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2016.03.02

【人工知能×マーケティング】
人工知能はあなたの将来を変える?
生産性が上がるか、職がなくなるか

今回は近頃話題の人工知能(AI)がマーケティングと交錯したとき、 今までのマーケティングがどのように変わるか、また、すでに人工知能を導入し、自動化している業界事例なども交えて、今後どのような世界になるのかを記載していきたいと思います。

フィクションの世界では、人工知能が人類を滅ぼす、マッチョなハリウッドスター扮するマシーンが主人公を永遠に追跡するなど、色々恐怖を感じることもありますが、有効に使えばこれだけ世界が変わるとイメージしやすいものをご紹介します。

人工知能の市場・人工知能の種類

まずは人工知能の市場が現在どうなっているのかをご説明します。

2015年時点での機械学習・深層学習関連のグローバル市場規模は、300億米ドル(≒3.6兆円)と予想されています。

将来的な予測では、年間平均成長率(CAGR)を30%と仮定し、2025年段階での機械学習・深層学習関連のグローバル市場規模は、4136億米ドル(≒49.63兆円)と推計しています。

ちなみに、MEMS領域(Micro Electro Mechanical Systems)は日本の得意とする領域ですが、今後はこれに関連のある、機械学習・深層学習の活躍分野は既に、顔認証や文字・画像・音声の認識、自然言語処理やウェブ検索、ウェブ翻訳、ゲノム構造解析、化合物の反応性予測、株価予測、ショッピングサイトやSNSにおけるレコメンド機能等々に及び、今後、人工知能、ロボット、クルマ、医療、宇宙・深海を含むフロンティア開発、資源探査、環境、エネルギーなどの領域で人工知能が活躍するだろうと言われています。

ちなみにこの人工知能の市場ですが、2006年以降、Geoffrey Hinton が提唱したオートエンコーダやディープ・ビリーフ・ネットワークが深層学習(deep learning)やそのコアをなす表現学習 (feature learning、representation learning)へと発展を遂げたことで、近年の人工知能ブームを呼び起こしたわけですが、米国Vicarious(ヴァイカリアス)社は、深層学習とは別のアプローチで、
大脳新皮質の神経回路をコンピュータ内に再現することを目指し、2014年には、テスラモーターズの創業者 イーロン・マスク、Amazonの創業CEO ジェフ・ベゾス、Yahooの共同創業者 ジェリー・ヤン、Skypeの共同創業者 ヤーヌス・フリース、SalesforceのCEOマーク・ベニオフら錚々たるメンバーから続々と出資を得て、注目を集めています。

では、日本に目を移した場合、国内市場はどうなっているのか見てみましょう。

日本ではまだ本格的に導入は始まっていませんが、「ニコニコ動画」や「ニコニコ超会議」などで知られるドワンゴ社が国内の最前線研究者と組んで人工知能研究所を設立、脳全体の計算機能の再現を目指す「全脳アーキテクチャ」という研究アプローチを軸として研究を始動したほか、国立情報学研究所を中心に、東大入試を突破できる人工知能を作ろうという「ロボットは東大に入れるか。 」(東ロボ)プロジェクトのようなユニークな活動が行われています。

最近までは人間の脳を超えることはできないと言われていましたが、近い将来、人の脳を超える人工知能(強いAI)が現実になるかもしれません。

日本が得意とするヘルスケアやロボット、自動車、MEMSなどの分野で活躍できる、高度な人工知能が日本発で誕生することが強く求められています。

市場の次は人工知能のタイプをご紹介します。
人工知能は大きく分類して2つのタイプに分けることができます。カリフォルニア大学のジョン・ロジャーズ・サール教授(John Rogers Searle)によると強いAIと弱いAIに分類することができると言っています。

まず、強いAIですが、コンピュータが強いAIと呼ばれるのは、人間の知能に迫るようになるか、人間の仕事をこなせるようになるか、幅広い知識と何らかの自意識を持つようになったときであると言われています。

知能指数のような人間向けの知能尺度を機械の知能にそのまま当てはめるのは簡単ではないため、以下のような人工知能の知能を計る簡単な方法が提案されています。

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知能とは、現実についてのモデルを持つことであり、そのモデルを使って行動計画を立てたり、将来を予測する能力である。モデルの複雑性と精度が高くなって計画立案や予測に要する時間が短くなればなるほど、知能も高いと言うことができる。
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上記を再現できる人工知能が強いAIであると考えられます。

