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2018.01.23

マーケターは徹底的に”消費者”であれ
テクノロジー起点の発想力がこれからのマーケティングのカギ

前編中編ではGDOのデータを使ったマーケティングとメディアの裏側や展望についてお話を伺いました。後編では、これからの時代のマーケターに求められるスキルや考え方についてお話を伺いました。

――マーケティングの担当者が持っておくべきスキルや考え方があれば教えてください。

志賀:
2つあります。1つは、マーケティングをするのであれば、しっかりと”消費者”になってほしいということです。自分が消費者ではないのに、自社の商品を売れるわけがないですよね。なぜ買いたくなったのだろうとか、自分の行動をトレースできる人であってほしいと思います。もう1つは、顧客体験を意識してほしいということです。マーケティングは単純にモノを売ることではなく、全体の”体験”をお客様に価値として提供することだということを心しておいてほしいと思います。

私はGDOに入社するまでゴルフをプレーしてこなかったので正直大変でした。今の部署に配属されてからの上司に「マーケティングの部長をやるのにゴルフをやらないとはどういうことだ、一流の消費者であれ。」と怒られましてね(笑)。改めて、売り手の視点じゃなく、買い手の視点に立つ必要性を感じました。マーケターってどうしても売り手視点になりがちなので、我に返って買い手の視点に戻れるかはとても重要だと思います。

――ゴルフの場合、実際にプレーしてみれば消費者になれると思いますが、他の業態では難しい場合もありますよね。その場合はどうすればいいのでしょうか。

福永:
私が化粧品会社のコンサルティングをやっていた時は、百貨店の化粧品コーナーに行って、ずっとお客さんを観察していました。それくらいはできるはずです。デスクトップリサーチや座って妄想するだけではある程度限界があると思うので、しっかりと自身で体験した上で妄想する方がより良いに決まっています。ハマる必要は別にないですが、実際現場に出てみるのは必要だと思いますね。

志賀:
あとは、仮説思考であって欲しいっていうのはよく思いますね。やる前に考えすぎないでねって。例えば、MAのシナリオもそうですが、思い付きでいいのでまずはやってみることが大切です。決して無謀なことをやれと言っているわけではなく、数字を積み重ねて説得材料を用意すればわかりやすいと思います。特にマーケティングの施策であれば、仮説思考が非常に重要になると思います。 

――福永様はどうでしょうか。

福永:
よくメンバーに話しているのは、嫌われている理由や成果が出ていない理由をちゃんと落とし込めるようにしたほうがいいと言っています。なにかマーケティングプランを提案する際に、断られるケースや失敗するケースは必ずあります。マーケティングの成果を上げるのであれば、受け入れられる理由や受け入れられる妄想はしつつも、受け入れられなかった時の悪い妄想もバランスよくしておくと良いと思います。

――確かに、その視点はなかなか持てないですね。

福永:
そうなんですよね。さっきお話しした価格競争に関しても、受け手側としては、「今暑いから涼しい場所はどこ?涼しい服は何?」と聞きたいのに、「夏服が安いですよ!」という供給者論理の一方的なコミュニケーションが良く見られます。このタイミングにおいては、金額よりも、「うちの夏服はこんなに着心地が良くて涼しいです!」と訴求した方が、受け入れてくれるに決まっています。安くしているのになんで買ってくれないんだと勝手に思うより、なんでこの表現が伝わらなかったのかに気づけるように、思考の視点を変えられるというのはとても重要な考え方だと思います。

――ありがとうございます。それでは最後に、志賀さんと福永さんが考える「未来のCMOに必要なもの」を一言でお願いします!

志賀:
これはあくまで私の憶測ですが、CMOはCDO(チーフ・デジタルトランスフォーメーション・オフィサー)に進化すると思います。いわゆるマーケティングのセンスを持ちつつ、テクノロジーを良く理解するということが特にネット業界は重要だと思いますね。これからはテクノロジーを熟知しているCMOじゃないと生き残れないと思います。オイシックス 西井さんのCMT (チーフマーケティングテクノロジーオフィサー) もいいと思います。要は、マーケティングだけではなくて、全部を変えていく必要があるんです。顧客接点のあり方も、テクノロジーを使った顧客接点の作り方にしていく必要があるんです。

多分CIOがCMOになる事はないんですよね。CIOがCTOにはなれますが、CDOにはやっぱりなれない。CMOがすぐに進化しないといけないんです。やっぱり考え方が全然違いますから。iPhoneができたアプローチもそうですが、テクノロジー起点の発想ができる人がマーケティングをやっていかないとダメなんじゃないかと思います。

福永:
加えて、営業力に関しては別途必要になってくると思います。CMOをゴールとして目指すのではなく、CEOになるためにCMOをやるという感覚が必要不可欠です。マーケティングはもともと経営戦略ですし、会社のP/Lを意識した上でCMOの役割を担っていく必要があると思います。経営の指標とマーケティングの施策活動、KPIを紐付けて考える必要がありますね。CMOであってもプロフィットセンターである意識は必要ですね。どんどんお金を使う宣伝部長をCMOと呼ばないでほしい。これからは、CEOになるためにCMOをやりたいと思う人が増えていかないと、良いCMOは増えていかないと思います。

Text by Yuuki Miyagawa


【プロフィール】
志賀智之
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
お客様体験デザイン本部 部長
2008年に㈱ゴルフダイジェスト・オンライン入社。IT戦略室長、情報活用推進部 部長を歴任し、データベースマーケティングやメディア部門でのSalesForce活用など、データを活用したマーケティングを推進。現職のお客様体験デザイン本部の副本部長に着任後、UXDの推進、マーケティングプラットフォーム構想、各種マーケティングシステムの導入とデータを活用したマーケティングを推進中。

福永和洋
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
メディアビジネスユニット 副ユニット長
2010年に㈱ゴルフダイジェスト・オンライン入社。 コンサル側、事業会社者側のマーケティングの経験を活かして、データマイニングや デジタルマーケティングなどのマーケティング領域を担当。近年はメディアビジネスユニットにおいて、自社のコンテンツ企画やGDOに集まっているトラフィックを価値化するためにメディアマネタイズに従事している。ゴルフメーカーのプロモーション支援をはじめ、ゴルフ以外の業界/業種に対してGDOのメディアを活用したプロモーションプランを提案している。
https://www.golfdigest.co.jp/


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