近年、ECサイトでの購買行動やオンラインでの予約等が一般的になってきていることをうけて、「Web接客ツール」への関心が年々高まってきています。実際にWeb接客ツールを導入する企業も増えてきていますが、導入して成果を上げることができた例もあれば、Web接客ツールの導入に失敗してしまうというケースもあります。
そこで本記事では、Web接客ツール導入に失敗してしまう原因に焦点を当てながら解説を行っていきます。最後に導入失敗を防ぐためのポイントも紹介するので、是非ご活用ください。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、施策を行うためのデータの連携から抽出までをノーコードで実現し、メール/LINE/SMS/web接客など、複数のチャネルを組み合わせた顧客アプローチが可能なMAツールとなっています。

1.Web接客ツール導入に失敗する原因10

それでは早速、Web接客ツールの導入に失敗する原因についてご紹介していきます。

Web接客ツールを導入したのは良いものの、なかなか上手く使いこなせない、思ったような成果を上げられないといったケースは非常に多く耳にします。それらには、複数の原因が複雑に絡み合っている可能性があると考えられます。まずは1つ1つの原因に焦点を当てて、1つずつ打開策を見出していくことがポイントです。

1-1 導入目的が不明確

まず、よくあるWeb接客ツール導入失敗原因として、”導入目的が不明確”という点が挙げられます。「世間の流れに乗ってとりあえず導入してみた」、「競合が使っているからうちでも入れてみた」など、曖昧な判断のもとでWeb接客ツールを導入しても、思ったような効果が得られないことがあります。

Web接客ツールを導入することで何を実現したいのか、それを実現するためにはどういった機能やデータが取得できるツールが良いのかなど、少しずつブレイクダウンしていく必要があります。

ただ何となく導入しただけで、結果を得られるほど甘いツールではありません。今一度、導入目的や達成したい目標を洗い出した上で、本当にWeb接客ツールが必要なのかどうか判断することが大切です。

1-2 Web接客の流れを理解していない

Web接客ツール導入に失敗する原因としては、Web接客の流れを理解していないという点も挙げることができます。Web接客の流れとしては、まず顧客の行動を観察することが重要です。これはリアル店舗での接客でも同様であり、お店に入っていきなり声をかけられたり、おすすめの商品を紹介されたりしても、お客さんは戸惑ってしまいます。場合によっては、そのまま退店してしまう可能性もあるでしょう。まずは、顧客がどのような商品やサービスに興味を持っているのか観察することが重要です。

その上で、アクションの選択と実行を繰り返していきます。タイミングやアクションプランの選択を誤ってしまうと、ツールを導入してもなかなか成果が上がりません。Web上とは言え、リアル店舗での接客と同様に、きめ細かい接客を行うことが求められます。

1-3 最適なWeb接客ができていない

上記でも取り上げたように、基本的には、Web上での接客もリアル店舗での接客も変わらないと認識しておくことが大切です。それでもなかなか最適なコミュニケーションができていないと、ツール導入による効果が低減することがあります。

例えば、顧客がWebサイトを訪れた瞬間にクーポンやチャットを表示させたり、全く興味のない商品をレコメンドしてしまったりすると、顧客のサイト離れにつながってしまいます。そうなると、結果的にWeb接客ツールの導入に失敗したと感じてしまいます。

まずはWeb上での行動を観察することを念頭に置き、適切なタイミングで適切な接客をすることが重要です。何でもかんでもレコメンドすれば良いというわけではないので、タイミングを重視してここぞという場面でWeb接客を行うことが重要です。

1-4 顧客の行動パターンの理解不足

顧客の行動パターンの理解不足が原因で、Web接客ツール導入に失敗することもあります。Webサイトを訪れる顧客が100人いるのであれば、100通りの行動パターンがあることを基本に据えておく必要があります。

人それぞれ商品やサービスを利用するまでのプロセスがあるということです。杓子定規的にWeb接客ツールに頼りすぎると上手くいかないリスクも高まってしまいます。顧客の行動データや属性データを収集しつつ、どういったケースで購買意欲が高まっているのか、あるいはどういったケースでサイトを離脱しやすいのかなど、1つ1つのケースに応じて細かく分類することが大切です。

