近年ビッグデータによるマーケティングが話題になっており、「SQL」という言葉を見聞きする機会が増えているのではないでしょうか。「SQL」は、データベースを操作する上で最も重要なデータベース言語として広く認識されており、大量のデータを扱う上では必須の言語となっています。本記事では、これまでの歴史や特徴を交えながらデータベース言語であるSQLについて解説します。

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1. SQLとは?

SQLは「Structured Query Language」を略したものです。Languageは言語を表す英単語ですが、SQLとはリレーショナルデータベースのデータを操作するためのデータベース言語のひとつです

1-1. SQLの歴史

SQLの起源は、IBM社のエドガー・F・コッド(Edgar F. Codd)が1970年代初頭に提唱したリレーショナルデータベース理論に遡ります。彼が提唱した理論に基づいて、IBM社はRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)であるSystem Rを開発しました。その操作を行うSEQUEL(Structured English Query Language)が、現在のSQLのベースとなっています。 その後、商標登録の際に名称が重複していたため、1979年にSQLに改称されたことで、現在の呼称であるSQLが定着するようになりました。

1-2. SQLの規格化について

SQLは、ISO(国際標準化機構)によって規格化されています。そのため、Oracle DatabaseやMySQLなど、多くのRDBMSで同じSQLを使用してデータベースを操作することが可能となっています。規格化される以前は、異なるデータベース製品間でSQLの構文や機能に大小の違いがあり、開発者や管理者は異なるデータベース製品で作業をする際にそれぞれのSQLの違いを理解する必要がありました。しかし、SQLがANSIおよびISOで標準化されたことで、この問題は解決され、業界全体での共通言語としてのSQLが確立しました。

2.SQLを含むデータベース言語とプログラミング言語の違い

ここでは、SQLを含むデータベース言語とプログラミング言語の違いについて解説します。 SQLを理解する上でまずはSQLが属するデータベース言語について理解しておく必要があります。データベース言語とプログラミング言語の違いについて、それぞれどのような特徴なのか理解していきましょう。

2-1. データベース言語の特徴

データベース言語とは、DBMS(データベース管理システム)に求める処理を命令する制御言語で、宣言型言語(非手続き型言語)と呼ばれています。開発者は、DBMSにどのような操作を実行するかを指定(宣言)することで、DBMSに実行させることができます。主にデータの操作や検索に特化しており、システムやアプリケーションを開発することはできないという特徴があります。

2-2. プログラミング言語の特徴

プログラミング言語とは、アプリケーションやシステムなどのプログラムの本体を作る際に用いる言語で、手続き型言語やオブジェクト指向言語など様々なジャンルに分けられます。手続き型言語だとC言語、オブジェクト指向言語ではJavaやPythonなどが代表的な言語として挙げられ、数千種類とも言われる言語が存在しています。データベース言語とは異なり、データ処理やアルゴリズムの実装など様々な機能を有しているという特徴があります。

3. SQLを構成する言語の種類

次に、SQLを構成する3つの言語について解説します。

3-1. DDL

1つ目はDDLです。DDLとは、データ定義言語(Data Definition Language)の略で、RDBMSで扱うオブジェクト(データベースやテーブル)の構造や、オブジェクト同士の関係などのデータベース構造を定義するための言語です。DDLの主な命令文には、CREATE(新しいオブジェクトの定義)やALTER(既存のオブジェクトの定義の変更)などがあります。DDL命令文を実行することで、RDBMS内のオブジェクトを作成、変更、削除することが可能になります。

3-2.DML

2つ目はDMLです。DMLとは、データ操作言語(Data Manipulation Language)の略で、RDBMS内のデータを操作するための言語です。DMLの主な命令文には、SELECT(データベースからデータを検索)やDELETE(データベース内の行の削除)などがあります。DML命令文を実行することで、RDBMS内の操作を処理し、データの整合性を維持することが可能になります。

3-3. DCL

3つ目はDCLです。DCLとは、データ制御言語(Data Control Language)の略で、RDBMS内のデータへのアクセスや操作を制限するための言語です。DCLの主な命令文には、GRANT(ユーザーに対する権限の付与)やREVOKE(トランザクションの開始)があります。DCL命令文を実行することで、データベースのセキュリティポリシーやアクセス制御を設定し、不正なアクセスや操作を防ぐことが可能になります。

