今や、マーケティングの世界において「データドリブン」という言葉は当たり前なものになりました。顧客に関する様々な行動がデータ化された現代において、それらのデータを活用して収益を上げることは企業が取り組むべき至上命題となっています。そこで、本記事では、データドリブンマーケティングについて、基本的な情報や注意点、及び事例を解説していきます。

 

1. データドリブンマーケティングとは?

データドリブンマーケティング(Data-Driven Marketing)とは客観的なデータを元にマーケティング活動を行うことを指します。従来のマーケティングにおける意思決定に用いられていた定性的な判断基準ではなく、定量的な情報を有効に活用する、より効果的かつ透明性の高い手法です。ここでは、データドリブンマーケティングの理想的なフロー、従来のマーケティングとの違い、データドリブンマーケティングが求められる背景などを見ていきましょう。

[参考記事]
データドリブンとは?データドリブンマーケティングの実現方法や支援ツールをご紹介

1-1. 理想的なデータドリブンマーケティングの流れ

データドリブンマーケティングを行う際の基本的な流れは、以下のようになっています。

1. データの収集
2. データの加工
3. データの分析
4. アクションプランの策定と実行
5. 効果測定

この流れは、業務改善の基本的なマネジメントフローである「PDCAサイクル」がベースになっています。

1. データの収集

まず1つ目の「データの収集」とは、組織内のデータを収集する作業です。すでに蓄積されたデータを収集し、その後の精査を経て、必要なものを取捨選択したり、バラバラのデータを統合したりします。ただ、組織内に複数の部署や事業部がある場合には、データを管理しているシステムがバラバラな場合が一般的です。その際には、CDPなどのデータ統合ツールの導入によってデータを統合し、作業の効率化を図りましょう。収集して蓄積しておくべき具体的なデータは、業種や業態によって異なりますが、通常の組織であれば基幹システムや業務システムなどが主な情報源になることが多いです。EC事業社であればカートシステムのデータ等も挙げられます。

また、データドリブンマーケティングを行うにあたって必要なデータがそもそも社内に収集できていないケースもあります。例えば、「サイトにタグを埋め込んでおらずアクセスログが取れていない」、「店舗ビジネスにおいて、個人に紐づける形で店舗での購買データを取得できていない」といった初歩的なものから、「ビーコンやアプリを活用した顧客の来店データ」というようなテクノロジーの進化に伴って取得できるようになったデータ等様々です。これらのデータが取得できていない場合は、データを取得できる環境を構築するところからスタートする必要があります。

2. データの加工

2つ目の「データの加工」とは、収集されたデータを分析可能な形に加工する作業です。一般的に、システム内に蓄積されているデータは、そのまま利用できる形にはなっていません。システムによってデータの形式や、データの型、ソフトウェアのバージョン等の違いがあるため、データを統合する際に各システムのデータを加工して統一する必要があります。

3. データの分析

3つ目の「データの分析」は、収集したデータを分析して示唆を導き出したり、わかりやすい形に数値やグラフ、レポート化する作業です。データドリブンマーケティングを推進する際には一番重要なプロセスです。この分析作業には専門的なスキルが必要とされる場合が多く、一般に「データサイエンティスト」や「データアナリスト」と呼ばれる、ICT系のスキルとマーケティングに関する知識の両方に精通している人材に依頼することになります。具体的には、データベース運用、統計的知識、分析ノウハウを熟知し、かつ分析すべき業務内容に応じたビジネスでのマネタイズの構造、及び幅広いマーケティングの知識が要求されます。このような人材を自らの組織で育成するのが難しければ、外部に委託することになるでしょう。

4. アクションプランの策定と実行

4つ目の「アクションプランの策定と実行」は、データを分析して導き出された示唆を元に、マーケティング施策を実行していく作業です。

例えば、EC事業において「パンツを購入したユーザーはF2転換率が低い」「パンツを購入したユーザーはトップスの併売率が高い」という示唆が得られたとします。その場合、パンツを購入したユーザーに対して「売れ筋No.1のトップス」や「購入したパンツに合うおすすめトップス」の案内をするというような施策が効果的な可能性があります。このように、分析から得られた示唆を元にアクションを実行していきます。

