「ビッグデータ元年」と呼ばれた2017年も終わり、企業はますます効率的にデータを活用するようになってきています。特に、ビジネスの生命線であるマーケティング領域では、データの活用なくして他社との競争に勝ち残れません。そんな中、海外ではマーケティングオートメーションに関する、とある記事が注目を集めています。

それは、「30 Experts Discuss Marketing Automation Trends That Will Have The Biggest Impact On B2B Marketers In 2018(専門家30人が語る、マーケティングオートメーション!ー2018年、BtoBマーケターに最もインパクトを与えるトレンドは何だ?ー)」という記事です。
https://www.snapapp.com/blog/marketing-automation-trends)

この記事はRoyal Jay社のデジタルマーケティング責任者、Robbie Richard氏によって執筆されました。同社はヘルスケア企業をデータで支えるサービスを展開しており、アメリカを中心にその事業規模を拡大しています。

今回は日本国内の事例も交えながら、この記事にどのようなことが書かれているのかを紹介していきたいと思います。

目次
■マーケティング業界で見られる3つの変化
■30人の専門家が語る2018年のMAトレンド
 No.1 Ann Handley(MaketingProfs)
 No.2 Kathryn Hawkins(Educalypt)
 No.3 Brian Carter(作家)
 No.4 Chad Pollitt(relevance.com)
 No.5 Jose Han(Salted Stone)
 No.6 Tara Belt(Primus Software Corporation)
 No.7 Ron Sela(Ron Sela Consulting)
 No.8 Kent Lewis(Anvil Media, Inc.)
 No.9 Dustin Tysick(Jostle)
 No.10 Bernie Borges (Vengreso)

■マーケティング業界で見られる3つの変化

専門家たちのトレンドに移る前に、現在マーケティング業界で起こっている変化について述べていきます。大きく3つあります。

1.マーケティングオートメーションの進化

マーケティングオートメーション(以下、MAと表記)は、マーケティングを強化するために生み出されたツールです。しかし、これまでのMAはその目的を果たすには取るに足らないツールでした。例えば、メールを送りたいターゲットにメールを送れない、ユーザーがメールを開きやすいタイミングでメールを送れない、そもそも、送ったメールの内容がユーザーの求めているものではない等。つまり、これまではMAを使うことによってマーケティングを強化するどころか、失敗に至ってしまうケースも多くありました。

ところが近年では、MAも進化してきており、最適なタイミングでメールを配信できたり、アプローチすべきユーザーにのみアプローチすることが可能になってきています。

MAが急速に進化したことで、導入事例も今までにない勢いで増えています。中には、マーケティングを行う主体が人間からMAに代替された事例も多く見られます。特にBtoBの領域では、2011年から2014年にかけて導入事例の数が約11倍に増えました。もはやMAは、リードに対してメールをただ送信するだけのツールではなくなってきています。

2.データ統合とAI

そして、今後のマーケティングを語るうえで欠かせないキーワードが、データ統合とAIです。

まずデータを統合することによって、ファネルの段階ごとにリードをターゲティングできるようになりました。これを支えるのがAIです。AIは人間の手を借りることなく広告キャンペーンの結果を予測できます。さらに、その予測結果に応じて広告キャンペーンを軌道修正することも可能です。そのため2017年、AIには多額の投資が行われ、今後もその投資額は増えると予想されています。かつてはGoogleで、現在はFacebookでCMOコンサルタントを務めているAndy Betts氏も、AIを不自由なく使えるようになることが今、全てのCMOに求められていると言います。さもないと、他社との競争に後れをとる可能性があるのです。さらに、Andy氏は以下のように続けます。

「CMOが今すべきは、来たるべき時に備えること。特にマーケティングに関するAIアプリケーションがリリースされたというニュースには、アンテナを張っている必要があります。今こそ、チャンスが目の前に迫っていることを認識すべきなのです。」

3.多変量テストとオーディエンスターゲティング

ここまでMAとAIを活用することで、既存の分析ツールやソーシャルメディアよりも効率的に顧客を囲い込むことができるという話をしてきました。しかし、マーケティング業界に成長をもたらすのは、MAやAIだけではありません。”多変量テスト”と”オーディエンスターゲティング”を活用することで、2018年にマーケティングはその成長角度をより一層高めると言われています。