4. SQLの主な特徴

こちらでは、SQLの3つの特徴について紹介しています。
具体的にどのような特徴があるのか見ていきましょう。

4-1. 一方的に命令するだけ

プログラミング言語はソースコードに命令を順番に記述して実行しますが、SQLはシンプルな命令文を一方的にデータベースに送ることで命令を行います。基本的には1文の命令文で完結し、複雑な処理の場合は、返ってきた処理から得られた結果に応じてまた命令を送るというようにやりとりを行います。

4-2. データベースの操作方法が2つある

データベースの操作方法は2つあります。
1つ目は、対話型です。ユーザーがコマンドラインに直接SQLの命令文を入力することでデータベースを操作することができます。命令を入力する→命令した処理の結果が表示される→次の命令を送る、というやりとりを繰り返すため、対話型と呼ばれています。

2つ目は、埋め込み型です。名前のとおり、SQL文をJavaなどのプログラミング言語で記述したソースコードに直接埋め込むことで、動的にデータベースを操作することができます。データベースからデータを確認する場合は対話型を使う、アプリケーション内でデータベースと連携を行う場合は埋め込み型を使うというように、状況に応じて使い分けていきましょう。

4-3. SQL単体ではアプリケーションを作れない

SQL単体ではアプリケーションを作ることはできません。しかし、SQLはデータベースの操作に特化しているため、他のプログラミング言語と組み合わせて使うことで、データベースを操作するアプリケーションヤジステムを開発することが可能になります。SQLアプリケーションからデータベースを利用したい場合は、アプリケーションにSQLの命令文を記述します。RDBMSを操作して返ってきた値をアプリケーションで利用し、さらに処理を繰り返し行います。

5. SQLの重要性や今後の展望

コンピューターを使用する際には、多くの場面でデータベースへのアクセスが必要です。特に、近年はビッグデータによるマーケティングが注目されていますが、ビッグデータ処理プラットフォームやツールではSQLを使用することが一般的です。SQLの歴史は長く、原型が確立されてから40年以上も経ちましたが、今後もデータベース技術やSQLに対する需要が減少することは考えにくく、むしろデータ駆動型のビジネス環境がさらに普及するにつれ、SQLの重要性はさらに高まるでしょう。

6. SQLの基本操作

最後に、代表的なSQLであるMySQLを例に、SQLの基本的な操作について、データの検索やデータの追加など4つの操作を紹介します。

6-1. データの検索

データの検索に使用する構文/サンプルコードは下記になります。

構文:
SELECT [列名1], [列名2], … FROM [テーブル名] WHERE [抽出条件];

サンプルコード:
SELECT 商品名 FROM 商品 WHERE 値段 >= 2000;

このコードでは、商品データというテーブルから、値段が2,000円以上の商品名を検索します。

6-2. データの追加

データの追加に使用する構文/サンプルコードは下記になります。

構文:
INSERT INTO [テーブル名]( [列名1], [列名2], ……)
VALUES( [値1], [値2], ……);

サンプルコード:
INSERT INTO 商品(ID, 商品名, 値段) VALUES (001, “商品A”, 3000);

このコードでは、商品テーブルに、IDが001、商品名が商品A、値段が3,000円の新たな行が追加されます。

6-3. データの更新

データの更新に使用する構文/サンプルコードは下記になります。

構文:
UPDATE [テーブル名] SET [更新処理] WHERE [条件式]

サンプルコード:
UPDATE 商品 SET 値段 = 4000 WHERE 商品名 = “商品A”;

このコードでは、商品テーブル内の商品名が商品Aである行の値段が4,000円に更新されます。

6-4. データの削除

データの削除に使用する構文/サンプルコードは下記になります。

構文:
DELETE FROM [テーブル名] WHERE [条件式]

サンプルコード:
DELETE FROM 商品 WHERE ID = 001;

このコードでは、商品テーブル内のIDが001の行が削除されます。

7. まとめ

本記事ではSQLの特徴や操作について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。近年では、政府が超スマート社会を目標に掲げるなど、ビッグデータの活用はますます重要になっています。ビッグデータの活用を得意とするNo SQLやNew SQLなども登場していますが、依然としてSQLの重要度は高く、データベースを操作するうえでは必ず使用する場面が出てきます。

またそのような中で、b→dashでは、SQLを使用せずに、ノーコードでデータの取込/加工/統合/抽出/活用ができるため、SQLに関するナレッジが不足している方にもおすすめのツールになっています。本記事でSQLについてしっかりと理解して、大量のデータを有効活用するための準備を整えましょう。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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