日本では2014年から、多種多様なマーケティングオートメーションツールが販売されています。
検討している方やすでに使っていらっしゃる方も多いと思います。

本日はそれらを導入するにあたり、どんな企業も陥りがちな落とし穴のひとつ「データが汚い」という問題について簡単にご紹介したいと思います。

【関連】MAとは
マーケティングオートメーション(MA)とは何か

目次
〇やりたいことは実はなかなか難しい
〇データが汚いとはどのような状態か?
〇なぜデータが汚いのか?
〇最後に

やりたいことは実はなかなか難しい

「MAツールを導入すればOne to oneのアプローチがすぐに可能になる」という認識の企業様もいらっしゃいます。しかしそれは違います

データが整っていなければ何が起こるのか?
例えば、
「新しいメールキャンペーンを行うために1つセグメントを追加したいが、データの改修に莫大な料金がかかるため、やりたいことができない」、
というようにPDCAをすばやくまわして施策を改善するには都度費用がかかるケースがあります。

こうならないよう、MAを導入する前には自社のデータがどのような状態なのか、認識しておかなければなりません。運用後にかかる追加コストが想定の2,3倍に膨れ上がることも稀ではないのです。

【参考】One to Oneマーケティングとは
【本当に可能なのか?】One to Oneマーケティングの正体とは!?

データが汚いとはどのような状態か?

実際に「データが汚い」という問題はどのような問題なのでしょうか。
具体的にイメージがついていない方もいると思いますので、データマネジメント初級・中級・上級編の3つにわけて、チェックポイントをご紹介します。

<初級編>

初級編では、初歩的なデータの入力不備について確認します。

①有効ではない電話番号がまぎれている
②有効ではないメールアドレスがある
③変換ミスをしたデータがある。
(例:商品名なら「ジーンズ」が「じーんず」、名前なら「佐々木」が「笹木」)
④データの入力方法が不揃いで、表記ゆれがある。
(例:(株)フロムスクラッチ、フロムスクラッチ株式会社、株式会社フロムスクラッチ)
⑤データが壊れている。
(例:電話番号があるべきところに、変な文字列が入力されている。)
⑥データが重複している。

<中級編>

中級編では、以下のようなセグメントに使用したい基本情報を蓄積しているものの、すぐに取り出せないという状況です。

①初回・最終購入日をとっているもののセグメントとして使える状態でない
②顧客の会員ランクが取り出せない
③メルマガ会員と本会員の顧客データがばらばらのテーブルで管理されている

<上級編>

上級編では、より高次のデータ活用を行いたいものの、Webのアクセス情報とユーザーの属性情報が紐づいていないという状況です。
つまり、

①デモグラフィック情報を条件でセグメントしたメールは打てているものの、
サイコグラフィックな条件を利用できていない

ということです。

以上のようにいくつかチェックポイントを挙げることができますが、皆様の企業ではどこまでクリアされているでしょうか。次章では、なぜ起こるのか、どういった対処を行えばよいのかご説明します。

なぜデータが汚いのか?

なぜデータが汚くなってしまうのか?

理由として挙げられるのは、そもそも「データをマーケティングに活用する前提・意識がない」という状況です。

あるいは「マーケティングに活用する前提ではあるものの入力ルールやオペレーションが徹底されていない」という状況です。

これら問題に対して、どのように対処すべきなのでしょうか。いかにデータを正確に蓄積するか、というバリデーションの問題と、データ統合の問題にわけてお話しします。

<バリデーションの問題>

バリデーションについての対処としては、データのクレンジング作業を行うしかありません

一気にすべてに取り掛かろうとするとデータの設計からクレンジングだけで何カ月も要してしまうので、行いたい施策を社内で合意して優先度の高い施策を行うのに必要なデータの精査をしていくことになります。

また、データをきれいに保つための防止策として、まずはデータを扱う意識を育てていく必要があります

BtoB企業や、BtoC企業でも現場のオペレーターや受付など人間が介在するようなビジネスモデルの場合、ちゃんと伝えなければマーケティングについてやデータの大切さはわかりません。

どのようにデータを扱わなければいけないのか意識を社員全員でそろえないと、せっかくクレンジングを行ってもまた質が落ちてしまうことになります。その上で、まず入力のルールを決めます。そして、ルールを守るようオペレーションを徹底します。

b→dashを導入している企業様でも同じようなケースが多いですが、導入作業を進めながらクレンジング作業を進めることが多いです。

<データ統合の問題>

Webのショップとリアルのショップの売上データが統合できていない。
Webのアクセスログとユーザー属性データが紐づいていない。
このような問題は、コストと時間が必要になりますが今後のメリットを考えると、ビジネスモデルによっては必ずデータ統合をしたほうが良いです。

この問題はなかなか自社内のノウハウで完結するのが難しいので、システムベンダーやインプリメント企業に相談しながら進めていくことになると思いますが、1つ重要な点があります。

当たり前ではありますが、マーケティングへのデータ利用を前提として統合を行っていく必要性があるということです。

「どのようなセグメントを切りたいのか、レコメンドやメールなど何に使用するのか」というマーケティングの視点。また、「それを行うにはどのデータの蓄積方法が最も効率がいいのか」というテクノロジーの視点の両方に精通していることが必要です。

施策に応じたデータの設計を行うことで、データ設計の出戻りを極力少なくし、新たな施策のPDCAを柔軟・スピーディに回すことが可能になります。

最後に

データの手入れを行うことのメリット

ここまでの話は、私たちがB→DASHの導入・コンサルティングを行ってきた中で、実際にお客様の相談を受けてきた事例から簡単にまとめたものになります。

データのクレンジングを行うのも、統合作業を行うのも大変な作業になりますが、以下のような施策が可能になることで売上を拡大するチャンスを大幅に広げることが可能です。

●闇雲にターゲットに合わない情報を大量に送り続けるのではなく、
 メールの配信数を減らしてでもターゲットが欲しいと思われる情報に絞って情報を送ることで
 売上が拡大したケース

●購買には至らないものの、何度も閲覧している商品カテゴリについて
 サイト訪問時にクーポンを送ることで
 これまでリーチできなかった潜在ニーズから購買に引き上げることができたケース

実際の事例でもこのようなケースで成果につながったところはとても多いです。もちろんb→dashはこのような施策を可能にすることを前提に開発されたプラットフォームなので、Webのデータ、メールなどの販売促進のデータ、売上顧客管理のデータを一気通貫で管理し利用できるという特徴を持っています。

ただ、ツールに関わらず、ROIを最大化させるためにも、このような施策を行うという目的を持って今後のオペレーションの在り方を決めてみてもよいのではないでしょうか。

まとめ

さて、今回はデータが汚い、という問題について話してきましたが、いかがでしたでしょうか。あとあと後悔しないためにも、データを見直すということの大事さが伝わっていれば嬉しいです。ツールの導入には、とても大きな労力がかかりますが、それを最小限にとどめられるよう今から行動していきましょう。

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弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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