5. 効果測定

最後に行うプロセスが「効果測定」です。アクション実施によるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を適切に設定しておき、進捗状況を把握して、アクションの結果分析し、問題があればアクションプランを練り直します。

▼▼▼ 年間取引高1,000億円を見据える”データドリブン”な組織づくり事例公開中 ▼▼▼

1-2. データドリブンではないマーケティングとの違い

従来のマーケティングでは、マーケターの勘や経験に依存することが一般的で、ビジネスセンスが良く、直感が優れたマーケターが担当することで大きな効果が得られると考えられてきました。しかし、この方法は属人性が高く、チームで業務遂行する際には不向きです。また、いくら経験値があり、センスが良いマーケターでも、現代のように変化の激しい時代においては、蓄積してきた経験も時代錯誤なものになっている可能性もあります。

一方で、データドリブンマーケティングは、定量的かつ客観的なデータを元に現実を捉えます。最終的なアクションプランはマーケターの判断で作成されるとしても、その判断材料に最大限の客観性を持たせようとするところが、データドリブンではないマーケティング手法と大きく異なる点です。

1-3. データドリブンマーケティングが必要な理由/背景

データドリブンマーケティングは、主に3つの理由や背景から必要性が増しています。

マーケットにおけるデジタル環境の進展

1つ目は、マーケットにおけるデジタル環境の進展です。インターネットの普及に伴い、商品やサービスの購入までのプロセスが激変しました。従来の路面店や百貨店などのリアルな環境に加えて、ECサイトやアプリなどのデジタル環境が加わっています。市場規模的にはデジタル環境のほうが拡大傾向にあり、マーケティングもこの流れに対応する必要があります。デジタル環境では、さまざまな情報がデジタルデータとして流通/蓄積されるため、データドリブンマーケティングには最適といえます。

顧客の購買行動の多様化

2つ目は、顧客の購買行動の多様化です。現代のマーケティングは、デジタル世代の顧客の購買行動に合わせた戦略を考える必要があります。Webサイトや検索エンジンで公式な商品情報を収集し、SNSを駆使して入手した口コミ情報と照らし合わせて、ECサイトで購入するというような購買行動が一般的になり、それによって膨大な顧客データが生成されます。さまざまなマーケティング手法の中でも、このようなビッグデータの扱いに最も親和性が高いものがデータドリブンマーケティングといえます。

コストパフォーマンスの明確化

3つ目は、コストパフォーマンスの明確化です。従来のマーケティング手法はテレビCMや新聞広告などのマスマーケティングが一般的でした。しかし、デジタル環境の進展により顧客の行動データが取得可能になり、マーケティング施策ごとの効果を可視化することができるようになりました。それに伴い、施策ごとの効果を比較しながら、よりコストパフォーマンスの高い施策に注力していくようなPDCAサイクルを回すことが一般的になっています。このようなニーズもデータドリブンマーケティングにより解決することが可能です。

2. 企業がデータドリブンマーケティングの導入に失敗するケース

取り入れる事ができれば成果を生み出す可能性の高いデータドリブンマーケティングですが、実際にはうまく推進できないケースもあるようです。これには、大きく2つの原因が考えられます。

1つ目は、目的が不明確なまま導入してしまったケースです。自社が抱えている課題の把握と、その解決として求められている状態が曖昧なままで、データを収集・分析しても有益な情報は得られません。膨大なデータを収集・分析する「軸」がないままでは、市場にその企業の商品やサービスを浸透させるための効果的な解は見えてきません。改めてKPIの確認/設定などを行い、実現したいことを検討しなおす必要があります。

2つ目は、アクションプラン策定スキルのある人材が不足しているケースです。「データの収集」「データの可視化」「データの分析」までは、さまざまなツールを活用したり、”データサイエンティスト”や”データアナリスト”の手を借りれば進めることができます。しかし、このあとの「アクションプランの策定と実行」においては、よりクリエイティブな対応が求められます。自社の商品やサービスの特性を理解し、また、市場の成長する方向を予測し、企業理念に合わせたマーケティング施策を立案できるスキルが必要になります。データドリブンマーケティングの効果を最大限に発揮するためには、部長クラスなど相応の役職の担当者の配置を検討すべきでしょう。

