BIツールとは、”膨大なデータを、収集・蓄積・分析・加工し、経営戦略のための意志決定を支援するツール”です。事業運用においては、的確かつ迅速な意思決定が不可欠ですが、こうした意思決定を行う際にBIツールの有無が重要な鍵となります。ただ、BIツールに興味はあるものの、「基本的な機能やメリット、選び方がわからない」と導入を悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではBIツールの基本的な知識や機能、選び方のポイントについて網羅的に解説します。

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1. BIツールとは?

BIツールとは「ビジネスインテリジェンスツール」の略称であり、大量に蓄積されたビッグデータを分析し、わかりやすく可視化するツールのことを指します。BIツールを活用することでスムーズに分析を行えるようになり、迅速な意思決定が可能になります。

BIツールとは

2. BIツールを導入する目的

BIツールの主な目的は、膨大なデータを分析し、必要な情報を抽出して経営や売り上げ拡大に役立てることです。これにより、Excelなど手動での集計作業が不要になり、迅速かつ効率的な情報収集が可能になります。例えば、急な情報ニーズがあっても、ツールを使って直ちにデータを集計し、分析結果を取得できます。これにより、意思決定のスピードが向上し、業務に追われる集計担当者を急かすことも不要になります。

3. BIツールの活用シーン

企業がBIツールを導入した場合、具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここではBIツールの活用シーンをいくつか紹介していきます。

3-1. 経営分析 / 財務分析

BIツールの活用によって、企業の売上/財務などの経営そのものの分析を行えます。経営指標の結果を把握することで、迅速な経営判断に活かせます

3-2. 営業分析 / 売上分析

営業部門は企業が収益を上げるうえで欠かせない部門です。営業担当者別、月別等で、いかに細かく受注までのプロセスを可視化できるかが非常に重要になります。これらのプロセスもBIツールによってデータを分析/可視化することで、組織体制の構築や営業課題の明確化に役立てられます

3-3. 人事データ分析

現代はリモートワークなど、働き方も多様化しています。こうしたリモートワークなど新しい働き方を導入する際も、BIツールを活用することが可能です。蓄積されたデータや統計に基づき、新たな人事課題に対して適切な判断ができるようサポートしてくれます。

3-4. 残業分析

勤怠管理システムと人事システムなど、異なる複数のシステム/ファイルのデータを統合することによって、残業時間などを分析することができます。BIツールによって多角的な視点から分析を行うことで、課題の明確化や残業時間の削減などを目指すことが可能です

3-5. 予算管理

BIツールによって予算管理やビジネスに関するデータを集計/分析/可視化できます。最新の予実データをいつでもチェックできる予算管理システムを構築可能です

3-6. 帳票自動作成

BIツールで帳票を自動作成することが可能です。これまで手書きで作成していた帳票を自動で作成し、工数を削減できます。その結果、業務効率化を期待できるでしょう

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、BIはもちろん、データ準備に必要なCDPの機能から施策分析の実施に必要なMA、web接客といった機能を搭載しているため、分析結果をすぐに施策へ活かすことが可能なツールとなっています。

4. BIツールの5つの機能

BIツールにはさまざまな機能があります。ここではBIツールの基本的な5つの機能をご紹介します。

4-1. データ分析

BIツールは、自社内のシステムのデータを用いて、誰でも簡単に分析可能な機能を保有しています。システム内のデータを直接操作/作業したり、複数システムのデータをBIツールに連携するためにはSQLと呼ばれる専門的なスキルが求められますが、データがすでに連携されていれば、BIツールの操作や分析にはそれほど専門的なスキルを必要としません。

● ドラッグ&ドロップ

ドラッグ&ドロップでデータのカラムを選択し、グラフや表など出力したいレポートの形態を選択する等のシンプルな操作だけで、さまざまな観点でデータの可視化が可能です。

● ドリルダウン

Excelの場合、ドリルダウンをしようとすると、別シートで集計をし直す必要がありますが、BIツールであれば「ドリルダウン」「ドリルアップ」などのデータ階層を行き来する操作を、クリックのみで実現可能です。

4-2. レポート出力/デザイン機能

BIツールでは、定型レポートやカスタムレポートなど、様々なレポートを出力する機能があります。また、PDF、Word、Excel、CSV、PowerPointなど、各ファイルへのエクスポートにも対応しています。出力するレポートのデザインを変更可能な機能もあり、各社のトンマナに合わせたデザインでの出力が可能です。

4-3. ダッシュボード

BIツールで分析した結果を視覚的にわかりやすく可視化してくれるものに「ダッシュボード」機能があります。ダッシュボードはグラフや重要な指標の一覧表示、クロス集計表などの表示に対応しています。リアルタイムでデータを反映させることも可能なため、現場のPDCAのスピードを飛躍的に向上させることが可能です。

