商品/サービスのコモディティ化のスピードが劇的に速くなっている現代においては、並み居る競合他社を退け、顧客に自社の商品/サービスを選んでもらうための工夫をしなければ、企業間競争に勝つことはできません。その手助けのひとつとなるのが「CDP」と呼ばれるプラットフォームです。本記事では、CDPと比較されることが多い「DMP」をはじめとした、さまざまなプラットフォームとの違い、おすすめのCDPのベンダー/ツールなどについてご紹介します。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、業界初のテクノロジー『DataPalette』によりSQLを使わずに、基幹システムや様々なアプリケーション内のデータを簡単に取込/連携が出来るCDP機能を搭載したツールとなっています。
1. CDPの特長 / CDPの登場によるマーケティングの変化
CDPの正式名称は「Customer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム)」と言い、顧客一人ひとりの詳細なデータを収集/統合することが可能で、そのデータをもとに精緻な施策や分析に活かすことができます。データの収集元は自社の基幹システムやサイト、カートシステムなど多岐にわたり、氏名や住所などの個人情報、アクセスログや購入/閲覧履歴、販売している商品情報など様々です。複数のシステム/ツールから収集したデータなので、1つのシステム/ツールから収集したデータを活用するよりも、より精緻な分析や施策実施が可能となります。
CDPについては以下の記事で詳しく説明していますので、合わせてご一読ください。
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2. CDPと他ツールとの違い
CDP以外にも、顧客情報の収集/蓄積を行うことができるツールがあります。たとえば、DMPやMA、DWH、CRMが挙げられるでしょう。こちらではCDPと各ツールの違いについて比較します。
2-1. CDPとDMPとの違い
CDPと比較されることが多いものに「DMP」があります。DMPは「Data Management Platform(データマネジメントプラットフォーム)」の略で、自社サイトのほか、他社サイトなどの情報を個人を特定しない形で収集するものです。DMPにはパブリックDMP(オープンDMP)とプライベートDMPがあります。
2-1-1. パブリックDMPとの違い
パブリックDMPはオープンDMPとも呼ばれています。こちらは他社が運営するサイトの情報を収集することが可能です。パブリックDMPで取得可能なデータは、3rd Party(サードパーティ)データと呼ばれる匿名の顧客データで、Cookie、デバイス、IPアドレスなどのデータで構成されています。そのため、個人を特定した情報収集は難しいという特徴があり、その点がCDPと全く違う点です。具体的に取得可能なデータとしては、他社サイトの閲覧履歴、年齢や性別、検索エンジン上での検索履歴などが挙げられます。
不特定多数の情報を収集/分析するため、特に新規顧客を獲得したいときに広告運用などに活用するケースが多いです。
2-1-2. プライベートDMPとの違い
プライベートDMPはパブリックDMP(オープンDMP)と違い、自社で収集したデータを収集/蓄積するプラットフォームです。その点、CDPとプライベートDMPはほぼ同義と言われています。
しかし、強いて違いを挙げるとすれば、分析できる単位が異なります。CDPは、各顧客の情報にデータが紐づけられているため、過去の購買/行動履歴をもとに顧客単位での1 to 1の施策や分析が可能です。一方で、プライベートDMPは、属性単位でデータを扱うことが一般的で、特定のカテゴリに当てはまる顧客を対象に施策を打つというような、広告配信での活用等に適しています。
2-2. CDPとMAとの違い
MA(マーケティングオートメーション)は、前もって決めた条件(シナリオ)に応じてメールなどの「施策を行うためのツール」です。そのため、データを収集/蓄積するCDPとは導入/活用の目的が全く異なります。メールの配信履歴、メールの開封/クリック/フォームの入力などの施策を実施する上で取得可能なデータは蓄積可能ですが、それ以外のデータを蓄積することは不可能です。そのため、CDPとMAを同時に導入し、CDPで蓄積されたデータをMAに連携して、セグメントの細かい施策を実施するという活用方法が一般的です。
2-3. CDPとDWHとの違い
DWHは「Data Ware House(データウェアハウス)」の頭文字をとったもので、さまざまな情報を収集し、それを時系列順に管理/蓄積することができます。主な役割はデータ収集したものを統合することなので、顧客情報の一元化が可能です。その点においてはCDPに非常に近いですが、あくまでも情報の統合/蓄積のみが目的のツールです。そのため、DWHに格納されたデータを分析するにはSQLなどの知識が必要だったり、MAなどのツールとの連携は不可能です。
一方で、CDPは、MAやBI、web接客などの活用ツールに連携することが可能なため、収集/蓄積だけでなく活用を前提としたツールと言えます。
2-4. CDPとCRMとの違い
