One to Oneマーケティングは、最近のマーケティングオートメーション(MA)ブームに、付いて回る言葉です。

しかし、実際はOne to Oneマーケティングって何??と思われる方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、改めてOne to Oneマーケティングとは何のことなのか、何ができるようになるのかを整理してみたいと思います。

目次
〇One to Oneマーケティングとは何か
〇One to Oneマーケティングの自動化とは
〇One to Oneマーケティングの事例紹介

One to Oneマーケティングとは何か

まずOne to Oneマーケティングとは何か。
一言でいうなら、顧客「一人ひとり」に合わせた販売戦略です。

従来のマスマーケティングは、個人ではなく一つのまとまりとして顧客を捉え、大量の顧客にに対して画一的なアプローチをする販売戦略でした。
すなわち、延べ顧客数を増やして売上につなげる戦略です。

それに対し、One to Oneマーケティングは顧客を個人と捉え、その個人個人の嗜好に合わせた販売戦略をとります。
そうすることで、その個人と良好な関係を築き、一人の生涯あたりの購入金額を上げて売上につなげようとする戦略になります。

駄菓子屋の例で二つの違いを考えましょう。
あなたは店主のおばあちゃんです。顧客の大半が小学生で、駄菓子屋の売上を上げるために販売戦略を考えます。

まずは商品の売れ行きを考えます。売上に占める割合が高いものは、20%を占めるアイスやガムなどの当たり付きお菓子です。
であれば、当たり付きお菓子の種類と数を増やし、おまけでもうひとつサービスをするという販売戦略を立てることができます。
これがマスマーケティングです。

次は、顧客の子供たちに目を向けます。顧客のほとんどは男の子です。
その内、毎日のように来る男の子四人組は毎回遊べるお菓子を買っていきます。
遊べるお菓子の種類を増やし、その子らがよく買うお菓子の横に陳列します。

少ないですが、女の子も来ます。
この1ヶ月の内に来店したことのある子は全部で10人です。
全員甘いものをよく買いますが、それぞれチョコレートや、飴、麩菓子、かりんとうなど好みが違います。
この子たち向けに、いつもの置いている商品に加え、それぞれ新しい種類も用意しておきます。
この子たちは良く話してくれる子たちなので、声をかけて新しい商品を勧めます。
この考え方がOne to Oneマーケティングです。

この例のように、大量の顧客にアプローチするマスマーケティングの前者と、一人一人に向き合ったOne to Oneマーケティングでは、同じマーケティングでもその本質が違います。

ビジネスの例で挙げるなら、CMや新聞広告はマスマーケティング、服飾店におけるお得意様との対面販売などはOne to Oneマーケティングに当たるでしょう。

また勘の良い人はお気づきでしょうが、One to Oneマーケティングは顧客関係管理(CRM)とほぼ同じ考えに基づいています。
いかに優良顧客となるファンを増やしていくかが大事なポイントです。

ファンを増やす、その具体的施策に目を向けたのがこのOne to Oneマーケティングなのです。

次は、このOne to Oneマーケティングの自動化の必要性についてお話ししたいと思います。

One to Oneマーケティングを自動化するとは

上述したように、One to Oneマーケティングとは個人ひとりひとりに合わせた販売戦略のことです。

服飾を例に、再度例を挙げます。
あるコートが気になっている人に、そのコートの良い点を伝える。
トレンドを気にする人に、最新モデルを紹介する。
これらも立派なOne to Oneマーケティングです。

さらには、雑誌に載っているモデルのコーディネートからトレンドを追っており、自分に似合うのは落ち着いた色合いのものだと自覚している人には、トレンドだけで勧めるのではなく、モデルが着ていた服に近いもので、かつ落ち着いた色合いのものを勧める方がより望ましいです。

このようにその人の嗜好・関心・好みを知っていればいるほど、それに見合う商品をお勧めでき、購入してもらいやすくなります。

このように、One to Oneマーケティングは実現できれば莫大なメリットがあります。
しかし、このOne to Oneマーケティングは密にやろうとすればするほど人手を必要とするため、実現するのは難しいとされていました。

