欧州におけるデータに関する法整備や、データマーケティング関連企業の大型買収など、2018年はマーケティング領域において様々なニュースが飛び交いました。企業のマーケターにとって、これら世の中のトレンドや最先端のテクノロジーの動向を知っておくことは、企業の存続に関わる重要なポイントです。そこで、本記事では2018年の上期に起こったマーケティングニュースを1位~5位までピックアップしました。2018年に起こったマーケティングニュースを振り返ることで、より強固なマーケティングを実現するための足がかりになれば幸いです。

5位 デジタル化推進における慢性的な人材・スキル不足は、経営者の責任!?

人手不足はデジタルマーケティング業界に限った話ではありませんが、自社内でデジタルマーケティングを推進するための人材が不足しているという課題を感じている企業は依然として多いのではないでしょうか。

また、デジタル化を推進するための人材やスキルが不足していると感じつつも、教育方法・体制も整っていないのが多くの企業における現状です。つまり、人材不足だから自社内で育てよう、でも育てるための教育スキームの目処も立たない、という二重苦の状態に陥っています。米国に本拠地を置く業界最大規模のICTアドバイザリ企業ガートナー社の調査でも、デジタル化を推進する上で人材の不足が明らかになっています。

調査の中で、多くの企業がデジタル化・データ活用などの必要性を感じていますが、その反面、30%もの企業が専任組織の必要性を感じておらず、設置を検討している企業もわずか2%に留まっているとのことです。

必要性は感じているものの、デジタル化を真に進める為には、企業の中で専任組織やスキルがある専任の担当者の設置が必要不可欠です。しかし実際には、その必要性が理解されておらず、デジタル化の推進をミッションに持つ人間がいないため、具体的な取り組みを進められていないというのが現状でしょう。

まずは経営層などの上層部が、デジタル活用の重要性や価値だけでなく、競争に生き抜くためにデジタル化の推進は必須であるとの認識を強くもつことからはじめる必要があります。

4位 デジタル決済方法の広がり!キャッシュレス社会は日本に根付くか?市場変革の重要な岐路!

今年一年で更に飛躍的に進化し、多様化した決済手段。 その象徴としてApple PayやAmazonペイメント、国内産では、LINEペイなどが利用拡大に向け加速しています。

ほんの十数年前までは現金を持ち歩かない生活は考えにくいものでしたが、今ではキャッシュレス化がかなり一般化してきています。一例を挙げると、都内でコンビニ行った際に、若い世代だけでなく、50代を越えた世代でも電子マネーで決済する様子が多く見られます。Amazonペイメントは、厳密には決済ではなくログインの共有機能で、ECサイトでの活用が主ですが、オンライン上で決済込みのサービス展開をする他のサイトにも利用することができます。

また最近は、無料対話アプリを運営するLINEが、「決済革命を起こす」と掲げ、スマートフォンを使った決済サービス、LINEペイの利用拡大に一気に動きだしました。LINEの出澤剛社長は、「利用者が一定数を超えれば生活が変わる」とも語っています。この発言は、LINEが新たな社会インフラを担っていくという野心を示していることの表れです。日本でのLINE利用者は現在約7,500万人と、人口の実に6割近くに達しています。国内銀行最大手の三菱UFJ銀行でも、預金口座数は約4,000万口座であり、利用者数という観点ではメガバンクを大きく上回る状況です。今後、LINE利用者の間で急速にLINEペイの利用が広まっていけばその衝撃は大きいでしょう。

日本人のキャッシュレス決済の比率は現在約2割と、主要国の中では最低水準にとどまっていますが、日本政府はこれを2025年までに4割まで高めることを目標に掲げています。もしかしたら、LINEペイはその実現を大きく助け、伝統的な決済方法に風穴をあける日もそう遠くはないのかもしれません。

3位 2018年5月施行!対応の必要に迫られているGDPRとは?

