前編では“MAのトレンドのうち、2018年、BtoBマーケターに最も大きな影響を与えると考えているものを挙げるとしたら何ですか?という問いに対する”30人のマーケターの回答のうち、10名分をご紹介してきました。後編では続く20名の回答をご紹介し、2018年のMAトレンドに迫っていきます。
目次
■30人の専門家が語る2018年のMAトレンド
 No.11 Ian Cleary(RazorSocial)
 No.12 Ben Bradley(Macon Raine)
 No.13 Stewart Anderson(MuteSix)
 No.14 Susan Tucker(Lure Agency)
 No.15 Larysa Chaplin(Vacancysoft)
 No.16 Leeyen Rogers (JotForm)
 No.17 Meagen Eisenberg(MongoDB)
 No.18 Michelle Delgado(Clutch)
 No.19 Pam Neely(PamNeely.com)
 No.20 Michel Brenner(Marketing Insider Group)
 No.21 Mandy McEwen(Mod Girl Marketing)
 No.22 Will Egan (Ausmed)
 No.23 Jason Jue(Triblio)
 No.24 Meghan Barrett(Modelo)
 No.25 Barbara Rozgonyi(CoryWest Media/wiredPRworks)
 No.26 Christine B. Whittemore(Simple Marketing Now)
 No.27 Barb Easter(Dryrun)
 No.28 Chris Grant(BableQuest)
 No.29 Gil Allouche(Metadata)
 No.30 David Hoos(The Good)

■2018年のMAトレンドまとめ

■30人の専門家が語る2018年のMAトレンド

No.11 Ian Cleary(RazorSocial)

①チャットボットの発達
今、チャットボットがリード獲得のためのツールとして注目されています。今後、チャットボットによって自動的に顧客情報を共有することが可能になり、リードをどうやって引き上げるかが簡単に分かるようになります。

②パーソナライゼーション
BtoB企業の多くはパーソナライゼーションがうまくいかず、ユーザーにとって最適な情報を最適なタイミングで提供できずにいます。BtoBマーケターはパーソナライゼーションの最適化に向けて動き始めています。

③顧客体験
MAによって、年齢や性別といった特徴をもとにお客様を分類できるようになりました。それに伴って、マーケターは顧客の特徴に合わせてどのようなマーケティング戦略をとるべきか考え始めています。例えば、ファネルの後期段階にある購入直前の顧客とは今まで以上に密なコミュニケーションをとれるようになるでしょう。なぜなら技術が進歩したことで、顧客が今までどんなプロセスをたどって購入を検討する段階に至ったのかがわかるようになったからです。つまり、顧客ひとりひとりの行動プロセスに応じて営業ができるようになります。

No.12 Ben Bradley(Macon Raine)

2018年に入ると「シングル・クリック・オートメーション」を用いる機会が少なくなると言われています。なぜならユーザーのニーズに関係なく、メルマガを立て続けに送ってしまう可能性があるからです。かつては主流だったこのマーケティング戦略も、今後はより効率的にユーザーのニーズを捉えることができる戦略にかわるでしょう。

No.13 Stewart Anderson(MuteSix)

①アカウントベースドマーケティングとパーソナライゼーションへの注目が高まるでしょう。

②動画が今までよりも活用されるようになります。

③MAによって、自社に対する顧客のロイヤリティを向上させることができるようになります。
かつては商品購入まで顧客を誘導させることがマーケティングのゴールになっていましたが、今後はアフターサービスを含めて顧客の満足度をいかに向上させるかが重要な論点になるでしょう。

No.14 Susan Tucker(Lure Agency)

①ソーシャルメディア
Facebookがこれまでにない新たなメッセージ機能をローンチしました。中でも、埋め込み式のオプトインフォームを送る機能には注目です。

②カスタマーサービス
カスタマーサービスの自動化は、かつてのように人間の手助けをする単なるツールではなく、人間の手では実現できないようなことを成し遂げようとしています。

