事業運用においては、的確かつ迅速な意思決定が不可欠です。こうした意思決定を行う際に、役立つツールとして注目されているのが「BIツール」です。ただ、BIツールに興味はあるものの、「基本的な機能やメリット、選び方がわからない」と導入を悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事ではBIツールの基本的な知識や機能、選び方のポイントについて網羅的に解説します。

  

1. BIツールとは?

初めに、BIツールの概要と仕組みを解説してきます。

1-1. BIツールの概要

BIツールは「ビジネスインテリジェンスツール」の略称であり、大量に蓄積されたビッグデータを分析し、わかりやすく可視化するツールのことを指します。BIツールを活用することでスムーズに分析を行えるようになり、迅速な意思決定が可能になります。

1-2. BIツールの仕組みを解説

BIツールは主に3つの機能から成り立っています。1つ目として、「データ連携機能」です。企業が持っているデータをもとにBIツールで分析するためには、企業がデータを持つシステムとの連携が必須になります。例えば、ECの売上を分析したい場合、販売/受注管理システムなどと連携しなければなりません。2つ目は「分析/集計機能」です。BIツールはデータ分析するツールであるため、分析/集計機能は当然備わっています。3つ目は「ビジュアライズ機能」です。データを分析しただけでは意味がありません。わかりやすく誰でも理解できるように結果を表示してこそ、データ分析の価値が発揮されます。

2. BIツールが注目される背景

BIツールが注目されている背景には、企業のITビックデータの活用が関係しています。現代はインターネットの普及にともない、企業や消費者を取り巻くデータが大量に増加しています。また、消費者の行動様式や考え方が多様化したことにより、企業に蓄積した大量のデータを正確に分析し、消費者1人1人に対して適切なコミュニケーションをする必要が生じました。

このような理由から、データをいかに素早く有効活用できるかが重要視されるようになったのです。そこで、データの収集・分析をサポートする役割を持つBIツールが誕生し、多くの企業から注目されるようになりました。

3. BIツールを導入する目的

BIツールを導入する目的は企業によって異なりますが、基本的に導入目的は大きく3つに絞られます。ここでは、BIツールを導入する目的を解説していきます。

導入目的①:データの集計/分析

BIツールは企業が持つ膨大なデータを分析して、経営の役に立てるために利用されます。そのため、当然導入する目的にデータを分析したいとい要望がメインとなります。BI導入以前は、経営者の経験や勘に基づいて経営していたとしても、市場が短期間で大きく変わる現代では、データから企業の進むべき方向性を決めることはとても重要になります

導入目的②:データの可視化

膨大なデータを分析だけしても、何も価値がありません。分析した結果を如何に誰でも理解できるように表示してこそ価値があります。BIツールには、ビジュアライズ機能が備わっているため、データ分析の結果を綺麗に表示して、スピーディに経営に活かしていくことができます。

導入目的③:データの蓄積

データを蓄積することも大きな目的として挙げられます。データ分析は一回だけで完結することは少なく、複数回を継続的に行っていくことが普通です。そこで、過去の分析した結果と比較するなども必要になります。BIツールであれば、過去のデータと比較して、差分の原因を把握して、経営に活かしていくことができるようになります

4. BIツールの活用シーン、BIツールでできること

企業がBIツールを導入した場合、具体的にどのようなことができるのでしょうか。ここではBIツールの活用シーンをいくつか紹介していきます。

4-1. 経営分析 / 財務分析

BIツールの活用によって、企業の売上/財務などの経営そのものの分析を行えます。経営指標の結果を把握することで、迅速な経営判断に活かせます。

4-2. 営業分析 / 売上分析

営業部門は企業が収益を上げるうえで欠かせない部門です。営業担当者別、月別等で、いかに細かく受注までのプロセスを可視化できるかが非常に重要になります。これらのプロセスもBIツールによってデータを分析/可視化することで、組織体制の構築や営業課題の明確化に役立てられます。

4-3. 人事データ分析

現代はリモートワークなど、働き方も多様化しています。こうしたリモートワークなど新しい働き方を導入する際も、BIツールを活用することが可能です。蓄積されたデータや統計に基づき、新たな人事課題に対して適切な判断ができるようサポートしてくれます。

4-4. 残業分析

勤怠管理システムと人事システムなど、異なる複数のシステム/ファイルのデータを統合することによって、残業時間などを分析することができます。BIツールによって多角的な視点から分析を行うことで、課題の明確化や残業時間の削減などを目指すことが可能です。

