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2020.02.19

【MiXER Report】いかにして市場を席巻するか?
OYO、​​TikTok Adsが語る“世界的プラットフォーマーのマーケティング論”

世界第2位のホテルチェーンとなり、不動産業界の慣習を破るサービスで日本市場を席捲する『OYO』。150の国と地域、75言語に対応し、スマホネイティブ世代の圧倒的な支持を受けるプラットフォーム『TikTok』。本セッションでは2つのサービスの爆発的成長の裏側に迫る。

登壇するのは、株式会社OYO Life Marcom&OYO Passport Head 山口 公大 氏と、TikTok Ads Japan/Head of X Design Center 鈴木 瑛 氏。モデレーターには、株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長 菅恭一氏の3名。

・成長を後押しした、プラットフォームの特徴を活かした事業展開とは
・爆速成長するOYOの常識外れの目標設定と達成方法とは
・TikTokが支援する「UGC」の影響力はマーケティングをどう変えているのか

 

日本では考えられないスピードと規模で事業を拡大する2社のマーケティング論が語られた。

『爆発的』成長を続ける2つのグローバルサービス

OYO Life
~世界2位のホテルチェーンが日本市場で仕掛ける“賃貸事業”~

 インドの急成長ホテルチェーンOYOは2018年9月に日本市場に上陸。OYO Lifeは2019年3月にリリースされたばかりのサービスだ。都内を主なサービス展開地域としてサービスをスタートさせた。
 OYO Lifeは『「住む」を簡単に』というコンセプトのもと、部屋を借りるという行為をホテルの部屋を予約するくらい簡単にしたサービスだ。一般的な賃貸と異なり、入居から退去まで、スマホで簡単にスピーディーに完了できてしまう。また、敷金や仲介手数用もなく、賃料には光熱費やWi-fiなど、生活にかかる固定費が含まれている。更に、ホテルのルームサービスのような様々なサービスを受けることができるという点もこれまでの賃貸と異なるOYO Life独自の価値となっている。

なぜ本国含めグローバルでホテルチェーンを展開するOYOが、日本では賃貸事業でスタートしたのか?

 「日本事業スタートにあたって本国から依頼されたのは、『OYOのような会社を創ってほしい』ということでした。ホテルをやれ、ではなく。元々OYOは、稼働率の低いホテルの部屋を借りて、ブランドや集客力の付加価値をつけて提供することで劇的に稼働率をアップさせる、というビジネスを展開してきました。
 しかし日本にはクオリティの高い多くのプレイヤーがおり、OYOが独自性を発揮することは難しい。そこで、OYOのサービスを『ホテルチェーン』ではなく、『空間の再生・標準化をする会社』と捉え、不動産の賃貸事業への進出を決めたのです。」(山口氏)
 
 賃貸事業をスタートしたOYO Lifeは、前述の通り『入退去の手軽さ』と『ルームサービスを模した付加価値』を実現したが、なぜ既存賃貸事業者が実現できていなかったのだろうか?

 「このビジネスモデルが成立するためには、『物件の自社保有』と『各種サービスの提供』が欠かせません。したがって、東京中に部屋を所有するための圧倒的な資金力とサービス開発・提供の技術力が必要です。だからこそ、既存の事業者様はなかなか実現できないサービスだと考えています。」(山口氏)

TikTok Ads
~体験を生み出すグローバルNo1.サービス~

 全世界でサービスを展開するTikTok。2019年8月には全世界のアプリダウンロードランキングで1位を獲得する(※Sensor Tower調べ)など成長を続けている。日本では2018年に流行語大賞に選定されたが、2019年もサービス全体の再生数は前年比130%増、ユーザーの1日あたり利用時間も42分から44分へ伸びるなど、成長はとどまることを知らない。動画コンテンツはペットや旅行、教育系、グルメ、How toなどダイバシティの広がりを見せている。

 鈴木氏が所属するTikTok Adsは、TikTokを広告プラットホームとして企業がマーケティングで活用できるようにサポートすることをミッションとしている。

 「TikTok Adsは、企業にTikTokを『体験を提供するプラットフォーム』と捉えて頂き、体験をマーケティングのソリューションとして活用して頂くことを提案しています。
 TikTokの中でユーザーのみなさんは、インフルエンサーやクリエイターの動画を見て疑似体験したり、ハッシュタグチャレンジなどに参加して動画を自分も投稿したり、様々な体験をしています。TikTokというデジタルプラットフォームを起点にして自分で様々なことを体験しているんです。
 体験、エクスペリエンスはあらゆる企業にとって重要な差別化要素だと考えています。TikTokはユーザーが『自分もやってみよう』『自分も投稿しよう』という気になりやすいプラットフォームです。エクスペリエンスの創出こそTikTokのマーケティングエクセレンスであると考えています」(鈴木氏)

