「コンテンツマーケティング」という言葉はマーケティング領域において一般的になったものの、そもそもコンテンツマーケティングの定義や、SEOや広告との違いについて正しく理解できている人は多くないのではないでしょうか。本記事では、そもそもコンテンツマーケティングとはなにか?SEOや広告との違いは?どんな事例があるのか?とういう疑問を解消していきます。

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1. コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、自社コンテンツを自社で保有するwebサイトやブログ、メルマガなどのオウンドメディアで発信したり、SNS/CGMなどのアーンドメディア、自社ではない外部のペイドメディアから配信することで、顧客に自然と商品やサービスに興味を持ってもらうマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングのメリットとデメリット

コンテンツマーケティングにもメリットとデメリットが存在します。「買って欲しい」や「好きになって欲しい」といったメッセージを前面に出さないコンテンツマーケティングは、一般的に嫌われにくいですが、最終的な成果(売上やコンバージョン)が出にくいというデメリットがあります。オウンドメディアでのコンテンツ発信は「お金のかからない広告」とも言われますが、商品の比較検討から購入までのフェーズにいるユーザーに対する広告とは異なり、即座に売上に繋がるものではありません。このようにコンテンツマーケティングを実施していく上で、メリット/デメリットを把握しておくことが大事になります。以下でメリットとデメリットをまとめてご紹介します。

メリット
・ 検索エンジンやSNSからの集客ができる
・ webサイトのアクセスが増える
・ サービス/製品に興味を持つ前の見込み顧客に接触できる
・ 広告費を抑えることができる
・ 嫌われないマーケティング活動ができる

デメリット
・ CV(コンバージョン)、売上に直結しづらい
・ 手間と時間がかかる
・ 継続が必要な長期施策である

2. コンテンツマーケティングの成功事例

コンテンツマーケティングについてさらなる理解を深めて頂くために、コンテンツマーケティングの具体的な事例を紹介します。

コカ・コーラ

コンテンツマーケティングにいち早く取り組んだ企業として有名なのがコカ・コーラです。同社は2011年に発表した「Content 2020」内で「Content Excellent」を掲げ、従来型の広告手法から脱却や他者との差別化を図るとともに、コーポレートサイトでコンテンツマーケティングの展開をはじめました。コーポレートサイトでは、他社が商品を中心にした広告宣伝を行う一方で、コカ・コーラは商品の持つ世界観をアピールする広告宣伝、すなわちコンテンツマーケティングを行っています

以上の画像のようにコカ・コーラの製品情報だけでなく、企業が持つ世界観などを全面に出しているのがわかります。また、商品の代わりに、人種差別反対や家族や友人と過ごす大切さなど価値観を表すメッセージを発信しています。また、コーポレートサイトでは持続可能な世界を目指した活動なども発信しています。このような商品の価値を伝えるのではなく、ブランドそのものの価値観や理想を消費者に伝えていくことで、ブランドに対して信頼と親しみを持ってもらうことを目指してきたのが、コカ・コーラです。その結果として、より多くの人に支持されるようになったと考えられています。

[参考]
Coca Cola instagramページ

ハーゲンダッツジャパン

InstagramやFacebookなどのSNSを活用したマーケティングはブランディングだけでなく、コンテンツ配信やコミュニケーションツールとして活用することも可能です。ハーゲンダッツジャパンはInstagram、Facebook、Twitter、LINE、それぞれのチャネルの特性を活かした運用を行い、合計1,000万以上のファン数を誇ります。Instagramの投稿では、商品紹介だけでなく、映画の紹介やハーゲンダッツを使ったレシピの紹介なども配信されています。

また、SNS上で「幸せのハーゲンハート探し」という企画を実施しており、ユーザーが拡散したくなるようなコンテンツを作成することで、SNSのフォロワーや売上を伸ばしています。また、SNSがユーザーとの交流の場であり「好きになってもらう」ことを目的に効果的な活用をしています。

[参考]
ハーゲンダッツ Instagramページ

北欧、暮らしの道具店

「北欧、暮らしの道具店」は、ユーザーの信頼性獲得と商品の販売促進を同時に実現した事例です。サイト内では、北欧の家具や雑貨を取り入れた生活を紹介し、北欧のライフスタイルの特徴を啓蒙し、最終的な家具や雑貨の販売促進を行っています。

また、「北欧、暮らしの道具店」は生活の中のちょっとした「非日常」を楽しんでもらいたいという願いの元に運営されており、コンテンツ施策は多岐に渡っています。webサイトでのテキストコラムやYoutube動画、写真を使ったSNSマーケティングなど、多くのコンテンツで人気を集めている企業となっています。実際に、「北欧、暮らしの道具店」のユーザーの半数以上は月に20回以上サイトを閲覧しており、ユーザーからの支持を集めて信頼構築に成功しています。

