b→academy summit 2018では、ゲスト講師5名により3つのコンテンツが展開された。キーノートにはZOZOテクノロジーズの代表取締役 CINO(Chief Innovation Officer)金山氏が登壇した。時価総額1兆円を超える同社のデータマーケティングの裏側について、ZOZOのデータ活用を支える組織のトップから直接聞くことができる、ということから講演は満席の中で始まった。

ZOZOのデータマーケティングやCRMをテクノロジーサイドから支える組織、ZOZOテクノロジーズ。セッションは、ZOZOがなぜテクノロジー専門の会社を作ったのか、という話からスタートした。

ZOZOの技術者集団、ZOZOテクノロジーズ

昨年創業20周年を迎え、勝負に出ているZOZO。新しい事業の開発を進め、小売りECからメーカー、“ブランド”になろうとしている同社は、『3年で800億規模のグローバルブランドになる』という大きな目標を掲げ、達成に向けた一つの方法として、データ活用を推進し圧倒的な優位性を作るためZOZOテクノロジーズを創設した。

ZOZO自体は営業やマーケティング、CS業務、物流、管理業務全般を担い、開発、デザイン、R&Dなどのエンジニアサイドの部分は全てZOZOテクノロジーズが担っている。

ZOZOの手がけるデータ活用術

データ活用に向け、まずバラバラに管理されていたデータを一箇所に統合することから始めた。ファッションコーディネートアプリ『WEAR』やファッション通販サイト『ZOZOTOWN』など複数チャネルやシステムに存在する購買履歴、閲覧履歴、顧客情報などあらゆるデータを一元管理する事で、データを活用できる体制を整えた。

では、ZOZOは具体的にはどのようにデータを活用しようとしているのか。同社は既に閲覧履歴、購入履歴など、サイト・アプリ内のアクションデータのみならず、ZOZOSUITによって顧客の体型など様々なデータの取得に成功している。そんなZOZOが考える次のキーワードは“着用体験データ”であると金山氏は語る。

金山ファッションビジネスにおいて、メーカー、販売者側とお客様側で最終的なゴールが違うという問題があります。つまり、メーカー側は商品を売るところまでしか追えませんが、お客様は買ったものを着用して、ハッピーになるのがゴールです。我々が商品を売ったとしても、お客様に着用して頂かないと、さらには着心地とか、見た目とか、着た結果の体験が良くなければ、リピートしてもらえません。着用体験を押さえた企業が最後、アパレルでは突き抜けると思いますし、そこは我々が絶対にやる必要があると思っています。

ZOZOがデータ活用によって目指す姿

最後に、金山氏は「データ活用の未来」さらに「ZOZOがデータ活用によって目指す姿」について言及した。

データ活用の未来について、データ処理や分析など、多くの作業は「人がやらなくていい」ようになり、様々な分野で人と機械、アルゴリズムがコラボレーションしていくと金山氏は語った。

金山現代のAIは、19世紀の産業革命における『蒸気機関』のようなものと例えられることがありますよね。産業革命ではそれまでの動力源だった『馬力』が『蒸気機関』に代替されたように、近い未来、人間の「知力」がAIに代替されていきます。このAIへの代替をマーケティングの世界で置き換えると、現代のマーケティングでは、“この広告を打てば消費者がこう動くはずだ”という風に、人が因果を考えて施策を行ってます。しかし、これからはデータありきで、大量のデータからAIが施策を提案してくるようになるはずです。

また、「ZOZOが目指すデータ活用」については、「将来的には、“ファッションのその先にあるもの”を提供したいです。ZOZOTOWNではソフトウェアを使って、多くのブランド様の商品や“ZOZO”の商品を販売しています。ただ、これからはそれだけじゃなくて、その先の“価値”というものを定義して提供していかなくてはいけません。」と金山氏は語った。

ZOZOの研究部門では「ファッションを数値化する」というミッションのもとデータ活用を進めている。

金山皆さん、今日の服に満足していますか?服を着るときに、『今日はこの服を着ていこう!』ってテンションが上がった人はどれくらいいるでしょうか?『これでいいかな?』とか、『うわ、今日洗濯してお気に入りがない』とか、何かしら不安や満足いかない点がある人が多いのではないでしょうか。人間は毎日服を着るのに、楽しんで服を着ていない。そこは絶対に変えるべきだと思っています。ファッションという事象のその先に数多のストーリーがあるんです。それは1つではなく、お客様それぞれにあって、私たちはそれを提供したいです。

日本最大のファッション通販に成長し、ECやアパレル業界の常識を覆してきたZOZO。ファッションを科学するZOZOテクノロジーズの描く未来は、日本そして世界を驚かせていくだろう。

b→academy summit 2018 イベントレポート Part2に続く

弊社が提供している マーケティングツール『b→dash』 は、マーケティングプロセス上に 存在する全てのビジネスデータを、ノーコードで、一元的に取得・統合・活用・分析することが可能なSaaS型データマーケティングプラットフォームであり、BtoC業界を中心に、様々な業種・業態のお客様にご導入頂いております。

Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

Event Overview

開催日時 2018年 12月 5日 (水)

ZOZOTOWNのデータマーケティングやCRMをテクノロジーサイドから支える組織、ZOZOテクノロジーズ。同社はファッション業界で、これまで誰もチャレンジしてこなかったファッションの"選択"を徹底的に科学し独自のDMPを構築しています。ZOZOSUITによるサイズの取得など外から見ると次々と話題性のある施策で脚光を浴びる同社ですが、成功の裏側で行っているのは、DMPやMAを使ったコミュニケーション、施策のPDCAなど"当たり前"の徹底でした。西井氏も注目する同社の"当たり前"の基準の高さはどの企業も見習うべきマーケティングの基本。今回のb→academyでは、その真髄と、これまで明かされてこなかった、同社のデータ活用の次なる構想について解説頂きます。

Speaker Profile

  • 金山 裕樹

    ZOZOテクノロジーズ

    代表取締役CINO

    AppleとGoogle、両社のベストアプリを受賞した 唯一のファッションアプリ「IQON」(アイコン)を運営するVASILYを創業後、2017年10月に「ZOZOTOWN」 を運営するZOZO(旧:スタートトゥデイ)にM&A。M&A後は同グループの技術開発を担うZOZOテクノロジーズ(旧:スタートトゥデイテクノロジーズ)のイノベーション担当代表取締役として、スタートトゥデイ研究所の発足などR&Dと新規事業の創造を行なっている。著書に「いちばんやさしいグロースハックの教本」(インプレス)など。

About b→academy

b→academyは“Innovation・Data・Digital”をテーマに取り上げるマーケター育成のためのスクール。
従来のマーケティングのトピックにテクノロジーの要素を取り入れることで、データマーケティングの集合知を創ることを目指しており、当アカデミーのチェアマンは、オイシックス・ラ・大地株式会社のCMT(チーフマーケティングテクノロジスト)兼 株式会社フロムスクラッチCIO(チーフイノベーションオフィサー)西井敏恭が企画責任者を務める。今後継続的に開催されるこのイベントでは、“データ経営時代”の先頭を走るマーケターを招き、最先端のトピックを取り上げる。

https://bdash-marketing.com/seminar/b-academy/
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