GDPR(EU一般データ保護規則)とは2018年5月25日に施行となった、EUにおける個人情報・プライバシーに関する、データ処理・管理に関する新たな枠組みのことです。

EUで定められたルールであるにも関わらず、EU圏内に商品やサービスを提供していたり、EU圏内からWebサイトにアクセスがある日本企業はGDPRの対象となる可能性があります。また、GDPRへの違反企業への罰則は、全世界の年間売上高の4%もしくは2,000万ユーロ(1ユーロ125円とすると25億円)のどちらか高い方を上限とする制裁金が課せられる可能性があります。

GDPRへの各社の対応は遅れており、5月に発表されたあるEU一般データ保護規則(GDPR)に関するユーザー企業の実態調査によると「対応済み」と回答したのは10.0%にとどまり、現在対応中(19.7%)を合わせても3割に満たない結果となっています。

企業もようやく重い腰を上げて対応を検討するための情報収集を始めています。最近ではGDPRへの対応を支援するソリューションも多くリリースされており、GDPRとして一つのマーケットが出来てきており、この流れはしばらく続きそうです。

2位 CDP/ABM 情報という資産を活かすデータマネジメント

2位にランクインしたABMをはじめ、「散在するデータをどのように統合し、可視化し、活用するのか?」というテーマは近年特に注目が集まり、取り組みが進められているテーマです。このテーマが注目されている背景としては、デジタルの活用が企業でも進み、デモグラフィックデータのみならず、IP、Web行動データ、購買データ、位置情報データ、趣味嗜好データなど、様々なデータが収集できるようになったことが挙げられます。これにはオンラインのみならず、オフラインデータも含まれます。

また、多くの企業が様々なマーケティング関連ツールを組み合わせてマーケティング活動を推進していくようになり、収集したデータを統合する必要が生まれています。「どう収集・統合・分析し・アクションにつなげていくのか」がますます注目されています。

さらに、昨今耳にするようになったAIや機械学習などの、自動化や未来予知の領域も、元となるデータの精度によってその利用価値が左右されます。良い(精度の高い)データからしか良い(精度の高い)予測は導き出せないのです。 そういった意味でも企業は情報という資産をどうビジネスに活かしていくのかは重要なテーマと言えるでしょう。

1位 Martechの新時代!巨大企業によるマーケティングテクノロジー買収劇

そして、1位にランクインしたのは、大手企業によるMartech企業の大型買収です。最近では、ソフトウエア会社の米アドビシステムズが9月20日、マーケティング支援ソフトメーカーの米マルケトを47億5,000万ドル(約5,340億円)で買収することが発表されました。高成長を続けるビジネスソフト分野で競合するセールスフォースやオラクルに対抗するため、マーケティング支援ソフトを拡充する狙いと言えるでしょう。アドビの発表資料によれば、同社にとって過去最大規模となるマルケト買収は今年第4四半期(9-11月)に完了する見込みです。

その他にも7月30日、ソフトバンクグループ傘下のコンピュータチップ設計企業ARM Holdingsが、米国のデータ分析企業Treasure Dataを買収することに合意しました。関係者の情報によるもので、ARMおよびTreasure Dataは正式なコメントを発表していないですが、買収金額は約6億ドル(約666億円)にのぼるといいます。Treasure Dataはカリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くビッグデータ分析企業で、2011年にシリコンバレーでCEO兼共同創業者の芳川裕誠氏らにより設立されました。購買履歴やIoTセンサーからの情報分析を行うSaaSプロダクトを提供しており、自動車、小売、IoT、エンターテインメントなどの業界で利用されています。

このように、直近だけでも、米アドビシステムズやARMといった巨大企業による大型の買収が続いており、未公開Martech企業の価値が相対的に上昇し、この流れは続くものと見込まれます。国内外Martech企業は、独立路線を進むか、Treasure Dataのように技術力を駆使し、巨大企業との協調路線を進み成長を狙うか選択を迫られています。引き続き目が話せません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マーケターにとって世の中のトレンドや最先端のテクノロジーをしておくことは、競争優位を高める上で必須です。本記事だけでなく、世の中のトレンドを幅広くチェックしておくことで、貴社のマーケティングを更に強化されることをオススメします。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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