③パーソナライゼーション
企業はMAを導入することで、顧客ひとりひとりがどんなコンテンツを求めているのか簡単に知ることができるようになります。

No.15 Larysa Chaplin(Vacancysoft)

①リードを獲得するためのランディングページ
ABテストとエンゲージメント分析によってランディングページを最適化できれば、効率的にリードを獲得できるようになります。

②予測分析
予測分析を用いて顧客の行動を的確に予測することにより、潜在顧客をピンポイントでターゲティングできるようになります。こうして購買意欲を掻き立て、顧客の満足度を向上させることが自社の売上アップにつながります。

③人工知能
AIがMAに組み込まれたことで、ウェブサイト、キャンペーン、リンク先ページから集めたデータをより手軽にマーケティング戦略に活用できるようになりました。このように、顧客の行動プロセスを追跡し、それに基づいた顧客に提供するコンテンツを作成できるようになったのは、AIがMAに組み込まれた恩恵のひとつでしょう。

No.16 Leeyen Rogers (JotForm)

2018年に入ると、企業はユーザひとりひとりに対してさまざまコンテンツを提供できるようになります。そうすることが、ユーザのニーズを満たすことにつながり、結果としてコンバージョンへとつながります。

No.17 Meagen Eisenberg(MongoDB)

①S&Mチームの活躍
かつてはセールスとマーケティングという別部署にいたメンバーがS&Mチームとして連携することで、購買意欲が特に高いリードを自動的に選別できるようになります。

②顧客にとっての感動体験
今後マーケティングの自動化がより一層進み、多くの顧客に対して、自社の商品やサービスを通じた感動体験を提供できるようになるでしょう。

③インフルエンサーマーケティングの台頭
メディアを牽引するインフルエンサーを活用したマーケティング手法が、その影響力の大きさから人気を高めています。

No.18 Michelle Delgado(Clutch)

①ウェルカムメールの自動配信
メルマガを自動配信できるようになったことで、購読までのプロセスがよりスムーズかつシームレスになります。

リマインドメールの自動配信
メルマガを何週間も開封していない購読者に対しては、サービスの再利用を促すコンテンツを自動的に配信できるようになります。

タイムゾーンの管理
世界中にクライアントを持つ企業が増えたことで、タイムゾーンの管理が重要視され始めています。例えば、メールを現地時間に合わせて配信することが近々可能になるでしょう。

また、実際にMA施策の実施によりメール開封率/クリック率200%アップを実現した事例について、下記資料にて詳しくご紹介しておりますので、こちらも是非合わせてご一読ください。

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No.19 Pam Neely(PamNeely.com)

①パーソナライゼーション

②予測分析

③メッセージアプリとソーシャルコンタクトの活用

No.20 Michel Brenner(Marketing Insider Group)

AIによって、今まで活かしきれていなかったデータを最適な方法で活用できるようになります。こうして、AI主導でユーザが最も共感を示してくれそうなコンテンツを提供できる日が近い将来やってくるでしょう。

No.21 Mandy McEwen(Mod Girl Marketing)

①統合型MAの出現
ほとんどのMAはプラットフォーム間で重複した作業を行っている可能性が高いです。しかし、2018年に入るとより多くのサイトがZapierやIFTTTなどのサードパーティアプリ(ある特定のアプリに対する関連アプリ)、や他のツールと独自に連携することで、最高のユーザー体験を届けてくれるでしょう。

②マーケティングの主体は人間からMAへ
BtoBマーケターはMAをただ活用するだけでなく、顧客ひとりひとりのニーズに基づいたユーザー体験を提供することで、顧客満足度を向上することができます。そのクオリティは、人間によって行われるマーケティングと遜色ないと言われるほど改善されるでしょう。

