企業の経営やマーケティングをサポートするシステムとして、BIツールの導入は一般常識になってきています。BIツールを上手く使いこなすことによって、顧客分析やデータ活用もより効率的に行うことができ、ビジネスを加速するための支えになることがあります。一方で、BIツールを導入したのは良いものの、上手く活用することができない、結果が出ないなど、ネガティブな方向に働いてしまうケースも非常に多く存在します。今回は、BIツールの導入に失敗してしまう原因とその対策について具体的にご紹介していきます。
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1. BIツール導入の主な失敗事例

BIツールの導入には、データ活用の期待が高まる一方で、失敗事例も多く見られます。多くの企業が「使われなくなる」「使い方が難しそう」という懸念を抱えています。実際の失敗事例では、大きく2つのケースが挙げられます。
1つ目は、現場の業務やニーズに合わず、ほとんど活用されない状況になるケースです。事前に社内環境を把握していな場合、現場部門と情報システム部門との認識のすり合わせに時間がかかり、導入が滞る場合もあります。さらに、高度な分析に対応したツールを導入したにもかかわらず、最終的にはExcelでも実施できる、基本的な処理しか行えていないという状況になってしまいます。
2つ目は、全社で一斉導入することで失敗してしまうケースです。全社に対して導入する場合、コストが高騰するだけでなく、具体的な利用目的を定めることが難しく、導入の複雑さが増します。このため、高額な投資を行いながらも、ツールが十分に活用されず、運用が困難な状態に陥ることがあります。これらの事例から分かるように、BIツールの導入には十分な準備と計画が必要です。企業の実際の業務ニーズに合わせて、適切なツールを選定し、段階的に導入していくことが成功のカギとなります。

2. BIツールの導入を進める際の注意点

2-1. トップダウンで導入を進める際の注意点

トップダウンでBIツールを導入する際には、注意が必要です。経営層の方針に基づき特定部署で導入が進むケースが一般的ですが、関連部署を十分に巻き込まないと失敗のリスクが高まります。各部門が目的やミッションを理解していなければ、ツールの活用は進みません。また、部門ごとに必要なダッシュボードや分析データが異なるため、強制的な標準化は適切でなく、結果として業務に合わない状態になる可能性があります。

2-2. ボトムダウンで導入を進める際の注意点

一方でボトムダウンでBIツールを導入する際も、注意が必要です。ボトムアップでの導入では特定部門に焦点を当てて始めることで、その部門に最適化されたツールができあがりますが、他の部門との適合性が問題となる場合があります。そのため、導入初期の部門に合わせたダッシュボードや機能が、他部門とは適合性が低く、計画通りの全社展開が困難になる可能性があります。

BIツールでは日々機能更新されていく部分があり、それまでできなかったことができるようになることもあります。そうした部分も含めて、情報共有を図ることで本来の利用目的達成につながります。

3. BIツール導入を全社で進める際に最小限の機能を目指す

BIツールを全社で導入する際に重要なのは、「最小限の機能を目指す」ことです。全社の要件をすべて満たすことは難しく、特定業務に焦点を当てた部分最適化が起こりがちです。そのため、最初は全社で共通の基準となる最小限の機能を設定することが推奨されます。これにより、全ての業務で行うべき基本的なデータ活用が可能になり、信頼できるデータに基づいたアクションが容易になります。その後、徐々に部門ごとで異なるニーズや業務に合わせたダッシュボードを設置し、データの可視化を進めていくことが重要です。また、初めはセルフサービスBIを活用し、徐々に高度な分析を行なっていくことで、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。

4. BIツール導入による失敗の事例7選

BIツールを導入することで、経営者や現場の担当者が経営上の意思決定を速やかに行いやすくなったり、それまで企業が蓄積してきた膨大なデータを加工、分析することで、今まで見えてこなかった情報の可視化や新たなアイデアにつながることもあります。しかし、上手く使いこなすことができないと、せっかくBIツールを導入してもプラスに働くことがありません。まずは、その原因を理解することがポイントです。