[参考]
北欧、暮らしの道具店 ホームページ
北欧、暮らしの道具店 Instagramページ

3. コンテンツマーケティングと広告、SEOとの違い

続いて、よく混同される広告とSEOとの違いを解説していきます。

3-1. 広告とコンテンツマーケティングの違い

コンテンツマーケティングは、従来型の広告と大きく異なります。最も大きな違いは、発信するコンテンツの内容です。従来型の広告は企業が伝えたい情報を一方的に発信するのに対し、コンテンツマーケティングはユーザーが求める(ユーザーにとって価値のある)情報を発信します。これは第1章でも述べたとおりですが、商品やサービスの押し売りではなく、ユーザーの悩みを解決する手段として商品やサービスを紹介することできれば、敬遠されることなく自然と態度変容に繋げる事が可能です。

また、コンテンツマーケティングと従来型の広告では、効果の持続性にも違いがあります。従来型の広告は、基本的に広告配信期間のみしか顧客の目に触れないため、基本的にはその期間のみしか効果を発揮しません。一方で、コンテンツマーケティングは長期にわたって効果を発揮するケースが一般的です。例えば、ブログやオウンドメディアを活用する場合、コンテンツは資産として残り続けます。該当記事が検索結果の上位に表示され続けていれば、1年後も2年後も集客を続けることが可能です。

これまで、広告よりもコンテンツマーケティングが優れているポイントをご紹介しましたが、広告のほうが優れているポイントもあります。コンテンツマーケティングは従来型の広告よりも効果が現れるまでに時間がかかります。直接的な商品/サービスの訴求ではないため、徐々に態度変容が促されますし、ユーザーがコンテンツを見つけるまでに時間がかかります。その点、広告は直接的な商品/サービスの訴求かつ、ユーザーにすぐにリーチ可能なので、即効性があります。

3-2. SEOとコンテンツマーケティングの違い

SEOは、「Search Engine Optimization」の頭文字で構成される略語です。日本語で、検索エンジン最適化といいます。具体的には、ユーザーが検索エンジンを使って、あるキーワードを検索したときに、自社サイトの表示順位を上昇させる施策のことを指します。当たり前ですが、表示順位が高いほどサイトへの流入は増えます。そのため、作成したコンテンツを多くの人に見てもらうためには、SEOはとても重要な取り組みです。では、SEOとコンテンツマーケティングはどのような違いがあるのでしょうか。

先述したとおり、コンテンツマーケティングは「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作/発信することで顧客のニーズを喚起し、購買へとつなげ、最終的には自社のファンとして定着させること」という広義の概念であるのに対して、SEOは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に自社コンテンツが上位表示させるようにする手法のことです。そのため、対象となるチャネルの範囲が異なります。

また、SEOの場合、自社のコンテンツが掲載されたサイトだけでなく、自社の商品/サービスサイトを対象にする場合もあるため、その点もコンテンツマーケティングとは異なります。

4. コンテンツマーケティングの戦略

コンテンツマーケティングは、どのように実践すればよいのでしょうか。基本的な実践方法を紹介します。

1. 目的の明確化

最初に、自社が抱えているマーケティング課題とコンテンツマーケティングの目的を明確にします。コンテンツマーケティングで課題を解決できる、目的を達成できるとわかった場合は実践へ移ります。

2. ペルソナの設定

次に、ペルソナを設定します。ペルソナは、商品やサービスを購入してほしいユーザー像です。具体的には、年齢 / 性別 / 家族構成 / 職業 / 年収 / 性格 / 趣味などを設定します。既存のユーザーを分析すると、理想的なペルソナを設定しやすくなります。ペルソナの設定は、ユーザーに役立つコンテンツを企画するため非常に重要な取り組みです。ペルソナを設定していないと、深いレベルでユーザーのニーズやユーザーの心理を理解することはできません。

3. カスタマージャーニーマップの作成

ペルソナを設定してペルソナのニーズや心理を把握したら、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーマップは、ユーザーが商品やサービスに興味を抱いてから購入に至るまでのプロセスを見える化したものです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の心理を理解しやすくなるとともに顧客との接点が明らかになります。

4. コンテンツ制作

以上の準備を整えてから、コンテンツを制作します。コンテンツは、ユーザーが商品やサービスに興味を抱いてから購入に至るまでのプロセスに合わせて制作することが重要です。具体的には、次のプロセスへ歩みを進められるようなコンテンツを制作します。例えば、認知段階では自社の商品/サービスを知ってもらうコンテンツ、情報収集段階では商品/サービスについて理解を深めてもらうコンテンツ、比較検討段階では自社の商品/サービスの優位性を理解してもらうコンテンツが有効です。コンテンツは、コンテンツマップを用いると無駄なく、抜けなく制作できます。コンテンツマップは、どのプロセスにどのような自社のコンテンツがあるか見える化したものです。コンテンツマップを制作してから、不足しているコンテンツを補っていくとよいでしょう。