あまりにも感覚的にWeb接客ツールを使ってしまうと、思ったような結果を得にくくなります。

1-5 データ活用スキルの不足

Web接客ツールを導入して継続的に利用していくと、行動データや属性データを含めて、膨大なデータを収集することができます。しかし、それらのデータを上手く活用することができないと、Web接客ツールを導入しても効果は最大化できません。

目標を達成するために必要なデータは何か、そもそもそのデータを収集することができているのか、データをもとにセグメントした結果、どのようなアクションを取れば良いのかなど、段階的にアプローチしていかないと、ツールを導入しても宝の持ち腐れになってしまうことがあります。

1-6 人的リソースの不足

人的リソースの不足も失敗に陥る原因の1つです。確かに、Web接客ツールはとても便利で、現代のマーケティングの中でも重宝される存在であることは間違いありません。しかし、ツールを導入したからと言って、全てが自動的に良くなるものではありません。

特にセットアップの段階は人の手が必要であり、データの収集や分析、アクションプランの実行、クリエイティブの作成など、事あるごとに人の手が必要になってくるのがWeb接客ツールの特徴です。

ある程度、PDCAを回し続けて、その状況を続けていけば良いという段階までいければ別ですが、導入当初は専任担当者を置くなどして、セットアップに時間を割く必要があります。

1-7 Web接客ツールへの過度な依存

人的リソースの不足とも関連する部分ですが、Web接客ツールへの頼りすぎも導入失敗に終わる原因の1つです。便利なツールであることは間違いありませんが、何でも自動で行ってくれるわけではありません。

AIを活用したWeb接客ツールも登場していますが、そこで収集したデータをいかに活用していくのかを最終的に決めるのは人です。確かにデータの収集やアクションプランの実行など、設定を行えばツールが自動的に行動を起こしてくれます。

しかし、その設定を行うまでは人の判断であり、人の手によって設定を行う必要があります。Web接客ツールに頼りすぎることなく、自分たちで判断して行動につなげるという習慣を身につけることも大切です。

1-8 Web接客ツール導入後の分析不足

Web接客ツール導入後の分析不足も、ツール導入失敗を引き起こす原因となります。例えば、「このページを訪問した顧客に対して、商品のレコメンドを行う」などとアクションプランを立てて実行したと仮定します。

一定期間が経過すると、実際に商品を購入してくれた顧客やサイトを離脱してしまった顧客、他の商品を購入した顧客など、さまざまな行動パターンに関するデータを収集することができます。

その中で、なぜ顧客は商品を購入してくれたのか、あるいはサイトを離脱してしまったのか、他の商品を購入したのかなど、しっかりと分析を行って次のアクションにつなげていくことが重要です。PDCAサイクルを回し続けることで、より大きな成果を得やすくなっていくのです。

それが上手くできず、分析もままらない状態だと、なかなか成果が上がらずにWeb接客ツール導入が失敗に終わったと感じることがあります。

1-9 機能が豊富すぎて使いこなせない

導入したWeb接客ツールの機能が豊富すぎて使いこなせないと、思ったような成果を上げられないことがあります。Web接客ツールもさまざまなものがリリースされており、高機能化も進んでいます。

その中で、一定程度のマーケティング知識やツール操作能力、データ収集や分析などを行うことができれば、業務効率化や売上拡大につながる部分もあります。

しかし、あまりにも機能が豊富すぎると、何から利用すれば良いのかわからず、結果的にチャットツールやただのポップアップのような形で終わってしまうこともあります。機能が豊富なことは諸刃の剣となる部分でもあり、悪い方向に作用すると、導入しても結果が出にくくなります。

1-10 アプローチ手法のミスマッチ

アプローチ手法のミスマッチによって、Web接客ツール導入が失敗に終わることもあります。商品やサービスの特性によっては、Web上での顧客獲得よりも他の方法が向いていることがあります。

例えば、テレアポやセミナーでの名刺交換、既存顧客からの紹介や社長の知り合いの紹介など、よりリアルな現場からの流入が多いケースもあるでしょう。

そういった中でWebにシフトしていこうとするのは悪くありませんが、十分なサイト訪問者がいなかったり、そもそもWebサイト自体が簡素なものであったりすると、Web接客ツールを導入しても利用するシーンが限られてしまいます。

