1.はじめに
8月にオススメする本は、世界的なマーケティング戦略家として知られているアル・ライズ氏とジャック・トラウト氏による本です。
この本は、普遍的なマーケティングの法則について、世界の大手メーカーや大手ブランドのマーケティング事例を題材に、初めて解説した本です。本書では、この法則を「マーケティング不変の法則」と呼んでおり、これには22の法則があると説明しています。そして、この法則を犯すものなら、“危険に見舞われることを覚悟した方がいい”とも述べています。
実際この22の法則を見てみると、今現在マーケティングに成功している企業に当てはまる法則ばかりで、思わず頭を唸らせてしまうことでしょう。
これまで培ってきたマーケティング知識を体系化したい方やマーケティングの基礎基本を抑えておきたい方には特にオススメです。
2.本の概要
マーケティングとは“知覚の戦い”である
本書はマーケティングの本質を22の法則にまとめていますが、特に重要となるのが4つ目の法則の「知覚の法則」です。この法則ではマーケティングとは“商品の戦い”ではなく、“知覚の戦い”である、といっています。
多くの人が機能やデザインに優れている、いわゆる“最良の商品”が市場を席巻すると考えています。そのため、リサーチをし、事実を把握することで、自社の商品こそがベストであることを確認しようとします。しかし、実際は、客観的な事実は存在せず、ベストな商品も存在しません。あるのは、顧客や見込み客の心の中にある知覚だけであり、この知覚こそが現実である、と筆者は述べます。
事実とは相対的に存在するものであり、「自分の方が他人より正しい」と思うのは、単に「他人より自分の方が認識力が優れている」と言っているに他なりません。そして、「自分に限って間違った知覚をするはずがない」と誰しもが思うため、事実と知覚の区別が心の中でつかなくなっている、と筆者は言います。自分の中で確かだと思うことは、自分がそう認識しているに過ぎないので、より多くの人に現実だ、事実だと認識させる知覚操作こそがマーケティングである、ということなのです。
ただ、厄介なことに、消費者はしばしば間接的な知覚を頼りに購買の意思決定をします。つまり、自分自身の知覚ではなく、他の誰かの知覚をもとにそれが正しいと認識し購入するのです。この事実を、商品力が高いから購入したのだ、と認識を誤れば、自社のマーケティング戦略は失敗に終わるだけでなく、売上を今の1/10にまで下げてしまう恐れがあることを、様々な業界のマーケティング事例を例に教えてくれます。
3.目次のご紹介
1章:一番手の法則
2章:カテゴリーの法則
3章:心の法則
4章:知覚の法則
5章:集中の法則
6章:独占の法則
7章:梯子の法則
8章:二極分化の法則
9章:対立の法則
10章:分割の法則
11章:遠近感系の法則
12章:製品ライン拡張の法則
13章:犠牲の法則
14章:属性の法則
15章:正直の法則
16章:一撃の法則
17章:予測不能の法則
18章:成功の法則
19章:失敗の法則
20章:パブリシティの法則
21章:成長促進の法則
22章:財源の法則
4.本の見どころ
本書では、コカ・コーラとペプシコーラ、ホンダとフォルクスワーゲン、マクドナルドとバーガーキングといった様々な業界のマーケティング戦略を例に、犯してはならない普遍的なマーケティングの法則を解説しています。
これまでは、マーケティングのフレームワークや戦略・考え方について解説された本がほとんどでした。もちろん、どのフレームワークや戦略も実践に役立つものばかりですが、どのような場面で使えば良いかを判断しなければならない、という難しさもありました。しかし、本書は、マーケティングの本質に迫り、それを法則にまとめているため、すぐにでも自社のマーケティングに役立てることが可能です。
また、成功事例だけでなく、失敗事例も併せて紹介しているため、その法則の正しい使い方だけでなく、その法則に従わなかった場合どんな結末を迎えるのかまで知ることができます。改めて自社のマーケティング戦略を振り返る時、新規にマーケティング戦略を考える時、マーケティング戦略の軌道修正を考えている時、本書を読めば自社が取るべき戦略は自ずと見えてくるでしょう。
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