4-4. プランニング

現在の状況を可視化するだけでなく、予算計画や経営計画などの根拠となる数値をシミュレーションする機能があります。過去の実績を活用することで根拠のある予測ができるようになるため、具体的で確実性の高い計画を作成することが可能になります。

4-5. データ共有

出力したレポートやダッシュボードなどの分析結果を共有する機能があります。緊急の問題が発生した際は、素早く問題の状況を整理、分析した上で意思決定を行うことが重要ですが、そのような場面で欠かせない情報共有を効率よく行うことが可能になります。

5. BIツールとExcelとの違い

5-1. 大量のデータを高速で処理可能

BIツールは大量のデータを迅速に処理することができます。Excelでの処理は時間がかかるのに対し、BIツールは大規模なデータセットに特化しており、高速なデータ処理を実現します。

5-2. 対応可能なデータが多い

BIツールは複数のデータソースからデータを統合し、効率的な分析を可能にします。従来の複数ツール利用に比べ、一箇所で全てのデータを確認できるため、情報取得が容易です。また、常に最新の数字を把握できるので、スタッフのモチベーション向上に寄与します。

5-3. レポートの作成が手軽

BIツールを使えば、会議や月次報告の資料作成が簡単になります。難しいイメージがあるかもしれませんが、導入することで短時間で資料を完成させることが可能です。この効果により、資料作成にかかるリソースを削減し、営業活動や意思決定に集中する時間を確保できます。

5-4. 最新データがリアルタイムで反映される

BIツールを使えば、データベースが更新されると自動で最新の情報が反映されます。これにより、古いデータを含んだレポートを修正する手間が省け、信頼性の高いレポートが即座に完成します。さらに、レポートの共有もインターネットさえあれば簡単に行え、メールの添付や共有フォルダの使用が不要です。

6. BIツールを使うメリット

BIツールはデータを分析して活用することができるツールですが、導入するメリットは何があるのでしょうか。ここでは、BIツールを導入するメリットを6つ紹介します。

6-1. メリット①:データの集計/分析の工数を削減できる

BIツールを導入すると、それまでかかっていたデータの集計や分析の工数を大幅に減少させることができます。BIツールを利用していない場合、Excelが利用されることが多いですが、各システムからCSV形式などでデータを出力し、データの結合を行ってからしか、データ分析を開始できません。しかし、BIツールを導入することで、各システムからのデータの抽出や結合などは、導入時に設定してしまうことが多いため、そこにかかる工数がなくなります。また、データ分析もいくつかテンプレートとして用意されている場合も多いため、分析にかかる時間も減少させることもできます。

6-2. メリット②:現状把握が常に可能になる

自社の現状を常に把握することは、企業を経営していく為には重要なことです。しかし、メリット①で述べたようにBIツールが無いと、データの分析に大量の工数がかかってしまいます。そのため、他の業務でも忙しい状態で、常にその工数を捻出することが難しい企業も少なくはありません。しかし、BIツールを導入して、データ分析にかかる工数を削減できると、常に現状把握が出来るようになり、問題や課題の早期発見も可能になります

6-3. メリット③:データを活用した意思決定ができる

BIツールでは常に最新のデータを自動で表示することも可能であるため、データを基に経営を行っていくことも可能です。データが無ければ、経営者などの経験や勘だけで経営していくしかありませんが、その経験や勘が常に時代に即しているとは限りません。そのため、データに基づいて論理的に経営判断ができると、安定した企業経営を行っていくことも可能になるでしょう。

6-4. メリット④:現場レベルでの早期課題発見を実現する

メリット①~③は経営層やIT部門目線で述べましたが、BIツールは事業部、チーム、それぞれの担当者が日常的にツールを使ってデータ分析を行うことを想定して設計されています。組織内の誰もが必要なときに必要なデータにアクセスして、分析し、示唆を得られるようになります。そのため、課題の早期発見から迅速に解決することが可能になるでしょう。

6-5. メリット⑤:情報共有・データ活用の全体最適に役立つ

BIツールはデータや分析結果を共有することが容易にできるため、上手に活用することで、経営層から現場のチームまで同じデータを見て意識をそろえることが可能になります。各部門間での横断的な情報共有も容易であるため、情報の孤立化を防ぎ、全体最適に役立ちます。

6-6. メリット⑥:Excelよりも効率的・迅速に作業ができる

BI ツールは、Excelよりもはるかに迅速かつ大容量のデータを処理できる機能があります。ほぼリアルタイムにデータへアクセスし、ダッシュボードにするなどさまざまな手法で可視化することができます。社内外で情報共有が必要になったときや、社内にある膨大なデータを効率的に分析したいときは、ExcelよりもBIツールが役立ちます。

