以前、EC業界を主としたOne to Oneマーケティング実施のための施策とデータの扱い方について説明しました。
データマーケティングというと、EC業界やメディア業界が思い浮かばれるかもしれませんが、昨今店舗で事業を行っているような業界でも特にCRMにおいてあらゆるデータをマーケティングに活用しようとするご相談が増えてきました。
その中でも特に、「新規のお客様の集客チャネルはWebが中心で、サービス提供自体は店舗が中心の業界」が、データマーケティングに取り組まれているケースが多いと感じます。
具体的には、
・エステ・クリニック、美容外科といった美容サービス関連事業
・料理や英会話教室事業といった教育系事業
・結婚相談所事業
・人材紹介事業
などが挙げられます。
これらの事業は全て、集客時点で、Web上で予約や申込といったCVが発生するので、店舗だけの事業よりも顧客データを沢山持っており、データマーケティングを始めやすい点がその理由です。
また、後述しますがこれらの事業は全て事業内容はもちろん、ターゲット層も全く異なりますが、CRMという観点で見るとやるべきことが似通っていたりするのです。
今日はそんな”Web集客型・店舗送客型”の事業におけるデータマーケティングの「あるある」施策を説明したいと思います。
【参考】One to Oneマーケティングとは
【本当に可能なのか?】One to Oneマーケティングの正体とは!?
【関連】オムニチャネルとは
【これで解決!】オムニチャネル実現に向けてやるべきこととは
〇’Web集客・店舗送客型’の基本のビジネスプロセスのきほん
〇<初級編>~予約した人の来店率をUPさせる施策~
〇<中級編>~休眠顧客をアクティブ化する施策~
〇<上級編>~アクティブな人の利用回数を更に向上させる施策~
〇まとめ
〇”Web集客・店舗送客型”のビジネスプロセスのきほん
なぜ、先ほど挙げた以下の事業が全てCRMという観点で見ると似通っているのか。
ビジネスプロセスを紐解きながらご説明します。
・エステ・クリニック、美容外科といった美容サービス関連事業
・料理や英会話教室事業といった教育系事業
・結婚相談所事業
・人材紹介事業
上記の事業は、以下のプロセスでお客様は購買に至ります。
↓
②会員登録や予約、申込み、資料請求などの初めてのCV(自社で集客/二次媒体の場合両方)
↓
③来店
↓
④本契約、申込み(購買の決定が来店時にある場合)
↓
⑤リピート契約、申込み(リピートの概念が存在する事業の場合)
現在上記のファネルのうち、どこで水詰まりがあるのかを把握し、ボトルネックの原因を探ることがデータマーケティングにおいての第一歩です。
従来は、CPAが安く、CVをとにかく増やせばその先にある売上も上がるということもありましたが、あらゆる企業がWeb広告に投資しCPAが下がらなくなってくると、新規のお客様を獲得するコストよりも、すでにCVして予約をしているのに、まだ来店や購買に至っていない休眠のお客様を購買に引き上げるほうがROIが高いと考える企業が増えてきました。
このような背景から’Web集客・店舗送客型’事業においてもデジタルマーケティングが盛んになってきました。
デジタルマーケティングにおいては、どのファネルを強化しなければならないかが分かれば、施策はほぼ決まってきます。
次項以降で、どのような施策を行えば良いのか、一部ご紹介します。
〇<初級編>~予約した人の来店率をUPさせる施策~
冒頭でご説明したプロセス③の歩留まりを上げるための施策ですね。
皆様のビジネスでは、CVしたけれどそのうち来店してくださる方は何%いらっしゃるでしょうか。
このレートを仮に5%引き上げるだけでも後ろの数字が大きく変わってくるはずです。
予約した人の来店率をUPさせる「あるある」施策は、シンプルに「リマインド」施策です。
例えば教室やサロンのようにWeb上で予約を行うビジネスモデルの場合、次のようなリマインド施策が有効です。
・予約内容のリマインドメールを受講日1週間前に送る
お客様が求める情報を適切なタイミングで送ることにより、お客様の満足度を高め、来店率UPに繋げます。
お客様は意図的に無断でキャンセルするのではなく、予約したこと自体を忘れているケースが多いので、親切なコミュニケーションとしてリマインドを行うことでスムーズに来店を促すことができるはずです。
何日前に、どのような内容を送るのが最も来店率が高まるのか色々試してみてください!
