直近では、「デジタル化」や「DX推進」が世の中全体として叫ばれており、その中で「SaaS」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。「SaaS」とは、「Software as a Service」の略称で、「サービスとしてのソフトウェア」を意味するクラウドサービスの一種です。本記事では、SaaSのメリット・デメリットや類似する言葉との違い、ツールを選定する際のポイントについて、わかりやすく解説します。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、業界初のテクノロジー『DataPalette』によりSQLを使わずに、基幹システムや様々なアプリケーション内のデータを簡単に取込/連携が出来るCDP機能を搭載したツールとなっています。

1. SaaSとは何か?

SaaSとは「Software as a Service」の略称で、「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。読み方は多くの場合「サース」ですが、「サーズ」とも言われます。

インターネットに接続するための方法はPCのみという時代から、スマホやタブレットなどのデバイスが一般的な時代になり、より顧客に関するデータが多様化しているという背景から、それらのデータを一元管理したいという企業のニーズに答える形で誕生したツールです。

SaaSは、インターネット環境であればどこでもアクセスできるため会社にいなくてもツールが利用できるだけでなく、PCやスマホなど複数デバイスでも利用できます。また、複数人でひとつのファイルを共有しながら、同時に編集や管理も行えるツールです。
ソフトウェアやサービスの利用に必要なシステムやサーバーは、提供するベンダーが保有しているものを使用するため、自社で構築/運用保守のコストが発生せず、サービスは年額/月額で契約して利用するほか、無料で利用できるサービスもあります。

1-1. SaaSの主な特徴

ここでは、SaaSの代表的な特徴を紹介します。

SaaSの特徴①:インターネット経由でどこからでもアクセスできる

SaaSの特徴として、インターネット経由があれば、どこからでもアクセスできるが可能です。外出先や在宅勤務など会社にいなくてもツールを利用することができます。SaaSは、「あるパソコンに対して」ライセンスが与えられるわけでなく、契約したアカウントに対してソフトウェアの利用が認められるため、利用可能なアカウントであれば、PCやスマートフォンなど異なるデバイスからもアクセスが可能です。

SaaSの特徴②:複数のユーザーが同時に作業できる

ドキュメントの編集機能やストレージ機能があるSaaSでは、複数のユーザーが同時にファイルを閲覧することや編集作業が可能です。 編集やアップロードしたファイルはクラウド上で保存されるため、常に最新のファイルを複数のユーザーで共有することが出来ます。

2. SaaSの導入メリット・デメリット

ここでは、SaaSの導入のメリット・デメリットについて紹介します。

2-1. メリット

まず、SaaSを導入することによる代表的なメリットを三つ紹介します。

メリット①:システム導入を低コストでスムーズに実現できる

メリットの一つ目は、導入における短期間でコストを抑えながらツールを利用できることです。 自社で必要なシステムを構築する場合、自社エンジニアを稼働させてシステムを構築する、もしくは外部のSIerに多額の費用を払いシステムを構築する必要があります。 そのため、自社エンジニアの工数を割くか外部ベンダーへの発注費用を予算の中から捻出しなければいけません。 一方で、SaaSはツール提供会社によって既にシステムが開発されているため、導入における自社エンジニアの稼働工数や外部SIerへの発注費用必要は不要で、業務に必要な機能を利用することが可能です。 また、料金体系はサブスクリプション型(月額制や年額制)が多く、必要な時にスピーディに利用をすることが可能です。

メリット②:保守管理の負担を減らすことができる

メリットの二つ目は、ソフトウェアのアップデートや障害対応にかかる保守管理の工数を抑えられることです。 自社でシステムを構築する場合、利用システムのアップデートや障害が起きた際の対応が必要です。 その際に、自社でリソースを割く必要があるため、システム/インフラ担当が豊富にいる企業であれば問題ないですが、人数が少ない企業の場合工数を圧迫するため、通常業務に支障をきたす可能性があります。 一方で、SaaSは基本的にツール提供会社が保守管理を行うため自社での保守管理が不要となり、自社のリソースを割かずに管理を行うことができます。

メリット③:常に最新機能や開発難易度の高い機能が利用できる

メリットの三つ目は、常に世の中でトレンドとなっている機能や自社エンジニアでは難易度が高い機能を利用できることです。 自社でシステムを構築する場合、自社エンジニアで開発、もしくは外部SIerに依頼を行い、自社で活用がしやすいようにシステムバージョンアップの対応やUI/UXの改善を行う必要があります。 一方で、基本的にシステムバージョンアップの対応やUI/UXの改善はツール提供会社が行うため、自社エンジニアでは難易度が高い機能や外部SIerへ発注する費用が捻出ができない企業でも、常に機能をアップデートさせることが可能です。