2つのグローバルサービスが創り上げるプラットフォーム

OYO Life
~自由な企画発想とデータドリブンマーケティング~

 OYO Lifeは3月にローンチをしたサービスだ。ローンチ当時は当然利用者もいない。その中でいかに認知を拡大していったのか。

 「ローンチ当時はPRがメインでした。まず2月にOYO Lifeの情報をサイトで公開しました。OYOが日本で敷金・礼金0、スマホで簡単引っ越し完了の賃貸サービスをスタートする、という宣言文だけを載せました。そして、宣言文のサイトにアクセスしそうな人に小さく広告を当てていくようにして、数日間静観していました。結果、サービス自体の目新しさやOYOがなぜ賃貸なのか、という議論が沸き起こっていました。
 この宣言文の後、3月にローンチし、その後行った企画が『いきなり0円ライフ』というキャンペーンです。OYOの『物件を保有している』という強みを生かしつつ、OYO Lifeという新しいライフスタイルを理解してもらうには体験してもらった方が早い、ということで一般的には『認知→理解→体験』とつながるところを『認知→体験→理解』を不動産に持ち込んだ企画です。
 これらの後はひたすらPRを続けました。『Carpet Bombing』とインドで呼ぶ手法ですが、毎週一回プレスリリースを出し、OYO Lifeが露出しない日はない状態を作りました。」(山口氏)
 
 OYO Lifeは他の賃貸事業者と異なり『物件を保有している』からこそ大胆な企画を実現することができている。そして、施策効果を効率的に発揮するためにデータドリブンで意思決定をしている。

 「特に物件の受給データを細かく確認し、どの物件を取得すべきか、ということから、どの地域にマーケティングコストを投下すべきかという点まで、データに基づいて意思決定しています。自由な発想は大切ですが、施策の効果を最大化させるためにはデータドリブンの運営は欠かせません。」(山口氏)

 ルームサービスを受けるように各種提携サービスを楽しめるということはOYO Lifeの付加価値の一つだが、物件を一つのプラットフォームとして見立て、そこに様々なサービスがアプリケーションとして不随するビジネスモデルを作りあげている。 

 「最近実施したのは、『All freeキャンペーン』です。年内にOYO Lifeを入居頂いた方に、家具レンタルサービスなど7つのサービスを1年間無料で受けられる、という企画です。これもOYO Lifeだからこそできる一つのキャンペーンです。データドリブンでありながら、自由に何でもやってみる、これがOYO Lifeのマーケティングの手法です。」(山口氏)

TikTok Ads
~体験UGCを生み出すTikTok Adsの仕掛け方~

 TikTok Adsは企業が活用できるいくつかの広告メニューがある。それらに共通しているのは、企業のサービス・商品を、『体験』を通してユーザーに理解して頂く仕掛けを用意している点だ。詳細は省きながら、いくつかの事例が紹介された。

 「大きな成果を上げているものの一つとして、『#Challenge』があります。ブランドがユーザーにお題をつくり、みんなで投稿しあってください、と促すものです。
 また、『#Challenge』キャンペーンの効果を実際にデータ測定し、有効性があると確認できました。来店リフト調査によると、某大手飲食チェーン店のキャンペーンでは、キャンペーンに接触したグループと非接触のグループと比べて、来店率が37%も高いという結果が出ました。動画を投稿された方であれば86%、投稿された動画を視聴した、という方でも30%以上来店率があがりました。
 これは直接動画を投稿してもらう仕掛けですが、動画投稿に至らなくても、ライトな体験もブランド理解や購買に繋がることも分かっています。例えば、『スタンプ』という広告メニューがあります。ユーザーは、TikTokのスタンプ機能を通じて商品を疑似体験できる、実際に実施したクライアント案件では、売り上げ30%アップにも貢献できました。」(鈴木氏)

 多くの成功事例も生まれているTikTok Adsの体験創出マーケティングだが、成功する企業としない企業との差は何があるのか?

 「つまるところ『体験の質』にあります。これは、どのような体験かということで、面白そうでなければ広まることはありません。したがってクリエイティブの話になってきますが、よく言われるのは『制約と余白をつくること』。制約、つまりルールを作り、その中に余白を絶妙に配置することで、想像性を発揮できる状態をつくることが体験を創出するためには必要です。これは最近『meme』という概念として認知されてきていますが、この制約と余白が、模倣を生み出し、爆発的な普及につながるのです。」(鈴木氏)

爆発的に成長するサービスはなぜ生まれるのか?

OYO Life
~会社への愛着と強烈なリーダーシップが『爆速の』文化を創る~

 「OYOの前は、DeNAやアメリカのスタートアップでも働いていました。そこも決して遅いという感覚はありませんでしたが、OYOは段違いにスピードがあります。例えば、1月に日本でOYO Lifeという事業をスタートさせると決めてから、実際にサービスローンチ日として指定されたのは3月28日でした。これは一例にすぎません。一般的な企業からすれば異常なスピードで全てを進めています。ここで重要なのは、社内のだれもが会社に愛着を感じているということです。会社の目指す方向に100%共感しているのです。そして、この集団を統率する、強烈なリーダーシップを持ったCEOがいます。
 CEOが決めたことは全員が一致団結してスピーディーに実行に移していく文化が出来上がっているのです。これがOYOの成長スピードの理由だと考えています。」(山口氏)

TikTok Ads
~カルチャーこそベンチャーの急成長の鍵~

 「私も文化が成長を作る、という考えです。TikTokにも『バイトスタイル』という働き方の指針があります。そしてこの指針が社員のメンバー全員に浸透しているのが弊社の特徴であり、私自身驚いたほどです。」(鈴木氏)

 スピード感のある事業運営を可能にする強い組織文化、これこそがOYO、TikTok Adsという爆発的成長事業の共通項であった。

Text by Takuya Kuzumi

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