2019年1月、第7回目を迎えた「b→academy」が開催された。企画責任者を務めるチェアマンとして、オイシックス・ラ・大地株式会社のCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)兼 株式会社フロムスクラッチCIO(チーフイノベーションオフィサー)西井 敏恭が開講の挨拶をした後、今回はソニーマーケティング株式会社 マーケティングマネージャーの橋本好真氏よりソニーが実践するデータマーケティングについてお話をいただいた。「b→academy」は、「データやテクノロジーを活用したマーケティングを当たり前にする」というミッションを掲げ、最先端マーケティングに関する知識や事例のシェア、マーケター同士の交流を行っている。今回も約82名のデジタルやデータに携わるマーケティングリーダーが集まった。

ソニーが実践する緻密なデータマーケティングの戦略と具体的施策の裏側

今回のb→academyでは、ソニーマーケティング株式会社において、ソニーの国内マーケティングのうち、特にデジタル領域をリードする橋本好真氏が登壇。同氏はデジタル広告、ウェブサイトマネジメント、ECシステム構築、DMP、マーケティングオートメーション(MA)などの領域を担当し、One to Oneマーケティングを推進している。

皆様の多くはソニーに対して、日本を代表するエレクトロニクスメーカーとして世界的大ヒット商品を生み出し続けてきた“プロダクトアウト”のマーケティングのイメージがあるのではないだろうか。しかし、橋本氏を筆頭にしたデジタルマーケティングチームは、顧客一人一人の属性や行動をデータとして取集し、“個客”として理解し寄り添う、まさにOne to Oneのマーケティングを実践してきた。そこで当セッションでは、同社が実践する緻密なデータマーケティングの裏側に迫った。

“データマーケティング成功の鍵”は「データの一元管理」「組織」「フレームワーク」

講義はまず、ソニーマーケティングが置かれている外部環境や、その中で同社がマーケティング方針として掲げる「高単価・高付加価値」戦略の概要が語られた。その後、“顧客に寄り添う”One to Oneマーケティングを実現するための具体的な取り組みについて語られた。

橋本氏がまず紹介したのは、同社が組織として実践するフレームワークだ。消費者がソニー製品を認知し、ソニー製品を購入し、さらにソニーファンへと成長する過程でソニーとしてどのような施策を打つべきかがわかりやすくまとめられたフレームワークである。

橋本氏が強調したのは、「InformからCommunicateへの企業のアプローチの仕方を変えること」だ。つまり、企業はただ情報提供するのではなく、ユーザーの態度変容を正確にとらえ、ユーザーが必要とする情報を適切なタイミングで提供することが重要であるという。

ユーザーの態度変容をとらえるために、橋本氏は、購買データはもちろん、顧客のWebサイト上のデータや、アンケートや店舗・イベントへの来訪データもすべて一元管理する体制を構築した。

講義は後半に入り、データ活用によって創出した成果の話へ移った。例えば、ユーザーの態度変容をトリガーにしたメール配信は、メールマーケティングにおける各KPIを軒並み上昇させた。特に成約率は過去の一斉配信に比べ200%を超え、いかに同社がユーザーを深く理解し、適切なアプローチを行っているか、そしてデータの持つ力が明らかとなった。

最後に、橋本氏から「データマーケティングを成功させるための鍵」が明かされた後、質疑応答へ移り、データ管理体制構築のポイントや、組織間のコミュニケーションの取り方など多岐にわたる質問が集まった。

詳細版のイベントレポートでは、橋本氏が実践する施策や成果について公開予定である。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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