デジタルマーケティング界隈では、最近プライベートDMPについて聞く機会が増えてきました。

従来はDMPと言うとサードパーティーデータを取込みWeb広告に活用するためのデータベースをイメージされることが多かったですが、One to Oneマーケテイングに本腰をいれる企業様が増える中で本日はCRM系のデータの取込も含めたプライベートDMPについてお話したいと思います。

既にWeb上でもプライベートDMPとは何かということから機能の詳細や実際の構築方法、ノウハウまでプライベートDMPの基本について紹介した記事も多く見られます。

しかし、「プライベートDMPについてベンダーごとの違いがわからない」、「そもそもどこのベンダーがプライベートDMPを提供しているのかわからない」といった声が多いのも現状です。

そこで、今回は各ベンダーごとのプライベートDMPについて基本情報とメリット・デメリットをご紹介します。

1.プライベートDMPのきほん

プライベートDMPとは、「企業の独自のマーケティングに関するデータを集約する基盤」です。

顧客の属性データのほかに、広告データ、Webアクセスログ、これに自社のECや店舗の来店や購買といった履歴データ、さらに外部のサードパーティーデータなどあらゆるデータを蓄積してCRMに活用できるようデータを整えておくものです。

新規顧客の獲得と一斉に送信するメルマガだけでは効率が悪く、これまで

・データが整っていない
・リテラシーが低く細やかなOne to Oneでのアプローチをする自信がない
・新規獲得施策だけで工数が手一杯

というような理由で取り組んでこなかった企業も、プライベートDMPを導入して本格的にマーケテイングへのデータ活用をしようという企業が増えてきました。

また、MA(マーケティングオートメーション)が2、3年前から徐々に流行しCRM用のデータベースを準備する前に先にそういったアプリケーションを導入した企業も「データが無ければ意味がない」と気が付き、後からプライベートDMPを導入するケースも少なくありません。

しかし、日本で流通するプライベートDMPを自社で洗い出し選択することはなかなかリテラシーが追い付かず難しいこともあると思います。

代理店やSIerを頼るときは、最終的にどのような施策を行いたいのか詳細に要件を伝えることで導入の失敗を回避しましょう。

2.主要プライベートDMP 5選

①Adobe Audience Manager(アドビオーディエンスマネージャー)

世界的大手企業であるアドビによるプライベートDMPであり米国調査会社のForrester社によりDMP分野の「リーダー」とも称されています。

8つの製品で構成されるAdobe Marketing Cloudの製品のうちの一つで、あらゆるデータを統合するだけでなく、詳細なセグメントを作成出来ます。

他のAdobe Marketing Cloud製品と接続することによりこのパーソナライズされたセグメントごとに最適な施策を打つことができます。

【メリット】
本ツールは、あらゆる種類のデータでセグメントを作成し、活用幅も広いです。特にCRM系のデータを広告セグメントにExportして活用できる点に強みがあります。またグローバルのエンタープライズ規模の企業に世界共通のものとして受け入れられているケースが多いです。

【デメリット】
とにかく高価です。Adobe Audience Manager一つでも高価ですが、顧客データの管理だけでなく、統合したデータをマーケティング施策や分析に利用したいとなると他のAdobe Marketing Cloud製品と連携させなければなりません。マーケテイングシステム予算を大きく取っていない企業にはなかなか導入は厳しく日本での導入数は伸びておりません。

②TREASURE CDP (トレジャーCDP)

初期費用は0円です。近年TREASURE DMPからTREASURE CDPへとサービス名が変更され、より多くのデータを収集・連携することが可能になりました。もともとは広告代理店やゲーム会社での利用が多かったツールですが現在はCRM系ツールとの連携で扱えるデータが増えています。

【メリット】
なんといっても価格の安さです。初期費用は0円であり、運用費用は月額の固定額のみです。そのため、データのインポートやエクスポートに追加料金はかかりません。また、他ツールとの連携に柔軟に対応しており、MA/SFAツールや広告効果測定ツール、分析・BIツール、LINEビジネスコネクトといった様々なツールと連携すれば、One to Oneマーケティングも実現可能です。

