテンナンスの体制を整備しなくてはいけないので、ツールを運用する担当や、ポップアップのデザインを作成する担当などの工数を確保しておく必要があります。また、Q&Aのメンテナンス、ポップアップ表示などの施策の効果測定と改善案の検討なども行う必要があります。

③ 初期設定の工数

3つ目は、初期設定に工数がかかることです。web接客ツールも、接客の一環として行う以上、これまでのノウハウを反映したものでなくてはいけません。そのため、会社の運営を通じて蓄積されてきたQ&A集を整理してFAQや自動回答のシナリオを作成する必要もありますが、かなり手間がかかります。

実際にweb接客ツールを活用し、CVRを改善した事例について、下記資料にてご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

 

3. web接客ツールの種類

web接客ツールにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な2つの種類について紹介しましょう。1つ目は、ポップアップ型です。ポップアップとは「飛び出す」を意味する言葉ですが、転じてパソコンやスマートフォンの画面上に、おすすめの商品やサービスを飛び出す形で表示させる方法を指します。

2つ目は、チャット型です。一般的に、webサイトの右下などに埋め込まれたチャットを使って、接客を行います。

3-1. ポップアップ型のweb接客

3-1-1. ポップアップ型の例

例えば、購入履歴のあるユーザーに対しては「いつもお買い上げありがとうございます」というメッセージと併せ、割引クーポンのポップアップを表示させることが考えられます。これにより、顧客の再購入を促すことができます

3-1-2. ポップアップ型のメリット

一言でまとめると「届けたい人に情報が届く」ことでしょう。つまり、購入履歴や滞在時間を分析し、リピーターや購入意欲の高い顧客に対して後押しができます。

3-1-3. ポップアップ型のデメリット

1つは、サイト離脱の可能性が高まる場合があることです。顧客によっては、ポップアップが頻繁に出てくると鬱陶しいと感じ、サイトを閉じてしまう可能性もあります。もう1つは、本来のサイト閲覧と流れが変わるので、サイトの動線分析やヒートマップの分析に支障が出る恐れもあります。

3-2. チャット型のweb接客

3-2-1. チャット型の例

例えば「ご質問したいカテゴリがあれば選択してください。ない場合はご質問を入力してください」などと質問を促し、顧客がその場で質問を解決できるシステムとして活用することが考えられます。

3-2-2. チャット型のメリット

一番のメリットとして、顧客が手に入れたい情報を的確に案内できることが挙げられます。また、チャットの履歴から、顧客の知りたい情報を知ることができるため、サイトの使いやすさの向上にもつながります。

3-2-3. チャット型のデメリット

1つ目は、チャットの精度が低かった場合、顧客の離脱に繋がることです。質問をしても検討違いな回答ばかり戻ってきた場合は、顧客の満足度は低下してしまいます。

2つ目は、必要としていないユーザーにとっては、チャットの存在が閲覧する上で邪魔になることです。これはポップアップ型のデメリットと同様ですが、鬱陶しいと感じるユーザーは一定存在します。

3-3. ポップアップ型とチャット型、どちらを選ぶ?

ポップアップ型とチャット型のどちらを選ぶかは、接客の目的により異なります。たとえば、質問対応など、顧客の要望を丁寧に聞き出し、要望に沿った回答を行う必要がある場合は、チャット型の方が優れています。

一方、割引クーポンの提供など、顧客の要望に合わせた提案をタイムリーに行いたいなら、ポップアップ型を選びましょう。

顧客の要望を丁寧に洗い出し、丁寧に回答する場合:チャット型
顧客の要望に合わせた提案をタイムリーに行いたい場合:ポップアップ型

web接客ツール選定ポイントや各社比較については、下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

4. おすすめの無料web接客ツール

どのweb接客ツールを使うかは、目的やかけられる予算によっても異なります。最初は無料のツールで様子を見るのも1つの方法です。ここでは、無料で使い始められるものに絞り、おすすめのweb接客ツールを紹介します。

4-1. ポップアップ型のおすすめツール

「ecコンシェル」は、AIを搭載したweb接客ツールです。キャンペーンを実施する際「誰に」「どこで」「いつ」「何を」という条件を設定すれば、個々の顧客に沿ったクリエイティブを表示できるため、コンバージョンレートの増加に役立ちます。

4-2. チャット型のおすすめツール

「Zendesk Chat」は、ホームページにチャットウィジェットを表示する仕様のツールです。これにより、実店舗に出向き、対面で接客するかのように顧客とコミュニケーションがとれます。ライブチャット機能を実装しているため、質問が入った場合すぐに回答することも可能です。また、データ分析機能も搭載しているため、自動的にデータを集計し、改善/検討につなげられるのも大きなメリットでしょう。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、web接客の配信に必要なデータの準備から、コンテンツ作成、配信実績の確認までをAll in oneで、ノーコードで実現することが可能です。

5. web接客ツール導入のポイント

web接客/オンライン接客ツールを導入する際は、最初に「web接客をした結果、どんな行動につなげたいのか」という目的をまずは考えましょう。そして、目的が定まったら、適切なツールの選定を行いましょう。その際、導入/運用に掛かる費用や、社内で割ける人員/時間についても細かく確認する必要があります。また、導入後は効果測定/改善を行うための人員/時間/費用も求められることに注意してください。

また、web接客を実施する上で元になる顧客データの準備も忘れないようにしてください。既存会員の属性や行動/購買履歴CDPツールなどを活用して基幹システムや導入しているツールに蓄積されているデータを加工・統合してweb接客に使える状態にしておく必要があります。

6. まとめ

サイトを通じて顧客とつながることが当たり前になってきたからこそ、差別化を図る方法の1つとして、web接客ツールの導入は効果的です。しかし、自社の目的にあったweb接客ツールを使い、適宜効果測定や改善を行わないと、宝の持ち腐れになってしまいます。導入する際は、自社に合ったweb接客ツールを吟味するのはもちろん、運用にあたるメンバー同士のコミュニケーションを円滑にとれるような体制も整えましょう。

[参考記事]
【2022年注目】Web接客ツールおすすめ 20選!
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弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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