7. BIツールを使うデメリット

BIツールを導入するメリットを紹介しましたが、一方でデメリットは存在するのでしょうか。ここでは、BIツールを導入するデメリットを解説していきます。

デメリット①:導入に時間と工数がかかる

デメリットの1つ目として、BIツール導入時に時間と工数がかかってしまうことが挙げられます、企業が持っているシステム1つだけの場合は、そこまで工数がかからないかもしれませんが、多くの企業が複数の分断されたシステムを持っています。その複数のシステムを連携させて、データを分析できるように初期設定するには、複雑な作業と相当な時間がかかってしまいます。そのため、B導入するための工数を取ることができず、BIツールの活用が想定よりも後ろ倒しになるケースも多く見られます。

デメリット②:導入コストや運用コストがかかってしまう

当然ですが、BIツールを導入したり、運用していくにはコストがかかってしまいます。しかし、BIツールを使いこなすにはある程度の知識が必要であるため、BIツールを導入したとしても使いこなせない場合もあります。導入コストや運用コストがかさんでしまったのにもかかわらず、上手く活用できないなどのリスクもあります

8. BIツールの4つの種類

8-1. レポーティングツール

レポーティングとは、理解しやすいようにグラフ/表などでデータを可視化することを指します。レポートは主にExcel、Word、PowerPoint、CSV、PDFなどのファイル出力に対応していることが一般的です。

分析結果をPowerPointやPDFで共有したり、ExcelやCSVで落としたデータをより細かく分析する際に役立ちます。

8-2. OLAP分析ツール

OLAP分析は「Online Analytical Processing」の略称であり、多次元分析ともいわれるものです。

企業に日々たまっていくデータを多角的に分析し、現状の確認や問題点・仮説の検証などに役立てられます。問題の早期発見/解決を目指す際に役立ちます。たとえば、売上データの販売日時、販売店舗、商品、購入者の性別といった複数次元を含むデータの処理を高速で行って結果を返してくれます。

8-3. データマイニングツール

データマイニングは膨大なデータのなかから、価値のあるデータを探し出すことを指します。主に売上アップや業務の改善などに活用することが可能です。

具体的には、蓄積したデータの処理において、複数の情報の共通点や法則を探し出し、課題を解決するためのヒントを提示してくれます。せっかく蓄積したデータも、蓄積されたままの状態では有効活用することが難しいでしょう。

データマイニングによって個々のデータでは読み取れない傾向を把握でき、新たな施策を講じる際に役立てることができます。

8-4. プランニングツール

プランニングツールは過去のデータを使って計画立案に役立つツールです。過去の実績からさまざまな予測を行い、どの計画が最適であるか判断するために役立てられます。これまでのデータを活用する分、精度の高い予測を行うことが可能です

BIツールの概要から、各社ツールの比較、選定ポイントまでより詳しく知りたい方は、下記資料にてご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

9. BIツールの選び方

BIツールといっても、それぞれ強みや特徴が異なります。豊富なグラフのテンプレートを保有しているもの、データの加工に強みを持つもの、レポート作成を得意とするものなど、多種多様です。それぞれ特徴が大きく異なるため、企業の目的や用途に合うものを選ぶことが求められます。そこで、BIツールを導入するために、どのような点に気を付ければ良いかを解説していきます。

ポイント①:自社の課題と目的を明らかにする

まずは自社がどのような状況に置かれており、何の課題があるのか洗い出す必要があります。社内の問題を整理し、解決すべき事項を整理しましょう。課題や問題点を明らかにすることで、ツール導入の目的が明確になり、必要な機能も自然と明確になります。その機能を搭載しているBIツールを選ぶようにしましょう。

ポイント②:使用者との相性を考える

どんなに優秀なBIツールだったとしても、実際に使用する人との相性が悪いとストレスがたまる原因につながります。BIツールは導入したあと日常的に使用するケースも多いため、なるべく使用者との相性が良いものを選ぶことがおすすめです。デモやテストアカウントなどで実際に操作を行い、使い勝手を確認しておくと安心です。

10. まとめ

BIツールは専門的な知識やスキルがない人でも、データを可視化/分析できる便利なツールです。経営/財務の分析から帳票作成まで、幅広い用途に活用できます。これまで手間がかかっていた業務の工数を減らし、生産性の向上に寄与してくれるでしょう。

なお、BIツールにはさまざまな種類があるため、自社の目的に合うものを選ぶことが大切です。BIツールを有効活用して、業務効率化やKPIの向上などにつなげましょう

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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