それでは早速BIツールの導入による失敗事例について、ご紹介していきます。

4-1. 導入目的が不明確

BIツール導入に失敗する原因としてまず挙げられるのが、導入目的が不明確という点です。世の中の流れや他の企業の取り組みを意識して、「とりあえずBIツールを導入してみた」、「何となくBIツールを入れてみた」というようでは、導入しても成果につながらないことがあります。

1社1社が抱える顧客やビジネス手法はそれぞれ異なるものであり、他社の真似をしたからと言って必ずしも上手くいくとは限りません。自社ベースで見た時に本当にBIツールが必要なのか、BIツールを使って何をしたいのかを明確にする必要があります。

ただ何となくBIツールを導入しても宝の持ち腐れになってしまう可能性が非常に高いです。

4-2. プロセス重視になりやすい

BIツールの導入による失敗事例として、プロセス重視になってしまう点も挙げることができます。BIツールは経営上や業務上の意思決定をサポートしてくれるツールとして役立つものですが、プロセスばかりを重視していると、なかなか意思決定の段階まで進みません。

数字やデータの分析、加工に熱中してしまうと、どこまで行ってもきりがないのがBIツールの特徴でもあります。戦略を立てるという意味では必要なデータ分析ですが、そこが目的になってしまうと、なかなか先に進むことができません。結果的にBIツール導入の効果が薄れてしまいます。

4-3. 使いこなせない

BIツールを使いこなせないことも、失敗に陥る原因の1つです。BIツールの導入を進める企業も増加している一方で、まだまだ新しいツールであることは間違いありません。

そのため、正しい知識やスキルをもとに使いこなせる担当者や人材が不足しているのも否定できない現状です。情報システムやツールの操作に慣れている人がいれば、滞りなく設定や運用を行うことができますが、そうした人材がいないとなかなか軌道に乗せるのが難しいケースも出てきます。

場合によっては、自分たちが使える機能しか利用していないということもあります。そうなると、せっかくBIツールを導入しても一部の機能しか使わないので、結果的にコスパが悪くなってしまいます。

4-4. 投資コストに見合わない

投資コストに見合わないことも、BIツール導入による失敗事例の1つです。多機能なものや、柔軟性があるものなど、BIツールにはさまざまなものがありますが、上手く活用することができないと、一部のレポート作成など特定の機能しか使えないといったケースも出てきます。

そうなると、せっかく多機能性を有しているBIツールであっても、一部の機能しか使うことができず、コスパが悪いと判断されることになってしまいます。高額な割に用途が少ないといった勘違いにつながることもあるのが実際のところです。

導入前の利用目的の明確化や担当者の操作スキルなどが不十分だと、結果的に導入失敗だったと感じることがあります。

4-5. 活用シーンを特定できていない

次に、活用シーンを特定できていないことも挙げられます。導入目的が不明確という点ともつながりますが、どういったデータをどのシーンで使いたいのかはっきりさせておかないと、曖昧な状態で運用が続くことになります。

企業経営を支えるさまざまなツールの中でも、人事管理システムや会計システムといったツールは、活用シーンがはっきりしており、特定できずに悩むということは多くありません。

一方で、BIツールの場合は社内に蓄積しているデータを加工したり組み合わせたりすることで、さまざまなシーンで活用することができるシステムです。使い勝手が良い反面、汎用性が高いことがデメリットにつながるリスクもあります。

人事部や営業部、マーケティング部や総務部など、さまざまな部署で使うことができるBIツールですが、だからこそ活用シーンや目的をはっきりさせることが重要です。

4-6. 機能が多すぎる

活用シーンの特定とも関連することですが、機能が多すぎることが導入失敗につながることもあります。BIツールは、使っていけばいくほど新たな知見や考え方を得られる奥深いシステムです。