多変量テストとは、マーケティング施策の効果を測定するテストのひとつです。例えば、ランディングページ上のテキストと画像の組み合わせを同時にテストすることで、ランディングページの改善を行うことができます。こうした手法を用いることで、想定しうる全ての組み合わせから、最適な組み合わせを抽出することができます。
一方で、オーディエンスターゲティングは、オーディエンスデータを用いたターゲティング手法のひとつです。ユーザーの行動プロセスの分析結果を施策に活かすことで、効率的にユーザーをターゲティングできるようになります。

このようにMAやAIといったツールだけではなく、多変量テストとオーディエンスターゲティングも用いることでデータの活用が最適になり、マーケティング活動は強化されていくと考えられます。

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■30人の専門家が語る2018年のMAトレンド

マーケティング業界は今、目まぐるしい勢いで変化しています。こうした変化の中で、マーケターは自社のマーケティングをいかに成功させるかを再検討しなければなりません。そこで今回は、BtoB分野でマーケティング責任者を任されている30人にこんな質問を投げかけました。

“MAのトレンドのうち、2018年、BtoBマーケターに最も大きな影響を与えると考えているものを挙げるとしたら何ですか?”

これから見ていくのは、今後のマーケティング戦略を考えるうえで、参考になるものばかりです。それでは30人の回答を見ていきましょう。

No.1 Ann Handley(MaketingProfs)

①満足度の高いユーザー体験
マーケターが今興味を持っているのは、MAをどのように使えばユーザーの満足度を高めることができるのかという点です。なぜなら、今のMAでは最高のユーザー体験を提供できていないと感じるからです。そのため、今後マーケターは自社で導入しているMAに関してより高い専門性が求められるようになるでしょう。専門性を高めることで、満足度の高いユーザー体験を提供できるようになるからです。

2018年は「カスタマーロイヤリティを向上させるため、いかにMAを活用すべきなのか」を考える重要なタイミングといえるでしょう。

No.2 Kathryn Hawkins(Educalypt)

①各ユーザーのニーズに応じたコミュニケーション
マーケターは、サイトの閲覧履歴などのデータをもとに、各ユーザーにとってどんな情報が役に立つかを考え、メールで配信するコンテンツを選びます。ユーザーのニーズを満たすコンテンツを作り続けることができれば、スムーズに潜在顧客との関係性を構築することができるでしょう。

②アカウントベースドマーケティング(ABM)
アカウントベースドマーケティング(ABM)に注目が集まったことで、マーケターがMAを使って取得したデータを新規顧客獲得のヒントとして活用する事例も多くみられるようになりました。

③多変量テスト
今まで多くのマーケターは、A/Bテストを用いてどのようなメールのタイトルlにすれば開封率が上がるのか試行錯誤してきました。しかし、MAを活用すれば、ランディングページ、デザイン、記事の見出しといった複数の要素から最適な組み合わせをより簡単にテストすることが可能になります。

No.3 Brian Carter(作家)

①消費者インサイトから顧客満足度を高める
MAを活用することによって、安定してKPIを達成できるマーケターが今後重宝されるようになります。さらに、取得したデータから消費者のインサイトを発見し、顧客満足度を向上させることができる企業は希少性が高いです。

②コンテンツマーケティング
ここ数十年で顧客に関する大量のデータが世の中に生成されましたが、多くの企業はそれら大量のデータを上手く活用しきれていません。しかしそれらのデータとAIを組み合わせることで、比較的容易に顧客満足度を向上させることが可能になります。
そのため、今私たちがMAに求めるべきことは、全てのマーケターが顧客の満足度向上と自社の利益獲得を両立できるようなコンテンツマーケティングを実現することと言えます。MAを用いてユニークかつ魅力的なコンテンツを提供できるマーケターは市場価値の高い人材と言えるでしょう。

No.4 Chad Pollitt(relevance.com)

①AIによるリードスコアリング
AIによって、より簡単にリードをセグメンテーションできるようになります。例えば、過去の取引履歴から案件獲得の見込みが高いリードを自動的に選択してくれます。

②AIによるカスタマーエンゲージメント
MAをはじめとしたさまざまなツールとAIをつなぐことで、より円滑に顧客との関係を構築することができます。例えば、獲得した顧客の行動をAIを通じて予測することで、顧客にとって最適なカスタマージャーニーを提供することができるようになります。

③AIによるデイパーティング
AIを活用すれば、セグメントに応じて適切なメッセージを送ることができるだけでなく、デイパーティング、つまりどの日にちのどの時間にメッセージを送るのが最適なのかまでわかるようになります。

No.5 Jose Han(Salted Stone)

