平成が終わり令和に突入した2019年上期。今年もマーケティング領域に関する様々なニュースが飛び交いました。マーケターにとって、最新の市場動向の把握は自社の事業の明暗を左右する重要事項です。
そこで、本記事では2019年の上期に起こったデジタルマーケティングに関するニュースTOP5をご紹介します。2019年上期に起こったニュースを振り返り、下期に向けて確固たるマーケティングを実現するための足がかりになれば幸いです。

5位 インバウンドを上回る。止まらない越境ECの加熱!

今「越境EC」が加熱しています。「越境EC」とは海外の消費者がインターネットを通じて他国の商品を購入する形態のECを指します。良く耳にする「インバウンド」と異なるのは、インターネット上でモノやサービスを売買する、いわゆるECであるという点です。

越境ECは2014年時点でインバウンドよりも市場規模は大きく、日本の越境ECにおける消費の大半を占める中国人が購入した商品の合計金額は6,064億円なのに対し、同じ年の中国人によるインバウンドの購入金額は4,020億円と、5年前から大きく上回っています。スマートデバイスの普及や訪日外国人のリピートによる影響が大きく、時代のトレンドを押さえたサービスとなっています。

そんな越境ECですが、市場規模は2018年度で約74兆円なのに対し、2020年には109兆円になるとも予測されており、対前年20%以上の成長見込みという高い期待もされています。

特に中国では、2019年の1月に施行された「電商法」という新制度により、ECにおいて非正規の商品を販売していた個人バイヤーが厳しく取り締まられています。正規ルートで商品を販売している日本企業にとっては、まさに今が越境EC参入の好機と言えるでしょう。

さらに、EUにおいても2月に発効されたEPA(日本・EU経済連携協定)により日本酒にかかる関税が撤廃され、さらなる市場の拡大が期待されています。市場としての人気もさながら、政策面でも優遇された越境ECですが、ECであることには変わりありません。顧客を獲得し、いかに心を掴めるかが大きな鍵です。得られたデータを活用し、一人一人に適切な対応を行う「One to One マーケティング」こそ激化する越境ECの勝ち筋でしょう。

4位 顕在層へのアプローチ強化。「動的ディスプレイ広告」がリリース!

2019年2月、Yahoo!ディスプレイアドネットワークが「動的ディスプレイ広告(Dynamic Ads for Display)」をリリースしました。動的ディスプレイ広告とは、インターネットユーザーの行動履歴に基づき、ユーザーごとの興味関心に合った商品の特徴を拾い上げ、クリエイティブを自動生成して配信するサービスのことです。

従来のリターゲティング広告と大きく異なるのは、行動履歴に応じて自動でクリエイティブをパーソナライズ化できる点です。これにより、ユーザーの好みや興味関心に合った商品の広告配信が可能になります。

加えて、成果の面でも大きく進歩しています。従来のリターゲティング広告と比べ、クリック率はPCで約5倍(スマートフォンで約2倍)、コンバージョン率はPCで約4倍(スマートフォンで約2倍)と、パフォーマンスが大きく改善し、高い効果が実証されています。

このように顕在層へのアプローチの大幅改善が期待される「動的ディスプレイ広告」。仕組みを良く把握し、更なる売上の向上を実現することがマーケターに期待されています。

3位 激化するキャッシュレス競争!キャッシュレス社会はもう目前?

昨年度飛躍的に発展したキャッシュレス決済ですが、その勢いは今なお続いています。昨今ではPayPay、LINE Pay、Amazon Payと圧倒的に多様化しており、100億円キャンペーンのような大規模なキャンペーンも話題を集めています。そんなキャッシュレス決済ですが、10月の増税を控え、更なる普及が見込まれそうです。

経済産業省とキャッシュレス推進協議会では、2019年度から「キャッシュレス・消費者還元事業」を行っており、消費税率引上げ後の9カ月間、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する方策を打つとのことです。この取り組みにより、消費者はもちろん、店舗におけるキャッシュレス決済の導入が加速していくと予想されます。

また、総務省主導でQRコードでの決済の統一規格の導入も進んでおり、8月1日からは一部地域において試験導入も実施されます。

ますます使いやすくなるキャッシュレス決済。現金決済では把握できなかった「誰が、いつ、どこで、いくら買ったか」という情報をデジタルデータとして蓄積できると言われており、決済データの分析によって、消費者の興味や嗜好に合わせた、より精度の高いマーケティングができるようになります。キャッシュレス社会の到来によりマーケティングも大きく変わる日が近いかもしれません。

2位 おじいちゃんでも6割スマホ?デジタルコンテンツが生活に欠かせないものに

スマートフォンの普及に象徴されるように、日本社会においてモバイルデバイスの存在は必要不可欠になっています。2019年1月に行われたアドビの調査では、「外出の際にデバイスが必要だ」と、全世代80%以上の人が回答しています。これは若い世代はもちろんのこと、スマートフォンに代表されるデバイスがシニア層にまで浸透している証拠と言えます。

2019年5月に博報堂DYメディアパートナーズが発表した調査によると、60代の6割強がスマートフォンを所持していると言います。また、アドビの調査では「ユーザはWebサイトとアプリのどちらを好むか」という調査も行っており、40%のユーザーがアプリの方を好むという調査結果も出ました。

これらの調査からもわかるように、現在モバイルは私達の生活の一部として強い存在感を示しています。マーケティング活動を進める際にも、モバイルの存在は無視できず、モバイルを基軸にした戦略を持っている企業が競争に勝っていくことが予想されます。

モバイルが発達した今だからこそ、顧客の位置情報やアプリの使用履歴などの行動をリアルタイムに察知し、適切なサービスをレコメンデーションすることが出来るようになりました。時代の流れに乗り、柔軟なマーケティング戦略を実行する力が求められています。

1位 動画メディアが群雄割拠、変化する消費者と広告

いつでもどこでも誰もが動画を楽しめる時代が到来しています。YouTubeはもちろんのこと、InstagramをはじめSNSでも動画が多く投稿されるようになり、いよいよ動画が生活の中に定着した時代になりました。

今やデジタルマーケティングにおいても、動画メディアは重要なポジションを確立するようになっています。サイバーエージェントが2018年11月に発表した動画広告市場の予測によると、2018年から2019年にかけてスマートフォンの動画広告の市場規模は130%増加する見通しであり、2024年には5,000億円近い市場規模に拡大すると予測されています。

また、通信料の低価格化や高機能のスマートフォンの開発が進んでおり、2019年は5G回線の導入もされるため、動画視聴の市場は飛躍的に拡大し発展していくでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。激動するマーケティング領域に2019年下期も目が離せません。本記事だけでなく、トレンドの最先端やテクノロジーの発展に幅広く目を向け、貴社のマーケティングが益々強固になることを願っております。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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