顧客数が限られているならともかく、顧客が数百数千人ともなると100人単位の人手が必要になります。ましてや、数万・数十万人をターゲットにしている会社ではとてもOne to Oneマーケティングを実現することはできません。
無限に人手があるわけではないからです。

そのため、人手によらない手段として、テクノロジーによるOne to Oneマーケティングの自動化が行われるようになりました。

自動化の例として、レコメンドメールが挙げられます。
個人個人の嗜好に合わせ、お勧めの商品やフェアなどのお知らせをメールで送ります。

例を挙げると…
コートを購入した人に、似ているコートの商品のレコメンドを送る。
コートを購入した人に、購入直後マフラーやストールなどの小物のレコメンドを送る。
昨年コートを購入した人に、冬物セールのお知らせを送る。
コートをチェックした人に、そのコートの残り数のお知らせを送る。

このようなメール配信は、適切なタイミングを図って、行動履歴になぞらえた文面を作成しなければなりません。メール作成に2分と考えても、千人も顧客がいれば、30時間もの時間をメール作成に充てなければなりません。ましてや、タイミングを図って送信することは、中々難しくなります。

自動化を行えば、コンピュータが顧客がコートを購入したことを判別し、あらかじめ設定していた文面を送ることが可能になります。
一人だけではなく、全てのコート購入者に適用できるため、大幅な時間短縮につながり、One to Oneマーケティングを実現することができるのです。

メールの話が出たので、ついでにアプリを使った顧客育成のお話をします。最近は個人間の連絡ツールとして、LINEやWhatsAppなどが広まっています。企業にとっては従来のメールに加え、それらアプリを利用したマーケティング戦略をとることも可能になりました。

メールとの位置づけの違いとして、それらはよりプライベートで日常的に利用するツールになります。これらアプリとメールを併せて使用することで、より緻密なコミュニケーションを取ることができるようになります。

ただやはり、個人個人に合わせて内容を変えて、メッセージを送るのは手間がかかります。
また、ある顧客にメールとLINE双方からメッセージを送る際に、相手に不快感を与えないよう内容に重複がないように送るのにも、手間がかかります。

このように、昨今One to Oneマーケティングのニーズふぁ高まっているのは、技術の進歩により大人数に対してもOne to Oneマーケティングを実現することが可能になったからなのです。

One to Oneマーケティングと自動化は切っても切り離せない関係にあるのです。

One to Oneマーケティングの事例紹介

最後にいくつか事例を簡単に紹介します。

Amazon

こちらは知っている方も多いと思います。

特徴的な「あなたにおすすめ」機能では、買ったことのある商品に関連した商品をおすすめされます。これは、その商品を買った別の人たちがチェックや購入をした商品を、あなたに似ている嗜好を持つ人だと捉えて、興味を持ちそうな商品としておすすめしてくれます。

これは個々人に向けた対応を行うOne to Oneマーケティングの代表的例です。

リンナイ株式会社

メーカーのOne to Oneマーケティング成功例として知られています。

「リンナイのある暮らし」というコンテンツサイトを開設しており、商品だけではなく、レシピやコラム、暮らしに対する情報などを提供しています。また「リンナイスタイル」というECサイトも運営しており、自社商品など販売しています。

2016年1月時点で、ECでの売上はリンナイ株式会社全体の部品売上の20%を超えています。顧客の行動にオウンドメディアとECサイトを連携させ、誘導することで、顧客との関係性を構築していくことができた例になります。

DELL

Webを通じて注文を受け付けてからプロダクトを生産しているDELL社では、注文フェーズ以前での顧客との関係の醸成にOne to Oneマーケティングを利用しています。

潜在顧客のサイト上での行動から、商品の興味を判別し、その個々人に合わせたメッセージをメールで送ることで、購入まで繋げています。

また、潜在顧客を見込み客まで育成するプロセスに合わせて段階的にメッセージを用意し、定期的にメールを送ることで顧客との関係を深めています。

 

いかがでしたでしょうか。
One to Oneマーケティングは効果が大きいマーケティング手法である一方で、実現には多くのコストがかかります。

One to Oneマーケティングを行いたい方は、是非、自動化する具体的な方法についても調べて実現してもらえればと思います。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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