そのため、設定や運用が流れに乗っていけば、その後もスムーズにBIツールを使った経営を軌道に乗せやすくなります。

反対に、機能が多すぎることが仇となって、よくわからない状態が続いてしまうことがあります。オプションや上位プラン、メニューの追加など、「あれもできそう、これもできそう」と迷っているうちに本来の目的を見失うこともあります

自分たちにとって本当に必要な機能は何なのかをしっかりと吟味した上で、BIツールの導入と運用を進めることが求められます。

4-7. 完璧主義

完璧主義であることが仇となって、BIツールの導入に失敗してしまうこともあります。これは日本人特有の性質と言える部分でもあります。

BIツールの導入に伴って、自社の業務に合うようにカスタマイズするケースはよくある話です。そのカスタマイズにこだわりすぎて、完璧になるまでやり続けてしまい、本来の経営に関わる部分とは別のところで話が止まってしまうことがあります。

例えば、フォントサイズや色、形式などにこだわりを見せたり、自社のロゴマークを全ページに入れることにこだわったりと、カスタマイズに熱中してしまうと、時間ばかりが経過することになります。

結果的にBIツールの導入自体が見送りになったり、導入しても実際の運用まで行くまでに時間がかかったりするということがあります。この辺は個別最適よりも全体最適を優先して、BIツールの導入を進めることが重要です。

5.BIツール導入を失敗しないためのポイント

ここからは、BIツール導入を失敗しないためのポイントについて確認していきます。上記でも取り上げてきたように、さまざまな原因でBIツールの導入が失敗に終わってしまうことがあります。

そうした失敗を未然に防ぐために、できることや意識しておきたいポイントがあります。自分たちはBIツールの導入を成功させるという強い意思を持った上で、導入を進めていきましょう。

5-1 ゴールを明確にする

導入失敗を防ぐためのポイントとして、まずはゴールを明確にすることが挙げられます。何のためにBIツールを導入するのか、BIツールを導入することによってどういった成果を上げたいのか、そのゴールの部分を明確にしておかないと、導入したこと自体に満足してしまう危険性があります。

BIツールの導入がゴールではありません。導入後に業務の効率化や売上アップ、顧客データの有効活用など、自社にとって利益になる状況を作り出すことができなければ意味がありません。

ゴールを明確にすることで、進むべき方向性を全体で共有することが導入失敗を防ぐためのポイントです。

5-2 部署や組織ごとの連携を強化

部署や組織ごとの連携を強化することも、BIツール導入失敗を防ぐためのポイントです。実際にBIツールを導入する部署と使う部署が一緒であればそれほど問題ではありませんが、大きな組織になればなるほど、導入と利用する部署が異なるケースが増えていきます。

例えば、情報システム部門がBIツールの導入を行い、その他複数の部署がBIツールを活用するというケースもあるでしょう。その場合は、情報システム部門とその他の部署の担当者をあらかじめ選定しておき、定期的にミーティングを開催するなどして、BIツールの使い方やどんなことができるのか連携を図ることが重要です。

BIツールでは日々機能更新されていく部分があり、それまでできなかったことができるようになることもあります。そうした部分も含めて、情報共有を図ることで本来の利用目的達成につながります。

5-3 使いやすいBIツールの選定

BIツールの導入という点では、使いやすいBIツールの選定を行うこともポイントです。せっかくBIツールを導入しても、使い勝手が悪かったり、インターフェースが優れていなかったりすると、使おうというモチベーションが低下してしまいます。

テンプレートの豊富さや、直感的に操作しやすいインターフェースなど、誰でも使いこなせるツールを検討することがおすすめです

6. まとめ

BIツール導入に失敗する原因について、7選にわたって具体的にご紹介してきました。BIツールは企業経営を支えてくれる魅力的なシステムであり、意思決定の際の指針として活躍するケースが少なくありません。

正しい知識を持って正しく活用することで、BIツール導入が業績拡大につながることも珍しくありません。しかし、使い方や利用目的を誤ってしまうと思わぬコストになってしまうこともあります。その辺も冷静に見極めた上で、BIツールの導入、運用を効果的に進めていきましょう。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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