今回はカスタマーエクスペリエンス「顧客経験価値」についてご説明しようと思います。
まず、カスタマーエクスペリエンスが重要視されている理由ですが、それは顧客の購買行動の多様化に起因します。
顧客の購買行動が多様化し、今ではいろいろな場所から商品やサービスの情報を入手できるようになりました。この多様化した今だからこそ、最大の差別化要因にカスタマーエクスペリエンスがあげられます。
18か国でカスタマーエクスペリエンスに関する調査が行われましたが、1300名以上の経営層からはこのような回答が得られました。
カスタマー・エクスペリエンス未整備による平均的損失は年間売上の20%
同調査によると、回答した管理職の97%が、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することは事業にとって効果的に働き、またビジネス拡大に向けて重要であると認識している。
積極的で一貫性のある、ブランド関連のカスタマー・エクスペリエンスを提供しないことで生じる平均的な損失は年間売上の20%に上る可能性があると予測している。
約9割の顧客がカスタマー・エクスペリエンスの質の低さによりブランド乗り換え
ところで、回答した管理職の49%が不十分なカスタマー・エクスペリエンスによって顧客がブランドを乗り換えると答えたのに対し、実際にカスタマー・エクスペリエンスの質の低さが理由でブランドを乗り換えた顧客は89%に上ってることが明らかになった。
経営幹部はカスタマー・エクスペリエンスが、顧客の行動に与える影響を過小評価していると言える。
企業によるカスタマー・エクスペリエンスへの投資
企業はカスタマー・エクスペリエンス関連技術への投資を今後2年間で平均18%増加させるという結果がでた。クロスチャネルにおける顧客経験の改善や顧客分析が最優先事項であった。
引用:http://markezine.jp/article/detail/17378
約9割の顧客がカスタマー・エクスペリエンスの質の低さでブランドを乗り換え
【オラクル調査】
上記のように、カスタマーエクスペリエンスをしっかりと整備することで競合との差別化の要素になり、機会損失を防げるわけです。なので、商品のほとんどがコモデティ化した今だからこそ、顧客が購買に至るまでの経験を感動に変えることが重要になっています。
それでは始めに、カスタマーエクスペリエンスの内容の解説、そして活用方法をご説明していきます。
〇「カスタマーエクスペリエンス」ってどんなもの?
〇実際どう使う「カスタマーエクスペリエンス」
「カスタマーエクスペリエンス」ってどんなもの?
そもそもカスタマーエクスペリエンスってどんな内容でどんなものが含まれているの?
というお話ですが、簡単にカスタマーエクスペリエンスを分類しました。
カスタマー・エクスペリエンスは、以下の5つに分類することができます。
1. 知覚的経験価値
店舗のBGM、香り、デザイン、商品陳列など、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感から顧客に訴えかけます。
2. 感覚的経験価値
丁寧なサービスや話し方で顧客の感情に対して訴えかけて信頼を得ます。
3. 創造的経験価値
商品・サービスのコンセプトや企業の理念などを顧客に伝えることで、知性や好奇心に対して訴えかけます。
4. 行動的経験価値
食生活、通勤・通学などの日常生活においての時間利用方法など新しいライフスタイルの提案によって、行動・身体に訴えかけます。
5. 準拠集団
エコ、ボランティア活動、ブランドを身に着ける喜びなど、集団・グループへの帰属意識に訴えかけます。
引用:カスタマー・エクスペリエンス
このように、カスタマーエクスペリエンスを5つの分類に分け、自社の顧客の属性や行動から、「どのようにすれば満足度が向上するか」をそれぞれ考えて対策を立てていきましょう。
対策を立てるときの注意点ですが、根本のブランドイメージから逸れないような対策を立てる必要があります。
大げさに例えると、シックで落ち着いた店舗の内装で、従業員の服装もクラシカルなスーツなどで統一しているのに、話し方がやたらとテンションの高いノリのいい話し方だとすべてがぶち壊れます。
なので、「顧客から見た時のブランド体験」の統一感が求められます。それぞれの分類の統一されたブランド要素が絡み合って初めてカスタマーエクスペリエンスが向上していきます。
もちろんこの「ブランド感の統一」はチャネルごとでも異なってはいけません。すべてのチャネルで見たときにも「ブランド感の統一」がなされている必要があります。「ブランド感の統一」とは上記した5つの分類の訴求が同じ要素になっていなければならないということです。
統一することで機会損失を最小限にとどめ、顧客にはもう一度サービスや商品を購入してもらうための働きかけができます。
実際どう使う「カスタマーエクスペリエンス」
実際にカスタマーエクスペリエンスを向上させるための施策としてWEBが最も有効的であるといわれています。WEBがなぜ有効的であるかとういと、効果測定、数値で測定できるからです。数字を見れば打ち手の良し悪しの判断がつきます。
では実際にWEBを使ってカスタマーエクスペリエンスをどのように向上させるかを、簡単にご説明します。
例えば読者のあなたが「そうだ!温泉旅行に行こう!」と思い立ちます。(行きたい…)場所が伊豆だとしたらあなたは伊豆の温泉旅館をWEBで検索するはずです。
その際、どんな温泉旅館がいいか、どうやって行こうか、旅館の周りにはどんなものがあるかも一緒に考えるはずです。どうせだったら温泉に入るついでに色々観光もしてみようと。
露天風呂で海が見える、車でそこまで行く場合、電車でそこまで行く場合、旅館の周りの歩いて行ける、車やバスで行ける観光名所、飲食店。
これらの色々な要素を掛け合わせて最終的に「温泉旅館」を決定するはずです。
確かにメインは「温泉に入る」なので、その旅館のWEBサイトが決定の大きな要因になっていると思います。
その旅館のWEB担当者がピックアップした露天ぶろや内風呂のコンテンツです。他にもその旅館の夕食や部屋の雰囲気なども決定要因にはなるでしょう。
さらにそこで顧客が温泉旅行に来た時にはどのような行動をとるか?を考えたコンテンツを整備する必要があります。
温泉に来るまでの行動(車で来た場合、電車で来た場合)、その間にどこに寄るか(観光名所、食事処)、温泉から帰る時(土産物屋など)。
このように、温泉に行ってから帰るまででこれだけ温泉以外での接点があります。昼食を食べた場所が汚かった、観光名所まで温泉旅館が遠い、欲しい土産が売っていない等、なにか自分に不都合があれば(温泉旅館に関係なく)「もう一度この温泉に来てみよう」と思わなくなってしまいます。
なので、これらの情報をWEBの閲覧者に与えられるようなコンテンツを作成し、自分の強調したい、推したいコンテンツのみでなく、顧客の行動から考えたサイト作成が重要になってきます。
このような考え方が、カスタマーエクスペリエンスを向上させる、真の顧客目線でのマーケティングが必要になってきます。
今までの顧客目線は企業側がこうなって欲しいという企業側の顧客目線でした。しかし、これからは完全に「顧客がどう動くか」が重要です。
この考え方こそが最大の競合との差別化ポイントであり、機会損失をなくす方法であると考えられます。
Editor Profile
-
Marketics 編集部
ユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在する全てのビジネスデータを、 ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォーム「b→dash」が運営する マーケティングメディア「Marketics」の編集部。インタビュー記事やノウハウ記事を定期的に発信しています。

弊社が提供しているマーケティングツール『b→dash』は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析する ことが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。