4-5. 予算管理

BIツールによって予算管理やビジネスに関するデータを集計/分析/可視化できます。最新の予実データをいつでもチェックできる予算管理システムを構築可能です

4-6. 帳票自動作成

BIツールで帳票を自動作成することが可能です。これまで手書きで作成していた帳票を自動で作成し、工数を削減できます。その結果、業務効率化を期待できるでしょう。

 

5. BIツールの機能

BIツールにはさまざまな機能があります。基本的な3つの機能を詳しく見ていきましょう。

5-1. データ分析

BIツールは、自社内のシステムのデータを用いて、誰でも簡単に分析可能な機能を保有しています。システム内のデータを直接操作/作業したり、複数システムのデータをBIツールに連携するためにはSQLと呼ばれる専門的なスキルが求められますが、データがすでに連携されていれば、BIツールの操作や分析にはそれほど専門的なスキルを必要としません。

● ドラッグ&ドロップ

ドラッグ&ドロップでデータのカラムを選択し、グラフや表など出力したいレポートの形態を選択する等のシンプルな操作だけで、さまざまな観点でデータの可視化が可能です。

● ドリルダウン

Excelの場合、ドリルダウンをしようとすると、別シートで集計をし直す必要がありますが、BIツールであれば「ドリルダウン」「ドリルアップ」などのデータ階層を行き来する操作を、クリックのみで実現可能です。

5-2. レポート出力/デザイン機能

BIツールでは、定型レポートやカスタムレポートなど、様々なレポートを出力する機能があります。また、PDF、Word、Excel、CSV、PowerPointなど、各ファイルへのエクスポートにも対応しています。出力するレポートのデザインを変更可能な機能もあり、各社のトンマナに合わせたデザインでの出力が可能です。

5-3. ダッシュボード

BIツールで分析した結果を視覚的にわかりやすく可視化してくれるものに「ダッシュボード」機能があります。ダッシュボードはグラフや重要な指標の一覧表示、クロス集計表などの表示に対応しています。リアルタイムでデータを反映させることも可能なため、現場のPDCAのスピードを飛躍的に向上させることが可能です。

6. BIツールとExcelの違いは?

BIツールの導入を考える際に、「Excelでも十分なのではないか」と悩まれるケースも多くみられます。確かに、BIツールに限らずともExcelを使えばデータの集計やグラフの作成は可能です。

しかし、両者のツールには大きな違いもあり、ExcelよりもBIツールを用いることがおすすめなケースもあります。具体的には

・複数のデータソースを統合して分析する機会が多い
・社内外で情報共有が必要
・データをわかりやすく可視化したい

などの場合は、BIツールを導入したほうが便利でしょう。

Excelはスポット的なデータ分析に向いていて、さまざまな部署やシステムのデータを統合したり、形式が違うファイルからデータを抽出したりする作業には不向きな傾向にあります。こうした作業をすべてExcelで行う場合、膨大な手間や時間がかかり業務が圧迫されてしまうでしょう。

BIツールはExcelと異なり、多種多様なデータソースに対応していることが特徴です。社内に分散/蓄積したデータをスムーズに分析できます。また、グラフや表も作成することが可能なため、工数の削減を期待できるでしょう。

7. BIツールとERP・DWH・ETLの違いは?

BIツールにはよく混同される言葉がいくつか存在します。代表的な言葉が「ERP」「DWH」「ETL」です。

ERPとは、「Enterprise Resources Planning」の略で、統合基幹業務システムのことを指します。ERPは部門やチャネルごとに、別々に管理/分断されていたシステムをつなぎ、統一する役割を担います。そのため、BIツールとはそもそも価値を発揮する領域が異なります。BIツールは膨大なデータを分析/可視化するツールであるため、ERPとBIツールは連携させることでより高い効果が発揮されます。しかし、近年ではBIツールに、ERPの機能を備えたツールも多く存在するもの事実です。

DWHは「Data Ware House」の略で、データを活用する機能を持ったデータ用の大型保管庫のことです。ETLは「Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(書き出し)」の頭文字を取った言葉で、企業が持つ複数のシステムからデータを取り出し、受け渡す機能を持っています。DWHとETLはつなげて利用されることが多いです。こちらも、ERPと同様でBIツールとは利用する領域が異なります。ETLで複数のシステムからデータを抽出し、DWHで保管する。そして、DWHで保管しているデータを用いてBIツールで分析する。DWHとETLはBIツールが力を発揮するために必要なツールとも言えます。

