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2018.06.19

オフラインコンバージョンって何?
Eコマース領域外でもデジタル広告を行う理由

■はじめに

 インターネットとモバイルの進化によって、誰でもどこでもインターネットにアクセスできるようになり、消費者行動は大きく変わりました。このような変化に伴い、企業のマーケティング手法が大きく変わったことは皆さんご存知の通りだと思います。消費者が商品を知ってから購入に至るまでの接点が爆発的に増え、かつ多様化していきました。その接点に大きな影響を与えてきたものが、オンライン広告です。
 オンライン広告市場が大きな成長を見せてきた要因の一つに、効果測定の容易さがあります。CTR、CVRといった指標により、どの広告がどれほどの成果を出しているのか、数値ベースでリアルタイムに把握できるようになりました。効果測定ができるということは、PDCAサイクルを回しやすいということを意味します。オンライン広告を出稿し、効果測定してクリエイティブ、ターゲット、時間帯、キーワードといった変数を変える。その繰り返しにより、最適化を図ることができるようになったのです。

 ただし、これまでそれはオンライン上で完結するビジネスに限られた、限定的な話でした。 広告が消費者のオフラインでの行動に与える影響は数値化できなかったからです。 しかし今、その状況が大きく変わろうとしています。 その引き金となったのが、「オフラインコンバージョン(CV)」でした。

■オフラインCVとは

 オフラインCVとは、その名の通りオフラインでのコンバージョンです。つまり、広告主の広告を見たユーザーが、実際の現実世界で、広告主のサービスに対して何かしらアクションを行った場合、それを計測可能にするものです。例えば、オンラインで広告を出していて、実店舗のみを経営しているアパレルショップがあったとしましょう。これまでは、広告を見て興味を持って来店したお客さんの人数が把握できませんでした。これでは広告の効果がわかりません。それが、例えば位置情報の取得により「先ほどオンラインで広告をクリックしたお客さんが来店した」ということが把握できるようになったのです。オンラインでできていた効果測定が、オフラインでも可能になったということです。
 オフラインCVに関しては、位置情報を取得できるGoogleとFacebookが二大巨頭となっています。これらについて詳しく説明していきましょう。

■Google

来店CV

 実店舗への来店コンバージョンの計測はGoogle AdWordsが提供を開始しました。広告クリックが実店舗への来店にどうつながっているかを把握する機能です。
 仕組みから説明しましょう。 まず、店舗が情報を登録するところから始めます。Googleマイビジネスに住所や営業時間といった店舗情報を登録することで、Google検索やGoogleマップに情報を掲載することができるようになります。次にGoogleマイビジネスとGoogle AdWordsのアカウントを結び付ければ、オンライン広告と店舗情報が関連付けられ、準備完了です。

 では、登録した店舗に来店したことをどのように認識するのでしょうか。これは、Googleが取得している消費者の位置情報によって行います。ここで取得した位置情報と店舗の登録情報を照らし合わせることで、「来店」を認識するのです。 「え、自分があの広告をクリックしてあの店に入ったことばれてるの??」 心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?ご安心ください。来店の検知は匿名の集計情報となるので、「どの顧客がいつ来店したのか」を把握することは不可能です。 端末情報や年齢層、性別や興味関心などの属性情報が使用可能となるので、どういった属性の顧客がどの広告を見て来店したのかを、Google AdWordsのレポートから確認できます。
 ただし、このサービスを始めるためには「利用可能な国に複数の店舗を持ち」「広告のクリック数や実店舗への来店が多い」ことが条件となります。Google AdWordsのサポートセンターによると、実店舗は30以上が望ましく、店舗の所在地は全国展開でも県内でも構わないとのことです。

通話CV

 Googleが提供している他のサービスに「通話CV」というものがあります。 広告を見た次のアクションは、店に行くことだけではありません。スマートフォンやPCで広告を見て、まずは問い合わせ先に電話をするということはみなさんもよくあると思います。そのような効果を測るのが通話CVです。
 もう少しきちんと言うと、「広告をクリックしてサイトを訪問したユーザーが電話番号リンクをクリックした数」をカウントする機能です。電話番号リンクのクリックを発信とみなすため、実際の入電数とは異なる場合があります。また、間違えてリンクを踏んで発信してしまうものも含むため、注意が必要です。
 電話での問い合わせ、申し込みが重要となるビジネスで通話CVが重要な指標になることはみなさんおわかりでしょう。しかしこのCVが重要な役割を果たすのは、そのようなビジネスに限りません。通話CVを計測すれば、オンラインでの指標だけでは把握できなかった傾向・効果を測定することができ、それにより広告配信を全体として改善させることが可能となります。