コンテンツマーケティングの一つである、メールマガジン作成のためのメール配信ツールについて下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

5. コンテンツマーケティングを実施する上でのよくある課題

最後に、コンテンツマーケティングを実施するうえで課題になりやすいポイントを紹介します。

5-1. 成果が出るまで時間がかかる

コンテンツマーケティングを実施する上で絶対に理解しておきたいのが、成果が出るまで時間がかかることです。広告のように、ユーザーに対して強制的にコンテンツを見せるわけではなく、また、配信したコンテンツが必ずしも顧客のニーズを喚起できるわけでもありません。ユーザーが自社のファンとして定着し、成果として現れるまでには一定の時間が必要です。コンテンツマーケティングを行う上で、中長期的に質の高いコンテンツを配信し続けることは必須になります。

5-2. 社内のリソース不足する

社内のリソース不足によってコンテンツを継続的に制作できないケースもあります。片手間でコンテンツマーケティングを始めた企業が陥りやすい課題といえるでしょう。また、先述したとおり、効果が出るまでに時間がかかるので、他施策との優先度も下がってしまいがちです。そのため、人員を確保して体制を整えてから取り組むことをおすすめします。社内でリソースを確保できない場合は、コンテンツの制作を外注することもできます。外注する場合は、予算の確保も必要です。

5-3. 効果測定が難しい

前述した通り、コンテンツマーケティングの精度を高めるためには効果測定は必要であり、効果測定を行うためにはデータ収集が欠かせません。しかし、多くの企業ではデータごとに収集方法が全く異なっているため、”同じファイルやテーブル内にデータが存在せず集計が出来ない“や、集計できたとしても”集計するのにSQLなどの専門的な知識が必要になり、集計できる人が限られる“などの問題があります。そのため、データの集計に時間がかかってしまい、コンテンツマーケティングのPDCAのスピードが遅くなってしまうケースが多く存在します。そこで、おすすめのツールがb→dashです。b→dashはノーコードで誰でも簡単に、マーケティングプロセスにおける全てのデータをひとつに集約・連携し、成果分析まで行うことが可能となっています。

実際にb→dashを利用して効果測定を実施し、PDCAを回している事例について下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

6. コンテンツマーケティングを支援するMAツールとは?

MAツールとは、新規顧客の開拓から獲得における一連のマーケティング活動をサポートするツールの総称です。見込み顧客の管理やコンテンツ毎の貢献度の可視化、コンテンツの自動配信のほか、webサイトのアクセス解析やレポート作成を自動化/効率化することができます。

6-1. 各コンテンツの購入への貢献度を可視化

見込み顧客の行動を記録できる機能を使用すると、「どの見込み顧客が」「どのコンテンツを」「いつ」「どれだけ」見たかや、「どのコンテンツから」「どういう経路で」購入に至ったかを可視化/分析できます。これにより、各コンテンツの購入への貢献度が把握でき、施策の改善がしやすくなります。貢献度が低いコンテンツの見直しや、高いコンテンツの強化が可能となり、コンテンツマーケティングの成果を効果的に向上させることができます。

6-2. 顧客に合わせたコンテンツを自動配信

マーケティングオートメーションには見込み顧客の購買意欲に応じたコンテンツを自動で配信する機能があります。豊富なコンテンツがあっても、手動で配信し分けるのは難しく、タイミングを逃したり、不適切なコンテンツを届けたりすることで機会損失が生じる恐れがあります。MAを使ってシナリオを設定すれば、見込み顧客ごとに適切なコンテンツを適切なタイミングで自動配信でき、効率よく購買意欲を高めることができます。

6-3. レポートの作成の自動化

MAを利用すると、設定したシナリオの効果を検証でき、成果が上がらないシナリオの改善点が見えやすくなります。また、レポート作成の自動化も可能で、例えば「毎週月曜9時に先週のレポートを関係者に配信する」といった設定ができます。これにより、レポート作成にかかる人的リソースを最小限に抑え、シナリオの問題点を把握しやすくして、PDCAをスムーズに回すことができます。

7. まとめ

本記事では、コンテンツマーケティングの概要と事例、実践方法などを紹介しました。インターネット広告の単価が高騰しているうえ、広告が嫌われ、消費者が必要な情報を自分で探すようになっているため、従来型の広告で成果を挙げることは難しくなっています。集客や売上に悩んでいる方は、ユーザーと良好な関係を構築して顧客生涯価値を高めるコンテンツマーケティングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

 

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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