8. BIツールを使うメリット

BIツールはデータを分析して活用することができるツールですが、導入するメリットは何があるのでしょうか。ここでは、BIツールを導入するメリットを3つ紹介します。

メリット①:データの集計/分析の工数を削減できる

BIツールを導入すると、それまでかかっていたデータの集計や分析の工数を大幅に減少させることができます。BIツールを利用していない場合、Excelが利用されることが多いですが、各システムからCSV形式などでデータを出力し、データの結合を行ってからしか、データ分析を開始できません。しかし、BIツールを導入することで、各システムからのデータの抽出や結合などは、導入時に設定してしまうことが多いため、そこにかかる工数がなくなります。また、データ分析もいくつかテンプレートとして用意されている場合も多いため、分析にかかる時間も減少させることもできます。

メリット②:現状把握が常に可能になる

自社の現状を常に把握することは、企業を経営していく為には重要なことです。しかし、メリット①で述べたようにBIツールが無いと、データの分析に大量の工数がかかってしまいます。そのため、他の業務でも忙しい状態で、常にその工数を捻出することが難しい企業も少なくはありません。しかし、BIツールを導入して、データ分析にかかる工数を削減できると、常に現状把握が出来るようになり、問題や課題の早期発見も可能になります

メリット③:データを活用した意思決定が出できる

BIツールでは常に最新のデータを自動で表示することも可能であるため、データを基に経営を行っていくことも可能です。データが無ければ、経営者などの経験や勘だけで経営していくしかありませんが、その経験や勘が常に時代に即しているとは限りません。そのため、データに基づいて論理的に経営判断ができると、安定した企業経営を行っていくことも可能になるでしょう。

9. BIツールを使うデメリット

BIツールを導入するメリットを紹介しましたが、一方でデメリットは存在するのでしょうか。ここでは、BIツールを導入するデメリットを解説していきます。

デメリット①:導入に時間と工数がかかる

デメリットの1つ目として、BIツール導入時に時間と工数がかかってしまうことが挙げられます、企業が持っているシステム1つだけの場合は、そこまで工数がかからないかもしれませんが、多くの企業が複数の分断されたシステムを持っています。その複数のシステムを連携させて、データを分析できるように初期設定するには、複雑な作業と相当な時間がかかってしまいます。そのため、B導入するための工数を取ることができず、BIツールの活用が想定よりも後ろ倒しになるケースも多く見られます。

デメリット②:導入コストや運用コストがかかってしまう

当然ですが、BIツールを導入したり、運用していくにはコストがかかってしまいます。しかし、BIツールを使いこなすにはある程度の知識が必要であるため、BIツールを導入したとしても使いこなせない場合もあります。導入コストや運用コストがかさんでしまったのにもかかわらず、上手く活用できないなどのリスクもあります 

10. BIツール導入の失敗例

BIツールは企業運用においてとても役に立つものですが、考えなしに導入すると失敗してしまうケースもあります。よく起こる失例を2つ紹介していきます。

導入失敗例①:BIツールを使いこなせない

BIツールは外資系のツールも多いため、なかには日本語に対応していないものもあり、うまく扱い方を理解できないケースも少なくありません。その結果、せっかくBIツールを導入したものの、放置してしまう企業もみられます。

導入失敗例②:導入の目的が曖昧である

どのようなデータを収集し、どのような分析を実施するのかが明確に決まっていないと、BIツールを導入しても有効に活用できません。それに、BIツールと一口にいっても種類はさまざまであり、用途によっても適した種類が変わってきます。導入の目的が不明瞭だと目的に合わないツールを導入してしまうリスクもあるため、注意しましょう。

 

11. BIツールの種類

BIツールにはさまざまな種類があります。詳しく見ていきましょう。

BIツールの主な種類①|レポーティングツール

レポーティングとは、理解しやすいようにグラフ/表などでデータを可視化することを指します。レポートは主にExcel、Word、PowerPoint、CSV、PDFなどのファイル出力に対応していることが一般的です。

分析結果をPowerPointやPDFで共有したり、ExcelやCSVで落としたデータをより細かく分析する際に役立ちます。

BIツールの主な種類②|OLAP分析ツール

OLAP分析は「Online Analytical Processing」の略称であり、多次元分析ともいわれるものです。

企業に日々たまっていくデータを多角的に分析し、現状の確認や問題点・仮説の検証などに役立てられます。問題の早期発見/解決を目指す際に役立ちます。たとえば、売上データの販売日時、販売店舗、商品、購入者の性別といった複数次元を含むデータの処理を高速で行って結果を返してくれます。

BIツールの主な種類③|データマイニングツール

データマイニングは膨大なデータのなかから、価値のあるデータを探し出すことを指します。主に売上アップや業務の改善などに活用することが可能です。

具体的には、蓄積したデータの処理において、複数の情報の共通点や法則を探し出し、課題を解決するためのヒントを提示してくれます。せっかく蓄積したデータも、蓄積されたままの状態では有効活用することが難しいでしょう。