①ダイナミックデータ
チャットボットなどのAIを搭載したアプリを活用することで、サイト訪問者は事業、製品、サービスについて簡単に理解を深めることができるようになります。その結果、検索データベースや知識データベースは、AIに次ぐ第2のリソースとして扱われるようになっていくでしょう。

②パーソナライゼーション
BtoBマーケターはデータを活用することで、サイト訪問者にとってどのようなキャンペーンが最も魅力的かを考えるヒントを得ることができます。

③スマートコンテンツ
ターゲットを絞って有料広告を出稿することで、LinkedInを代表するプラットフォーム型のアカウントベースドマーケティングをより簡単に自動化できるようになります。

No.6 Tara Belt(Primus Software Corporation)

①アカウントベースドマーケティング(ABM)
マーケターはアカウントベースドマーケティングを実施することで、自社の売上を向上しようとしています。ABMを実施することで、例えばアプローチすべき顧客のアカウントを特定することや、顧客との接触機会を増やすことが可能になります。

②動画ストリーミング
企業は今まで以上にクリエイティブな動画を作成することが求められています。なぜなら、マーケティングの一環として動画が積極的に活用されるようになり、結果としてもリード獲得に大いに貢献しているからです。実際に、動画のコンバージョン率は45%にも到達しているため、今後のマーケティング活動において欠かせないものになるでしょう。

③ARコンテンツ
ARマーケティングの強みの一つにパーソナライゼーションがあります。例えば、消費者は自身の写真などをアップロードすることで、自分にしか作れない唯一無二のコンテンツを作成することができます。さらに、AR機能を搭載した最新型のスマートフォンが出現したことで、こうしたコンテンツの作成を手軽に行えるようになりました。顧客満足度と利益を向上させるためにARをどう活用したらよいかがこれからの重要な論点となるでしょう。

No.7 Ron Sela(Ron Sela Consulting)

①AIの急速な発達
AIを活用することで、以前よりも顧客の行動を簡単に予測できるようになりました。その結果、企業が提供する製品やサービスの売上向上や、投資対効果を最適化することもできるようになります。また、AIの活用により、市場動向やそれに応じたキャンペーンの結果も正確に予測することができるようになります。AIによってキャンペーンの戦略を試行錯誤することで、企業は理想的な施策を把握することができ、さらに企業がリードや顧客に対して提供すべきコンテンツも知ることができます。

②MAのさらなる発達
MAを活用することで、今まで人の手によって行われていたマーケティングにおけるデータ活用を自動的に行うことができるようになります。こうしてマーケターはより効果的なマーケティング戦略をより多く打ち出すことができるようになるのです。

No.8 Kent Lewis(Anvil Media, Inc.)

①新たな組織づくり
企業の執行役員陣がMAを活用することで、これまでの典型的な縦割り組織よりも効率的にMAのチームが機能する組織を作れるようになります。

②MAと組織変革
セールス・マーケティングチームは、魅力的なコンテンツを提供するプロセスを構築することで、MAの成果と効率を上げることができます。

③MAとカスタマージャーニー
MAを導入することによって、カスタマージャーニーをより細かく分析できるようになります。どのコンテンツがどれだけコンバージョンに貢献したのかを明らかにすることで、広告の予算配分を最適化することができるのです。例えば、ここ数年でコンバージョンポイントとしての動画コンテンツに対する注目度が高まっています。MAはどれだけの予算を動画に投下し、その予算を使ってどのような動画を配信すればコンバージョンを最も獲得できるかも明らかにしてくれるのです。

No.9 Dustin Tysick(Jostle)

①ライブチャットとチャットボットとの連携
近年、ライブチャットとチャットボットが新規のリードを獲得するツールとして注目されています。しかし、これらのツールから得られた情報はMAに取り込むことができないため、改善が必要です。もし情報の取り込みができるようになれば、これまでのマーケティング活動に大きな影響を与えることになるでしょう。

②アカウントベースドマーケティングの人気の高まり
アカウントベースドマーケティングの人気の高まりはHubspotがTerminusをM&Aしたことから始まったと言われています。
※Terminusはアカウントベースドマーケティングに特化したソフトウェア開発に力を入れている企業の代表格です。

③加速するパーソナライゼーション
企業情報やその他の関連データを取り込むだけでは不十分です。それらのデータを統合し、各顧客に適したコンテンツを提供することが今後重要になってきます。

No.10 Bernie Borges (Vengreso)

①マーケティングチームとセールスチームが今まで以上に協力する必要が出てきます。

②リードをスコアリングするために、AIを使用する機会が増加します。

③LinkedInがMAのように機能するでしょう。

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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