③BtoBマーケターが注目すべきLinkedInのMA
BtoB領域において潜在顧客と1対1の関係を構築するうえで、LinkedInのクオリティは業界トップクラスではないでしょうか。2018年以降、マーケターはLinkedInが持つMAを積極的に活用するようになると思います。

No.22 Will Egan (Ausmed)

AIによるウェブサイトとキャンペーンの最適化

②大量のデータの流通

③BtoB分野におけるCRMの活用

No.23 Jason Jue(Triblio)

①セールスマンとマーケターの役割が変わってきています。
これからはセールスマンもMAを使って、リードを育成をする必要があります。一方で、マーケターはキャンペーンのテンプレートを作ったり、ガバナンスを行ったりすることに専念できるようになるでしょう。

②リードを獲得するプロセスが変わってきています。
マーケターに今求められているのは、顧客ひとりひとりと向き合いながら、購買意欲がどれほど高いかを見極めること、インタラクティブかつ魅力的なコンテンツを提供し続けてロイヤリティを向上させることです。

③アカウントの重要性が高まっています。
今後、アカウントベースドマーケティングの自動化が進むでしょう。つまりアカウントを通じて、お客様ひとりひとりの情報収集を行うようになるのです。

No.24 Meghan Barrett(Modelo)

①リファラルマーケティングの自動化
リファラルマーケティングとは、紹介や口コミを利用したマーケティング形態のことを指しています。このマーケティング形態によってBtoBマーケターはネットワークを拡充し、より多くのリードを獲得できるようになります。

②MAを活用したお客様理解
MAの力を借りながら、お客様と頻繁にコミュニケーションをとることで、ひとりひとりが何を考えているのか理解できるようになります。

③チャットボットとAIの活用
チャットボットとAI(特にモバイルマーケティング)を活用しているBtoB分野のマーケターが、コミュニケーション活動の自動化を最適に行えるようになります。

No.25 Barbara Rozgonyi(CoryWest Media/wiredPRworks)

①スーパーコンペティティブクリエイティブ
BtoB企業は、emailの開封率を上げるために、フォーマットをよりクリエイティブにしようとしています。「デジタルに、ダイレクトに、かつダイナミックに」がキャッチコピーです。

②VRを活用した営業活動
BtoB企業は、VRを活用することで、顧客の行動プロセスを可視化するようになります。

③ピンポイントな顧客データ
BtoB企業はデータを活用して、カスタマージャーニーを分析しています。そのため、それらの企業にとって「データがなくなった日=この世の終わり」と言っても過言ではありません。

No.26 Christine B. Whittemore(Simple Marketing Now)

①データから抽出したインサイト
MAによって、主観的な判断ではなく、客観的なデータからどんなコンテンツを提供すればお客様のニーズを満たせるのか明らかにできるでしょう。

②マーケティングプロセスの再検討
MAによって、どのリードの購買意欲が高く、どのリードに営業をかけるべきか明らかになります。さらに、セールスチームとマーケティングチームが連携することで効果的に顧客の購買意欲を高めることができるようになります。

③高い専門性が求められるマーケター
MAはマーケティングを効率化するためツールにすぎません。MAの強みを生かすも殺すもマーケター次第です。今後は、MAをはじめとしたマーケティングの専門性を持つか否かでマーケターとしてのステータスが決まるでしょう。

No.27 Barb Easter(Dryrun)

①MAとS&Mチーム
MAの急速な発展に伴い、セールスチームとマーケチームは連携を強めてきました。今後、明確なビジョンを共有するメンバー同士が相互作用を生み出し、さらなる顧客満足度の向上と売上アップに貢献してくれることでしょう。

②MAによって実現する世界
MAを導入することで、顧客ひとりひとりのニーズに応じたコンテンツをemailや動画を通じて自動配信できるようになります。

③モバイル時代の今、求められていること
MAによってデータの取得から活用まで網羅的に行えるようになります。ここで得たデータを活用することで、顧客が一番求めているものを提供できるようになるでしょう。