次に弱いAIですが、強いAIとは対照的に、人間がその全認知能力を必要としない程度の問題解決や推論を行うソフトウェアの実装や研究を指します。
弱いAIに分類されるソフトウェアの例として、ディープ・ブルーのようなチェスプログラムがあります。

強いAIとは異なり、弱いAIが自意識を示したり、人間並みの幅広い認知能力を示すことはなく、最先端とされるものでも知能を感じさせることのない単なる特定問題解決器でしかありません。

今までの人工知能は俗にいう弱いAIがほとんどを占めてきました。今後は強いAIのような自分で独立して複雑な思考を行う人工知能が出てくることが期待されます。

次は人工知能で大きく変わった、変わろうとしている業界をご紹介します。

人工知能で変わった業界

人工知能を取り入れ、全自動化、省人化に成功した業界をご紹介します。
まずは、物流業界の事例からご紹介します。

物流業界で全自動化し、省人化に成功した事例として倉庫内のピッキングや積荷の移動が挙げられます。日立製作所ではこのようなロボットも作っています。
❝棚から荷物を移動させるアームロボット❞

また、アメリカの倉庫では倉庫内の棚ごとロボットが持ち上げて倉庫内を移動させるシステムも開発されています。
❝倉庫内で棚ごと荷物を運ぶキバ・システム❞

このように全自動化し、人間による行動の無駄を省き、効率性を大幅に高めています。

自動車業界では全自動運転の開発・実験も進んでいます。例えばメルセデス・ベンツが全自動のプロトタイプを開発しました。
❝全自動運転の乗用車❞

走行中は自車­が搭載するデジタル3Dマップのデータと、外部のすべての状況を把握する高精度のセンサー類(ミリ波レーダー、ステレオカメラ、超音波センサー)の情報を照らし合わせ、車や人、障害物を避けながら目的地に到着できる未来の車です。

これらの業界では主に全自動化で効率を上げ、コストカットや人間の稼働を減らすことを目的としています。

リアルの領域で自動化をしている業界に対して、オンラインで人工知能を活用し、自動化をしている事例をご紹介します。

まずは有名なアップルのSiri。
これはDARPAによって立ち上げられた恐らく過去最大の人工知能計画であるCALOプロジェクトの分家筋にあたります。質問すればそれに最適な返答を用意してくれる人工知能です。

次はIBMのワトソン。
IBMの〈コグニティヴ・コンピューター〉を利用した料理アプリ「シェフ・ワトソン」は、材料を入力すると、膨大なデータと自然言語処理能力を生かしてレシピを提案します。❝人工知能がレシピ提案?❞

人工知能が人間の代わりに考えてアイディアをくれる、思考すら代行してくれる人工知能です。

他にも将棋を指して名人を破る人工知能、これは2012年には、人工知能を搭載したコンピュータ将棋プログラム「ボンクラーズ」に敗れています。その後毎年「将棋電王戦」と称して、人工知能とプロ棋士の戦いが繰り広げられていますが、2014年はプロ棋士5人でわずか1勝しかできないなど、将棋に関して言えば、人工知能はすでに人間を超越したようです。

オペレーションシステムでもIBMが開発している人工知能のワトソンは、既に国内外の銀行や保険会社のコールセンターでの実用化が進んでいるようです。

人工知能が音声認識を行って会話の内容を文字ベースで記録する、顧客の声をリアルタイムで解析し、顧客の課題を突き止め、その回答の手助けとなる情報を、オペーレーターの手元に表示させています。

これらのように人工知能は人間の大きな助けとなったり、人間の思考を分野によっては超えている人工知能も存在します。

そんな人工知能がマーケティングの領域で活用されるとどのようなことが起こるか?それを解説していきます。

マーケティングで人工知能を使用すると・・・

ここからはマーケティングの領域で人工知能がどのように活用されるのかを解説していきます。

端的な部分からご紹介しますと、例えばネット広告を人工知能によって最適化することです。

RTB( Real Time Bitting )と呼ばれる技術は、人工知能を用いて1000分の1秒単位で広告の枠に対する競売を行うことで広告表示の最適化を行っています。
ユーザーのページ閲覧履歴などに基づいて推定されたユーザー属性を元に、その競売に参加するか、いくらで参加するのかといった判断を人工知能が瞬時に行います。

人工知能はデータに基づいて正確な判断を下し、最適な手法をとります。そして人間では解析できないデータを解析します。

それがビッグデータ×人工知能です。では、そのビッグデータ×人工知能をどのように業績を上げるために活用するか?