CRMは「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の略で、自社の既存顧客の情報収集を行い、的確な情報提供や商品/サービスの開発などに活用されます。CDPは既存顧客に限らず、見込み顧客を含めた幅広い情報を取り扱うため、この点が異なります。また、CRMはツールとしてではなく、顧客関係を管理する手法を指す場合もあります。
また、機能面については、CRMは特にメール配信機能に特化していますが、ほかのさまざまなツールと連携することは得意としていません。CDPはあらかじめほかのツールと連携することを考慮した設計になっています。どのように活用したいのかにもよりますが、幅広い顧客の情報を取り扱うのであればCDPのほうが便利でしょう。
3. CDPベンダー/ツールを選ぶ観点
CDPベンダー/ツールを選ぶ際には、それぞれの特徴を比較したうえで自社に合ったものを選びましょう。自社に合ったCDPツールを選定するために、どのようなポイントを押さえておく必要があるのかについて解説します。
導入後のマーケティング全体の設計まで提案してもらえるか
CDPの導入には、緻密な設計が不可欠です。CDPによる効果を最大化するためには、あらかじめ従来のマーケティング戦略を見直したうえで、データに基づいたマーケティング戦略を立て直す必要があります。自社にデジタルマーケティングの知見をもったリソースがいる場合は、専任者を中心に設計を進めます。
しかし、自社に必要なリソースが不足している場合は、全体の設計からサポートしてくれるベンダーを選ぶことが重要です。自社に合ったベンダーを選ぶためには、複数のベンダーのサポート内容を比較検討しましょう。
導入時だけでなく運用時に必要な支援をしてもらえるか
CDPでデータを統合しても、成果につなげるための分析や施策が具体的にわからなければ、CDPを導入しても有効活用できません。自社にCDPを活用するために必要なノウハウが不足している場合は、CDPの運用方法などのノウハウを提供してくれるベンダーを選びましょう。
また、マーケティング担当者など、CDPを活用する社員に対しても、講習などを実施して運用方法を教える必要もあります。さらに、CDPの運用ノウハウだけでなく、デジタルマーケティングやデータドリブンマーケティングにも精通しているベンダーを選ぶことも大切です。
ただし、すべてのベンダーがマーケティング戦略に長けているとは限りません。必要に応じて、デジタルマーケティング戦略などを得意とする別のコンサルタントなどに依頼するようにしましょう。
PDCAを回すための機能やノウハウがあるか確認する
CDPをスムーズに運用するためには、PDCAを迅速に回していく必要があります。そのためには、データの収集や統合といった機能だけでなく、収集・統合したデータを自動的に分析するなどの機能が搭載されていることが重要です。データの分析機能を活用できれば、効率よくデータ分析が可能になり、PDCAもスピーディーに回せるようになります。
複数のベンダーのなかから自社に合ったベンダーを選ぶためには、PDCAを迅速に回すための機能があることに加え、必要なノウハウや具体的な活用方法などの情報を提供してもらえるかどうかを確認しておきましょう。
カスタマーサクセス部署などがあるか確認する
ベンダーを選定するうえで、サポート体制が充実していることを確認する必要があります。とくに、カスタマーサクセス部署があるかどうかが重要です。カスタマーサクセス部署とは、CDPを運用する企業に対し、CDP導入支援や運用サポートなどを総合的に支援するための部署です。
CDPの導入・運用において、自社に必要なノウハウやリソースがない場合は、カスタマーサクセス部署による総合的なサポートを提供しているベンダーを選ぶようにしましょう。ベンダーのなかには、デジタルマーケティング戦略などを得意とするコンサルティングを提供している会社もあります。
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、業界初のテクノロジー『DataPalette』によりSQLを使わずに、基幹システムや様々なアプリケーション内のデータを簡単に取込/連携が出来るCDP機能を搭載したツールとなっています。
4. おすすめのCDPベンダー/ツール
こちらでは、おすすめのCDPベンダー/ツールを紹介します。
1. INTEGRAL-CORE / 株式会社EVERRISE
「INTEGRAL-CORE」ははさまざまな顧客情報をリアルタイムで統合することができる「リアルタイム性」が特徴です。情報収集は常にリアルタイムで行っているので、いつでも新しい情報を知ることができます。そのため、狙い通りの相手に、最適なチャネルで、最適なタイミングで、正しいメッセージを送ることが可能です。マルチテナント機能があるため、自社だけではなく、グループ会社と連携しての導入をするのも良いでしょう。
2. Tealium Universal Data Hub / Tealium Japan株式会社
「Tealium Universal Data Hub」もさまざまな顧客情報をリアルタイムで統合することができる「リアルタイム性」が特徴です。情報量が多く、頻繁に更新されているサイトや競合他社が多い企業などに向いているものになっています。活用の場としては期間限定で混雑するようなサイトや予約サイトなどが挙げられるでしょう。
3. Treasure Data CDP / トレジャーデータ株式会社