▼▼▼ データ分析工数を大幅削減し、「データドリブン経営」を実現した事例公開中 ▼▼▼

 

3. データドリブンマーケティング成功における課題とポイント

データドリブンマーケティングを成功させるにあたって最も重要なポイントは、「いかにデータの量と質を担保できるか」です。当たり前ですが、データドリブンマーケティングを推進し、成果につなげるには元になる「データ」が非常に重要になります。

ECサイトのアクセスログや購買データ、顧客データだけでなく、店舗やアプリ等の複数チャネルのデータや、店舗に関するデータでも「来店データ」のようなより細やかなデータを取得していたほうが、分析と施策の効果を最大化することができます。このように、いかに多くのデータを取得するかは非常に重要です。

また、蓄積しているデータの質も非常に重要です。EXCEL等でデータを手入力している場合、転記ミスがあると正しくデータを使うことができません。他にも、メールアドレスが古いものになっておりメールを送ることができないというような鮮度の観点もあります。データを正しく、キレイに蓄積し続けるための環境を構築することも非常に重要になります。

4. データドリブンマーケティングを強化するツール

データドリブンマーケティングで扱うデータを抽出するにはさまざまなツールが用意されています。主なものを紹介します。

CDPツール

カスタマーデータプラットフォームの略で、様々なデータを統合する機能を持っています。社内で蓄積した顧客データや購買データ、webサイトなどで収集したアクセスログデータ等を統合して、分析や施策に活かします。

MAツール

マーケティングオートメーションの略で、セグメントやシナリオを事前に設定することで、顧客一人ひとりに最適なチャネル/コンテンツ/タイミングで自動的にアプローチを実施します。

BIツール

ビジネスインテリジェンスの略で、CDPツール等で統合したデータを分析したり、レポートやグラフ化をするためのツールです。一般的にはデータの統合をする機能は持っていないので、CDPツールとセットで導入することをおすすめします。

web接客ツール

サイト上にポップアップやチャットを表示するためのツールです。CVRの向上等、新規顧客の獲得に用いられることが多いですが、アクセスログと顧客データを紐づけることができれば、データを元に表示を出し分けることも可能です。

5. データドリブンマーケティングを強化するツールの選び方

データドリブンマーケティングに用いる各種ツールは、「データの収集」「データの可視化」「データの分析」「アクションプランの作成と実行」「効果測定」の各段階での作業を効率化するために特化された機能を持っています。そのため、アクションプランによって実現したい目標に合わせて取捨選択すると良いでしょう。まずは全社的なマーケティングの目標を明確にしてから導入を検討しないと、利用価値のないデータの分析結果が羅列されることになるので注意が必要です

6. データドリブンマーケティングの成功事例

データドリブンマーケティングの成功事例としては、ファッションビルの運営で知られる株式会社パルコが挙げられます。パルコは2010年代中期にデータドリブンマーケティングに取り組み始めて、実店舗とECの両者から得られる顧客データを活用しています。顧客サービスのクオリティーを向上させることで、店舗とECの相互送客や実店舗内の回遊率の改善により、収益の向上を実現しています

7. まとめ

データドリブンマーケティングについて、基礎概念から具体的な作業フロー、各種ツールなどについて詳細に確認してきました。データをもとにした客観的な判断の基礎を得ることができるのがデータドリブンの利点ですが、それを活かすのはマネジメントレベルの目的意識です。あふれるデータに翻弄されないためには、目的を明確にすることが重要です。

Editor Profile

  • Marketics 編集部

    ユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、 ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォーム「b→dash」が運営する マーケティングメディア「Marketics」の編集部。インタビュー記事やノウハウ記事を定期的に発信しています。

Category
Tag

弊社が提供しているマーケティングツール『b→dash』は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析する ことが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。