■Facebook

 続いてFacebookの来店CVについて見ていきましょう。 店舗情報の登録と消費者の位置情報の取得により来店数を測定するという仕組みは、基本的にはGoogleと同じです。Facebookではそれに伴い、「来店数を増やす」※サービス名です という面白いサービスを提供しています。 このサービスは、店舗の近くに来た人に対して最適な広告を配信するためのものです。 広告には画像・動画・カルーセルを入れることができます。それにより、最寄りの店舗までの道順や連絡先、営業時間などが一目でわかるようになります。

 そしてもう一つの機能が、コールトゥアクションボタンです。消費者はこのボタンを押すだけで、店舗に電話をかけたり、メッセージを送信したりなど、すぐに必要な行動を起こすことができるようになります。 店舗のターゲットとなるエリアは、人口密度や目標とするリーチ規模によって柔軟に変えることもできますし、店舗からの半径の数値を直接入力することも可能です。 「消費者がすぐに行動を起こせる」という点で、このサービスの費用対効果が高いことが予想できるでしょう。
 また、Facebookではリマーケティングリストに、実店舗の来店者を追加することができるため、来店者に対して新製品の告知などをダイレクトに伝えることが出来ます。(リストは匿名化されているため、来店者の個人情報がFacebookを経由して広告主に閲覧されうることはありません)
(参考:https://ja-jp.facebook.com/business/a/drive-store-visits

■活用事例

 実際にこれらオフラインCVを活用して効果を出している事例を、2つご紹介します。これから導入を考えている方は、参考にして頂ければと思います。

セブン&アイ・ホールディングス

 Google のサービス、「来店CV」の導入を、株式会社セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカドーが実施しました。 導入の背景としては、セブン&アイ・ホールディングスで積極的にオムニチャル戦略を強化していることがありました。TVCMや店頭イベントなどのキャンペーンを盛り上げてネットで拡散し、来店者数の増加を図っていたのです。しかしマス媒体やオンライン広告からの来店数はアンケートで計測していたため、正確かつリアルタイムの情報でないという課題がありました。

 そこでオンライン広告からの来店数を正確に測定し、広告投資効果の最大化を図るため、「来店CV」の導入を決定したのです。 この導入により、オンライン広告での包括的な効果を視覚化できるようになりました。またそれによって明らかになったものが、「スマートフォンの優位性」です。検索者の来店率は、PCの7.2%に比べてスマートフォンは10.4%という結果となったのです。この結果を受け、セブン&アイ・ホールディングス CI室 シニアオフィサーの原田氏は次のように語っています。 「…今回の結果を受け、今後のテレビ、チラシ、オンライン広告への投資バランスをより効果的なものに変えなければという認識に立っています」
 すなわち、来店CVの導入は、経営の意思決定にまでインパクトを与える結果となったのです。

三越伊勢丹

 三越伊勢丹は、2016年7月から開催した「クリアランスセール」において、デジタル広告を組み込んだ O2O 施策を展開しました。具体的には店舗の商圏エリアに限定して検索連動型広告を配信し、Googleの来店CV機能を用いてその効果を測定しました。 効果測定の指標としては、伊勢丹新宿店への「来店人数」及び1来店あたりに要した広告費用「来店単価」を KPI と設定し、広告運用を実施しました。
 その結果、検索連動型広告での来店率は 12.8%、来店単価は288円/来店と非常にコストパフォーマンスの高い効果が出ました。 このキャンペーンで得られたものは高い効果だけではありません。来店CV機能を通じて取得されたキーワード毎の来店データを詳細に分析することにより、デジタル広告の価値及びユーザーに関する新たな知見を得ることができたのです。
 一例を挙げると、三越伊勢丹が打ち出していた「クリアランスセール」というキーワードの検索及び来店は少なく、言葉としてあまり浸透していないことがわかりました。 三越伊勢丹はこのキャンペーンで得た知見を活かし、セール時に限らず、定常的に検索ニーズからユーザーの意図を捉え、O2O施策を拡大させていくことを構想しています。

■おわりに

 いかがでしたでしょうか?オフラインでの新規獲得のためにデジタル広告を活用することは、大企業だけでなく中小企業の経営にも大きく影響を与えます。現在では広告主も少なく、ブルーオーシャンな配信方法のため、一度チャレンジしてみることをお勧めいたします。

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