前編ではストライプインターナショナルが現在取り組んでいることや、これから注力していく領域についてお話を伺いました。後編では、EC市場において勝っていくためのポイントや、チームビルディングのポイントについてお話を伺います。

ストライプインターナショナルのブランドとしての強みはどのようにお考えでしょうか?

一つは店舗数が多いことだと思います。CMや街中で皆さんの目に留まることも多いと思いますが、特にearth music&ecologyは店舗数が多く、ある一定の世代に対しては「あそこで服を買いたい」といったランドマーク的な場所になっているので、店舗数の多さがブランディングに効いていると思います。最近amazonをはじめとするEC専業会社が実店舗を買収しはじめていますが、実店舗はECに駆逐されることはなく、むしろ一緒にやるからこそ強くなる方法が絶対にあると思います。ネットとリアルのブランディングをセットでやっていけることが我々の強みではないかと思っています。

ストライプインターナショナルがブランドとして大切にしていることや、全社の共通認識があれば教えてください。

ライフスタイル&テクノロジーというコンセプトを掲げており、ECやIT領域を強化しようと全社的に打ち出しています。基本的にヤングレディース層を中心にサービスを提供していますが、昨年smarby社をグループ化して、ベビー・キッズ商品も展開しています。他にもメチャカリのようなレンタルサービスも展開しているので、販売だけでなく洋服をレンタルする文化も広げていこうと思っています。

それらのベースとなる顧客に関しては、現状のキッズ、ヤングから、将来的にはキャリアミセスまで対象を広げていきます。商品を買ってもらったり、借りてもらったりという関わりの中で、どのようにトランザクションが発生したかというログを取り、長くお付き合いしていく。そして、お客様に満足していただけるサービスを作っていければ良いのではないかと思います。これからベースを作っていく段階となります。

EC業界において、各社が生き残っていくためには何が必要だとお考えですか。

ECはサプライチェーンというベースの上にITテクノロジーがあるので、メディア事業、アドテク事業などと比べると業界スピードは比較的遅いところがあるように感じます。アドテク領域はとてもスピードが速く、去年流行っていたものが今年は全然流行らないことも多いです。EC業界では楽天やamazonのようなビッグプレイヤーがいるものの、後発のZOZOTOWNがファッションECで突き抜けてきたように、次のプレイヤーに対してチャンスはまだまだ残されています。参入障壁は高い部分もありますが、その壁を乗り越えた企業は割と対等に戦っていけるようなビジネスフィールドなのではないかと個人的には考えています。

物流がドローンに取って代わられると言う話もありますが、1年後2年後にトラックがなくなることはありえないと思いますし、業界構造が大きく変化してしまうようなイノベーションが急速に起こりにくい業態だと思います。その中でどのように差異化を図っていくのかは、販売する商品によるところが大きいのではないかと思います。amazonなどのマーケットプレイスに対して、自社製品を作っているメーカーやブランドの方が強みを発揮できるケースも多いのではないかと思います。

逆に参入障壁を乗り越えて対等に戦えるようになるためには、どのようなポイントがありますか?

売上規模で分けて考えるとわかりやすいと思いますが、5億円から10億円といった規模までは、楽天市場などのECモールに出店するだけでもなんとかなります。そこから50億円まで引き上げるとなると、何らかの形で自社ECサービスを構築し、倉庫を管理して、ヤマト運輸のような物流業者と契約するというようなことを小規模ながらもやる必要があります。さらに100億円規模になってくると、運営チームも強くなり、仕組み化も洗練されていきます。ここでさらにどんな戦い方をするかによって強いプレイヤーにも対抗できるようになってくると思います。

チームづくりの観点ではいかがでしょうか。売り上げや業績をあげるという観点で、どのようなチームが理想でしょうか。

理想は私がいなくても回る状態ですね(笑)。冗談はさておき、ビジネスにおいて、調査・分析で明らかにすることが可能な部分と、仮説ベースでチャレンジしなければならない部分があると思いますが、最低限、明らかにできる部分をきちんとやりきれるチームでなければ勝てないと思います。チャレンジしなければならない部分にはどうしても当たり外れがありますから、その手前まで確実に押し上げることは非常に重要かつ、一人の力では推進力不足となるので、専門性を持った人材を登用し、やるべきことをしっかりやりきれるようなチームビルディングが大事になってきます。

もう一つ重要なのはコミュニケーションですね。自分の専門分野しかやらないという専門家ばかり集まってもチームとして強くはならないので、コミュニケーション力と、専門性を兼ね備えたチームビルディングが重要です。

コミュニケーションやチームビルディングのポイントはどういったところですか?

ありきたりですが、時にはメンバー同士で飲みに行ったりすることも大事だと思います。また、どんなに忙しくても必ず全員参加して話す、定期的なコミュニケーションの場を設定することも重要です。参加者への情報提供をきちんと行うことを通して、自分の意見を言う意識が大事なのではないかと思います。そういったカルチャーを醸成していくのもリーダーの役目ではないでしょうか。

では最後に、寺岡さんにとって未来のCMOに必要なものを一言でお願いします!

自分一人ですべてのことを達成するのは不可能なので、自分たちが目指すゴールを必ず達成できるチームを作ることができる人脈力と、自身の専門性やリーダーシップだと思います。

私自身、インターネット業界の人脈は広いですが、アパレルは今回初めての業界だったので、色々なファッションECの方々と交流しコミュニケーションの取れる場や、飲み会などに参加するようにしました(笑)。やはり、他社がどんな取り組みをしているかは、WebやIR資料だけではわからないこともありますからね。直接は聞けなくても、その企業が導入しているベンダーなどから色々な話も聞けるので、そういうところから他社とのギャップを見極め、埋めていくこともできると思います。

寺岡さんの場合、EC領域が一番の専門性になってくるのですか?

実は私は新卒2年目までシステムエンジニアだったので、システム構築には多少理解があります。基本的にECビジネスは、システム構築が伴うケースが多いので、そのベースを持っていて、マーケティング戦略、事業戦略を推進していくことができるのは利点だと思っています。

これからの時代、マーケティングとテクノロジーが切り離せなくなってくる中で、システム領域の知見は持っておく必要がありそうですね。

そうですね。細かい部分まで知らなくとも、「どのような仕組みが連携しあっていて、どのようなデータの連携があるから、こんなアウトプットが出て、こういったマーケティングができる」というように、データの流れを、システムをベースに理解できることは大事だと考えています。

例えばなにかを変えようと思った時に、それは1週間でできるのか、それとも1年以上かかりそうかといった肌感があると、優先順位の決定などにも役立ちます。その辺りの見極めができるという意味でも、テクノロジーの経験・知識は多少なりともあった方が良いと思います。他にも、HTMLメールの作成など、多少勉強すればわかる部分も多いと思うので、自分のできることを広げるという意味でも自身の知見を広げていくことは必要ではないでしょうか。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

Speaker Profile

  • 寺岡 良浩

    ストライプインターナショナル

    執行役員 グローバルファッションEC本部長

    大手ポータルサイト、求人メディアなどでマーケティング戦略、商品企画、事業開発に従事後、ゴルフダイジェスト・オンラインのEC責任者を経て、2017年1月より現職。自社ECサイト「ストライプクラブ」、洋服レンタルサービス「メチャカリ」、外部ECサイトでの販売、海外ECサポートなどを管轄している。ストライプインターナショナルのEC売上拡大に向けて顧客マーケティング、体制構築などを推進。

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