【デメリット】
データ連携、統合をリアルタイムに行うことが必要な施策には向きません。バッチ処理でも影響がないような施策であれば問題ないです。また、画面操作はSQLを使えることが前提で、使えない場合は別の契約料金プランだと導入サポートサービスが受けられます。

③Tealium (ティーリウム) 

あらゆるツールのデータをシームレスに統合管理できるDMPです。データを収集するのではなく、そのデータを持つツール同士を繋げるハブのような存在であるという点が、他ツールと大きく異なります。

【メリット】
それぞれのツールが持つデータをリアルタイムで統合することが可能です。本来なら、バックエンドで行う統合処理をフロントエンドで行うことができるため、一日にまとめて一回行っていたデータ統合をリアルタイムで行うことができます。ユーザーの行動をトリガーに施策を実施したい場合などに最適です。

【デメリット】
まだまだ日本での取り扱い代理店が少なく導入実績は数少ないです。

④Rtoaster (アールトースター)

レコメンドエンジン搭載型のプライベートDMPです。

【メリット】
導入価格15万円~、月額20万円~となっており、スモールスタートがしやすく、導入にかかる時間もタグ設置をするのがメインなので多くかかりません。

【デメリット】
データをフラグで管理・保有するためプライベートDMPというカテゴリ名称で提供はされていますがCRMに活用するのは限界があります。シンプルな広告配信やレコメンドの実施であれば問題ないでしょう。また、導入サポートには別途コンサル費用がかかるので注意が必要です。

⑤b→dash (ビーダッシュ)

フロムスクラッチが開発・提供する国内産のプライベートDMPです。データの収集・統合のみならずBI機能やマーケティングオートメーション機能などマーケティングに必要な機能がAll in Oneで搭載されているのが特徴です。

【メリット】
プライベートDMPとしての機能だけでなく、MAツールや分析ツールとしての機能も兼ね備えているため1ツールでデータドリブンでのマーケティングが可能になります。また、コンサルタントが導入を全てサポートし、さらに導入後のサポート体制も敷かれているため運用に乗らないことや追加費用の心配がいりません。

【デメリット】
広範囲の分析、施策のアプリケーションを備えていますが、1つ1つの専門的な他社ツールと比較すると非常に高度な機能について、一部備えていないこともあります。DMPとして活用し、特に専門性の高い機能が必要となる場合はそこだけ他ツールと連携することも可能で料金プランもそれに応じて細かく設定されています。

3.あなたもプライベートDMPを導入してみよう!

いかがでしたでしょうか?

一口にプライベートDMPといっても、どのようなデータを収集する必要があるか、どのデータをどのような施策に活用するのか、また運用する組織の規模やリテラシーによって選ぶべきツールは変わってきます。

プライベートDMPを持たずにMAなどCRMツールをいれて失敗している企業。またはデータ活用方法までイメージを持たないまま、とりあえず先にプライベートDMPだけ入れて、宝の持ち腐れとなっている企業。双方からよく相談を頂きます。

プライベートDMPは顧客データやアクセスデータ、広告データ等のあらゆるデータを収集し、1つのIDに統合するので、オムニチャネル、ひいてはOne to Oneマーケティング実現の第一歩を踏み出すことができます。

しかし、プライベートDMPを持っているだけでは本来やりたかったマーケティング施策や分析はできません。これらをやるためには、新たにMAツールや分析ツールが必要なのです。

真のOne to Oneマーケティングを実現したい方、オムニチャネルを実現し、あらゆる場面において顧客との接点を持ちたい方はこちらのMAツール比較記事も参照してください。

参考記事:
マーケティングオートメーション(MA)とは何か
【BtoC企業必見!】MAツール徹底比較 7選
【BtoB企業必見!】MAツール徹底比較 8選

是非プライベートDMPを導入する際はよく比較検討してみてください!

参照記事:
【これだけ抑えれば大丈夫!】プライベートDMP導入で失敗しないための注意点

<おすすめ記事はこちら>
● マーケティングオートメーション(MA) の概念を知りたい方
マーケティングオートメーション(MA)とは?
 
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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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