2-2. デメリット

SaaSを導入することによる代表的なデメリットを三つ紹介します。

デメリット①:自社業務や実現したいことに合わせて自由にカスタマイズができない

デメリットの一つ目は、ツールに備わっている機能のカスタマイズ性が低いことです。 SaaSは、基本的に汎用性を重視して開発がされているため、自社特有の要件に対応出来ないこと可能性があります。 また、利用するツールに合わせて、自社の業務形態を合わせる必要が生じることもあります。

デメリット②:セキュリティ面の担保ができない

デメリットの二つ目は、セキュリティ面での安全性の担保が難しいことです。SaaSは、インターネット上でデータ管理がされているため、不正アクセスなどのリスクが一定存在します。通常ツール提供会社で高度なセキュリティ対策を行っており、安全性を示す資格を取得しているケースもありますが、インターネットを介している以上リスクが全くないとは言えません。また、現代の企業においてはリモートワーク環境でのツールの利用も想定されるため、社員による漏洩リスクへの対策も必要となります。

デメリット③:障害時に対応ができない

デメリットの三つ目は、システム障害が発生した際に自社で改善ができないことです。SaaSは、通信回線やシステム障害発生時、メンテナンス時など、ツール提供会社側で作業を行う時間帯は利用が制限されるケースがあります。また、SaaSが利用しているサーバー等で障害が発生した際には、ツール提供会社の復旧作業を待機するほか対策がなくなります。一方で、インストール型のソフトウェアの場合は、デバイスに問題が発生しない限り通信回線には影響されません。

3. SaaSの代表的なサービス

上記のようにメリット・デメリットがあるSaaSですが、現在のSaaSのサービスは企業/個人向けを問わず、あらゆる領域でサービスを拡大しています。皆さんが日頃何気なく業務で利用しているツールもSaaSに分類されることがあります。そのため、ここでは代表的なSaaSのサービスの例をでいくつか紹介します。

ビジネスチャット

一つ目に紹介するサービスは、よく利用されている「ビジネスチャット」です。
ビジネスチャットは、コミュニケーションツールとして利用され、自社内の部署やチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に取ることが可能です。また、協力企業や個人事業主などの社外メンバーを招待することも可能であるため、社内外問わずコミュニケーションを取ることもできます。加えて、スタンプがコミュニケーションの一部として使われたり、あいさつの定型文を省略するのが一般的だったりと、肩肘をはらずスピーディにやりとりできることが特徴です。
ビジネスチャットの代表例は下記の通りです。

・Slack
・LINE WORKS
・Chatwork

web会議システム

二つ目に紹介するサービスは、リモートワークに必須となった「web会議システム」です。
web会議システムは、ビデオ通話ができるため、個人/複数人問わずリモート会議やミーティングを行うことが可能です。また、サービスによってはインターネット上で配信するセミナー「ウェビナー」の開催も可能です。
web会議システムの代表例は下記の通りです。

・Zoom
・Google Meet
・Microsoft Teams

SFA/CRM

三つ目に紹介するサービスは、直近顧客管理を行うために導入企業が増加している、「SFA」や「CRM」です。
念のため各定義を紹介しますが、SFAとは「Sales Force Automation」の略称で、営業プロセスを可視化し効率を高めるSaaSサービス、CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、顧客の情報を一元管理し顧客満足度の向上を目的とするSaaSサービスです。SFAやCRMを利用することで、営業活動や顧客対応において属人性をなくし、チーム内で連携しながら行動を取ることが可能です。
SFA/CRMの代表例は下記の通りです。

・Salesforce Sales Cloud
・Microsoft Dynamics 365
・kintone

マーケティングオートメーションツール

四つ目に紹介するサービスは、顧客へのアプローチを行える「マーケティングオートメーションツール」です。
SFA/CRMとマーケティングオートメーションツールを導入することで、顧客へのアプローチを最適化し、売上の最大化する動きが高まっています。
マーケティングオートメーションツールの代表例は下記の通りです。

・b→dash
・Salesforce Marketing Cloud
・CustomerRings

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、売上の最大化するための”MA”や”CDP”といった機能はもちろん、データ活用に必要なその他機能をAll in Oneで搭載しているツールとなっています。