データマイニングによって個々のデータでは読み取れない傾向を把握でき、新たな施策を講じる際に役立てることができます。

BIツールの主な機能④|プランニングツール

プランニングツールは過去のデータを使って計画立案に役立つツールです。過去の実績からさまざまな予測を行い、どの計画が最適であるか判断するために役立てられます。これまでのデータを活用する分、精度の高い予測を行うことが可能です

12. BIツールの選び方

BIツールといっても、それぞれ強みや特徴が異なります。豊富なグラフのテンプレートを保有しているもの、データの加工に強みを持つもの、レポート作成を得意とするものなど、多種多様です。それぞれ特徴が大きく異なるため、企業の目的や用途に合うものを選ぶことが求められます。そこで、BIツールを導入するために、どのような点に気を付ければ良いかを解説していきます。

ポイント①:自社の課題と目的を明らかにする

まずは自社がどのような状況に置かれており、何の課題があるのか洗い出す必要があります。社内の問題を整理し、解決すべき事項を整理しましょう。課題や問題点を明らかにすることで、ツール導入の目的が明確になり、必要な機能も自然と明確になります。その機能を搭載しているBIツールを選ぶようにしましょう。

ポイント②:使用者との相性を考える

どんなに優秀なBIツールだったとしても、実際に使用する人との相性が悪いとストレスがたまる原因につながります。BIツールは導入したあと日常的に使用するケースも多いため、なるべく使用者との相性が良いものを選ぶことがおすすめです。デモやテストアカウントなどで実際に操作を行い、使い勝手を確認しておくと安心です。

13. BIツールおすすめ4選

BIツールは各社によってさまざまなタイプが提供されており、それぞれ特徴も異なります。それぞれをよく比較し、目的に合う種類を選択しましょう。

おすすめツール①:Tableau

Tableauはビジュアライズに強いBIツールで、ビジュアルの幅とレイアウト性に優れています。レポートのレイアウトの自由度が高く、ビジュアライズに優れているため、グラフや表でデータを可視化することに重点を置いている場合におすすめです。

おすすめツール②:Qlick Sense

Qlick Senseはデータ検索/検知に強いBIツールで、データ変化の察知と変化原因の自動特定機能に優れています。売上/在庫数などのデータ変化を察知し、原因を自動で特定する機能が備わっています。データ分析に力を入れたい企業におすすめです。

おすすめツール③:MotionBoard

MotionBoardは連携機能に強いツールで、リアルタイムでのデータ収集やデータ統合の効率化に優れています。外部システムとの連携がスムーズに実現できるため、レポート用のデータをスピーディに効率よく準備できます。

おすすめツール④:b→dash

b→dashはBIだけではなくマーケティングに特化したツールで、使いやすさや機能の網羅性に優れています。使いやすさと機能の網羅性に強みを持つ、マーケティング領域に特化したBI機能を持つツールです。BIは使いやすいといえど、複数のデータを組み合わせる場合は、SQLと呼ばれるプログラミング言語が必要ですが、ノーコードでデータを準備できる点が特徴です。また、BI以外にもMAやweb接客などの複数のツール機能を網羅しているので、分析結果をすぐに施策に活かす事が可能です。

14. BIツールの導入の流れ、進め方

BIツールの導入手順はケースによっても異なります。ここでは、BIツールの導入の基本的な流れを解説していきます。

手順①:要件定義

まず、「要件定義」のステップからスタートです。あらかじめ社内で導入目的を整理し、求める機能を洗い出します。そして、分析の切り口や必要なデータを定義していきます。

手順②:設計

次は「設計」です。集計結果、出力項目、形式など、BIツールで出力を希望するデータを考えましょう。

手順③:実施と確認

最後は、「実施と確認」です。システムを構築し、分析データの整備や画面定義などを行います。テスト稼働でフィードバックを集め、問題点の調整および修正を実施します。

15. まとめ

BIツールは専門的な知識やスキルがない人でも、データを可視化/分析できる便利なツールです。経営/財務の分析から帳票作成まで、幅広い用途に活用できます。これまで手間がかかっていた業務の工数を減らし、生産性の向上に寄与してくれるでしょう。

なお、BIツールにはさまざまな種類があるため、自社の目的に合うものを選ぶことが大切です。BIツールを有効活用して、業務効率化やKPIの向上などにつなげましょう。

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  • Marketics 編集部

    ユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、 ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォーム「b→dash」が運営する マーケティングメディア「Marketics」の編集部。インタビュー記事やノウハウ記事を定期的に発信しています。

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