No.28 Chris Grant(BableQuest)

①マーケティングプロセス全体でMAが活用されるようになるでしょう。

②チャットボットが2018年にどれだけ発達するかに注目すべきです。

③あらゆる機能をひとつでできるMAが最も人気のマーケティングツールになるでしょう。

No.29 Gil Allouche(Metadata)

①リードスコアリング

②予測マーケティング

③アカウントベースドターゲティング(リターゲティングマーケティングの自動化)

No.30 David Hoos(The Good)

①MAによってファネルを拡大することができるようになります。

②MAが発達することで、マーケティングプロセスの最初から最後までアトリビューションできるようになります。

③MAにとって欠かせないビッグデータに対し、カスタマーがどのような反応を示すのか分析することで、セキュリティとプライバシーを強化することができます。

■2018年のMAトレンドまとめ

ここから、30人の意見を4つのポイントに分けて振り返っていきたいと思います。

1.AIによるマーケティングの最適化

AIによってデータを整理すること、その中から何らかのパターンを見つけ出すこと、そのパターンを活用しながらお客様との関係を構築することが驚くほど効率的に実現できるようになります。その結果、ユーザーの満足度は向上し、自社の売上につなげることができます。例えば、MAプラットフォームを提供するMailChimp社のTimewarpというサービスは、AIを早い段階で導入した事例の一つです。同社はユーザーがメールを受け取る時間を記録し、そのデータを活用することによって、メールの開封率をアップすることに成功しています。

2.リードと顧客を最も効率的に育成してくれるチャットボット

チャットボットは他のどんなツールよりも効率的にリードと顧客を育成してくれます。なぜなら、チャットボットはサイト訪問者ひとりひとりの行動を細かく分析し、ファネルのどの段階にある顧客に対してもアプローチできるからです。さらに、他のツールとの統合が進んだおかげで、収集した情報を自社のシステム内にある他の営業ツールやマーケティングツールに取り込むことができます。こうした得た情報をマーケティング戦略に活かすことで、お客様の満足度を向上させ、売上アップにつなげるのです。

3.ひとつになりつつあるセールスチームとマーケチーム

かつてセールスとマーケティングは、完全に分断されていました。しかし、技術の進歩によってコンテンツマーケティングが注目を浴びるようになったことで、企業はセールスとマーケティングを一つのチームとして捉えはじめています。というのも、リードの段階からお客様と良好な関係性を築かない限り、顧客を獲得する事が難しくなっているからです。例えば、MAはデータ統合に重きを置くことでリードと顧客データを可視化し、全ての部署がより良い意思決定を行える状況にしました。こうしてMAの力を借りながらセールスとマーケティングが連携することで、お客様をリードから顧客に育成し、売上につなげることが今の企業には求められているのです。

4.多変量テストの活用

マーケティング施策の効果を測定するうえで、A/Bテストは欠かせません。そもそもA/Bテストとは、異なる2パターンのWebページを用意し、実際にユーザーに利用させて効果を比較するテストのことです。このテストを行うことによって、Webページのデザインやレイアウトを最適化することができます。ところが近年、A/Bテストはさらなる進化を遂げています。その一例が、多変量テストです。多変量テストを用いれば、なぜ自分たちがそのマーケティング施策に成功したのかを明確にすることができます。より多くのデータを集めることがテスト結果の質向上につながることを考えると、多変量テストは今まで以上の勢いで発達していくに違いありません。

 

いかがでしたでしょうか。

大量のデータが市場に流通する現代において、最も重要なのはそれらのデータを統合し、積極的にマーケティング施策へ活用していくことです。今回はその重要性を再確認したうえで、データの統合と活用を今後どのように進めていくべきかを議論してきました。

ここで書いたことが、マーケターの皆さんにとって今後のマーケティング施策を考えるヒントになれば幸いです。今後もマーケティング業界の動向に目が離せません。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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