「Treasure Data CDP」は大量データの処理や、外部システム/ツールとの連携しやすい点が特徴です。グローバルで導入されているCDPで、国内外で多くの導入実績があります。大量で複雑なデータ処理にも対応でき、利用状況によっては価格が高めになることもありますが、外部システム/ツールとの連携コネクタも豊富で、柔軟な実装が可能です。
4. b→dash / 株式会社データX
「b→dash」はCDP以外のツール機能の豊富さが特徴です。一般的に、CDPはMAやBI、web接客などの外部ツールを導入/連携しないと施策や分析を実施できないですが、b→dashはデータマーケティングに必要な機能を網羅しているので、複数ツールを導入して連携する必要がなく、b→dash1つでデータの収集/蓄積から活用が可能です。また、一般的にはCDP内のデータを扱ったり、ツール連携するにはSQLが必要ですが、b→dashはSQLが不要でノーコードでデータの準備から活用が可能でと言う点も、他のCDPツールと大きく異なる点です。
ここまで4つのおすすめCDPベンダー/ツールをご紹介しましたが、自社に適したベンダー/ツールを選ぶためのポイントを下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。
5. CDPツールがうまく機能しないケース
CDPツール選びで失敗してしまい、成果につながらず、コストだけがかかってしまっている企業も少なくありません。本章では、よくあるCDP導入の失敗事例を紹介します。
導入の目的が不明瞭
CDPを導入する際には、なぜ導入したいのかを明確にしておく必要があります。ここが明確でない状態でツール導入をしても、CDPはデータ保管ツールとしての役割を果たすのみで終わってしまいます。CDPは顧客情報を収集し、分析/活用ができる優れたプラットフォームなので、それを活かさない手はありません。導入する目的には、顧客単価の増加、新規顧客の獲得、自社商品/サービスの改善などが挙げられます。
運用イメージがないまま導入を決定
CDPツールを活用する場合、SQL(Structured Query Language)と呼ばれるプログラミング言語を用いることが一般的です。社内のエンジニアや社外のSIerなど、扱える人材は限られているので、誰が作業を行うかを事前に決めておく必要があります。一般的に、社内エンジニアのリソースは限られている事が多く、CDPの構築に割ける時間は限られていたり、社外のSIerに発注すると膨大な費用が発生してしまうことが多いので注意が必要です。
また、導入が完了したとしても、これまで連携していなかった社内のデータを新しく連携したい場合や、MAなどのツールを新しく導入してCDPと連携したい場合にもSQLを使った作業が必要になるので、運用まで見据えた体制構築をする必要があります。
最近では、SQLを不要にして、ノーコードでデータの連携や統合ができるツールもあるので、マーケティング部門のみで作業を完結できるケースもあります。
他部署との連携不足
単独部署のみで導入を完結してしまうことも、失敗の可能性が高まる原因のひとつです。CDPは自社の顧客に関する情報すべてを一元化するため、導入目的に応じてさまざまな部署が協力し合って導入する必要があります。特定部署のみが行うだけでは不十分なので、かかわる部署からメンバーを選出し、プロジェクトチームを作って対応していくのが望ましいです。さらに、必要に応じて外部ベンダーにも相談できる体制があると良いでしょう。
ベンダーのサポート体制が不十分
CDPを導入したものの、ベンダーによる運用/活用サポート体制がないために、スムーズに運用できないというケースも多いです。CDPツールの操作方法はサポートしてくれても、どのようにマーケティング施策に活用するのかまでは支援してくれないケースもあります。蓄積したデータをマーケティングにどう活用するのかノウハウがなければ、適切なPDCAを回せず投資対効果も得られません。投資対効果が得られないために、解約に至るといったケースもあります。
目標やスケジュールが不明確
投資対効果だけを追い求めるあまり、活用範囲や期間、予算などを広く・大きく設定してしまい、結果としてCDP導入の投資対効果が見えづらくなり、早期に運用を諦めてしまうケースもあります。将来的な活用も見据え全体設計を考えることはもちろん重要ですが、CDP導入後に成果を明確にしたい場合には、まず確実にアクション可能な目標の設定と実行計画が重要です。
CDPを活用することで、課題を解決した実際の事例について下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。
6. まとめ
さまざまな顧客情報を収集するツールはありますが、幅広い情報を収集/統合し、施策や分析にまで活かすことができるCDPはより1 to 1マーケティングを実現するうえで必要不可欠なツールです。さまざまなCDPツールがあるので、自社の目的に合ったものを選びましょう。
[参考記事]
・CDPとDMP,MAの違いは?
・CDP構築・導入で失敗しない!主な流れと手順・注意点
・マーケティングツールとは?
・CDPとは?
弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。
●目次
1. CDPの特長 / CDPの登場によるマーケティングの変化
2. CDPと他ツールとの違い
3. CDPベンダー/ツールを選ぶ観点
4. おすすめのCDPベンダー/ツール
5. CDPツールがうまく機能しないケース
6. まとめ