4. SaaSとPaaS、IaaSの違い

ここまでSaaSについて記載をしてきましたが、「SaaS」に類似する言葉に「PaaS」「IaaS」があります。 「SaaS」「PaaS」「IaaS」はすべてクラウドサービスの一種ですが、サービスを提供する範囲が異なります。 そのため、ここでは「PaaS」「IaaS」のサービスの違いについて解説します。

4-1. PaaSの特徴

PaaSとは「Platform as a Service」の略称で、読み方は「パース」です。「サービスとしてのプラットフォーム」を意味します。 インターネット経由で、特定のソフトウェアを動作させるためのプラットフォームを提供するサービスです。 PaaSは、アプリケーション開発に利用されることが多いです。

PaaSを活用することのメリットは、開発に要するプラットフォーム(システム環境)を自社で用意する必要がなく、スピーディに低コストで構築ができることです。 基本的には、プラットフォームにはネットワーク、サーバー、OS、ミドルウェアなどが提供されます。
代表的な例としては、以下のようなサービスが挙げられます。

・Amazon Web Services(AWS)
・Microsoft Azure
・Google Cloud Platform(GCP)

4-2. IaaSの特徴

IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略称で、読み方は「イアース」または「アイアース」です。 「サービスとしてのインフラストラクチャー」を意味します。 システムの稼働に不可欠なサーバーやネットワークなどのインフラをインターネット経由で提供するサービスです。

IaaSを活用することのメリットは、従来では自社の情報システム部門などで構築/保守管理する必要がありますが、IaaS利用に切り替えることでコストの削減が図れることです。 また、ハードウェアのスペック(CPU/メモリ/ストレージ)やOS選択、セキュリティレベルや拡張性も高いサービスです。 一方でデメリットとしては、利用する際に専門的な知識が必要となるため、利用できる担当者が限られてしまうことです。
代表的な例としては、以下のようなサービスが挙げられます。

・Amazon EC2
・IDCFクラウド

5. SaaSを利用する際のポイント

ここまで「SaaS」「PaaS」「IaaS」の特徴について、記載をしてきましたが、最後に、SaaSを導入する際に気を付けたいポイントを二つ紹介します。

ポイント①:自社業務や実現したいことが満たせるか

ポイントの一つ目は、導入を検討しているサービスが、「自社の業務内容や実現したい要件を満たすことができるか」を判断することです。
記事の3章でも記載をさせて頂きましたが、SaaSのサービスは短期間で導入出来ることがメリットです。一方で、自社の業務に合わせてカスタマイズをすることは基本的には難しいサービスです。そのため、導入を検討しているサービスが本当に自社の業務や実現したい要件を満たし、売上向上や業務効率化に繋がるかを検討することが非常に重要です。特に多くの導入実績があるツールの場合、自社でもうまく使えるだろうと安易に導入を決めてしまい、うまく使いこなせずに解約するという失敗ケースもあるため、注意が必要です。

ポイント②:コストを抑えることができるか

ポイントの二つ目は、「SaaSを導入することでコストを抑えることができるか」を判断することです。
SaaSのサービスを利用することでコストダウンできると言われることが多々あります。確かに、導入時が短期間でコストを抑えながら導入することが可能ですが、長期的な目線で見た際にツールを導入することで、コストが高くなることもあります。具体的には、一般的にSaaSはサブスクリプション方式(月額制/年額制)という形で料金体系のため、導入時にソフトウェアを購入するような突出した費用が発生することはなく、導入時のコストとしては確実に安価です。
一方で、その後も一定額を支払い続ける必要があるため、保守費用やバージョンアップにかかる費用やメンテナンスの人件費を見込んで、長期的な目線でコスト感を計算することが重要です。

6. まとめ

業務効率化や導入時のコスト面でのハードルも低いSaaSについて、自社に適正があるツールを選択することでDX化を推進することが可能です。 一方で、自社に適正がないツールを導入してしまうと、思うようにDX化が推進できないこともあります。 現在では、各社からビジネスを有利にするサービスが多数提供されており、それぞれのツールにそれぞれの良さがあるため、自社の業務や実現したい要件に合致するSaaSのサービスを見極め、導入を検討してみてはいかがでしょうか。 なお、企業としてデジタル化を考える際には、機能の拡張性やセキュリティを考慮し、自社開発すべきかどうかを検討するためにSaaS、PaaS、IaaSの違いも理解して頂ければと思います。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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