ビッグデータで儲けるにはこの3原則を徹底しましょう!

【ビッグデータで儲ける3原則】
1.目的 : 向上すべき業績を明確にする。
2.データ : 業績に関連するデータをヒト・モノ・カネにわたり広く取得する
3.発見 : 仮説に頼らず、コンピュータに業績向上策をデータから逆推定させる

この中で最も重要なのは3の「発見」です。膨大な量のビッグデータを解析することは人間には不可能に近いです。それを可能にするのが人工知能です。

しかし、1の「目的」の向上すべき業績。これに関しては人間で設定することが重要です。「業績」を人間が設定し、それに至るまでの仮説を人口知能が構築します。

例えば日立製作所のHitachi Online Learning Machine for Elastic Society(以下H)では実際にホームセンターの売上を向上させた事例もあります。

この事例ではまず、ホームセンターにおけるPOSの売上データに加え、センサーによる顧客と従業員の店内行動のデータ、さらには商品の陳列データなどを大量に収集しました。センサーからは、従業員や客の位置情報だけでなく、従業員の動きや会話の情報、動きの活発度といった情報を記録し、Hを用いて分析しました。

その結果、コンピュータは、顧客単価の高感度スポットへ店員を重点配備することで売り上げが上がるという結果を導き出しました。その通り実際に店内のある位置に店員を配することで
売り上げが15%アップしました
ちなみに、同ホームセンターで流通分野の専門家が立てた施策では、顧客単価の向上は確認できず、「大量データが入手可能な問題では、コンピュータは経営の強い味方」だと確信できたといいます。

他にもコールセンターで人工知能が成果を上げた事例もあります。

受注率の異なる2つのコールセンターAとBを比較し、なぜBの方が、受注率が高いのか、両者の人員に名札型のセンサーを装着してもらい、体の動きのデータを計測しHで検証しました。その結果、Bのスタッフの方が休憩中の体の動きが活発であることが判明したのです。

これは休憩中にスタッフ同士の雑談がよく弾んでいることを示唆しており、それまでは各自バラバラにとっていた休憩時間を複数人でとるようにしたところ、より多くの雑談が生まれ、受注率も13%増加しました

さらにスーパーバイザーが的確な人に、順番に声をかけると休憩がさらに盛り上げることも分かりました。これらの情報に基づいて、コミュニケーションが必要な人の情報を「コミュニケーションサポート対象者」としてクラウドで共有、休憩中の活発度を上げるような施策を1年間適用したところ、コールセンターの売り上げが27%増加しました

このように、人工知能は日々のデータ収集の中から、それと関係がなさそうなデータでも相関関係を見つけ出し、業績向上の手助けをします

人力で管理分析していたことが、人工知能により生産性が飛躍的に向上するようになります。

マーケティングの将来

前述したように、人工知能は業務の生産性を大幅に向上させます。
業務工数の削減をし、上流の部分を考える時間を人間に与えます。

マーケティングでいうと、戦略の部分を人間が、戦術・戦闘レベルの分析を人工知能が莫大なデータの中から分析して実行に移していきます。

このように戦略は人間が担当、戦術・戦闘は人工知能が担当という将来図を描いたマーケティングツールも近年は数多く作られています。

では、マーケティングツールに人工知能を搭載するとどうなるのか?簡単にご説明します。

例えば企業のマーケターが上層部に分析・報告するためのレポートを1日4時間かけて作成していたとしましょう。それを人工知能搭載のマーケティングツールでは1クリックで完成させることができます。

他にもビッグデータからその企業における最適な商流を分析し、このタイプのターゲットにはこのタイミングで広告を送るなど適切な判断を下し、マーケティング施策を打つことができます。

前述もしましたが、人間のやることは目標設定です。つまり、人工知能をどのように使って、設定した目標を達成するかです。

機械ではできない、よりクリエイティブな部分を人間が、それを達成するための仮説構築を膨大なビッグデータをもとに管理・分析していきます。

このように人工知能と人間のやるべき領域をしっかりと明確化することで顧客に最適なマーケティング施策を、自社にとってより生産性のある業務を実現できるのです。

【参考】データをマーケティングに利用するなら
マーケティングオートメーション(MA)とは何か

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