今回はBtoB中小企業におけるセミナー営業についてお話します。セミナー運営をすべて自社のリソースで行う、となった時に考えるべきことを正しい順序でお伝えすると以下のような順になるかと思います。

セミナー営業で準備すること

1.企画
 セミナー開催の役割・目的の定義

2.セミナー形態別のノウハウ
 ①大規模セミナー編
 ②中規模セミナー編
 ③小規模セミナー編
 ④共催セミナー編

3.リマインドをかける(参加率を高める)
 ・参加率を高めるための施策を行う
 ・PDCAをまわせるようデータをとっておく

4.当日の運営準備をする
 ・アンケート用紙の準備
 ・事前ヒアリングの実施
 ・当日のセミナールーム設計方法

5.セミナー当日
 ・受付、席の案内
 ・クロージングを行う

しかし、最初からこれら全てについて、完璧に思考して手順よく進めるのは人のリソースが十分にない限り難しいと思います。大抵は、初めて成果が出るか分からないセミナーを行おうとすると、まずは限られた予算と人員で行うことになると思います。

そこで「着実に成果を出すセミナー営業(前編)」ではセミナー営業で失敗しない為のオペレーション編として

3.リマインドをかける
4.当日の運営準備

について、詳細にご紹介します。

3.リマインドをかける(参加率を高める)

参加率を高めるための施策を行う

折角、金銭的、若しくは人的コストをかけて予約人数を集めても当日までのリマインドを怠ってしまえば予約からの参加率は著しく下がります。申し込みキャンセルとなってしまう要因としては以下のようなものが多いです。

・優先順位の高い仕事が入ってしまった
・予約したのに、確認の連絡がなかった
・予約したことはスケジューリングしていたが、開催場所が分からなかった

以上を回避するための施策としてはリマインドメール(電話もOK)の内容とタイミングを工夫するのみです。セミナー開催の1週間前、3日前、前日、など何度か参加者にメールを送りスケジュールをリマインドすることが大切です。

さらに、そのメールのコンテンツとしては、開催日時・概要がひと目見て分かることと参加することのメリットが訴求できているかがポイントです。参加者特典を強調し、予約者にとってのセミナー参加の優先度を上げましょう。

参加者特典としては、「●●セミナー限定、●●による講演」というような、コンテンツそのものの魅力を訴求のもありですし「セミナー参加者全員に、●●をプレゼント」というような、例えば参考になる資料やガイドブックのプレゼントを訴求するのもありです。

資料など情報をもらうためだけに、例えば大きくセミナーに遅刻してしまっても参加しようとする人も結構多いので、参加率を上げるためにも準備することは有効です。

PDCAをまわせるようデータをとっておく

また、そもそも上記をより科学的に行うためにKPIやデータをとってウォッチすることがPDCAをまわす上で非常に重要です。

例)
セミナー当日●営業日前には、メールの開封率orリマインド電話が繋がる率を○%以上と目標設定する。目標達成しない場合は、件名や電話のかけ方を変えてみる。

例)
キャンセル理由のデータをとっておき、データが蓄積されてきたらカテゴライズしてどのような理由でキャンセルされているケースが多いのかパーセンテージを出しておく。また、事前にキャンセルされる場合の理由と、当日キャンセルされてしまう場合が多いのか、なども分けて管理できるとより明確にどのプロセスに問題があるのか明確になり、オペレーションの改善に繋がりやすくなります。

4.当日の運営準備をする

アンケート用紙の準備

アンケート項目を考える

アンケートの項目はその目的によって変わります。今後のコンテンツをより良くするためであれば、

例)
・今日のセミナーの理解度や感想
・今後聞いてみたい内容

というようになるでしょう。

ただ、BtoB企業でのセミナーでは10社を超える規模になってくると、セミナー参加者一人ひとりと丁寧なコミュニケーションをとることはその場では難しいため、アンケートで参加者を見極めてその後のアプローチ方法を助けるツールとならなければなりません。

ここでよく使われるのは「BANT」です。Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)の頭文字をとってBANT(バント)と呼ばれています。

この視点は営業の設計をする際に使用されることが多いですがアンケート1つとってもこの視点を盛り込むことで、見込み顧客のランク付けをすることができます。

ただ、アンケートは直接的に営業っぽく上記に答えてもらうのが難しい場合があるので、答えやすいように表現を変えたり、別の質問ではあるが本来聞きたいことが聞ける内容を質問とします。

回収率を高めるために

回収率を上げる施策として2つご紹介します。書けた人から机の上にアンケート用紙を置いて退出させるセミナーもございますが、アンケートは貴重な見込み顧客の情報源です。全部の項目に記入してもらい、100%回収するようにしましょう。

そのために、

・アンケートは必ず出口で手渡しで回収する
・アンケート回答者特典を設ける
・アンケート用紙をカラーで印刷する

この3点が有効です。

1点目は、受付または出口でスタッフが回収することで、未記入で参加者が帰ってしまわないようにしましょう。

2点目は、最近大規模セミナーでも増えてきていますがアンケート回収時に、一方的な情報提供である会社資料、ではなく「お役立ち情報」を資料やリーフレットにして配布するのが有効的です。
例えば市場調査レポートや、各社製品の機能・料金比較表など、参考になるものです。

3点目のアンケート用紙をカラーにするのは、スタッフから見て、アンケート用紙を机に放置したまま退出する人がいないか、すぐに確認できる為です。

私の場合は薄いピンク色の用紙を使用しています。100%回収を目指してお客様に記入をお願いしましょう。

事前ヒアリングの実施

参加者のニーズに合った話をするのは重要なことですが、小規模のセミナーの場合は一人ひとりの納得具合が重要です。事前に参加者がどのような部署、役割、何を聞きたいのか、もともとどれくらい詳しいのか、聞けていると当日の進行に役立ちます。

当日のセミナールーム設計方法

当日の準備物チェックリストです。

<講演者の演台に置くもの>
□PC
□ポインター
□ドリンク

<参加者席>
□メモ用紙
□配布資料
□カラーアンケート用紙
□ドリンク
□ペン

※予約者全員分、設置してしまうと当日の参加率が悪い場合に参加者に
キャンセルが多い印象を与えてしまうので全数並べる必要はないです。
その為、すぐに補充できるように準備しておくことは大切です。

<受付>
□アンケート回収BOX
□名刺回収BOX
□名刺がない場合の名前記入用紙
□ネームプレート

※小規模セミナーで、講演者と参加者が対話しながら進める形式の場合、
ネームプレートを机に置いてもらえると、講演者が参加者の名前を呼びかけて
進めることができ場が温まりやすいです。
また、セミナー後に営業からアプローチする場合は、
どこに重点的にアプローチしたいターゲットが着席しているのか、講演者と営業に明確になるので、有効です。

<その他準備物>
□時計(講演者が十分見える場所にあるか)
□ホワイトボード
□セミナールームまでの導線(看板など)

いかがでしたでしょうか。次回の着実に成果を出すセミナー営業(後編)では、オペレーションがうまくまわり、次にお客様の反応を見ながらコンテンツや当日の参加者とのやりとりをどのように工夫すれば結果に繋がるのかご紹介したいと思います。

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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