まずは、本当にWeb接客ツールが必要なのかどうか判断した上で、顧客へのアプローチを実行することが大切です。

2.Web接客ツール導入を失敗しないためのポイント

ここからは、Web接客ツール導入を失敗に終わらせないためのポイントについて解説していきます。上記で取り上げたような失敗原因を確認して、その原因に対する対策を講じることが大切です。

その中でも特に重視したいポイントについて、3点に絞ってご紹介します。ツールを導入して満足するのではなく、成果を上げるところまで意識することが求められます。

2-1 顧客の行動パターンの理解・分析

まずは、顧客の行動パターンの理解を徹底することがポイントです。コンバージョンにつながるまでのページ遷移や閲覧ページ数、どのページを見た顧客がどういった商品を購入しているのかなど、顧客の行動パターンを細かく分析することで、より的確にアクションプランの実行を行うことができます。

リアル店舗での接客でも同様ですが、お店に入ってきていきなり声をかけられるのは嫌だと感じる人は少なくありません。それと同様に、Webサイトでもサイトに流入した瞬間にポップアップが表示されると、ネガティブな感情になりやすい人も出てくるでしょう。

そういった細かな人間心理も意識しつつ、どのタイミングでどのアクションを実行すれば良いのか改善を重ねていくことで、徐々に結果につながっていきます。

2-2 複数のデータを活用した、パーソナライズされたコミュニケーション

Web接客ツールの導入においては、One to Oneマーケティングの意識も欠かせないポイントです。現代は1人1人に対する個別のアプローチが基本となっており、これはビジネスの世界でもマーケティングの世界でも潮流となっています。

この顧客は商品Aに興味を持っている、この顧客は商品Bに興味を持っているというように、それぞれの興味関心を分類しつつ、その興味関心をそそるようなレコメンドを出すことが重要です。その意識を徹底してアクションプランを実行することが、Web接客ツール導入を失敗しないためのポイントです。

2-3 使いやすいツールの導入

ツールの使いやすさもツール選定の欠かせないポイントです。運用担当者のリテラシーがなかったり、操作性が悪いと、なかなか運用まで乗せることは難しいです。表示するポップアップのテンプレートが用意されていたり、設定画面がわかりやすく使いやすいツールを選ぶのも非常に重要なポイントです。

2-4 データ統合基盤を保有したツールの導入

多くのWeb接客ツールはポップアップやチャットの出し分けをする際のデータソースとして、”アクセスログデータ”を用いることが一般的です。アクセスログデータとは、どのページから流入したか、どのページを見ているか、月に何回来訪したかなどサイト上の行動データのことを指します。

しかし、このアクセスログデータだけではOne to oneのコミュニケーションを実現することは難しいのが現状です。サイトに来訪しているのは男性なのか女性なのか、過去にどのような商品を購入したのか、(店舗もあるビジネスの場合)店舗で何を購入したのか、など、サイト上では取得できないデータも掛け合わせることでより精緻なコミュニケーションが可能になります。

そのためにはDMPやCDPのような、様々な顧客データを統合できる機能を保有したツールを導入するか、Web接客ツールとは別にデータ統合ツールを導入する必要があります。より精度の細いOne to oneのコミュニケーションを実現したいのであれば絶対に抑えておくべきポイントです。

3.まとめ

Web接客ツール導入に失敗する原因10選!と題して、導入失敗の原因や失敗を防ぐためのポイントについてご紹介してきました。Web接客ツールを導入してもなかなか成果が上がらない、思ったような効果が得られないと思った時は、その原因と向き合うことが大切です。

原因と向き合うことで打開策が見えてきます。そうして1つ1つの改善を重ねていくことが、最終的に大きな成果へとつながるポイントです。失敗を重ねながらも、徐々に右肩上がりの成果を得られるようにコツコツとWeb接客ツールを活用していきましょう。

[参考記事]
Web接客は「ポップアップ型」と「チャット型」どちらがおすすめ?
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弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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