【リマインドメール実施における課題】
このリマインドメール、ものすごくシンプルですが実は言うは易く行うは難しです。
なぜかというと、個別に予約内容に基づいてメールを行うためのインフラが整っていないケースが多いからです。
メール配信のためのインフラを整えるとなると、例えば、
・会員/顧客データ(属性データ)
・予約データ(行動履歴データ)
・来店データ(行動履歴データ)
・サービス/メニュ多くの場合、これらーの詳細データ(マスタデータ)
を統合しなければなりません。
※企業によってシステム構成は異なるので全ての企業様が上記に当てはまるわけではありません。
それぞれのデータは各データベースに入っていたり、データを蓄積するシステム自体も異なることが多いので、データを統合したくても統合できていないのが現状です。
【解決策】
データを整理し、統合する。
解決策としては、データを整理し、統合するしかありません。
また、これを行うにはデータクレンジングが必要です。
店舗でデータ管理を行う業態であると、店舗ごとにデータ管理方法や、項目の定義(例えば顧客のランク)が異なったりするので統合すれば何でもできる、というわけではないことを抑えなければなりません。
データクレンジングに関しては、下記のページで詳しく紹介しています。
関連記事:【あなたのデータは大丈夫!?】MAツール導入の前に認識するべきデータの罠
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〇<中級編>~休眠顧客をアクティブ化する施策~
次は⑤のリピート率を上げるための施策ですね。
この施策は、最終来店日から〇日間来店していないお客様に対し、そのお客様に合った情報提供をするものです。
そして、メールを契機にサービスを思い出してもらい、再来店を促します。
【休眠メール実施における課題】
これは、休眠顧客をアクティブにさせる有効な方法ですが、いざ施策を打とうとすると、次の2つの課題に直面する企業が多いです。
①適切なコンテンツがわからない
簡単なのは全員に同じキャンペーン情報を提供するなど一斉配信ですが、長らく離れたお客様を取り戻すにはお客様自身に関係のあると思われる情報でないと読んでもらえません。
②メール対象者を抽出できない
2つ目の課題としては、セグメント抽出元のデータがバラバラに存在しており、そもそもセグメントを切れないという問題です。
来店履歴、回数券サービス利用履歴、物販履歴の更新がバラバラで、統一されていないというものがあります。
例えば、最終来店日や最終利用日といった項目にもとづき休眠顧客であるかどうかを判断することが多いですが、来店履歴データで見る最終来店日と、回数券利用履歴データで見る最終利用日が異なっていたりします。
これはそれぞれのデータが別のタイミングで更新されていると言ったオペレーションの違いや、人がデータ更新を行う場合そもそも更新を忘れている場合など、適切な履歴が入っておらず正確なデータが分からなくなるケースです。
【解決策】
長らくご利用頂けていないお客様にはどのような内容を送れば良いでしょうか。
①適切なコンテンツがわからない
大体以下のような情報を送るのが常套手段ですが、注意点として不要な情報を除いてあげることが読まれるために重要です。
<レコメンド>
・売上で人気ランキングの上位にくるもの
・過去最後に購入した商品、利用したサービス
・同じような属性の人が購入している商品、利用しているサービス
→注意点としては全く同じ商品をリピート購入しないような事業の場合は、
かならず過去の購入履歴があるものを除くようにしましょう。
→また、同じものを買う可能性があるとしても、前回購入した消耗品がまだ残っている
可能性がある場合は、無くなる時期を見計らって送るのも親切ですね。
<クーポン>
・期間限定のクーポン
・キャンペーン情報
→女性に男性向けの情報を送るといったことがないよう、最低限のセグメンテーションは行いましょう。
②メール対象者を抽出できない
まずはデータの基準をそろえ、有効なデータのみを扱うよう社内でデータの取り扱いを徹底して下さい。
その後データを統合し、休眠メールを打ちやすいようにデータテーブルを整理しましょう。
【注意点】複数事業・ブランドを展開する企業が必ず注意すべきこと
ここで、この2つの解決策を打つ上で1つ注意していただきたいことがあります。
それは一人に「メールを送りすぎないこと」です。
やたらとメールを送っても顧客にとっては鬱陶しいだけですよね。
それにもかかわらず、複数のブランドでそれぞれ会員管理をしている場合、同じ人に何度もメールを送ってしまうことがあります。
例えば、
Y会社のA事業部、B事業部共に最終来店日から1か月後、3か月後、5か月後に全社同一内容のメールを送る場合、XさんのA事業の最終来店日が4月で、B事業の最終来店日が5月だとすると、毎月同じ会社から同じメールが届くことになってしまいます。
これでは、顧客にとっては迷惑ですし、Y会社としても余計な工数がかかってしまいます。
複数のブランドにまたがる企業の場合には、顧客の全ブランドにおける最終来店日を明確にし、
メールを送りすぎないようにしましょう。
そのためには、事業を跨いだ統合データが必要です。
〇<上級編>~アクティブな人の利用回数を更に向上させる施策~
アクティブな人の利用回数を更に向上させる「あるある施策」は様々ですが、共通していえるのは、まずLTVの高いお客様の行動分析が必要だということです。
b→dashのクライアント企業様の一例ですが、LTVの高いお客様はポイント利用率が高いということが顧客分析の中で分かりました。
この場合、よりポイントを利用してもらうことが優良顧客化に繋がるため、ポイント失効メールやポイント2倍メールを送り、利用回数を増やしていきます。
また、店頭でのオペレーションもポイント利用を促すコミュニケーションをより徹底するようにしました。
アクティブ顧客の利用回数を向上する施策はLTV分析をしなければ見えてこないため、まずはLTV分析により、優良顧客の行動を可視化しましょう。
〇まとめ
今回は、’Web集客&店舗送客型’の事業におけるデジタルマーケティング「あるある」施策をご紹介しました。
どの施策も非常に有効ですが、そのためにはまずデータを整えることから始めなければなりません。
これを機に、今一度社内のデータ状況を確認してみるもの良いでしょう。
社内のデータ活用にお悩みの場合は、是非お気軽にご相談ください。
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